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掲載日:2019年6月26日
Q 須賀敬史議員(自民)
高齢化の進展で、医療費を含む社会保障給付費が年々増加傾向にある中で、国の発表では、平成25年度には国民医療費が40兆円を超え、国民健康保険の財政状況は3,139億円の赤字を計上しています。埼玉県は、今後10年間の75歳以上の人口の伸びが全国で最も高いという状況の中で、医療費をいかに抑制していくかは大きな課題です。そのアプローチは何通りもありますが、今回は、レセプトデータを活用した糖尿病重症化予防対策について質問します。
本県は、平成26年から国民健康保険被保険者を対象として、特定健康診査やレセプトすなわち診療報酬明細書のデータを活用して、糖尿病が重症化するリスクの高いハイリスク者が人工透析に移行するのを防止するために、糖尿病性腎症重症化予防対策を行っています。糖尿病性腎症は、人工透析が必要となる最も大きな要因となっています。人工透析に移行すると、週2、3回、1回につき4、5時間の通院が必要となり、医療費も年間1人当たり約500万円と、移行前の10倍に高騰します。県内の糖尿病患者は、推計で約31万8,000人、食生活の欧米化によるカロリーの過大摂取や、パソコンの普及や車社会による運動量の減少などにより、食と運動の適正なバランスが崩れてきていることが原因の一つであると考えられています。
この事業は、市町村が事業主体となり、ハイリスク者のうち医療機関未受診の方や治療を中断されている方への受診勧奨、また、糖尿病で通院中の方への食事、運動等の保健指導を行うものです。本年4月に、県は一連の取組結果として、治療が必要でありながら未受診だった方の新規受診割合が1.8倍になったことや、保健指導を受けた方の検査数値が改善されたと発表しました。
しかしながら、この発表では、医療費抑制の観点からの検証がなされていません。この事業の目的は、県民の生活の質を低下させないことはもとより、医療費高騰を抑制することにあります。そうであるならば、医療費の面からも効果をしっかりと検証し、今後の更なる事業展開につなげるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
また、本県のこの対策事業は、複数の市町村が埼玉県国民健康保険団体連合会と共同で実施するものですが、今年度の実施予定は40市町とのことです。県民の命や健康に関わる施策は、県内どこに住んでいても平等であるべきだと考えます。残りの23市町村全てにこの取組を広げていくために、財政措置も含め県はどのように対応していくのか、保健医療部長にお伺いします。
A 三田一夫 保健医療部長
まず、医療費の面からの効果の検証についてでございます。
糖尿病重症化予防対策事業は、県民の健康維持と合わせて、医療費の過大な増加を抑制することを目的としています。
事業を評価するに当たり、保健指導を受けた方と、受けなかった方の医療費を比較することとしております。
さらには学識経験者の協力を得て、効果を科学的に検証したいと考えています。
しかしながら、医療費抑制効果を検証するためには、一定期間、実際にかかった医療費を分析し、科学的に説明のできる違いがあったかを示す必要があります。
学会で発表するなど、客観的、学術的な評価を得るためには、3年ほどかかると考えております。
それまでの間にも、適宜、速報値を提供して、取組を深めてまいります。
次に、糖尿病重症化予防の取組を全市町村に広めていくことについてです。
県では、専門医で構成する県糖尿病対策推進会議、及び県医師会と協力して「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定しました。
このプログラムに基づき、40市町と埼玉県国民健康保険団体連合会が共同で、レセプトデータを活用して保健指導を徹底しています。
残りの23市町村は、独自に地域の実情に応じた取組を行っています。
県としてはこの23市町村に共同事業への参加を働きかけており、29年度から参加の意向を示している自治体もございます。
一方、国は本県の取組をモデルとして、糖尿病重症化予防を全国の市町村に広めようとしています。
国はその中で、市町村の取組が一定の条件を満たした場合に、財政支援を行う考えを示しています。
その条件の一つである「県の糖尿病対策推進会議との連携」については、個々の市町村が行うのは困難であり、県が間に入ることで、残りの市町村も条件を満たすことができるよう支援してまいります。
これらにより、県内全ての市町村が、国の財政支援を活用できるようになります。
どこに住んでいても同一水準の糖尿病重症化予防のサービスを受けられるよう、引き続き取り組んでまいります。
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