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掲載日:2023年10月20日
Q 水村篤弘 議員(民主フォーラム)
埼玉県は、今後、全国で最も速いスピードで後期高齢者が増加すると見込まれています。現在も介護人材のなり手不足が深刻な問題となっていますが、国の推計によれば2025年には、県内で約11万4,000人の需要に対して、介護職員約1万2,000人が不足するという需給ギャップが生じると見込まれています。
介護業界では、新型コロナウイルス感染症による利用控えで事業収入が減少している事業者が多く、また、物価上昇により備品や消耗品、光熱費などの経費が増加しているため、苦境に追い込まれています。しかし、収入の柱である介護報酬が公定価格で定められているため、事業者の判断で価格転嫁できない状況にあります。
一方、介護従事者の賃金は、UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの調査によれば、全産業平均賃金と比べて年収で約97万円の格差があり、ますます賃金格差が拡大する懸念があります。物価上昇率を超える介護報酬の改定を行うなど、介護従事者の処遇改善策の拡充を早急に行う必要があります。
県は毎年、国に対して介護報酬の引上げなどを要望しています。そして、介護人材の処遇改善については、国で処遇改善制度を設けています。2019年10月から新設された介護職員等特定処遇改善加算は、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進めることを目的とした制度です。
具体的には、勤続10年以上の介護福祉士を基本として月8万円の改善化、年収440万円を超える人を設定するというのが当初の目的でした。この加算の取得率は、今年6月1日時点で72.8パーセントでした。また、2022年10月には、ベースアップ等支援加算制度が設けられました。これは、介護職員に対して3パーセント程度、月額9000円相当の収入を引き上げるための措置という意味合いが強く、介護職員以外の職種にも配分することが可能な加算です。この加算の取得率は、今年6月1日時点で83.9パーセントでした。
一方、2012年に設けられた処遇改善加算の取得率は、今年6月1日時点で93.9パーセントでした。既に、これらの加算の取得率向上のために、県の取組として各事業所にアドバイザーを派遣して、加算制度活用のための働き掛けを行っていただいています。
しかし、介護人材の確保には依然として不十分です。介護職を仕事内容に見合った魅力的な賃金へと、更に上昇させることが最重要です。
以上を踏まえて質問は、1点目、従来からある全産業平均と比べて低い年収の格差問題と、今年の春闘でほかの産業では賃金引上げが進んで、ますます介護職との賃金格差が開いている現状についての認識をお伺いいたします。
2点目、まずは各種の加算の取得率向上が賃金の上昇に結び付くと思いますが、更なる取組ができないでしょうか。
3点目、特定処遇改善加算については、当初の目的どおりの賃金の上昇につながっていないようですが、更なる賃金の上昇に結び付けられないでしょうか。
A 金子直史 福祉部長
国の調査では、令和4年の介護職員の給与月額は27万2,400円で、全産業と比較すると約6万8,000円低くなっています。
介護人材の確保を進めるためにも、少なくとも全産業のレベルにまで引き上げていく必要があると認識しています。
次に、各種加算の取得率向上のための、更なる取組についてです。
処遇改善加算と特定処遇改善加算を取得している事業所の介護職員一人当たりの賃金改善月額は、令和3年度で平均5万6,157円となっており、一定の効果が現れています。
県では、介護労働安定センターと連携してアドバイザーを派遣するなど、これまでに70を超える事業所の加算取得を支援してまいりました。
このアドバイザーの派遣は非常に効果的であるため、引き続きアドバイザーを派遣し、事業所によっては複数回派遣するなど、寄り添って丁寧に支援をしてまいります。
また、処遇改善の各加算については申請手続が煩雑との声がございます。
国は、令和4年度の実績報告書から、これら3つの加算を一体で法人単位にまとめて申請できるようにするなど、事務を簡素化しています。
県では、この概要をホームページ「さいたま介護ねっと」に掲載し、周知を図っているところであり、今後は、埼玉県老人福祉施設協議会など、関係団体とも連携して一層の周知に努めてまいります。
次に、特定処遇改善加算を更なる賃金上昇につなげることについてです。
特定処遇改善加算につきましては、技能・経験がある介護職員に月額8万円の改善または年収440万円の処遇を確保するほか、それ以外の職員にも加算額を配分できるとされています。
この加算を取得しない主な理由としては、「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑」、「技能・経験がある介護職員の賃金が管理職を上回ってしまうなど、職員間のバランスがとりにくい」などが挙げられています。
このため、特定処遇改善加算制度を分かりやすく解説するパンフレットの配布や研修動画の配信などに加え、派遣されたアドバイザーが、職員間のバランスのとり方についての助言も行っております。
国は、令和6年度の介護報酬改定の中で、処遇改善加算の一本化など、制度の見直しを検討していると聞いております。
その動向を注視して、情報を迅速に施設に提供するとともに、高い専門性を有する介護職員がその評価にふさわしい賃金を得られるよう機会を捉えて引き続き国に対して処遇改善の要望を行ってまいります。
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