第2回技術検討委員会の概要
開催日時
平成21年12月21日(月曜日)10時00分~12時00分
開催場所
埼玉県朝霞県土整備事務所
出席者
【委員】(敬称省略)
元上智大学教授:中杉修身(専門:廃棄物工学・土壌汚染)
東京農工大学教授:細見正明(専門:環境化学・土壌汚染)
国立環境研究所主任研究員:山田正人(専門:廃棄物管理)
国立環境研究所主任研究員:遠藤和人(専門:環境地盤、廃棄物工学)
日本工業大学教授:小野雄策(専門:廃棄物処理処分工学)
【オブザーバー】
埼玉県環境部水環境課(欠席)
埼玉県環境部産業廃棄物指導課
埼玉県西部環境管理事務所廃棄物・残土対策担当
埼玉県環境科学国際センター廃棄物管理担当
【傍聴者】6名
(事務局)
埼玉県県土整備部河川砂防課
埼玉県朝霞県土整備事務所
議事次第
(1)開会
(2)議事
- 1)報告事項
- a)第1回技術検討委員会の概要
- b)ダイオキシン類調査の結果について
- c)追加調査の進捗状況について
- 2)審議事項
- a)県の処理方針(案)について
- b)処理技術公募(案)について
(3)その他
議事の概要
開会
(1)挨拶
朝霞県土整備事務所長
(2)委員会についての説明
事務局から、委員会の趣旨、委員会の公開非公開等について説明があり、議事の『2)審議事項b)処理技術公募(案)について』に関しては、非公開で行いたい旨を説明し、委員会の了解を得た。
議事
(1)報告事項
事務局から、第1回技術検討委員会の概要、ダイオキシン類調査の結果について、追加調査の進捗状況について説明があった。
1)第1回技術検討委員会の概要
平成21年8月31日に第1回検討委員会が開催された。その際に委員から出された質問や意見について資料及びスライドにて説明を行なった。
《事務局の説明内容》
- 旧河道は、廃棄物埋設箇所を取り巻くように流れていたと考えられる。
- 平成7年のボーリングでは地山が出現する前に掘削を止めている。(地山まで掘ってしまった箇所もある。)したがって、正確な地山のレベルはわからない。しかし地山に近いところまで掘削しているので、孔底が地山のレベルをおおむね表していると考えると、本年度実施したボーリングで確認した地山のレベルと大きな差はなかった。
《委員からの意見・質問》
- 新旧ボーリング結果から、水位の変化についても確認する必要がある。
【事務局の回答】
⇒本年度のボーリング時に水位は測定していない。(土壌ガス)吸引孔の水位は測定しているので、今後、その変化を確認する。
- ここは旧河道があったので、今後、ボーリング等の調査結果を踏まえ、(旧河道にあたる箇所の)地盤が特異なものなのかを確認する必要がある。
- ボーリング結果について、地点によっては1メートルほど差異があるが、精度の問題と判断したのか?
【事務局の回答】
⇒平成7年のボーリングでは地山が出現する前に掘削を止めているので図は正確な地山のレベルを表していない。
- 公募の際に処理物の量を把握するためにも、地山のレベルの確認は必要と思われる。
- 地山も含めた処理対象物の全体量の把握は、緻密に調べても正確に決めるのはなかなか難しい。全体量は公募する際の見積りに係わってくる部分なので、全体量はある程度の誤差を含んでいることを想定しておいたほうがよい。
2)ダイオキシン類調査の結果について
ダイオキシン類調査結果について、資料及びスライドにて説明を行なった。
《事務局の説明内容》
- 廃棄物層については5地点、保有水については10地点で調査を行なった。その結果、廃棄物層では最大51ng-TEQ/g、保有水では最大330,000pg-TEQ/lのダイオキシン類が検出された。また、異性体パターンについても結果を報告した。
《委員からの意見・質問》
- ダイオキシン汚染の由来がPCBによるものなのか、もしくは焼却灰などによるものなのかを整理しておく必要がある。
【事務局の回答】
⇒異性体の濃度からPCBの由来が最も大きいと推察される。
- 異性体のパターンを見る限り、非常に特異なパターンであり、焼却灰のほか、245Tなど農薬についても疑われる。1種類の汚染原因で全て整理できないように思われる。
- 保有水のダイオキシン類調査の際に、浮遊物質量(ss)は測定していないのか?
