第22回(令和5年度)渋沢栄一賞の受賞者について
渋沢栄一賞は、多くの企業の設立や育成に携わる一方で、福祉や教育などの社会事業にも尽力した渋沢栄一の生き方や功績を顕彰するとともに、今日の企業家のあるべき姿を示すため、渋沢栄一の精神を今に受け継ぐ全国の企業経営者を表彰するものです。
今回は18名の推薦・情報提供があり、選考委員会の審査を経て3名の受賞者を決定しました。(受賞者は五十音順です。)
受賞者及び受賞理由
古泉 肇(こいずみ はじめ)氏
亀田製菓株式会社(新潟県新潟市)元代表取締役会長
会社概要
米菓製造業、その他のパン・菓子製造業 1946年創業 従業員数3,858人(連結)
優れた経営
- 1965年、亀田製菓(株)に入社。同社を米菓業界で全国トップシェアを占める企業に成長させる
- 製造から流通までの工程と品質管理を科学的に分析し、手工業的な方法で行われていた米菓の製造を、工業化された現代企業経営に改革
- 低タンパク質ごはん、コメ由来の乳酸菌をもとにしたヨーグルトや化粧品など、人々の健康に資する製品を開発
社会への貢献
- 2009年、(公財)食の新潟国際賞財団を設立し、世界の食に関する課題に先進的に挑戦し、成果をあげている人物を表彰
- 2016年、(公財)古泉財団を設立し、大学生への奨学金給付、学生、若手研究者への研究費助成を実施
本庄 八郎(ほんじょう はちろう)氏
株式会社伊藤園(東京都渋谷区)代表取締役会長
会社概要
茶葉、飲料の製造販売 1964年創業 従業員数5,205人
優れた経営
- 1966年、(株)伊藤園の前身であるフロンティア製茶(株)を設立
- 1985年に世界初の缶入り緑茶飲料「缶入り煎茶(現:お~いお茶)」を発売するなど、日本における無糖飲料市場を開拓
- 2019年以降毎年、「お~いお茶」ブランドが緑茶飲料販売実績世界一としてギネス世界記録に認定
社会への貢献
- 2018年から(公財)本庄国際奨学財団の理事長を務め、学生に対する奨学金の援助や、食に関する研究への助成を実施
- 埼玉県内の自然環境を保全する「さいたま緑のトラスト基金」に対して、計11回、累計1,000万円超を寄付
室﨑 富惠(むろさき とみえ)氏
社会福祉法人いわみ福祉会(島根県浜田市)理事長
会社概要
障害福祉事業、介護保険事業他 1973年創業 従業員数495人
優れた経営
- 次女の障害をきっかけに障害福祉運動に取り組む中、1973年、障害のある子どもたちの親が中心となって(社福)いわみ福祉会を設立
- 同法人設立当時の障害福祉制度は入所施設中心であった中、民間下宿、民間ホーム、生活自立訓練等の地域生活移行の取組を先行的に展開
- 主に島根県西部の浜田市、江津市を中心に、障害福祉分野、高齢福祉分野で約40事業を展開
社会への貢献
- 障害者、支援者、地域の方々と一緒に完成させた伝統芸能「石見神楽」の舞いを国内外で上演して高く評価されるなど、障害者の自立と社会参加に貢献
- 障害者の働く場に地場産業である和紙を使用した神楽面作りを取り入れるなど、地域地場産業の発展・継承と障害者の雇用に貢献