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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(井上航議員)

エスカレーターの歩行禁止について

Q   井上航議員(県民)

御承知のように、首都圏の暗黙ルールは、止まって乗る人は左側、右側は歩く人のために開けておくというものです。関西では、これが逆になります。エスカレーターでの片側立ち、片側歩行は、転倒、接触、衝突などの事故の要因になるほか、混雑の助長やエスカレーターの消耗を早めるなどのリスクをはらんでおります。鉄道事業者が歩行禁止を訴えていますが、埼玉県としても、より安全なエスカレーター利用のための取組を行えないでしょうか。
ここで、2017年6月14日、毎日新聞の記事を紹介したいと思います。
「エスカレーター片側あけないで ベルトは大切な支え」という記事です。この記事に登場するのは、脊髄の病気で両手につえを持つ埼玉県和光市の会社員女性です。右手のほうが自由がきくので、できれば右側のベルトにつかまりたいと願いながらも、現状のルールの中でそれがかなわない体験談が取り上げられています。このほか、2018年5月20日の東京新聞でも、2020年に向けてのエスカレーターの視覚障害者対策が進んでいない現状が取り上げられました。視覚障害者も、反対側から人が向かってこないエスカレーターを好んで利用すると聞きます。歩行禁止が進めば、視覚障害者が1人で乗るときも、また介助者と並んで乗るときも、より安全に使えます。また、子供と一緒に乗る場合も、隣に立つことが一番安全だということを自身が親になって痛感いたしました。
その一方で、エスカレーターに止まって乗るために行列ができている、しかし右側は誰も乗っていないという光景を御覧になったことがあると思います。ロンドン交通局が3週間かけて、片側開けと両側立ちの比較試験を行った結果、混雑のピーク時に片側開けが1時間で2,500人の乗降客を運んだのに対し、両側立ちだと3,250人と3割増しの数字を記録したという結果も出ています。特に長いエスカレーターの場合は歩行する人が減り、歩行禁止は効率性を考えてもメリットがあるのです。もちろん、ここまで浸透したルールを一朝一夕で変えることは容易ではありませんが、県として安全を第一に考え、エスカレーターの歩行禁止の周知について、県民生活部長にお伺いいたします。
また、多様性を前提とした社会ルールの設計も重要と考えます。今回で言えば、一律で片側開けを続行する、廃止するのではなくて、例えば県内のデパートやショッピングセンター、文化・観光施設、県有施設など急ぐ必要のない場所、階段がすぐ隣にある場所、長いエスカレーターの場合、これらを段階的に歩行禁止にするといった取組はいかがでしょうか。
また、冒頭紹介した記事では、東京都理学療法士協会が、障害者のためにも2020年のオリンピック・パラリンピックまでに歩く人ゼロを目指すという目標が紹介されていました。例えば、埼玉県内の会場最寄り駅で率先して歩行禁止に取り組むことを検討してはいかがでしょうか。
以上、2つの案についても県民生活部長の御所見をお伺いいたします。

A   矢嶋行雄   県民生活部長

安全を第一に考え、エスカレーターの歩行禁止の周知について、お答えを申し上げます。
エスカレーターには構造等を定める法令等はありますが、歩行を禁止するなど乗り方を定めたものはございません。
このため、駅構内などのエスカレーターでは、歩いて追い越す人のために片側を空けておくことが定着しております。
しかし、安全基準としては、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしております。
エスカレーター歩行は、他人と自分の体や荷物が接触し転倒につながるため大変危険ですが、禁止する法令がないことから、歩行を避けるよう注意喚起することしかできないのが現状でございます。
このような状況ですが、県民に対してエスカレーターでは歩行を避けるよう、県のホームページや広報紙「彩の国だより」、スマホアプリ「ポケットブックまいたま」などの広報媒体を通じて働きかけてまいります。
また、利用客の多い駅や商業施設などに対してエスカレーターでは歩行を避けるように、アナウンスをしていただくようお願いしてまいります。
次に、2つの案についてお答えを申し上げます。
議員ご提案の段階的に取り組むことや必要な場所から取り組むことも、ルールを変えていく上で有効な方法であると思います。
そこで、実施可能と思われる施設に対して、利用の現状や歩行禁止ができるかどうかなど、エスカレーターの設置や利用の実態を速やかに調査してまいります。
この調査結果を踏まえまして、設置事業者と相談の上、歩行禁止を含めてエスカレーターの安全な利用に関して、具体的にどのような取組が可能か検討をしてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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