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掲載日:2022年10月11日

平成28年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(藤林富美雄議員)

薬物依存症患者への対策について

Q 藤林富美雄議員(公明

著名な元スポーツ選手や芸能人が逮捕されるたびに注目される薬物事件ですが、違法薬物をめぐる犯罪で最も多いのが覚醒剤とのことです。厚労省によると2014年に覚醒剤取締法違反での検挙者は約1万1,000人で、大麻取締法違反の6倍にも上り、しかも再犯率は64.5パーセントと高い数字であります。本県でも2014年の検挙者は488人、うち再犯者は319人で、再犯率は65.4パーセントとのことであります。日本における覚醒剤の使用は先進国の中では少ない反面、依存症患者への対策は遅れており、使用が繰り返される事態を招いているとのことです。
そこで、こうした薬物事件は長く刑務所に服役させても再犯率が高いということから、刑務所ではなく社会の中で再犯防止を図る刑の一部執行猶予制度が本年6月1日から始まりました。保護観察期間が従来より長くなり、再犯率が高い薬物依存者の更生や社会復帰につながることが期待される一方で、今回の制度の導入により保護観察者が増える可能性があります。
ちなみに、平成26年度の覚醒剤取締法違反者の仮釈放者数は全国3,886人、埼玉県は157人とのことです。また、違法薬物の乱用は犯罪行為であると同時に、薬物依存の一症状でもあると位置付け、再犯を防ぐには本人や周囲が依存症は病気と捉え、治療に結び付ける必要があるとのことから、覚醒剤や大麻など薬物依存症患者の専門治療が本年4月から診療報酬の対象とされたところでもあります。
現在本県では、県精神医療センターにおいて薬物依存症患者に対し、LIFEという集団での認知行動療法に取り組んでいるところでありますが、こうした刑と医療の制度改正により、薬物依存症患者に対する医療体制の更なる充実強化が求められるのではないかと考えます。
本県においては、薬物依存症治療を行う医療機関を29年度までに県精神医療センターを含め5か所を設置するとしておりますが、一般病院では出所者の受入れに慎重との声も伺います。現在の設置に向けた取組状況について、保健医療部長にお伺いをいたします。
また、県精神医療センターにおいて集団での認知行動療法に関する研修会を開催し、身近な診療所でも治療しやすい環境を整えることはできないでしょうか。
さらに先日、薬物依存症からの回復を手助けするNPO法人埼玉ダルクに伺ってきました。施設長から「薬物依存症からの回復というのは、薬物をやめることがゴールではない。薬物をやめるということは、回復していくためのスタートに過ぎない」とのお話を伺いました。薬物依存症患者は、治療を終えた後の社会復帰までの長い道のりを覚悟した回復支援が極めて重要とのことであります。
こうした薬物依存症患者とその家族も含めた相談業務や継続的な回復支援を行う埼玉ダルクに対して、県としての更なる支援策を講じるべきではないかと考えますが、併せて保健医療部長の見解をお伺いをいたします。

A 三田一夫 保健医療部長

まず、「薬物依存症治療を行う医療機関の設置に向けた取組状況について」でございます。
違法薬物等の乱用による再犯を防ぐには、薬物依存を病気としてとらえ、医療機関、民間支援団体、行政等が連携して社会の中で支援していくことが必要です。
薬物依存症患者の回復支援には、議員お話しのとおり、認知行動療法が有効とされています。
認知行動療法は、薬物を使用したいという欲求への対処方法を集団で学び、居場所と仲間を得て治療の継続を容易にすることで再犯を防止するものです。
県では、平成27年3月に制定された「埼玉県薬物の濫用の防止に関する条例」に基づき、平成29年度までの3か年計画として「埼玉県薬物乱用対策推進計画」を策定いたしました。
この計画の中で、認知行動療法を行う医療機関を、現在の1か所から5か所に増やすこととしています。
これまで、医療機関職員向けのパンフレット「薬物依存症の治療と支援の手引き」を作成し、県内の医療機関が認知行動療法に取り組んでいただけるよう働きかけております。
議員御指摘のように、医療機関によっては刑務所からの出所者の受入に慎重との声もありますことから、パンフレットは患者への理解を深め、薬物依存症の治療は特殊ではないことを丁寧に説明する内容としています。
今後は、精神科病院等の病院管理者に対して、薬物依存症の治療において認知行動療法が有効であることを理解いただき、5か所設置するという目標達成に努めてまいります。
次に、「身近な診療所でも治療しやすい環境を整えることはできないか」についてです。
本年7月、診療所を含む医療機関職員等を対象に研修会を開催し、認知行動療法への理解を図ってまいりました。
研修会では、県立精神医療センターの医師を講師として、実際の認知行動療法による依存症治療の具体的な進め方などを内容としています。
併せて、本年4月から薬物依存症の患者に対する集団療法が診療報酬の対象となったことも伝えています。
今後も、薬物依存症患者が、身近な診療所を含め、治療を受けやすい環境づくりに努めてまいります。
最後に、「埼玉ダルクに対する更なる支援策について」でございます。
埼玉ダルクは薬物依存症患者の回復・社会復帰支援のために大変重要な埼玉県で唯一のリハビリテーション施設を運営し、また、薬物依存症一般の相談にも応じています。
そのため、県は、埼玉ダルクに対し、施設運営費の補助をしています。
刑の一部執行猶予制度の開始により、長期間、社会生活全般にわたる支援が必要な薬物依存症患者が増えると想定され、民間支援団体によるリハビリ施設や相談体制の充実、強化を図る必要があると考えております。
県としては、厚生労働省や法務省、さいたま保護観察所と連携して、埼玉ダルクなどの民間支援団体への必要な支援ができるよう工夫してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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