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掲載日:2024年1月25日
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8月。夏の埼玉県は、日中35℃を超える日も少なくありません。酷暑の中、くわいの田んぼでは「葉かき」の作業が行われます。
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6月下旬に植えつけたくわいは、8月上旬には10~12枚になります。早くに発生し古くなった下葉をかきとり、5枚程度にします。
この作業は、栄養生長を抑え地下茎の発生を促す、風通しを良くして病気の発生を少なくする、などの理由があると言われています。かき取った葉は土作りも兼ね田んぼに入れています。
気温は朝から30℃。午前中は風も無く、汗がどっと噴き出します。また、くわいの田んぼ独特の臭さが、水面から上がります。栽培で一番大変な作業だと、農家のかたはおっしゃいます。
葉かき作業は、8月上旬と下旬に2回行う農家、省力化で8月下旬に1回だけ行う農家があります。くわい農家の夏が続きます。
8月下旬、14~15枚目の葉が出るころ、「走り切り」が行われます。くわいの栽培で「走り」とは、早くに発生した匍匐茎(ほふくけい)のことです。
この先端にくわいの芋ができますが、早くに出た「走り」は小さな芋しか着生せず、販売に向く芋ができづらいと言われます。大きな芋を着ける強い匍匐茎を再発生させるため、細い「走り」を切り捨てるのです。
くわいの根元10cmのところを鎌で切っていきます。中腰で、思いのほか力のいる仕事です。
普通より柄が短く、刃の鋭い鎌。使いやすくするため、普通の鎌の柄を短く切ってあります。土の中の『走り』を切るため、短時間で刃がこぼれます。1日3回は研ぐそうです。
最近はこの厳しい作業を省力化するため、小型トラクタに刃をつけて、走り切りを行う農家も増えています。
8月下旬にくわい農家が実施する「葉かき」には、過繁茂を抑えるだけでなく、匍匐茎(ほふくけい)の発生を促す意味があります。匍匐茎の先端に芋が着生するため、元気な匍匐茎を数多く確保することが必要だからです。
匍匐茎は8月中旬、葉枚数14~15枚から発生を始め、葉数と同じ数が分化すると言われています。プールに植えたくわいで、「葉かきと匍匐茎発生の様子」について見てみましょう。
9月5日観察しやすいように水を抜きました。古くなった外側の葉を取り除いてみましょう。葉柄の基に、既に発生した匍匐茎と細かい根が見えています。外側の葉柄を突き破って出てきています。葉枚数を5枚に減らし、水を入れておきます。
9月16日葉かきをして11日後です。左側の以前からあった匍匐茎の右に、発生初期の匍匐茎が見られます。
株の中心から外側の葉柄を破って次々に匍匐茎が発生します。邪魔になる古い外葉を取り除くことは、発生を促すことにつながっています。
11月に入ると、くわいの田んぼも幾分緑が薄くなり、紅葉してきました。よく見てみると、外側の葉から枯れ始めています。
根元を見てみましょう。この株の根元には、9月中に発生した匍匐茎(ほふくけい)が見えます。匍匐茎は水面上の茎の根元から発生し、自分で地下に潜ります。
たまたま潜り損ねた匍匐茎を見つけました。先端に芋ができています。
こちらの株には、10月以降に発生した匍匐茎が見えます。遅く発生したため、十分な生育期間を確保できず、芋も着けられません。9月中に力のある匍匐茎を数多く出させることが、栽培の秘訣です。
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