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掲載日:2023年3月14日
Q 小島信昭 議員(自民)
まずは、これまでこのウイルスによりお亡くなりになられた県民の方、そして御家族の方々に謹んでお悔やみを申し上げます。また、ウイルスにり患され闘病中の方、若しくは現在も後遺症等でつらい思いをされている方々に対しましても、お見舞いを申し上げますとともに、一刻も早く完治されますようお祈り申し上げます。
世界中の国々が足掛け4年にわたってこのウイルスと闘ってきているわけですが、当初はほぼ全ての国がこの新たな脅威におびえ、感染が拡大するのを封じ込めようとあらゆる手段を講じていました。しかし、現在の状況は一律ではありません。マスクの着用など感染防止対策、ワクチン接種に関する姿勢、海外からの流入を防ぐ水際対策、経済活動に対する支援など、国により、地域により、その扱いにおいて違いがはっきりしてきているようです。
我が国においてもその時々の変遷を経ましたが、現在は医療崩壊を防ぐことを最優先課題とし、一定の感染者を出しつつも国民の生活を守るべく経済活動を止めず、なるべく早急にコロナ禍前に回復させようという基本姿勢にのっとり、様々な対策を実施しています。ポストコロナに向けて時代は進んだと言えます。
現在までのところ、国内感染者数こそ3,300万人台と世界第6位ですが、死者数は7万人台であり、人口当たりの死者数では世界の中ではかなり低い数値となっています。細部についてはいろいろな意見もありましょうが、国のこれまでの取組の手法、方向性は的確であったと言えると思います。同様な方針で対策を行ってきた本県も正しい選択をしてきたと、私は評価しております。
まずは、知事にこれまでの新型コロナウイルスとの闘いを振り返っていただき、自己評価、総括をお願いいたします。
総体としては、これまでの取組を評価すると申し上げましたが、昨年、一つ不可解なことがありましたので、今後のためもありますので伺っておきます。
昨年7月、第7波が拡大していった時期ですが、県保健所長会が保健医療部長に対して緊急提言を行ったという報道がありました。私がそのとき思ったのは、新型コロナウイルス対応の最前線である保健所と対策の方針を決めている県保健医療部との日頃のコミュニケーションはどうなっているのだろう、日々移り変わる現場の状況をわざわざ所長会の提言書として文書にまとめ、本庁に出さなければならないということが理解できませんでした。県民の命に直結する現状に直面し、県幹部に知らせるべきと思ったら直ちに電話一本、メール一通で、部長や知事に連絡できる体制でなければならないと思います。
行政運営上の基本姿勢にも関係する重要な事項ですので、この件に関する知事の御見解をお伺いいたします。
なお、このようなことはこのときに限りませんでした。5月にも保健所長が、「保健所の職員数が少ない。コロナ前も何とかやりくりしている状況だった。従前より拡充してほしい」と、新聞社のインタビューに答えている記事が掲載されました。知事が、「保健所には応援職員を送り、十分な体制を敷いている」と発言したと同じ時期に、現場ではこのような思いで職員が働いているのです。このときもこのような声が本庁に届かないのかなと思ったことを申し添えておきます。
次に、ポストコロナの経済対策について伺います。
新型コロナウイルスでダメージを受けた県内経済に、原油・原材料高によるコストの上昇が追い打ちをかけています。正に弱り目にたたり目です。何とかぎりぎりの状態で事業の継続を図っている県内事業者は多いと思いますが、これは本県に限ったことではなく全国的な状況であり、今後の立ち上がりいかんでは、残念ながら、いわゆる勝ち組と負け組に分かれていくことと思います。県内の中小・零細の事業者がポストコロナの時代に生き残っていけるか、更に生き残るだけではなくて、コロナ前にもまして業績を伸ばしていけるかについては、今が一番大切な時期であると思います。
この際、県としては思い切った支援策を打ち出し、県内事業者を支援するべきです。たとえ多額の財政出動を伴ったとしても、それにより今後、5年後、10年後の埼玉県経済が飛躍的に発展する可能性を生み出し、結果的に県の活力が生まれ、未来への投資となります。
そこで2点、知事に伺います。
まず1点は、中小企業への資金繰りの支援です。
