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掲載日:2024年7月3日
Q 菅 克己議員(民進・無所属)
民間建築物のアスベスト調査について、建築物所有者に対する国の補助が来年3月で打ち切られます。除去工事への補助も2020年度で打ち切られます。アスベストが使用された可能性のある約280万棟の解体のピークはこれからであり、調査もされずに解体されれば、周辺住民は知らないまま被害を受けるおそれがあります。国は2005年度、調査や除去工事への補助を開始し、調査は国が原則全額負担、除去工事は国と自治体が3分の2を負担します。国土交通省によると、鉄筋コンクリートや鉄骨造の建築物約280万棟で使用された可能性があるといいます。民間の独自調査では、大規模な建築物約23万6,800棟のうち7パーセントで使用されていることが実際に確認されました。耐用年数34年から50年間から推定すると、約280万棟の解体のピークは2030年頃であり、年間約10万棟になると見込まれます。
一方で、民間建築物で補助を活用したアスベスト調査は2015年3月現在で3,215棟、除去工事を行ったのは966棟にとどまりました。政府は、所有者から要望が少ないと補助を打ち切る方針を決め、昨年4月1日付で自治体などに通知しました。来年4月からは、この調査に係る補助はなくなってしまいます。大気汚染防止法では、建築物の改修や解体時にアスベストの事前調査を求め、所有者などには都道府県などに届出を義務付けており、違反したら罰則もあります。しかし、気づかずに工事が行われてしまうケースもあります。除去工事の実績が多い首都圏の業者によると、アスベスト対策を行うと工期が延びるし、費用は通常の解体工事の2倍近くかかるといいます。調査の補助申請が少ないのは、アスベストが見つかった場合、所有者も除去費用の3分の1を負担する必要があることに背景があります。
さて、埼玉県でも民間建築物に施工された吹き付けアスベスト等の含有調査及び除去工事費の一部を2009年度から開始、今年度も引き続き実施しています。対象は、除去工事が1,000平米以上の物件であり、平成27年度までの実施状況は、これから掲示するボードのとおりです。議長のお許しをいただきましたので、ボードで説明いたします。
これが吹き付けアスベストの改修事業の補助対象の件数であります。23年から27年の5か年、除去工事はこの真ん中のところでありますけれども、3件から1件、そして補助の対象にならない総額の除去総数は、あそこにありますように23年度で250件近く、平成27年度で200件近くございます。
また、県内では特定行政庁で独自の補助制度を創設しているところもあり、まず質問ですが、1,000平米未満の補助を始める必要があると思います。1,000平米以上について集中投資し、弾みを付けるという答弁が繰り返し行われてきましたが、1,000平米未満の件数がむしろ主流です。1,000平米以上の案件が少ないから打ち切るという方針は論外です。国土交通省による補助制度創設状況調査結果では、現在47都道府県中、埼玉県を含む14県で補助制度があり、20都道府県で利子補給融資制度があります。除去費用補助制度で面積要件を設けているのは埼玉県のみで、ほか11県においては面積要件を設けていない状況であります。
主要先進諸国では、早くからアスベストの製造、使用禁止の規制を行い、被害拡大を防ごうとしたのに対し、日本では代替品がないという理由から規制が遅れ、被害を拡大させました。2006年9月、ようやく全面禁止となり、被害者救済は遅れ、ようやく救済の手が差し伸べられましたが、一連のアスベストに対する国の対応は後手後手に回りました。国の責任であることに間違いはないのに、それに対する救済策を打ち切り、あとは建築業者や解体業者が泣いてくれ、これは余りにも理不尽であります。悲鳴にも近い声が届いております。国に制度復活を働き掛けるとともに、埼玉県では建築や解体業者さんの苦境を救うような手厚い対応をしていただきたいと思います。
そこで、都市整備部長に以下の質問をいたします。
国に対して、除去工事補助金の2020年度打切りを撤回すべく働き掛けをお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。
二点目、県は本補助金について特定行政庁12市、さいたま、川口、川越、熊谷、所沢、春日部、狭山、上尾、草加、越谷、新座、久喜を対象外とするのはなぜでしょうか。同じ県税を払っているのに恩恵にあずかれないのは理不尽です。特定行政庁に対して、国から何らかの優遇措置があるなら別ですが、そんなものはありません。県として、特定行政庁12市は関知しないとする理由を御答弁ください。県は、県内全ての市町村を支える機関だと思いますが、補助は2階建てにして1階部分は県が県内全域を対象にし、2階は市町村が対応するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
