トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年6月定例会 > 平成29年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 6月23日(金曜日) > 菅 克己(民) > 平成29年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(菅 克己議員)
ここから本文です。
ページ番号:104203
掲載日:2024年7月3日
Q 菅 克己議員(民進・無所属)
昨年、娘が参加する県内の競泳競技の大会に何回か付添いをしましたが、過酷な競技会の実態を目の当たりにしました。大会の多くが25メートルプールではなく、50メートルプールが主流です。ところが、本県には屋内の50メートルプールがありません。ある日の大会では、太陽の出ない雨の寒い日、水温20℃をようやく超える程度、気温は25℃を切る肌寒い中でぶるぶる震えながらウォーミングアップして体が冷えてしまって寒い中で出番を待ち、縮こまる状況でタイムを出さなければなりません。低水温のときには、選手が過呼吸症状を起こすことがかなりあります。また、ある日の大会では炎天下の焼き付くような日差しの下、40℃近くにもなる状況で汗だくになりながらウォーミングアップして暑い中で体力を消耗しながら出番を待ち、タイムを出さなければなりません。熱中症になった選手が救急搬送されることがほぼ間違いなくあります。各種競泳競技大会の天候、気温、水温を細かく調べてみましたが、過酷な天候下で開催されていることがとても多いことが分かりました。
屋外でも日程についても制約を受けます。例えば、雷雨の日でも大会日程の都合上、競技を中断しながら、その日のうちに競技を終了させるようなこともざらです。台風でも中止できない場合は、開催日を短縮します。上位の選手などは複数種目に出場し、予選・準決勝・決勝などが目白押しで、大会中はひっきりなしで競技が行われ、体力的に過酷な状況が続きます。県大会、関東大会、全国大会と上位の大会を目指して競技会は行われますが、関東大会で会場が埼玉になった場合、選手たちが交わす言葉は「運が悪い」「どうなるか分からない」というもので、選手も頭を抱えてしまうようです。
屋外50メートルプールは県営大宮公園にもありますが、施設や設備の関係で公式大会は実施できず、県が主催して行う県大会、関東大会、全国大会などは全て川口市・青木町公園の屋外50メートルプールで行っています。県が担うべきような大会でも川口市におんぶにだっこの状況なのです。もし、これが屋内プールであれば、水温はいつでも25度から28度程度、プール内には冷暖房があります。雷雨による中断などありません。天候には余り左右されません。快適とまではいかないまでも、屋外の過酷な環境や条件で競技に参加することを考えれば、天国と地獄です。全国大会などに向けた県の予選会において、ワンチャンスしかない大会であれば、こんな過酷な環境を押し付けることをよしとはしないはずです。県内で水泳競技の公式記録を得ようとするには、このような他県にはない高いハードルを物ともしない体力や忍耐力が求められます。
スポーツ推薦を考えている親御さんが、このような状況をどう捉えるでしょうか。こんな環境なら、親は屋内50メートルプールのある隣県の学校やクラブチームに籍を置かせたほうがいいと判断し、間違いなく将来有望な選手を埼玉県は失うことになります。リオオリンピックで銅メダルを取った本県の誇るべき競泳選手、瀬戸大也さんも昨年末、埼玉新聞が行ったインタビューで選手の置かれている過酷な状況を語っています。全国の状況を見ると、公営屋内50メートルプールがないのは都道府県では15、関東では埼玉と山梨だけです。
さらに、併せて飛込プールも必ずセットで建設するべきです。残念なことに、屋内の飛込プールも存在しておらず、また絶望的に不足をしています。飛込みは水に入ったり出たりを繰り返す競技なので、冷えとの戦いです。体が冷えると筋肉が硬くなり、競技に支障が出るだけでなく、硬くなった筋肉は入水時の衝撃の影響をもろに受け、けがをしやすく、体に大きな負担を与えます。体を冷やさないために、飛込みではジャグジーの設置が必至ですが、屋外でジャグジーが使えなかったりすると目も当てられません。
また、飛込みは秋から冬は屋外で練習ができないので、県内に屋内練習場がないため、県外の練習場に行くことを余儀なくされ、経済的・時間的制約を受けます。現状の埼玉県の飛込み競技は、関係者の身を粉にした献身的ボランティアによってようやく成り立っています。コーチングや施設管理に至るまでボランティアに甘えて、このまま放置していると、埼玉県から飛込み競技が消失してしまうほど危機的な状況です。多くの選手や親御さんから、これらの窮状を伺いました。屋内50メートルプールと飛込プールをセットで設置すること、これは県内で競泳、飛込み、水球、シンクロの競技を行っている選手や家族の悲願です。しのぎを削る水泳選手たちの夢を後押ししていただきたいと思います。