コロナ禍で無利子無担保のいわゆるゼロゼロ融資を受けた企業の返済が始まってきており、非常に厳しいとの声を聞きます。また、他の資金の借換えも検討したが、昨今の長期金利の上昇局面で借換えも容易にできず、一番助かるのは据置期間の延長だが、金融機関がなかなか応じてくれないとのことでした。
借りたものは約束どおり返すというのが一般常識であるのは承知していますが、コロナ禍に引き続き原油・原材料高に見舞われた県内中小・零細企業を守るため、県としてできることはないでしょうか。金融機関や保証協会にとっても県内企業を守り抜くことは、将来の自分たちに跳ね返ってくる投資です。
未曽有の事態であります。三者で協調し、既存資金の枠拡大や多少の貸付率圧縮だけではなく、埼玉経済を守るという視点で思い切った対策が打てないのか、知事に伺います。
2点目、ポストコロナ対策の事業を策定する際に、県内経済団体と意見交換を行ったということですが、商工団体に所属をしていない個人事業主や小規模・零細の事業主の意見はどのように吸い上げているのか伺います。
我々埼玉県議会自由民主党議員団は、団員がそれぞれ地元でお一人おひとり、一軒一軒、県民の方々と向き合って直接お話を聞いています。県におかれても同様に、丁寧にお一人おひとり、一軒一軒の県民の声を聞く機会をできるだけ持つべきではないかとの思いで質問させていただいております。
A 大野元裕 知事
これまでの新型コロナウイルスとの戦いを振り返っての自己評価と総括についてであります。
新型コロナウイルスとの闘いにおいては、県ではこれまで死亡者・重症者を減らすという戦略目標に基づき、必要な対策を実施してまいりました。
診療・検査医療体制については、埼玉県医師会のご協力の下、令和2年12月から診療・検査医療機関名を全て公表し、必要な方に直接これらの医療機関にアクセスできる体制を構築いたしました。当時、このような体制を構築したのは高知県と埼玉県のみでありました。
また、重症患者への対応については、拠点となる病院と連携病院の集中治療室をネットワークで結び、専門医が遠隔で診断や診療支援を行う
「Tele-ICU」というシステムを医療機関の系列を越えて構築し、ECMO治療を実施する人材及び病院を増やしました。
さらに、高齢者施設については、感染症専門医等で構成するCOVMATによるクラスターへの徹底的な介入、オンラインでの施設の状況を確認して感染防止対策を指導するeMATによる支援等、重点的な対策を行いました。
このほか、自宅療養者への対応については、SMSを活用した陽性者へのファーストタッチの迅速化や、電子申請により自宅療養者が症状や感染経路等を入力する仕組みを活用しました。
加えて、ワクチン接種については、市町村を後方支援するため、他県に先駆け、令和3年6月に高齢者ワクチン接種センターを設置するなど、強力に推進してまいりました。
このような取組を効果的に実施することにより、医療関係者の皆様の献身的な取組や県民・事業者の皆様の御協力もあり、医療資源に限界のある本県としては、精一杯の対応ができたのではないかと考えております。
他方、新型コロナウイルス感染症は、5月8日に感染症法上の分類が5類感染症に位置付けられることが決まっております。
今後、3月上旬を目途に国から示される具体的な方針を踏まえ、ポストコロナにソフトランディングしていくための対策を実施してまいります。
次に、保健所との連絡体制についてであります。
保健所職員と保健医療部の幹部職員とは、日頃から電話やチャットを活用して、保健所の状況や国の対応方針などについて頻繁に意見交換を行っており、私もその状況を把握しております。
特に、保健所長につきましては、毎月、保健所長会を開催し、時宜にかなったテーマを選定し、担当各課と意見交換を行っています。
そのような中、毎年、保健所長会からは保健所に関する施策や予算に関する要望書が提出をされており、今回の新型コロナウイルス感染症に関する緊急提言についても、そうした活動の延長であると受け止めております。
私自身も折に触れ保健所長会に出席するとともに、昨年11月には第8波に向けた対策や日頃の保健所業務を通じて感じていることについて特に時間を設け、意見交換をしたところであります。
また、時間の許す限り保健所を訪問し、保健所長や保健所職員と直接意見交換も行いました。
