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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(新井   豪議員)

「森林環境税」と「彩の国みどりの基金」の活用による水源地・森林の整備について

Q   新井   豪議員(自民

埼玉県の森林面積は約12万ヘクタールに及び、県土のおよそ3分の1が森林となっています。戦後の復興時には木材需要が急増し、供給が追い付かず、時の政府による人工林を拡大する政策によって、急速に造林が行われました。昭和30年代には木造の需要を賄うべく、木材輸入の自由化が始まり、そして円高となり、昭和55年をピークに我が国の木材価格は落ち続け、木材需給率は90%以上あったものが約2割まで落ち込みます。平成8年に政策が打ち切られますが、そこに膨大な人工林が残されたのであります。
近年は、森林の整備を行っても、収穫のための伐採を行っても、なかなか採算が取れないため、以前のように間伐や伐採が行われなくなり、十分な手入れがなされず、森林の荒廃が目立つようになってしまいました。荒廃した森林は、二酸化炭素を吸収する能力が低下するだけでなく、台風の被害を受けたり、大雨などによって土砂災害を起こしやすくなったりします。森林の荒廃は水源地の荒廃であり、下流の利水や治水にも大きな影響を与えてしまうのであります。
そこで、平成15年に高知県が県独自の税制として導入したのをはじめ、現在まで37の府県が独自の森林環境税を導入しました。多くの県が県民1人当たり500円を県民税に上乗せする形をとり、森林整備の財源としたのであります。
一方で、埼玉県においては森林環境税という制度をとらず、二酸化炭素を排出する自動車に着目し、自動車1台当たり500円程度、自動車税の1.5%を財源として「彩の国みどりの基金」という緑の再生を図るための財源が確保されております。平成20年度から始まったこの基金によって、これまで県内でおよそ1万ヘクタールの緑の再生事業が行われてきました。この10年で山が見違えるように変わった、荒れた山々が昔の姿を取り戻しつつあるなど、地元で多くの喜びの声を聞いております。
まず質問しますのは、この彩の国みどりの基金を活用して山間部では森林整備、都市部では緑化事業など、これまで様々な事業が行われてきたことと思いますが、この10年という節目に当たり、彩の国みどりの基金による事業のこれまでの成果について、環境部長にお伺いいたします。
先に述べた我が国の森林の現状を鑑み、平成30年度税制改正大綱において、まだ仮称ですが、国による森林環境税及び森林環境譲与税の創設が決定しました。森林環境税とは、平成36年度より個人住民税を納税する国民1人当たり年額1,000円が課税されるものであります。そして、交付税、譲与税、特別会計から借り入れをして、その課税開始より5年前倒しで国から市町村や都道府県に配分されるのが森林環境譲与税と呼ばれるものであります。個人住民税の納税者約6,000万人、税の規模はおよそ600億円と言われます。
そこでお伺いしますが、埼玉県全体に配分される森林環境譲与税は、平成31年度の開始時とその後の満額時でおよそどれくらいの金額になるのか、そして配分された譲与税についてどのような使途と効果が期待できるのかを農林部長にお伺いいたします。
また、その譲与税の分配額は、その自治体の私有林かつ人工林の面積や人口などによって決められるとのことであります。例えば、さいたま市が擁する人工林はわずか13ヘクタールですが、3万ヘクタールを擁する秩父郡市、1市4町1村の合計の分配額よりも上回ると伺っております。森林が少なく、人口が多い都市部における森林環境譲与税はどのような活用が想定されるのかを、この配分に対する御所見も含めて農林部長にお伺いいたします。
個人住民税に上乗せする他県の環境税と違い、自動車税を財源としている彩の国みどりの基金の事業と国からの森林環境譲与税による事業を合わせることにより、この埼玉県の森林の整備が加速し、環境が守られるだけでなく、林業の復活・振興も図られると期待が膨らむところでありますが、埼玉県における水源地・森林整備、都市部の緑化事業などの今後の展望や目標について、環境部長及び農林部長にお伺いいたします。

