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掲載日:2023年3月14日
Q 小島信昭 議員(自民)
大野知事が知事選の立候補時に、あと数マイルプロジェクトを掲げられてから4年がたとうとしています。その間、令和2年度に有識者会議を立ち上げるなど、5つの路線を対象にして延伸に取り組まれてきました。
特に、埼玉高速鉄道線の延伸は、令和5年度に大きな節目を迎えます。さいたま市長は、昨年6月の市議会定例会で、「令和5年度までに速達性向上事業に関する計画の素案を作成し、鉄道事業者に対する要請を行い、4年の任期のできるだけ早い時期に鉄道事業者が国への申請手続に入れるよう努めていく」との表明をいたしました。多くの方々の長年の思いに応えるもので、延伸に向けていよいよ詰めの段階に入ってきたと言えます。
そして、埼玉高速鉄道線以外の4つの路線でも、地域の市長など関係者はそれぞれの立場で地元のまちづくりに力を注ぎ、延伸に向けての諸課題を解決しようと尽力されており、大野知事もそれらの声に応え、昨年5月、多摩都市モノレールを視察したり、本年1月、2月にも関係者の要望も受けられたりしています。
そこで、知事に伺います。
まず、埼玉高速鉄道線以外の4路線の延伸について、知事就任時からこの4年間でどれだけ延伸に向けた取組が進んだものと認識していますか、総括をお願いいたします。
また、これまでの成果を生かして令和5年度はどのような取組を進めるのでしょうか。
次に、埼玉高速鉄道線の延伸について伺います。
平成13年に開業した埼玉高速鉄道株式会社も、令和3年で20周年、来月には早いもので22周年を迎えます。令和3年度の決算では7期連続の黒字経営を達成しました。3月18日には相鉄新横浜線・東急新横浜線が開業し、浦和美園から東京メトロ南北線を経て、新横浜駅(相鉄線)への直通運転が始まります。乗換回数が減り、時間も短縮されるなど、ますます便利な路線となります。
また、東京メトロ南北線の白金高輪からJR品川駅までの延伸事業を既に国土交通省が認可しており、2030年代半ばには、浦和美園駅から乗換えなしで品川まで行けるようになる見込みです。品川から羽田空港、そして世界へつながります。さらに、品川からリニア中央新幹線へと将来的な利用も期待できます。県民の交通利便性が良くなり、海外・県外から人や企業などを埼玉県に呼び込みやすくなるのではないでしょうか。
鉄道延伸による公共交通の充実と本県の成長は表裏一体の関係ですが、多額の費用がかかることも事実です。現在、県とさいたま市、川口市で自治体間の費用負担の割合をどうするか協議を重ねていると聞いていますが、広域自治体である県として相応の役割を果たすことが期待されます。だからこそ同時に、広く県民に対して延伸による効果を説明し、理解をしてもらう努力を重ねることも重要です。
そこで、知事に伺います。今、進めている延伸計画は、県民生活にどのような効果、利益をもたらすのでしょうか。負担に見合ったメリットが十分あると思いますが、改めて御認識をお答えください。
さて、さいたま市長は年頭記者会見で、「2023年度のしかるべきタイミングにできるだけ早く要請をしていきたい。大変重要な時期に差し掛かっているので、今進めている関係自治体との協議、会議、各種調査をしっかりと前に進めて、計画どおりしっかりと要請していけるように取り組んでいきたい」と発言しています。改めて、令和5年度中に鉄道事業者に要請するとの決意を示されたわけですが、計画どおり要請するためには、県とさいたま市がこれまで以上に一体となって条件整備に取り組む必要があると思います。
そもそもこの延伸に関する運輸制度審議会の答申は蓮田までの延伸で、県内の広い地域にその効果は及ぶものと考えられます。よって、岩槻までの先行延伸区間のまちづくりは市の役割だけといわず、広域自治体である県と政令市のさいたま市は県全体の発展のため一致団結することが重要だと思います。
そこで、知事に伺います。1年間はあっという間です。令和5年度中の鉄道事業者への要請につなげるため、県はさいたま市とどのようにこの課題に取り組んでいくのでしょうか。さいたま市と協調して計画どおり鉄道事業者に要請し、延伸を実現させるという知事の決意と併せてお答えを願います。
