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掲載日:2022年10月19日
Q 永瀬秀樹 議員(自民)
自転車を使った観光(サイクルツーリズム)が地域振興の手段として世界的に注目を集めています。サイクルツーリズムの本場ヨーロッパでは、環境問題や医療費の増加に対処するため、環境と健康に良い交通手段として自転車が見直され、サイクリングや自転車利用環境の整備が行われ、レジャーとしてのサイクリングも人気で、ユーロヴェロと呼ばれるヨーロッパ全土にわたる6万キロメートルのサイクリングルートの整備が計画され、既に2万キロメートルの整備が完了しています。
我が国においても、平成30年6月に閣議決定された自転車活用推進計画の中の4つの大きな柱の1つとなっており、計画の指標の一つとされたサイクルツーリズム推進モデルルートは、現在、全国で77ルートが設置されるなど具体的な取組が進んでいます。
本県においても、令和2年3月に策定された埼玉県自転車活用推進計画、令和4年7月に策定された第2次埼玉県自転車活用推進計画において、共に施策にサイクルツーリズムの推進による観光立県埼玉の実現として、3つの施策の大きな柱として掲げています。
しかし、1次と2次の計画を見ると、施策内容は同じ内容の記述にとどまり、計画策定後の進捗についても余り目立った展開はなく、実行性ある取組にはなっていないと考えます。
一方、サイクルツーリズムは、地域活性化や観光振興の視点から見ると、広域的な集客力を持つ主要な観光資源は乏しくても、首都圏都心部に近接し、県土全域が比較的平坦で、多彩な魅力があふれる本県の特性を生かせる観光振興の目玉になり得る観光手法であり、また、大きな初期投資を必要とせず、健康増進や脱炭素社会の構築にも資する、さらには、県民が地域を愛するシビックプライドの高揚につながる、効果的な地域活性化の手法であると考えます。
以上のことから、県はより積極的にサイクルツーリズムの推進に取り組むべきと考え、以下お伺いいたします。
1点目、まず、サイクルツーリズムの推進に取り組む推進主体を作るべきと考えます。施策内容を見ても、スポーツ振興課、道路環境課、観光課、交通政策課等々、所管部局が分かれており、推進主体が余りに不明確で、推進が実現するとは思えません。部局横断的な専門組織など、まず県における明確な推進主体を立ち上げることを提案いたします。
2点目として、連続した自転車走行空間の整備が必要であると考えます。サイクルツーリズムのルート整備につながる自転車ネットワークの形成に積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
3点目、地域一体の取組にしていくために、サイクルツーリズムに関する個人や団体、ステークホルダーを交えた推進主体を民間と協働して設立することを提案いたします。
4点目、サイクルリスト及び観光客を呼び寄せるためには、魅力を持ったサイクリング推進拠点、支援設備の整備に取り組むと考えますが、いかがでしょうか。
5点目、そうした整備を踏まえ、魅力を盛り込んだサイクルツーリズム推進モデルルートへの登録を目指したルート整備に取り組んではいかがでしょうか。
6点目、サイクルツーリズムの推進のためには、イベントの開催や情報発信による県内外への機運醸成が必要と考えます。新たに「埼玉サイクルツーリズムの日」などを創設してはいかがでしょうか。また、ポータルサイトや県のホームページ等を活用した情報発信を行ってはいかがでしょうか。
以上について、県土整備部長の御所見をお聞かせください。
次に、サイクルツーリズムの推進には、サイクルツーリズム自体の促進による県内・県外の利用人員、観光消費額などの明確なKPI手法の設定を行い、PDCAサイクルを回しながら取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、サイクルツーリズムツアーを設定し、直接的な入込み人員増を図ることも行うべきと提案します。
以上について、産業労働部長の御所見をお聞かせください。
A 北田健夫 県土整備部長
まず、「県における明確な推進主体の立ち上げについて」でございます。
自転車の活用の一層の推進を図るため、平成29年5月に自転車活用推進法が施行されました。
自転車活用につきましては、通行空間の整備といったハード対策だけでなく、利用者への安全啓発、自転車利用による環境負荷の低減、サイクルスポーツの推進など、非常に幅広い分野が関係してまいります。
県では、平成30年2月に県土整備部が事務局となり、自転車に関連する施策を所管する11部局で構成する「埼玉県自転車活用推進計画策定検討会」を設置し、令和2年3月に計画を策定しました。
現在は、12部局による「埼玉県自転車活用推進会議」において、部局が連携して計画の更新や進捗管理などを行っております。
御提案のサイクルツーリズムの推進主体につきましては、今後も、この推進会議を活用し、関係部局が連携して取り組んでまいります。
次に、「自転車ネットワークの形成について」です。
県では、道路利用者の安心・安全を確保するため、県管理道路の自転車通行空間整備を進めております。