A   加藤和男   環境部長

まず、みどりの基金による事業のこれまでの成果についてでございます。
彩の国みどりの基金は、平成20年4月の創設以来、「森林の整備」、「身近な緑の保全・創出」、「県民運動の展開」の3つの柱で、豊かな自然環境を守り育てる事業を展開してまいりました。
このうち、「森林の整備」につきましては、平成20年度からの10年間で水源地域の森林7,930ヘクタール、里山・平地林2,276ヘクタール、合せて1万206ヘクタールの整備を進めてまいりました。
この整備により、水源地域の森林では健全な植生が回復し水源かん養や土砂流出防止機能が増進され災害に強い森が造成されたと考えております。
また、里山林(さとやまりん)の整備を契機として、地域住民が自ら里山を維持管理していこうとする機運の醸成も図られていると感じております。
「身近な緑の保全・創出」につきましては、校庭の芝生化の支援をはじめ、民間施設や市町村施設における緑化の支援などにより、都市部を中心に485か所の身近な緑を創出いたしました。
この取組により、企業流入や人口の増加など依然として開発圧力が高い本県におきまして、県民生活に潤いと安らぎを与える緑豊かな環境の保全や美しい景観の形成を進めることができたと考えております。
「県民運動の展開」につきましては、緑化活動を行うボランティア団体に対する助成や苗木の提供などを通じまして、自発的に緑を保全・創出しようとする県民の活動を積極的に支援してまいりました。
この結果、みどりの再生に取り組む団体や企業が登録する「彩の国みどりのサポーターズクラブ」の会員数は、平成29年度末時点で284団体を数えるまでにいたりました。
一歩ずつではありますが、県民が自ら進んで緑を守り、創っていく機運を醸成することができたと考えております。
次に、水源地・森林整備、都市部の緑化事業などの今後の展望や目標についてでございます。
このたび、森林整備のための財源として、森林環境譲与税が創設されました。
このような動きを追い風とし、本県の豊かな自然環境を次の世代に引き継いでいくためには、継続的にみどりの保全と再生を進めていくことが、なにより重要であると考えております。
埼玉県5か年計画におきましては、平成29年度から平成33年度までの累計として、森林の整備面積につきましては1万2,500ヘクタール、身近な緑の創出面積につきましては250ヘクタールを目標として設定しております。
今後とも、埼玉県5か年計画の目標の達成に向け、彩の国みどりの基金などを活用し、みどりの保全と再生に全力で取り組んでまいります。

A   篠崎   豊   農林部長

まず、本県全体に配分される森林環境譲与税はどれくらいの金額になるのか、また、その使途と効果が期待できるかについてでございます。
(仮称)森林環境税は平成36年度から徴収されますが、これに先立ち平成31年度から国の特別会計における借入により(仮称)森林環境譲与税として全国の自治体へ配分されます。
配分額は現時点で国から示されておりませんが、県の試算では森林環境譲与税の配分が開始される平成31年度は約4億5,000万円、満額時となる平成45年度からは毎年約13億5,000万円が県内に配分されるものと見込んでおります。
森林環境譲与税の使途について、市町村は間伐や森林整備を促進するための人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の費用に充てなければならないとされ、県はこれらの取組を行う市町村の支援に充てなければならないとされております。
これにより、これまで手入れがなされなかった森林の整備やそれに携わる人材が育成されるとともに、木材利用が進むことで「伐って・使って、植えて、育てる」森林の循環利用の促進が期待されます。
次に、森林が少なく人口が多い都市部における森林環境譲与税はどのような活用が想定されるか、また、この配分に対する所見についてでございます。
森林環境税は森林整備等のために必要な費用を、国民一人一人が等しく負担し森林を支える制度です。
都市部の住民からも負担を求めることを考えると、理解を得るために木材利用の拡大や森林環境教育といった都市部の需要に応えることも必要と考えております。
例えば、森林環境譲与税を活用し、都市部の市町が学校や公民館などの公共施設の木造・木質化を行う際に、県産木材を使うことで県内森林の循環利用が進みます。また、これを契機として都市部の市町と山村地域の市町村が連携し森林整備に取り組む際の費用として活用することも可能です。
県ではこのような都市部での取組が円滑に進むよう支援してまいります。
最後に、水源地・森林整備の今後の展望や目標についてでございます。
この度の森林環境譲与税の導入により、森林の整備を行う市町村に安定的な財源が確保されることで、森林の公益的機能の発揮とともに地域の雇用創出などに寄与するものと考えます。
県といたしましては「埼玉県5か年計画」に掲げた森林整備の目標1万2,500ヘクタールの達成に向け、森林環境譲与税を活用した市町村の取組を支援するとともに、公益的機能を高める針広混交林化や森の若返り、さらには獣害防止対策など水源地・森林整備について、必要な財源を確保しつつ、しっかりと取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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