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掲載日:2024年7月3日

平成29年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(菅   克己議員)

埼玉高速鉄道の上下分離と運賃値下げについて

Q  菅 克己議員(民進・無所属

我が国の鉄道整備事業は、巨額の建設事業費と運営経費の全てを利用者の運賃で賄う制度になっています。すなわち、それは鉄道事業が民間事業としての位置付けであることを意味し、公共財としての位置付けではありません。最近建設された第三セクター鉄道である埼玉高速鉄道ですら、東葉高速鉄道や北総開発鉄道は民間事業者として同じ足かせを付けられています。この三つの鉄道と同じような轍を踏まないために、同じ第三セクター鉄道でありながら、つくばエクスプレスは最初の建設事業費に国や関係都県が思い切って資本費の負担をし、周辺の整備事業を一体化して取り組んでいます。そのため、運賃は安く設定されています。三つの第三セクター鉄道とは大違いです。SRの経営を圧迫しているのは、この民間事業者としての位置付けのために、借金の償還期間が短く設定されており、短期間に多額の返済を余儀なくされていることが原因です。
運輸政策審議会第19号答申でも、収支採算性を見込む上で前提となる鉄道施設の建設事業費の償還期間は、鉄道施設の耐用年数を総合的に勘案し、40年程度にすることが適当という見解を示しています。鉄道も20年、30年でやめてしまうような性質の事業ではなく、極めて公共性の高い継続性の強い事業であります。それであるならば、将来世代の皆さんと資産として負担を分かち合うことをしてもいいのだと思います。
欧州は日本とは違い、人口密度が低く、混雑率が100パーセントをかろうじて超えるような地域に鉄道を敷設することが常であり、そのため運賃収入だけで全ての事業費を賄うことは成り立たないので、最初から上下分離のような制度設計であります。一般的に欧州では、鉄道施設経費は公共財としての位置付けであり、公共が負担するもの、運営経費については利用者が支払う運賃収入で賄う仕組みであります。
人口減少下において生産年齢人口は減り、鉄道の主たる収入源である通勤定期の収入は減り、今後鉄道事業で黒字を達成できるのは首都圏の人口密集地域だけで、他の地域では運賃収入だけで鉄道事業を行っていくことができない路線が増加いたします。そもそも、現状の日本の鉄道事業のビジネスモデルは破綻していると言わざるを得ません。この制度下において黒字を維持するのは至難の業です。
平成26年9月及び12月定例会で、補正予算等の関連議案を議決したSRの事業再生ADR手続による経営再構築は、資本費負担の軽減のために県からの支援により多額の有利子負債の圧縮を行ったもので、必要な手段ですが、最終着地点ではないと思います。今後のことを考えると、最終着地点は上下分離による経営安定化です。それにより政策的に運賃値下げも実現できます。すなわち、高齢化社会進展で鉄道とバスの役割は今後重要度を増す福祉政策であり、欧州のように地球温暖化防止策として車から鉄道にシフトをする環境政策であり、それらを運賃値下げにより誘導するものです。
そこで、知事に伺います。
既に何度も議論になっていますが、改めてSRの上下分離の可能性と、それによる政策的な運賃値下げができないか伺います。上下分離は、延伸を実現させるためにも必要不可欠な方法論だと考えます。
さて、今週火曜日、SRの通学定期料金値下げが発表されました。これは新たな子育て世代を沿線に誘導し、沿線地域の開発を促進することで、経営自立化を確実なものにするために行うものです。私も以前より、通学定期値下げを強く要望しており、御家庭の経済的負担は軽減でき、高く評価します。
そこで、質問の第二は、乗客が少ない日中、定期券以外の乗客に時間割引のような運賃設定ができないか、企画財政部長に伺います。

A   上田清司   知事

平成13年に開業した埼玉高速鉄道は、建設時における多額の有利子負債を会社が返済する形で開業いたしました。
加えて開業当初から乗車人員が需要予測を下回ったりしたこともあり、厳しい経営状況が続いていました。
その後、平成15年からの経営改革により償却前黒字を達成するなど、懸命の経営努力を続けたものの、将来の明るい展望を見出すまではいきませんでした。
このため、県議会からの御理解も賜り平成27年1月に成立した事業再生計画に基づき、抜本的な経営の再構築を図ったところです。
事業再生計画による金利負担の軽減、その後の会社による増収策の取組などもあり、平成28年度は約24億円の経常利益を上げ、27年度から2年連続の黒字を達成できました。
議員御提案の上下分離方式は鉄道施設の保有と運営を切り離した上で、それぞれの主体の責任範囲を明確にして、効率的な運営を行う一つの方法だと思います。
しかし、上下分離を行うに当たっては、例えば県などが鉄道施設を買い取る必要があり、費用負担が大きな課題になります。
また、上下分離の方法を採っても埼玉高速鉄道が県などに支払う施設使用料などの設定によっては、運賃の引下げにつながるとは限りません。
現在、埼玉高速鉄道の経営改革が極めて順調に進んでおります。
当面、県としては県民生活や地域経済に欠かせない埼玉高速鉄道が事業再生計画を着実に達成し、会社経営の安定化を図ることが最優先と考えております。
運賃値下げまで至っておりませんが、通学定期券の割引率の引き上げを来春に実行される予定でございます。

A   砂川裕紀   企画財政部長

埼玉高速鉄道では通勤・通学定期券を利用するお客様が全利用者の約7割を占めており、日中時間帯の利用者確保が課題となっております。
そのため、平日の10時から16時までの日中の時間帯と土曜休日の終日に利用できる、12枚セットの時差回数券を販売をいたしております。
これは、10回分の運賃で12回分の乗車ができるものでございます。
また、土曜休日の終日のみ利用可能となりますが、更にお得な14枚セットの割引回数券もございます。
他にも企画乗車券として、埼玉高速鉄道が乗り放題となるSR一日乗車券や埼玉高速鉄道の往復と東京メトロ線が乗り放題となるSR東京メトロパスを販売しております。
さらに、映画観賞券とセットになったシネマキップや、しらこばと水上公園の入場券とセットになった往復割引セット乗車券などもございます。
こうした取組などにより、平成28年度の定期券以外の利用者数は1日あたり約3万500人と、平成27年度に比べ1,100人増加いたしました。
県といたしましては、今後も埼玉高速鉄道に対し会社経営の安定化に資する利用者サービスの向上の取組について、更なる検討を促してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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