【事務局の回答】
⇒浮遊物質量(ss)の測定はしていない。
- ダイオキシン類も濃度が高いので、ここの処理はPCBだけではなくダイオキシン類についても考慮する必要がある。
- PCBやダイオキシン類が溶剤とともに移流拡散する可能性があるので、地下水の流れについては整理する必要がある。
3)追加調査の進捗状況について
追加調査の進捗状況について、資料及びスライドにて説明を行なった。
《事務局の説明内容》
- 土壌ガス調査実施の報告
前回の調査で土壌ガス濃度が高かった区画(10m×10m)を対象に、さらに細かい区画(2.5m×2.5m)に分けて土壌ガス調査を実施した。現在分析中のため、結果については後日報告する。
- ボーリング調査計画の説明
その土壌ガス調査の結果を見てボーリング位置を設定する。ボーリングにより廃棄物が認められた場合は、溶出試験と含有量試験を実施する予定である。
- 比抵抗探査調査結果の説明と今後の調査計画の説明
比抵抗探査調査の結果から、高い比抵抗値領域が確認され、空隙が大きく水分含有量の小さい礫などが存在する可能性が示唆された。比抵抗探査調査は今後も継続して実施する予定である。
- 地下水流向調査計画の説明
既存の第2帯水層モニタリング井戸5箇所において、水位を連続測定し、地下水の流れの解析を予定している。
- ダイオキシン類のモニタリング計画の説明
既存のモニタリング井戸の10箇所において、ダイオキシン類とssの分析を行う予定である。
《委員からの意見・質問》
- 新規ボーリング地点については、ボーリング結果や比抵抗探査の結果、今後行う地下水の流向調査結果を踏まえて決定することが望ましい。
- 比抵抗探査の結果で、比抵抗値が高い地点は油に汚染されているという可能性はないのか?
- 油が大量にあるのであれば比抵抗値に影響があると考えられる。しかし、今回の調査結果では、比抵抗値が高い地点がこれだけ広範囲にあり、それが油汚染の影響ということであれば、事前に油汚染はわかってもいいはず。むしろ、礫とか無機系のものが大量に埋まっていると考えてもいい。
- 地下水の流向把握のために新たにボーリングは行わないのか?
【事務局の回答】
⇒地下水流向把握のための新規ボーリングは計画していない。
- ボーリングで廃棄物が見つかった場合は、廃掃法の溶出・含有量試験を行うとの説明があったが、含有量試験では土対法によるものと底質調査方法では違う。これまでの調査は(底質調査方法により)全含有量を調査しているので、比較という意味では底質調査方法が良いし、土壌汚染という観点から評価、対応していくのなら土対法の含有量の数値が必要になってくる。
- 廃棄物としてみた場合は廃棄物の試験方法でよいが、廃棄物から土壌に汚染が広がっている場合、これを廃棄物とみるか、土壌とみるかは県としてはっきりさせておかなくてはならない。それにより調査方法が異なってくる。
- ボーリング調査の説明で、地山が出現したらボーリングをそこで止めるということであるが、地山がどうなっているかということも大切な情報なので、地山の状況も調べるような調査にしたほうがよい。
- 地山まで堀って調査するのは必要だが、第2帯水層を汚染する場合もあるので注意して行う必要がある。
- この調査で廃棄物が埋まっていた場合に、今後、それを取り除く対策を講じるのであれば、その周辺土壌の汚染状況は当然確認しなければならない。今回の調査でそれも調べられるのであればしておいたほうが良い。
(2)審議事項
事務局より、県の処理方針(案)、処理技術公募(案)について説明があった。
1)県の処理方針(案)について
県の処理方針(案)について、資料及びスライドにて説明を行なった。
《事務局の説明内容》
- 新河岸川に埋設されている廃棄物と土壌の混合物については、掘削し処理をする。
- 当該埋設物の性状から判断すると、廃棄物と土壌を完全に分けるのは困難であることから、(法的には)全量を廃棄物として取り扱う。
- 埋設物中のPCB及びVOCといった有害物質については現地に施設を設置し処理を行う。その他の重金属及びダイオキシン類の処理については、現地内・外の処理を限定しない。