令和3年度末時点で172.5キロメートルの整備が完了し、令和8年度末までに212.5キロメートルまで伸ばすことを目標としています。
加えて、荒川や利根川などの河川堤防を活用した大規模自転車道を181.6キロメートル整備しております。
引き続き、自転車通行空間の整備を推進することで、自転車ネットワークの形成に努めてまいります。
次に、「民間と協働した推進主体の設立について」です。
サイクルツーリズムの推進には、拠点施設の充実や自転車を持ち込みやすい環境、宿泊施設等、必要なサービスを提供することが重要です。
例えば滋賀県では、琵琶湖を1周する「ビワイチ」を中心として、官民が連携して、サイクリストや海外旅行者など多様な来訪者が周遊できる環境を構築していると聞いています。
民間との連携は、有効な手法の一つであることから、推進会議においてまずは先進地域の取組状況を共有し、研究してまいります。
次に、「サイクリング推進拠点、支援設備の整備について」です。
県では、これまでも、道の駅やコンビニエンスストアにおいて、サイクリストを支援するサイクルラックの設置などを実施してまいりました。
また、民間企業等により観光地における自転車活用の拠点となるレンタサイクルの充実やシェアサイクルポートの拡大も進んでおります。
引き続き、既存施設の活用とともに、市町村等と連携し、サイクリング推進拠点等の充実に努めてまいります。
次に、「サイクルツーリズムの推進モデルルートについて」です。
県では、これまでに市町村とともに県内の魅力的なサイクルルートをまとめた「自転車みどころスポットを巡るルート100」を設定するなど、県内ルートの発掘を進めてまいりました。
これに加えて、荒川などの川沿いを走るルートもございます。
国の推進モデルルートへの位置付けには、官民が連携した協議会の設置や、広域的なルート選定などが必要です。
まずは、先進地域の事例を研究・調査し、市町村等との連携を図りながらモデルルートの登録に向けて検討してまいります。
次に、「イベントの開催や情報発信による機運醸成について」です。 例えば、本年9月に県が開催した秩父宮杯埼玉県自転車道路競走大会では、エントリーいただいた540人のうち、約6割が県外からとなっております。このようなイベントの開催や情報発信が持つ力は、議員御提案のとおりサイクルツーリズムの機運醸成につながるものと考えています。そのため、啓発活動の重要性を推進会議で共有し、関係部局が連携して効果的な情報発信の方法を検討してまいります。
A 板東博之 産業労働部長
サイクルツーリズム自体の促進による県内、県外の利用人員、観光消費額などの明確なKPI設定を行い、PDCAサイクルを回しながら取り組むべきについてお答えを申し上げます。
第2次埼玉県自転車活用推進計画では、「サイクルツーリズムの推進による観光立県埼玉の実現」を基本目標の一つと位置付け、指標は「本県で観光・レジャーなどを楽しむ人の数」としております。
この指標は、様々な観光施策により県内観光地に足を運んでいただく人数を目標としたもので、サイクルツーリズムはその中の一要素として、個別の指標は設定しておりません。
自転車は、公共交通や自家用車の利用が不便な地域でも活用できるとともに、手軽でのんびりとその地域のグルメや観光スポットを楽しめるため、新たな観光客を呼び込む一つの手法となり得ます。
例えば、県でPRしている「うどん」と自転車の利用を組み合わせることで、新たな埼玉県の魅力を観光客自らが見つけ楽しんでいただける可能性があります。
また、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムなど自転車の競技大会が開催されることで、宿泊や飲食などによる観光消費額の増加も期待できます。
サイクルツーリズムの対象は、本格的なサイクリストからシェアサイクルを利用する一般の観光客まで様々です。
埼玉県の観光振興策として、自転車のどのような活用策が有効か、県観光プロモーション戦略会議で研究し、自治体や事業者の意向を取りまとめ、具体的な事業を構築していきたいと考えます。
その上で、有効なKPIの設定を検討してまいります。
次に、サイクルツーリズムツアーを設定し、直接的な入込人員増を図ることも行うべきについてでございます。
サイクルツーリズムツアーは、本格的なサイクリスト向けのツアーばかりではなく、ゆったりとガイドブックに載っていない新たな発見を楽しむツアー、風を切って爽快感を楽しむツアーなど、参加者に合った多様な楽しみ方を提案できます。
また、ツアーでは、安全面も配慮した多くの見所を周遊できるコース設定や、トイレ、休憩場所の確保、体力に応じたプランの設定を主催者が行うため、参加者が気軽に参加できるというメリットがあります。
一方、ツアーを実施するには、参加者の着替え場所や自転車の確保などの受入態勢の整備や、距離や時間という制約がある中で魅力のある企画にできるかなど、多くの事項を検討し、準備する必要があります。
こうした課題も踏まえ、地元市町村や事業者の意向を確認し、サイクルツーリズムツアー造成の具体的な方策を検討してまいります。
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