トップページ > 県政情報・統計 > 県概要 > 組織案内 > 企画財政部の地域機関 > 秩父地域振興センター > 県民生活 > 『秩父共助スタイル~ちちぶでひろがる新しい輪~』地域活動に参加してみませんか! > NPO活動体験レポート 第2回 認定NPO法人森のECHICA
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掲載日:2023年12月13日
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【代表理事の葭田昭子さん】
2007年10月、地元の幼稚園の教育方針が突然、変更されると連絡を受けました。この幼稚園には私も息子も通い、卒園した後も評議員として関わりを続けていました。教育方針への信頼が厚かっただけに保護者たちは大騒ぎでした。私にとっても、にわかには信じられない出来事で、大好きだった幼稚園の姿が変わってしまうことに何もせずにはいられませんでした。そこで、この幼稚園をモデルとした「ようちえん」を母たちの手でつくろうと決意し、2008年4月、花の森こども園を開園しました。
その後、花の森こども園の運営にあたり当時の秩父市長のもとを訪れた際に法人格の取得をすすめられ、地域貢献の自覚をさらに強めるためにも2010年4月、NPO法人を立ち上げました。
主な活動は、花の森こども園の運営です。花の森こども園は環境教育のエッセンスを取り入れた「森のようちえん」を実践しています。花の森こども園で過ごす子どもたちは、自然体験活動を通して教育理念である「いろんな命との共生」を全身で学んでいます。私たちは、そんな子どもたちが自然に触れながらのびのびと成長していけるように「黒眼の端っこ※」で見守っています。
花の森こども園には、秩父地域に住む子どもだけでなく、深谷市、川越市などの遠方や外国の子どもなどたくさんの子たちが来てくれています。
※それぞれの子どもの気質や体力に合わせて、先生たちはいい具合に気配を消して見守っていることを花の森こども園では「黒眼の端っこ」で観ると表現しています。
【木々に囲まれた園庭で過ごす様子】
森のECHICAは多くの人に支えられて活動ができています。例えば、地元の職人さんが施設の整備に来てくれたり、近所のかたは採れた野菜をくれたりと日頃からの心遣いにとても感謝しています。また、毎月行っている環境整備活動には、ようちえんのクルーや保護者、地域の皆さんが協力してくれます。
森のECHICAの活動が地域の交流の場となり、活動を重ねるたびに地域の皆さんと親しくなれることにやりがいを感じています。
【環境整備活動で設置したブランコ】
花の森こども園は2008年に皆野町で開園し、2020年に秩父市に移転しましたが、場所探しには苦戦しました。複数の候補地に足を運び交渉をしましたが断られることが続きました。しかし、諦めずに探し続けた結果、現在の拠点である秩父市下吉田の森に出会うことができました。「森のようちえん」にぴったりな場所を見つけることができ、とても嬉しいです。
さらに、花の森こども園の運営に係る資金繰りにも悩まされました。予算は保育料だけと厳しい時期もありましたが、お金がかけられないからこそ工夫を凝らすことが楽しかったし、買わずに手造りしたものにはより一層愛着が湧いています。
【花の森こども園の園舎と園庭】
東京都の隣に位置し首都圏の印象が強い埼玉県ですが、北部・西部には豊かな山間部をもつ、ひと県で二度おいしい県です。そんな埼玉県にある秩父は、90%近くが森林で自然と触れ合える都心に近い田舎、人とひとが近い仲、「ちかいなか」です。
埼玉県にいても素敵な田舎暮らしができる!
ということをアピールしていきたいと思っています。
そして、人とひとが近い仲だからこそ秩父にはたくさんの地域コミュニティがあります。まずはその輪に参加してみてはいかがでしょうか。誰かと何気ない時間を過ごすことで心が大きく動くかもしれません。
花の森こども園のクルーとして参加させていただきました。花の森こども園では、24名の子どもたちがヤギやウサギ、チャボとともに過ごしています。生き物や自然が大好きで、「森にお邪魔させていただく」という素敵な心を持った子どもたちと過ごせることが非常に楽しみでした。
【山羊のリイサに挨拶をする当センター職員】
令和5年7月24日10時、朝の会から1日がスタートしました。夏季保育に登園してきた10人の子どもたちに自己紹介をし、子どもたちも元気な声で挨拶をしてくれました。活気に満ち、きらきらとした眼差しが印象的でした。
【朝の会】
天気が良かったため、午前中は川に遊びに行きました。川までの山道はかなり険しい道のため、子どもたちが安全に歩けているか注意深く見守りました。必要に応じて子どもたちの列の間に入って声をかけたり、手を差し伸べたりといったサポートをしました。
道の途中で、「蜂の巣があるから気を付けてね」と子どもたちが教えてくれました。花の森こども園では、危険だからと駆除してしまうのではなく「蜂も頑張って生きているのだから大人になるのを応援してあげようね」と子どもたちに話しているそうです。命の大切さを伝えるこの言葉に感銘を受けました。
【川遊びの道具を持って山を下る様子】
森を抜けると、そこには見事な自然のプールがありました。子どもたちは川遊びが大好きなようで大はしゃぎ、水のかけあいやワニ歩きなど全身で楽しむのはもちろんのこと、川に住む生き物や植物にも興味津々でした。川の流れが速い所や深い所については、子どもたちが行かないように誘導しました。また、上流から流れてきたものを見つけて、「これはなんだろう?」「どこから来たんだろう?」と考える様子が見られました。遊びながら楽しく学ぶことができる環境教育の良さを感じられた瞬間でした。
【川遊び】
川で遊んだ後は、花の森こども園に戻り、お昼ご飯を食べました。子どもたちは給食が入ったお弁当箱と水筒を持ち、園庭で楽しそうに食事をとっていました。
【お昼ご飯を食べる様子】
夕方頃、子どもたちは家に帰っていき、保育業務が落ち着いたので花の森こども園の森を見学させていただきました。花の森こども園ができる前は、人が入るのも難しいほど草木が生い茂っていたそうですが、ようちえんのクルーや保護者、近隣住民のかたの協力により、現在の美しい森が完成したと伺いました。森の中はとても涼しく空気が澄んでいて、自然の偉大さを感じました。
【花の森こども園の森】
小さい子どものお世話をほとんど経験したことがなかったため、最初は不安や緊張がありました。しかし、ようちえんのクルーの皆さんが子どもとの向き合い方や保育の内容をわかりやすく教えてくださったおかげで、子どもたちと楽しく関わることができました。
また、葭田さんとの対談で、交流のために一般の方々にも昼食の時間は園を開放していることや憩いの場として多世代交流カフェを運営しているというお話を聞いて、まさに秩父地域の振興の一端を担っている活動だと思いました。NPO活動やボランティアの魅力も知ることができ、地域活動への興味が大きくなりました。豊かな自然と人の温もりをダイレクトに感じることができる秩父地域で地域活動をするのはとても楽しく素晴らしいことだと感じました。
[取材日:2023年7月24日]
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