- 保有水については、場外搬出し処理委託をすることを基本に考えている。
- 地山については、廃棄物の混入が確認できる範囲は、廃棄物として扱う。また、廃棄物の混入が見られない地山については、土対法及び県条例に基づいた調査を行い、基準を超過した場合は汚染土壌として扱う。
《委員からの意見・質問》
- PCBが含まれる保有水を廃液(産廃)とするのか、排水とするのか判断が難しいが、このことは整理をする必要がある。
- 保有水がPCB汚染物(廃棄物)との扱いであれば、処理フローでは場外搬出しないということになる。
- 処理フローだと太い赤線で県の方針を示しているが、これだと処理方法を限定してしまっている。処理方法としてはいろいろな選択肢があるのだし、技術はあまり限定せずに広く募集する方法がいい。
- 今回の技術公募は、あくまで一般から提案を募るだけであって、出された提案が採択されるかどうかについては明らかにしていない。提案する側から見れば、ただ提案するだけでそれがすぐに仕事に結びつかないということになる。技術提案型入札方式というのがあるが、これだと提案がそのまま直接仕事に結びつく。県としてはどちらを選択するのかはっきりさせておかなくてはならない。
- 県ではこれまでガス吸引を行ってきたが、それも効率が悪くなったので、掘削して処理するという考えである。PCB特別措置法の処理期限があるので、掘削して廃棄物という扱いになったら期限までに処理をしなくてはならない。しかし、これを掘削せずに現場・原位置で処理するということになるとPCB特別措置法の処理期限が適用されるか?そのことについてまず判断する必要がある。処理期限という時間的な制約を受けるのか受けないのかで(処理方法の)選択肢はすごく変わってきてしまう。今のガス吸引を効率良くしながら今後も続け、徹底的に(VOCを)取り除いてしまうという方法もあるし、これだと時間がかかりすぎ、期限内に処理しなくてはならないので、全部掘削して処理してしまおうという考え方もある。そこのところは、募集をする前に決めておかなくてはならない。
- いつまでに処理をするという期限を考えるのは大切なことである。県が廃棄物はまず掘削をし、10年、20年先ではなく一定の期限内に処理してしまおうと考えているのは良い。しかし、どうしてそうするのかということは県として考えを明確にしておいたほうが良い。また、掘削した後で、VOCの処理をどうするかについては、技術提案してもらうのはよい。
- 既存の技術を組み合わせて処理するので実証実験はしない方針とのことであるが、新河岸川の廃棄物は特異的であり、他の例とはだいぶ違う。前処理でVOCをホットソイル工法やアルミクリーン工法といった方法で揮散させるといってもPCBがない場合なら、部屋内に揮散したそれらのものを活性炭に吸着させれば大丈夫という話であるが、ここの産廃の場合はPCBも存在しているので、熱を加えてPCBとともに部屋内に揮散させる事に関しては問題があり、そこのところは(実証実験等で)確認する必要がある。
- VOCは(掘削前に)できるだけ除去したほうがいいのではないかと考える。VOCを除去したPCB廃棄物を現場でどう処理するかは技術提案で変わってくる。
【事務局の回答】
⇒掘削してPCB特別措置法の処理期限内に処理するというのが県の方針である。VOCがなくなるまで今のガス吸引を継続してというのは時間がかる。今後、第2帯水層の地下水への影響も心配されるので、なるべく早く掘削して処理したいと考えている。
- 廃棄物と土壌は分別しないとなっているが、廃棄物も分別作業をまったくしないように誤解されるおそれがあるので、修正すること。
2)処理技術公募(案)について
※非公開で行なった。
(3)その他
1)技術検討委員会の審議スケジュール(案)
事務局から、今後の技術検討委員課の審議スケジュール(案)について説明があった。
《事務局の説明内容》
- 次回(第3回)の開催時期は平成22年3月ごろを予定している。
- 平成22年度の開催回数については、3回程度を予定している。
(4)閉会