御指摘の緊急提言を受け、保健所長会との連絡を更に強化すべく、私や副知事、関係部長が参加して情報交換をするコロナミーティングに保健所長会の代表が毎週出席をし、忌憚のない現場の声を聞かせていただいているところであります。
私は本庁と地域機関がワンチームとなって課題に取り組むためには日頃のコミュニケーションが何より重要であると考えており、今後とも、保健所職員とコミュニケーションを密にし、埼玉県の保健医療行政を推進してまいります。
次に、資金繰り支援について、金融機関、保証協会、県の三者で協調して埼玉経済を守るという視点で思い切った対策は打てないのかについてであります。
新型コロナウイルス感染症やエネルギー・原材料価格高騰などにより、県内企業を取り巻く経営環境は大きく変化をしています。さらに、令和5年5月からゼロゼロ融資の金利負担が順次始まってまいります。
県では、「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」において、ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済対策について御意見を伺い、政策に反映してまいりました。
県内中小企業の力強い成長を促すため、DXやグリーン分野への事業再構築を進めるとともに、省エネ・再エネ設備の導入のための補助金を創設いたしました。
制度融資においても、これらの補助金の事業者負担部分に資金を充当できるよう制度を改正するなど、企業の前向きな取組に対し支援しております。
また、エネルギー原材料コストの上昇や価格転嫁等に対応するために、企業の資金繰りの需要は高まってくると見込まれます。
そこで「伴走支援型経営改善資金」については、単にゼロゼロ融資の借換えに対応するだけではなく、利用しやすくするために「売上高の減少」などの借入れ条件を緩和するとともに、新たな資金需要にも対応できるよう融資限度額を6,000万円から1億円に増額をいたしました。
さらに、借換え時に必要となる保証料の負担軽減を図るために、利子補給率を引き上げることといたしました。これによって、関東の都県で最も事業者の負担が少なくなっております。
制度融資の活用をはじめ、企業の資金繰りを支援するためには、個々の企業に応じた、きめ細やかな対応が必要となります。
そのため、定期的に金融機関や信用保証協会と県で協議の場を設け、金融の円滑化に向けて、共に取り組んでおります。
引き続き、中小企業が置かれる状況を的確に把握をし、中小企業に寄り添った対応を進めてまいります。
次に、個人事業主や小規模零細の事業主の意見はどのように吸い上げているのかについてであります。
小規模事業者の声をしっかりと聞き、施策に反映することは、本県経済の回復と更なる発展のために、大変重要であると考えます。
そこで、私は産官学金労からなる「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」などにより、中小・小規模事業者を代表する方々から御意見を伺ってまいりました。
戦略会議には、構成員として埼玉県商工会連合会に加わっていただいておりますが、商工会の会員の約半数は個人事業主となっております。
同じく構成員の埼玉県中小企業団体中央会からは、同業種の小規模事業者等から組織される中小企業組合などの意見を頂いております。
これらの団体からの声に、小規模事業者や個人事業主の声は反映されていると考えるものの、この会議だけではなく、私自身、県内の小規模事業者を訪問するなど、現場で御苦労されている皆様の生の声を聞いてまいりました。
職員についても、四半期経営動向調査やこれに伴う事業所訪問を通じて、御意見を伺っております。
寄せられた意見を生かし、コロナ禍で落ち込んだ観光需要を喚起するための観光応援キャンペーンや燃料費高騰の影響を受けているトラック運送事業者等への支援、制度融資の融資枠の拡大などを進めてまいりました。
さらに、産官金労の12者による全国初の「価格転嫁の円滑化に関する協定」を締結し、適正な価格転嫁ができる機運の醸成にオール埼玉で取り組んでおります。
小規模事業者は県内経済や雇用を支え、牽引しており、新たな未来を切り開く上で不可欠な存在です。
今後も、こうした企業の切実な声を適切に受け止め、その状況やニーズをしっかりと把握し、ポストコロナに向けた経済対策を講じてまいります。
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