三点目、補助対象を1,000平米以上にすることは大きな差別です。先ほどのとおり1,000平米未満の案件が大半を占めており、1,000平米以上を対象とする補助は、ある意味事業者や金持ちが優遇される仕組みです。県のアスベスト除去工事に対する補助対象の制限を解除とすべきと考えますが、今後の方針について伺います。
A 野川達哉 都市整備部長
まず、国に対して撤去工事補助金の2020年度打ち切りを撤回すべく働きかけをについてでございます。
お話のとおり、国では民間建物のアスベスト調査及び除去や封じ込め等の工事に対し補助を行っておりますが、分析調査は平成29年度末まで、除去等の工事は平成32年度末までを期限としております。
直近の平成28年度に実施した調査によりますと、延べ面積1,000平方メートル以上でアスベストが使用されているおそれのある民間建物は、県内に11,808棟ございます。
このうち、94%にあたる11,152棟で安全性が確認されておりますので、アスベスト対策が必要と考えられる建物は、残り656棟となっております。
県では、国の補助金を活用してアスベスト対策を進めておりますことから、その打ち切りにつきまして、今後も様々な機会を捉え、撤回するよう要望してまいります。
次に、県の補助については特定行政庁12市を対象外とせず、県内全域を対象にするべきについてでございます。
特定行政庁は、建物について県と同じ指導権限を持っており、一定規模以上の建物に対し、所有者から定期的に維持管理状況に関する報告を受けることになっております。
その報告には、アスベストの有無や飛散防止対策もございますので、個々の建物の状況などを把握することが可能です。
また、建物の立入調査を行い、必要に応じて所有者を指導することもできます。
アスベスト対策を効果的に進めるためには、特定行政庁がこうした指導権限と合わせ、国の補助制度などを活用していくことが有効であると考えております。
既にさいたま市などでは補助を開始しておりますが、引き続き特定行政庁に対し、補助制度の創設を含め、アスベスト対策に積極的に取り組むよう働き掛けてまいります。
次に、県のアスベスト除去工事に対する補助対象の制限を解除すべきについてでございます。
県では、延べ面積1,000平方メートル以上の建物につきまして、除去等の工事の補助対象とし優先的に取り組んでおります。
1,000平方メートル以上の建物であれば国の調査により対象を特定し所有者も把握できますことから、早期に対策が完了するよう直接訪問などにより働き掛けを行っているところでございます。
一方、1,000平方メートル未満の小規模な建物に対しましては、現在でも、アスベストの分析調査につきましては全ての民間建物を補助対象としております。
除去等の工事につきましても、私立学校や社会福祉施設などの用途であれば、小規模な建物でも補助対象になる制度がございます。
また、中小企業が行う除去等の工事に対する融資制度を設けており、これも小規模な建物でも活用することが可能でございます。
県としてはこれらの制度の活用に向けまして引き続き周知してまいりますとともに、1,000平方メートル以上の建物の対策の進捗状況や国の補助制度の動向を踏まえ、現行の県補助制度に係る面積要件につきまして研究してまいります。
再Q 菅 克己議員(民進・無所属)
ここで御覧いただきたかったことが、国からの補助は1件や2件、これあってなきようなもので、多分1,000平米という制限を設けちゃったのではないかと、それが起因しているような気がします。この200件近く、要は補助もなくて建築主さんは多分お金もなくて、そして建築屋さんや解体業者さんがそれを泣いてお金を使っているわけですよね。当初議論をしていた中で、先ほども都市整備部長さん話しされていました環境みらい資金だとか、埼玉県は1,000平米という枠はあるけれども、民間の融資制度を使っていっぱい補助ができているから十分なんですという答弁です。
私調べたら、その対象になっているのは0件です。環境みらい資金で補助されて融資されているのは0件なんですよ。すなわち、これ切られちゃっているんですよ。これはすみません、救済措置なんです。国が問題を起こしているから救済するのに制限設けちゃっている。民間の皆さんに任せています、十分に融資しているから大丈夫です、利子補給されていないんですよ。結局、泣くのは業者さんだけなんです。だから、私は1,000平米という枠ではなくて、3分の1負担はあるけれども、3分の2、国や県が補助する、ここに重要なところがある、救済措置であるということであるならば、1,000平米の枠を取り払ってもらいたい。今日も来ていただいています。本当に苦しんでいるんです。なけなしのお金で自分のところで捻出しないと、その事業が成り立たない、その悲痛な叫びを都市整備部長さん、ちょっともう一回、撤廃できるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
以上です。
再A 野川達哉 都市整備部長
先ほど答弁させていただきましたが、今行っております1,000平方メートル以上の建築物の対策の進捗状況、それから国の補助制度の動向を踏まえまして、面積要件につきましても研究してまいりたいと思います。
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