第3回技術検討委員会の概要
開催日時
- 平成22年6月7日(月曜日)13時30分~15時30分
開催場所
出席者
委員(敬称省略)
- 元上智大学教授中杉修身(専門:廃棄物工学・土壌汚染)
- 東京農工大学教授細見正明(専門:環境化学・土壌汚染)
- 国立環境研究所主任研究員山田正人(専門:廃棄物管理)
- 日本工業大学教授小野雄策(専門:廃棄物処理処分工学)
(欠席)
- 国立環境研究所主任研究員遠藤和人(専門:環境地盤、廃棄物工学)
オブザーバー
- 埼玉県環境部水環境課(欠席)
- 埼玉県環境部産業廃棄物指導課
- 埼玉県西部環境管理事務所廃棄物・残土対策担当
- 埼玉県環境科学国際センター資源循環・廃棄物担当
傍聴者
(事務局)
- 埼玉県県土整備部河川砂防課
- 埼玉県朝霞県土整備事務所
議事次第
(1)開会
(2)議事
- 1)報告事項
- a)第2回技術検討委員会の概要
- b)追加調査の結果について
- 2)審議事項
処理技術公募(案)について
(3)その他
議事の概要
開会
(1)挨拶
(2)委員会についての説明
事務局から、委員会の趣旨、委員会の公開非公開等について説明があり、議事の『2)審議事項b)処理技術公募(案)について』に関しては、非公開で行いたい旨を説明し、委員会の了解を得た。
議事
(1)報告事項
事務局から、第2回技術検討委員会の概要、追加調査の結果について説明があった。
平成21年12月21日に第2回検討委員会が開催された。その際に委員から出された質問や意見について資料及びスライドにて説明を行なった。
追加調査の結果について、資料及びスライドにて説明を行なった。
《事務局の説明内容》
(ア)産業廃棄物埋設現場周辺のボーリング調査結果について
産業廃棄物が確認されている場所以外における廃棄物の埋設の可能性を調べるため、ボーリング調査を行なった。その結果、全ての地点でボーリングコアに何らかの廃棄物の混入が確認された。溶出量試験結果では、特別管理産業廃棄物の判定基準に対する超過はみられなかったが、含有量試験において、ダイオキシン類が判定基準値3ng-TEQ/gに対し、D地点で13ng-TEQ/gと超過がみられた。また、E地点を除く全ての地点でPCBが0.06~11mg/kgの範囲で検出された。
(イ)地下水中のダイオキシン類調査結果について
平成21年7月の調査で鋼矢板内の廃棄物層及び内部保有水から濃度の高いダイオキシン類が検出されたことから、周辺環境への影響を見るため、モニタリング井戸12ケ所において地下水中のダイオキシン類の濃度を調べた。その結果、全ての井戸において地下水の環境基準に適合していた。
(ウ)地下水流向・流速調査結果について
新河岸川両岸のモニタリング井戸5ケ所において地下水位を連続測定し、第2帯水層の地下水の流れを調べたところ、右岸側から左岸側に流れており、流速は11cm/日程度と考えられた。
これらの結果から、右岸側のモニタリング井戸で地下水中のVOC濃度が上昇している原因は、少なくとも産業廃棄物現場からの汚染物質の移動によるものではないと考えられた。
《委員からの意見・質問》
(ア)産業廃棄物埋設現場周辺のボーリング調査結果について
- 表1の結果を見ると、D地点は、他の地点と比べ、全炭素量の全窒素量に対する比(以下、CN比という。)が特異的に高く、また、PCB、ダイオキシン類、鉛等の有害物質の濃度も高い。D地点付近は排水路があったところで、底質等が堆積していた可能性がある。このような場所は有害物質の濃度が高いことが想定されるのでその範囲を特定する必要がある。
- 周辺を調べる際は、鋼矢板の中の廃棄物との連続性という視点で汚染範囲を捉える必要がある。鋼矢板内の廃棄物はBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)の濃度が高いのが特徴であるので、これらの物質の濃度が目安になる。分析結果を見ると、A、B、C、Dの地点はBTXの濃度が高いので鋼矢板の中の廃棄物と連続性があると考えられる。
- 今回の分析方法は廃棄物処理法に基づいて行っているが、将来、河川改修を行うとなると、土壌も掘削して敷地外に運び出すことが考えられるので、土壌汚染対策法に基づいた方法でも分析を行っておいたほうがよい。
- 新河岸川の現場はおそらく掘削して処理することになるので、「ここまで掘削したら有害物質の除去が完了した」という基準を決めておく必要がある。香川県の豊島に投棄された廃棄物の場合は「掘削完了判定」というのを決めた。判定試験は平面方向だけでなく縦方向においても実施した。新河岸川の現場も、平面方向に掘削を広げていく際に縦方向にどのくらいの間隔で判定試験を行うのかといった判定の手順を決める必要がある。
- 全ての有害物質を分析して調べるのは大変なので、CN比や電気伝導度などを調べて汚染範囲を推定する方法などを検討してもいいのではないか。
(イ)地下水中のダイオキシン類調査結果について
- SS濃度と比べてダイオキシン類の毒性当量濃度はそんなに高い濃度でないので、今回の結果を見る限りは特に問題はないと考えられる。
- ノルマルヘキサンの濃度が高い場合はPCBやダイオキシン類が地下水の流れに乗って動くことも考えられるが、今回の調査結果ではノルマルヘキサンの濃度が非常に低いので動いてはいないと考えられる。
(ウ)地下水流向・流速調査結果について
- 5ケ所の地下水位が同じよう変動している。これは新河岸川の水位変動の影響によるのかを確認しておく必要がある。(東京湾の)潮位の影響だとすると掘削の時にそれを考慮しなければならない。
- 今回の地下水の流向の解析結果からは、少なくとも現状では対岸側に汚染は広がっていないということになる。ただし、油などが大量に地下に埋まっていると想定される場合だと地下水の流れに逆らって(上流側に)汚染が広がっていく場合もあり得る。しかしここの現場の場合はそうは考えにくい。
(2)審議事項
※処理技術公募(案)についての審議は非公開で行なった。
(3)その他
事務局から、平成22~23年度の新河岸川産業廃棄物処理対策業務スケジュール(案)について説明があった。
- 公募期間は平成22年10月~12月を予定している。
- 提案に対する審査を次回(第4回)の検討委員会で行う予定である。開催時期は平成22年12月頃を予定している。
- 提案者に対するヒアリングは平成23年1月を予定しており、委員のかたに出席をお願いしたい。平成23年度に確認実験を行う。確認実験の評価にあたっては、別途、確認実験評価委員会(仮称)を立ち上げる予定である。