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掲載日:2022年7月12日
Q 高木功介 議員(自民)
デジタルトランスフォーメーション、DX化のトランスフォーメーションとは、形が跡形もなく、すっかり変わることを意味します。昆虫で例えますと、幼虫が成虫になるぐらいの変化を意味します。DXを実行していくに当たっては、データを収集、蓄積、処理するITシステムが、環境変化、経営、事業の変化に対し、柔軟に、かつスピーディーに対応できることが必要です。そして、これに対応して事業を変えていくことが肝要です。
しかし、DX化とIT化の差異が不明確な人が多いのが現状です。IT化とDXの関係が手段と目的であること、また、IT化が既存の業務プロセスの効率化を目指すのに対し、DXがもっと大局的なレベルで、製品、サービスやビジネスモデルの変革を目指す点の差異を知らない人が多くいます。
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会による2017年の調査によりますと、約8割の企業がレガシーシステムを抱えており、約7割がレガシーシステムが自社のデジタル化の足かせになっていると回答いたしております。
なお、レガシーシステムとは、1980年代に多くの企業が導入したメインフレームやそれを小型化したオフコン、オフィスコンピューターのことですね、と呼ばれるコンピュータを使ったシステムを指します。メインフレームは独自OSで稼働するほか、アプリケーションソフトはCOBOLなどの言語を用い、自社の業務に合わせて独自に開発することが一般的でした。アプリケーションソフトの改修が必要になった場合は、自社あるいは外部のシステムインテグレーターなどに依頼して対応することになります。現在、メインフレームの技術に精通した技術者は高齢化が進んでおり、人材不足が大きな課題となっております。
このように、技術面の老朽化、システムの肥大化、複雑化、ブラックボックス化の問題があり、その結果として、経営事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因になっております。
「2025年の崖」という言葉があります。経済産業省が2018年9月に発表したDXレポートによる警鐘のことです。2025年前後において、ITシステムに関連する様々な変化が起こると予想されております。それに対応できなければ、企業の競争力は崖を下るように低下すると考えられており、2025年以降、最大で年間12兆円の損失をもたらす可能性が指摘されております。これを回避するために、レガシーシステムからの脱却が極めて重要であり、DX化は、レガシーシステムから脱却しなければ、そもそも話になりません。
現在、行政サービスでは、同じ法令に基づく事務でも、地方自治体ごとにシステム整備が行われており、各システムのデータ項目は統一されておりません。
また、中央官庁と地方自治体のシステム間連携については、マイナンバー制度など一部の業務で情報連携基盤が整備されている反面、例えば国民に10万円を給付した特別定額給付金対応で露呈したように、中央官庁で整備したマイナポータルと、地方自治体の各システムがほとんど地方自治体でデータ連携できていないという事態が発生いたしております。このため、コロナ禍において、海外のデジタル先進国と比較し、国民への給付に時間を要することになりました。これらは、中央官庁と地方自治体間でシームレスな情報連携ができていないこと。特に、過去からの個別開発を行ってきた各システムを数珠つなぎのように連続してきたことが主な原因だと言われております。
そこで、埼玉県庁におけるDX化の現状について、レガシーシステムから脱却をしているのかお尋ねいたします。また、今申し上げたように、レガシーシステムからの脱却は困難を極めますが、県内の市町村は、レガシーシステムから脱却できているのか。その上で、中央と基準が統一されて運用されているのか。そして、埼玉県として、県内市町村との情報連携についてシームレスでつながっているのか。埼玉県全体のDXの現状と今後の取組について、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
県庁及び県内市町村におけるレガシーシステムからの脱却についてでございます。
本県はレガシーシステムの象徴である大型電子計算機を平成22年までに全て廃止し、旧来のプログラム言語であるCOBOLを使用したシステムも、令和2年度までに新たなシステムへと刷新いたしました。
市町村につきましては、県内では1市のみ現在も大型電子計算機を使用しておりますが、本年12月に廃止をする予定であり、年内でレガシーシステムから脱却する見込みであります。
他方、現在は様々な分野におけるレガシーシステムからの移行期であり、議員御指摘のとおり、トランスフォーメーションに向けて円滑な転換に留意しながら努力をしてまいります。
次に、中央省庁と地方、県と市町村との情報連携についてでございます。
県と市町村との情報連携に関しては、電子入札の共同システムを運営しているほか、県市町村共同クラウドにおいて、衛生試験免許のシステムを整備するなど、順次、拡大をしているところであります。
一方、コロナ禍において行政機関のデジタル化の遅れが露呈したように、国と地方、また県と市町村の間において、完全にシームレスな情報連携が実現している状況にはございません。
議員御指摘のとおり、例えば「マイナポータル」を活用し、国と地方の様々なサービスが一気通貫で提供できるようにするには、まだまだ解決すべき課題が残っています。
このため、今後、市町村は住民基本台帳など20の業務システムを令和7年度までに標準化し、全国共通のクラウド基盤に集約していくこととなります。
この標準化に関しましては、全ての市町村の移行が円滑に完了できるよう、国が内容やスケジュールを明示し着実に準備を進めるべきことを、私自ら繰り返し国に対し要望をさせていただいているところでございます。
国と地方を通じた行政全体のプラットフォームを構築し、シームレスな情報連携を実現するため、県としても標準化に向けた市町村の取組を着実に支援してまいります。
次に、埼玉県全体のDX化の状況と今後の取組についてでございます。
議員お話しのとおり、DXとは単にレガシーシステムから脱却するだけでは足りず、これまでの仕事の進め方を根本から変え、新たな価値を継続的に生み出せる組織へと変革していくことが必要となります。
これらの変革につきましては、DX推進計画及びビジョン、ロードマップにおいて詳細に制度を明らかにしてまいりました。
県庁においては、DXの第一段階であるペーパーレス化が進み、次の段階であるデータ活用や手続きのワンスオンリー化が視野に入ってまいりました。
一方、DXについて市町村長とお話しをすると「DXにどのように取り組めばいいかわからない」「人材がいない」といった声をしばしば耳にします。
DXを実現するためには、県と市町村が民間の様々な力を取り入れながら、一体となって取り組むことが重要です。
今後も市町村の現場の声に耳を傾け、一つ一つのニーズに丁寧に向き合いながら、埼玉県全体のDXを推進してまいります。
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