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掲載日:2023年7月4日
Q 菅 克己議員(民進・無所属)
平成25年7月27日に彩甲斐街道、出会いの丘にて行われた埼玉県防災航空隊・あらかわ一号墜落事故殉職者慰霊碑除幕式が行われました。御遺族の中に、学生服を着た男子中学生が妙にぶかぶかの革靴を履いていることに気づき、理由を伺うと、父の遺品の革靴です。父の形見を身に付けて参列したかったのですと話してくれました。御遺族のことを考えると、身につまされる思いでした。殉職された5人の功績を末永く後世に伝えるとともに、二度とこのような惨禍を繰り返さないことを誓いたいと思います。
さて、さきの2月定例会にて埼玉県防災航空隊緊急運航業務に関する条例の一部を改正する条例が可決成立されました。我が会派は、公平性が担保できないこと、有料化の前に優先順位の高い施策があることから反対をいたしました。何よりも重要なのは、登山者の命を守ることであります。登山者が安全に登山できれば、防災ヘリの出場を減らし、これが防災ヘリ隊員の命を守ることになります。残念ながら、県内の登山道の整備は十分とは言えません。秩父の秘境にまで高規格の登山道の整備をせよと言いたいのではありません。過去遭難に遭ったケースをしっかり分析し、その傾向と対策を打つべきです。
秩父観光協会、小鹿野両神観光協会のホームページには埼玉県警山岳情報のリンクを張ったバナーがあり、リンク先の埼玉県警山岳救助隊のホームページには、登山届の提出を促す内容になっています。ここには過去の遭難情報が並列で掲載されていますが、登山道の状況と危機を喚起する記述、すなわち傾向と対策のような見やすい項目がありません。登山観光を売り物にしている自治体ならば、改良すべきと思います。
観光に重きを置く自治体では、観光資源に対して的確な整備費用を確保すべきですが、登山観光分野の体系的な取組がなされていません。国においても登山道の整備が環境省なのか国土交通省なのかよく分かりませんし、この分野の体系的取組として予算が組まれているような状況ではありません。これは各都道府県においても同じで、埼玉県でも環境部なのか県土整備部なのか、危機管理防災部なのか県警なのか、いろいろな分野でそれぞれが取り組んでいる状況だと認識しております。登山道の整備という観点では、どこが司令塔なのか分からない状況です。今後、どの部署が司令塔になるのか、知事にお伺いいたします。
また、登山観光を売り物にしている割には重要なインフラである登山道整備に関わる予算が全く見えないと言わざるを得ません。登山観光客に安全に登山を楽しんでもらうために、十分な予算確保がされていないと認識していますが、この分野についてどのような予算が執行され、今後どのように新たな整備費用を考えているのかお伺いいたします。
また、整備費用は県のみならず、市町村の応分の負担も必要かと思われますが、知事の御見解を伺います。
私は、県内の遭難者が出ている一部の危険な登山道について、登山届の提出を義務付ける必要があると考えます。登山届を提出することにより、登山者の事前準備が充実し、遭難を防ぐことに効果を発揮します。遭難してしまった場合も、捜索対象を絞り込むことができ、県警山岳救助隊、地元消防、防災ヘリ、県警ヘリがやみくもに捜索するのではなく、ポイントを絞って捜索することが可能となります。早期発見、早期救助につながる好ましい策だと考えますが、登山届の提出の義務化について知事の御所見を伺います。
A 上田清司 知事
いわゆる登山道は山仕事、山岳信仰、峠の往来などに昔から利用されてた道を登山者が利用することにより自然発生的に成立したものが多く占めています。
そのため、登山道は個人所有地も通っており、慣習により利用が容認されていたりもしています。
また、登山道は県や市町村、土地所有者、山岳会など様々な組織や個人により整備されてきました。
県においては、国立公園内の雲取山、甲武信ヶ岳、両神山などに至る主要な登山道整備について自然公園法に基づく公園事業として環境部が実施しています。
また、環境省が計画し関東各都県が整備した首都圏自然歩道の埼玉県内分についても、環境部が行っております。
以上から、環境部が事実上の司令塔になります。
次に、登山道整備に係る予算執行と今後の整備費用についてでございます。
これまで、県は土地所有者の御理解の下、自然公園等施設整備事業などにより道標の整備、丸太階段・くさり場の修繕、避難小屋整備を実施してまいりました。
また、平成27年度には過去に山岳遭難事故が起きた場所について調査・分析し、整備が必要な箇所を把握いたしました。
今後は把握した情報に基づきボランティアの皆さんのお力もお借りしながら、緊急性や危険性の観点から優先順位を付けて整備を行ってまいります。
次に、登山道整備に係る費用の市町村負担についてでございます。
現状においても、市町村は登山者や地元住民からの要請に基づいて、必要に応じて登山道の修繕を行っています。
登山道については様々な組織や個人が整備に取り組んでいる状況ですので、山岳遭難対策の会議などにおいて市町村をはじめ関係者と登山道の危険箇所情報を共有して、その上でしっかりと整備を進めてまいります。
次に、登山届の提出義務化についてでございます。
安全に登山を楽しんでいただくには、登山者がしっかりと準備をすることも重要であり、登山届の提出は効果的な事前対策の一つだと思います。
こうしたことから、平成26年度以降は、岐阜県や長野県では北アルプスの登山者などに対して登山届の提出を義務付ける条例を制定しています。
本県は登山届提出義務化にまで至っておりませんが、登山届提出を呼び掛けるキャンペーンを年3回実施しております。
こうした取組により、平成28年の登山届出の提出件数は17,900件で、平成26年の12,400件の1.4倍になっています。
また、遭難防止については「防災航空隊の緊急運航に関する条例」の改正条例を平成30年1月1日から施行し、広く登山者に呼び掛けてまいります。
県としては、引き続きキャンペーンを実施するとともに、まずはこの改正条例を円滑に施行することに尽力してまいります。
その上で、岐阜県などにおける条例施行の効果や課題など踏まえて、効果的な山岳遭難防止策について幅広に検討させていただきたいと思います。
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