これまで、議会側から多くの議員がプール設置を要望する一般質問を行い、建設についてできるだけ県の財政負担を軽減するために、既存施設の活用、PFI方式の採用、市町村の共同事業など貴重な提案が出されています。平成24年6月定例会の知事答弁では、100億円以上要する屋内プール建設コストの問題は、大きなプロジェクトが重なっているので、大規模プロジェクトの推進スケジュールを調整し、できるだけ財政を標準化したいと考えているとの答弁があり、平成24年12月定例会の知事答弁でも、私も思い切って分かりました、造りましょうと言いたいところです、その思いは変わりございませんので、そうしたことをどういう形で実現するかということについて、引き続き丁寧に対応したいと思うと答弁されました。
そこで質問ですが、基本計画の策定だけでも進めていただくことはできないでしょうか。県内の競泳、飛込み、水球、シンクロ等の競技が置かれている状況、将来有数な選手を育成させるための方針、将来の施設に具備する必要条件など調査分析から始める基本計画くらいは先行させるべきであります。改めて知事の御見解を伺います。
また、飛込み競技の灯を消さないためにも、多くの支援が必要です。その中で、埼玉県体育協会が行っているプラチナキッズ事業に飛込み競技も何らかの形で盛り込めないか、県民生活部長に伺います。
A 上田清司 知事
屋内50メートルプールの整備については、これまでも県議会の皆様や埼玉県水泳連盟からの御要望をいただいてまいりました。
今回の御質問をいただき、過酷ともいえる寒さや暑さの下で結果を出さなければならない選手の様子が改めて目に浮かんでまいりました。
こうした状況の中でも昨年のリオデジャネイロのオリンピックにおいて、本県ゆかりの水泳選手の4人がメダルを獲得するなど活躍をされております。
頑張っている選手の皆さんの期待に応えるとともに、水泳王国埼玉を更に一段上のステージに導くため、屋内50メートルプールの整備には大きな意義があると思います。
来る東京2020オリンピック・パラリンピックにおいても、本県ゆかりの選手にリオオリンピックを超える活躍を期待したいと思います。
水泳に関心が集まる今、将来のアスリートを目指す子供たちに夢を与えるとともに、県民が水泳に親しめる環境整備が必要です。
屋内50メートルプールの整備については、これまで他県での導入手法の研究などを進めてまいりましたが、今後はその実現のため、更に前に進めてまいります。
その際、例えばPFIをはじめとする官民連携の事業手法など、維持管理費を含めて持続的に運営するための財政面の課題や事業主体の検討が極めて重要です。
また、5か年計画で設置の検討を進めることとしたスポーツ医・科学拠点施設との機能面での相互補完なども考えなければならないかもしれません。
さらに、トップアスリートだけではなく県民の健康増進という観点からも50メートルプールを生かす手法が必要でありますので、幅広い視点から整備手法や機能などの調査、検討を行うように、今回、しっかり担当部局に指示をさせていただきました。
なお、屋内の飛込プールについては、更に多額の整備費や維持管理費を要することになりますので、まずは屋内50メートルプールを優先しながら考えていきたい、このように思っております。
屋内50メートルプールの実現のために、しっかりと歩みを進めてまいります。
A 稲葉尚子 県民生活部長
ジュニアアスリート発掘育成事業、いわゆるプラチナキッズ事業は、スポーツ能力に優れた素質を持つ小学生を発掘し、発達段階に応じたアスリートの育成プログラムを実施するものです。
これまでもこの事業をとおして、自分にあった新たな競技と出会い、国際大会で活躍する選手が育っております。
具体的には、小学校4年生30人を認定し、小学校卒業までの3年間、トップアスリートによる実技指導や女子栄養大学による食育指導などをおこないます。
また、子供時代に経験することが少ない競技を体験させ、自分の特性に合った競技を見出し、その後の活動に結びつける競技体験教室も実施しています。
現在、フェンシングや馬術などの19競技を体験教室の対象としていますが、飛込は含まれておりません。
飛込競技は、子供時代に経験することの少ない競技の一つであり、その競技を子供時代に体験させることは、未来への可能性を広げるものと考えます。
今後、競技団体と指導者や場所の確保、安全対策について調整を図り、飛込競技の体験教室を実施できるよう準備を進めてまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください