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掲載日:2022年7月12日
Q 高木功介 議員(自民)
埼玉県の火山噴火降灰対策、特に富士山の噴火対策についてお尋ねいたします。
富士山は活火山であり、最後の噴火から300年以上経過しており、いつ噴火しても不思議ではない状態です。1707年の噴火では、死者は出なかったが、火山灰で甚大な被害が発生したと記録されております。更に怖いことに、この富士山噴火は、これまでの歴史を見ると、南海トラフ地震の発生と連動して噴火をする可能性があります。例えば江戸時代の宝永噴火では、宝永地震つまり南海トラフ地震の49日後に発生しており、過去の例でも数年後には発生しております。
政府の中央防災会議によると、その南海トラフ地震は、これまで100から150年の周期で大規模地震が発生し、大きな被害を生じさせております。政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会における長期評価においては、この地域におけるマグニチュード8から9クラスの地震の30年以内の発生確率は70から80%とされております。東南海、南海地震が連動し、さらに、富士山が噴火したら一体どうなるでしょうか。いずれの地震も、東海から近畿、九州までの太平洋側に大打撃を与え、さらに、富士山から飛来する火山灰は、関東圏に被害をもたらすおそれがあります。産業の大動脈が被災し、日本の政治経済に与える影響は、計り知れないと予想されております。
中央防災会議の試算では、東海地震のみの発生で37兆円、南海地震から東海地震までの3連動で81兆円の損害が生じるとされています。ちなみに、阪神・淡路大震災は10兆円の被害額です。これに富士山の噴火が加算されます。内閣府の試算した富士山噴火による経済的損失は、最大2.5兆円とされております。
実は、地震と異なり噴火が厄介なのは、事後に火山灰などの堆積物が残ることです。火山灰に含まれる二酸化ケイ素はガラスのかけらのようなものであり、目に入ると角膜を傷つけ、肺に入ると肺機能を低下させます。火山灰は電線に積もり、水分を含むとフラッシュオーバーとなりショートを起こし停電となり、信号すらつかなくなります。当然、電車は停止し、飛行機も車もエンジントラブルで動かなくなります。水道の浄化装置もフィルターが目詰まりを起こし、断水が考えられます。
首都周辺の火力発電所では、大量の空気を吸い込む吸込み口がありますが、これが詰まることで停止いたします。太陽光パネルも使い物になりません。つまり、広域停電が起こる可能性が高いのです。ICT化が進んだ都市機能は、一気に危機を迎えます。雨が降れば固まり、晴れれば風に乗って舞い上がる。雪と違って、火山灰は袋にでも詰めなければ、消えてなくならないのです。そのため、地震学者の多くは、この積算は甘いと見積もっております。
我が国は、火山大国と言われておりますが、桜島など頻繁に噴火する火山はあります。しかし、富士山級の噴火は、現在生きている誰も経験したことがないのです。富士山の噴火と地震の連動は、国家の危機管理上でも十分に考慮すべき必要があります。
埼玉県地域防災計画における対策は、ICT化が進む現在には即しない降灰対策であり、また、震災との連動についての想定も意識することが重要だと考えます。そこで、本県の火山噴火、降灰対策について、危機管理防災部長の答弁を求めます。
A 三須康男 危機管理防災部長
議員ご指摘のとおり、火山噴火による降灰は、様々なライフラインに支障が生じ、県民生活に深刻な影響を及ぼす可能性がございます。
平成28年2月には、県として取り組むべき対策をまとめた「火山噴火・降灰対策に関する行動指針」を策定し、行政機関同士はもちろんのこと、対策を取る上で重要な役割を担うライフライン事業者と共有するなど、火山災害への備えに取り組んでおります。
その後、国の中央防災会議ワーキンググループにおいて、富士山噴火をモデルケースとした周辺都県に及ぼす影響について報告書が公表され、現在、国ではその対策について検討が行われております。
こうした国の動向も踏まえまして、本県に予想される地域ごとの影響や対応策について、関係部局と具体的に検討を加えていきたいと考えております。
併せて、火山の噴火はある程度予測ができる可能性があります。降灰に至るまでの時間的な余裕があることを踏まえまして、まずは、どのタイミングで、誰が、どのような行動をとるべきなのか、より明確にしてまいります。
また、火山の噴火と地震が連動して発生した場合にも、適切に対応できるよう検討してまいります。
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