もう1点伺います。既設部分の運行を行っている埼玉高速鉄道株式会社の経営についてです。
埼玉高速鉄道線の延伸に関する事業スキームはまだ決まっていませんが、既設線部分の営業運行を行っているSRと無関係というわけにはいかないと思います。延伸部分の営業は直接的にSRの営業にも影響するわけですし、SRの営業も延伸に影響を与えるはずです。また、最終的に事業を許可する国土交通省は、既設部分の営業を圧迫するような事業は認められないと思いますので、SRの健全経営は延伸の前提条件とも言えると思います。
そこで、SRの筆頭株主であり取締役会長である知事に伺います。平成26年に事業再生ADRを行い、純利益を黒字化した埼玉高速鉄道株式会社の更なる経営改善、経営改革の必要性について、知事の認識と今後の具体的な取組について伺います。
A 大野元裕 知事
知事就任時から4年間でどれだけ延伸に向けた取組が進んだのかという認識と総括についてであります。
私は、本県の成長・発展のためには、現在の優れた広域交通ネットワークを最大限に生かすとともに、更なる公共交通網を整備することが重要と考えます。
そこで、令和2年度に「公共交通の利便性向上検討会議」を設置し、教育環境の向上や災害時のネットワークの代替性、観光の切り口など新たな視点を含めた「課題と取組の方向性」を有識者より頂きました。
また、中東の専門家時代からの関係を生かし、東京都の小池都知事と東京埼玉連携会議を新設し、意見交換を行っております。
さらに、「あと数マイルプロジェクト」を県の重要施策の一つとして推進するため、令和4年度からの新たな「埼玉県5か年計画」において、5つの路線を明確に位置付けたところであります。
国の答申路線である東京12号線と東京8号線については、事業性や採算性の確保等の課題の解決に向けて調査・検討を行ってまいりました。
また、答申外路線である日暮里・舎人ライナー、多摩都市モノレールについては、延伸ルートの絞り込みなど答申に向けた基本的な課題の洗い出しを行ってまいりました。
このとおり、私はいずれの路線につきましても、課題解決に向けた取組を毎年度、着実に前に進めることができたと認識をしております。
次に、これまでの取組を生かして令和5年度はどのような取組を進めるのかについてであります。
まず、東京12号線と東京8号線につきましては、1を超えるB/Cの確保や、ルートの精査が課題とされております。
そこで、令和5年度は、コスト縮減などの観点から、沿線地域の最新の状況を踏まえた延伸ルートの精査や、既設の駅との結節方法の調査を実施してまいります。
また、日暮里・舎人ライナー、多摩都市モノレールにつきましては、延伸ルートが定まっていないことから、令和5年度は、これまで調査した複数の延伸ルートの絞り込みのための調査を行ってまいります。
加えて、連絡会議や研修会の開催のほか、担当職員が現場に積極的に足を運び意見交換を行うなど、市町と連携を緊密にしながら延伸に向けた取組を着実に進めます。
次に、埼玉高速鉄道線の延伸計画が県民生活にもたらす効果・利益についてであります。
議員御指摘のとおり、鉄道の延伸には多額の費用を要することから、広く県民に対して延伸の効果を説明し、御理解いただく努力を重ねることが重要です。
効果・利益といたしましては、まず、浦和美園駅と岩槻駅の結節に伴う県内交通ネットワークの強化による速達性・利便性の向上や、近隣路線の混雑緩和などが挙げられます。
効果・利益はさいたま市内のネットワークの強化にとどまるものではありません。例えば、県内各地から延伸区間にある埼玉スタジアム等への移動時間が短縮されるとともに、既設線沿線地域から、多くの学校や企業のある大宮や春日部など県内中核都市へのアクセス改善が期待できます。
また、首都直下地震など大規模災害や事故が起きた際、並行する京浜東北線や東武スカイツリーラインの代替ルートとしての役割を担うことで、代替路線機能が充実する点も挙げられます。
