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掲載日:2023年10月17日
Q 権守幸男 議員(公明)
コロナ禍で停滞した社会経済の回復に際して、気候変動対策と両立させていく考え方が「グリーン・リカバリー」です。主にヨーロッパ諸国が先駆的に取り組み、世界で注目されているものです。これは、リーマンショック時に一時的には二酸化炭素排出量が抑制されたにもかかわらず、景気回復に伴い、反動で二酸化炭素排出量が再び増えてしまったという苦い経験を教訓としています。
「グリーン・リカバリー」の具体的な取組として、例えばフランスは、経営状態が悪化した航空大手のエールフランスを支援する代わりに、1、国内便による二酸化炭素の排出量を2024年までに半減させる。2、鉄道により2時間半で行ける地域への飛行便を削減することなどを求めています。日本では、生産拠点を国内に移す企業に対して、太陽光発電設備の設置に補助を行うことが決まっています。
本県の調査でも、緊急事態宣言中は車の往来や工場の稼働が減り、県内の空気がきれいになったと報告されています。私自身も、この時期は確かに道路がすいているなと感じましたし、青空がきれいに見えたように思います。海外のロックダウンされた都市でも同じようなことが起き、どのように「グリーン・リカバリー」をしていくかが課題になっています。
経済を戻すに当たって、以前と全く同じ考え方で考え、やり方で行くのか、それとも脱炭素化など環境問題への取組を併せて行っていくのかが問われています。そもそも過度な開発がコロナを招いたとも言われています。私は、今後、本県の経済回復を目指すに当たり、「グリーン・リカバリー」という視点を入れていくことは大変重要と考えます。
そこで、伺います。
「グリーン・リカバリー」に対する知事の認識と具体的な取組についてお答えください。
A 大野元裕 知事
県の地球温暖化対策実行計画では、温室効果ガスの排出が実質0となる「脱炭素社会の実現」を目指すべき将来像として掲げているところであります。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、県内経済は大変厳しい状況にありますが、一方、新しい生活様式の普及など、結果として気候変動対策にもつながる社会経済の変化が起こっています。
新しい生活様式の在り方を問われている今こそ「グリーン・リカバリー」の考え方を取り入れ、経済と環境の両立を目指していく好機と認識をしております。
例えば、テレワークやオンラインで里帰りするなどの経験をグリーン・リカバリーの観点から捉え直していくことが重要と考えます。
この中でも、再生可能エネルギーの普及は、地域経済の活性化にも資する重要な取組です。
今年度から、大規模事業所のCO2
排出削減を図る目標設定型排出量取引制度において、低炭素電力を調達した場合に、これを削減量として評価する仕組みを導入いたしました。また、再生可能エネルギーは発電時にCO2
を排出しないことから、この価値を活用して県内企業の環境活動を支援する「彩の国ふるさとでんき」の取組を、電力会社と連携して始めています。「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」においては、再生可能エネルギーと蓄電システムを組み合わせるなど、エネルギー面でも強靭性が高く低炭素なまちづくりを進めてまいります。
このように、直ちにできる取組をスピーディーに進めるとともに、中長期にわたる課題にも挑戦をし、県経済の回復・成長に気候変動対策をしっかりと組み込んでまいります。
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