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掲載日:2022年10月12日
Q 鈴木正人 議員(県民)
まず、新たな児童相談所の設置についてでありますが、全国的に児童虐待の事件が後を絶ちません。昨年3月には目黒区で結愛ちゃん(5歳)がノートに「もうおねがい、ゆるして、ゆるしてください」と書き残し、虐待死をいたしました。今年に入り、1月には野田市で心愛さん(10歳)が学校のアンケートに「お父さんに暴力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときにけられたり、たたかれたりしています。先生、どうにかできませんか」と書いたにもかかわらず、虐待死いたしました。
こうした頻発する事件について、児童相談所の対応を批判することは簡単ですが、それでは問題の解決にはなりません。今、児童相談所は激増する通告件数の対応に追われ、疲弊状態にあります。県の児童相談所の通告件数は、平成25年度は4,255件でありましたが、5年後の平成30年度には1万2,597件と短期間で約300%増となりました。
一方で、児童福祉司は平成25年度、139人であったのが、30年度には162人と16%増にしか過ぎません。また、児童福祉司1人当たりの相談件数は73件で、全国で一番多い状況であります。これは危機的な状況と言わざるを得ません。
こんな状況でも、本県の児童相談所の職員は頑張っております。本県において悲惨な虐待事件を起こさないため、今求められているのは児童相談所の新たな設置だと思います。今年の4月に越谷児童相談所、草加支所を格上げし、県内7カ所目の児童相談所が設置されました。これに引き続き、新たな児童相談所を管内人口の多い川越児童相談所と所沢児童相談所の管内区域を見直すなどして、我が県南西部地区に設置すべきであると考えております。
知事は、日本一暮らしやすい埼玉を実現する政策集2019の中で、相談件数の多いエリアでの児童相談所整備を進めますと公約をしております。児童相談所は、設置しようと思っても、土地の取得、建設、人員の確保など一定の年数を要するものであります。1年や2年でできるものではありません。速やかな英断が必要であります。知事の決意とお考えをお伺いいたします。
次に、職員の増員についてでありますが、国では東京都目黒区で発生した事案を受けて、平成30年12月に児童虐待防止対策体制総合強化プランを策定し、児童福祉司の数について国の配置基準を見直しました。平成29年度時点での全国に3,240人いる児童福祉司について、令和4年度には5,260人へと2,020人増員することとしております。児童福祉法施行令も改正され、人口4万人当たり児童福祉司1人の配置だったのが、3万人当たり1人の配置となりました。相当の数の児童福祉司を採用し、配置しなければなりません。首都圏の都県でも同様に採用を拡大することが必至であります。
こうした中、知事は本県の児童福祉司の増員についてどうお考えなのか、またどのように職員の育成を図っていくのかお伺いをいたします。
A 大野元裕 知事
児童相談所の設置についての決意と考えについてでございます。
増加する虐待通告に迅速に対応し、子供の安全を確保するため、児童相談所の体制強化に努めています。
令和元年度は児童福祉司を35人、児童心理司を7人増員するとともに、県内7カ所目となる草加児童相談所を新たに設置いたしました。
平成30年度の全国調査によれば、全国の児童相談所の管内人口の平均は58万9,000人となっています。
本県で管内人口が全国平均を下回っているのは草加児童相談所のみで、川越児童相談所と所沢児童相談所にあっては、それぞれ110万人を上回っており、平均の約2倍に及んでいます。
また、議員ご指摘のとおり、埼玉県の平成30年度の児童福祉司1人当たりの相談対応件数は73件であり、全国平均の49件と比べ突出しています。
議員からは、児童相談所の設置について大変重要なご指摘をいただきました。
私は、子供を虐待から守るためには、児童相談所のさらなる設置が必要であると考えています。
今後、管内人口や相談対応件数などを丁寧に分析し、新たな児童相談所の設置を早急に検討してまいります。
次に、児童福祉司の増員についての考えと職員の育成についてでございます。
児童虐待に迅速かつ適切に対応していくためには、児童福祉司の増員が不可欠です。
国の新しい配置基準によると、本県の児童福祉司は現在の197人から令和4年度までに379人へと、182人増員する必要があります。
国全体では2,020人の増員が必要とされており、他の自治体においても同様に採用を拡大することから、人材の確保は難しい状況です。
社会福祉士、精神保健福祉士など民間での業務経験者の採用拡大や、関東近県の福祉系大学を所長や担当職員が直接訪問し、学生に対して本県への受験を勧奨する取組を充実してまいります。
また、一般事務職のうち、児童福祉司に発令可能な者の活用を進めます。
こうした様々な方法により、児童福祉司の増員を図ってまいります。
職員の育成については、近年の採用拡大により、経験年数の短い職員が多くなっていることから大きな課題の一つとなっています。
そこで、職位ごとの研修、重大事案の検証や弁護士を講師とした法的対応を学ぶ研修などを充実させ、職務遂行能力の向上を図ってまいります。
加えて、若手職員が経験豊富な先輩職員の家庭訪問に同行するOJTを実施するなど、きめ細やかな人材育成に取り組んでまいります。
未来の宝である子供たちを虐待からしっかり守り、健やかに成長できるよう児童相談所の体制強化に全力で取り組んでまいります。
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