さらに、さいたま市が取り組む中間駅のまちづくりが具体化するとともに、浦和美園地区と岩槻駅地区が結ばれることで、定住・交流人口の増加や、地域経済の振興、それに伴う税収の増加などが見込まれるところであります。
こうした多岐にわたる延伸の効果・利益を県民の皆様に御理解いただけるよう、引き続き、さいたま市と連携しながら周知を図ります。
次に、鉄道事業者への要請につなげるため、県はさいたま市とどのように課題に取り組んでいくのかについてであります。
現在、令和5年度中の鉄道事業者への要請に向け、さいたま市と共同し、速達性向上事業に関する計画素案を作成しているところであります。
この計画素案は、B/Cの確保に必要となる、需要予測や建設費の精度向上や、中間駅周辺のまちづくりなど、要請に向けた課題を一つ一つ丁寧に解決した上で、作成する必要があります。
また、コロナ禍による鉄道需要の低下や、原材料費や燃料価格の高騰が続いており、こうした鉄道延伸を取り巻く社会経済環境の変化も踏まえて作成をする必要があります。
そこで、最新の事業性と収支採算性を把握するため、さいたま市との共同調査において、直近のデータや、ポストコロナの鉄道需要の見通しなどを踏まえた需要予測を行ってまいります。
また、原材料費の高騰などの影響を見極めるため、建設費につきましても、12月定例会で補正予算をお認めいただき、令和5年1月から調査を開始しており、外部の知見を活用し精査してまいります。
さらに、1を超えるB/Cの確保のため、中間駅周辺のまちづくりにつきましては、さいたま市が有識者会議の開催や、住民アンケートの実施などを行っており、本年3月中にはまちづくり方針が策定される予定であります。
また、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」における美園地区の「スマートシティさいたまモデル」の取組や医療施設誘致による、まちのにぎわいづくりにも県として協力してまいります。
引き続き、さいたま市と緊密に連携しながら、市のまちづくりに積極的に協力をしてまいりたいと考えております。
次に、さいたま市と協調して計画どおり鉄道事業者に要請し、延伸を実現させるという決意についてであります。
現在、コロナ禍に伴い急減していた外国人観光客が徐々に増加するとともに、通学などの鉄道利用者がほぼコロナ禍前の水準に戻ってきております。
また、議員御指摘のとおり、神奈川東部方面線の全線開通や、東京メトロ南北線の品川延伸の事業許可など、埼玉高速鉄道線の利便性向上に資する動きもございます。
こうしたことも追い風として、市と緊密に連携の上、国や鉄道事業者との調整を更に加速してまいります。
また、自治体間の重要課題を協議する自治体連携会議につきましても、開催回数を増やすなど議論を活発化させているところでございます。
私は知事選挙の際の公約の一つとして、延伸に向け強い決意で取り組んでまいりましたが、清水市長が令和5年度中の鉄道事業者への要請を実現すると表明されたことで実現に向けた環境が整いつつあります。県と市がしっかりとスクラムを組み、全力で取り組んでまいります。
次に、埼玉高速鉄道株式会社の更なる経営改善・経営改革の必要性についての認識と今後の具体的な取組についてでございます。
議員御指摘のとおり、延伸に当たっては、浦和美園以南を運行する埼玉高速鉄道株式会社の健全経営は必要不可欠であると認識します。
同社では、事業再生ADRにより経営改善を図った平成27年度以降、コロナ禍により鉄道需要が減少する困難な状況の中でも、直近の令和3年度決算におきまして7期連続の黒字を達成したところであります。
しかし、埼玉高速鉄道線の延伸を確実に実現するためには、より一層経営改善・経営改革に取り組んでいく必要があると考えます。
具体的には、魅力ある企画乗車券の開発・販売による交流人口の拡大やDXの推進など、中期経営計画に基づく、収入増加策や経営基盤強化策を着実に実行してまいります。
これらの取組により、埼玉高速鉄道株式会社の経営状況が、延伸実現に向けての後押しとなるよう、引き続き、健全かつ安定的な経営の確保に努めてまいります。
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