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掲載日:2021年7月5日
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*「法」・・・土地収用法(昭和26年6月9日法律第219号)、「規則」・・・土地収用法施行規則、「施行令」・・・土地収用法施行令
起業者は、事業の認定の告示があった日から1年以内に限り、収用又は使用する土地が所在する都道府県の収用委員会に収用又は使用の裁決を申請することができます(法第39条第1項)。
裁決には、却下の裁決(法第47条)のほか、権利取得裁決(法第48条)と明渡裁決(法第49条)があります。
権利取得裁決は、土地に関する権利の取得とこれにより生じる損失の補償、明渡裁決は、土地等の明け渡しとこれに伴う物件移転料等の補償を主な内容としています。
このページに掲載している項目は次のとおりです。
起業者は原則として実測により、収用又は使用しようとする土地及びその土地にある物件についての詳細な調査をし、土地所有者及び関係人の立会いのもとに調書を作成しなければなりません。
調書の記載事項には、事実である旨の推定力が与えられ、調書作成時に異議を付記しなかった事項については、起業者、土地所有者及び関係人は、それが真実に反していることを立証しないかぎり、異議を述べることができません(法第38条)。調書はこのような意義をもつものですから、たとえ収用又は使用しようとする土地に物件がなくても、その事実を明らかにして、収用委員会の審理を円滑にするため、物件調書を作成する必要があります。
調書を作成するにあたり、起業者は収用又は使用しようとする土地及びその土地にある工作物に立ち入り、測量、調査をする必要があります。
事業の認定の告示があった後、起業者は、立ち入ろうとする日の3日前までに、その日時及び場所を当該土地又は工作物の占有者に通知すれば、同意を要さずに、必要な立入調査をすることができます(法第35条)。
しかし、土地の境界、物件の所有者及びその使用者等を確定する必要があるので、なるべく同意を得た後に平穏に調査を完了するように努めます。
なお、土地所有者、関係人その他の者が正当な理由がないのに立入りを拒み、又は妨げたため、測量又は調査をすることが著しく困難であるときは、他の方法(例えば、航空写真、隣地からの観察等)により知ることができる程度で調書を作成すれば足りるものとされています(法第37条の2)。
(1)土地調書の場合
(2)物件調書の場合
(1)土地調書の場合
(2)物件調書の場合
このようにして、調書の素案を作成した後、起業者は、現地において土地所有者及び関係人に立ち会っていただき、署名押印をしていただかなければなりません(法第36条)。この場合、あらかじめ立会いの日時、場所を通知しておく必要があり、この通知は、後日の紛争を避けるため、立入通知と同様に配達証明によって送付します。
また、当事者の1人でも署名押印を拒否した場合には、その理由を記して、市町村吏員の署名押印を求めることになります(法第36条第4項)。
このようにして調書が作成された後、起業者は裁決申請及び明渡裁決の申立てができることになるのです。
なお、この申請及び申立ては、通常、同時に行うため、土地調書及び物件調書は、同時に作成することになります。
収用委員会に裁決の申請をしようとするときは、起業者は、国土交通省令で定める様式に従い裁決申請書を作成し、次に掲げる書類を添付して、収用又は使用しようとする土地の存する都道府県の収用委員会に提出しなければなりません(法第40条、規則第16条、規則第17条、別記様式第十)。
なお、事業認定の告示後、1年以内に裁決申請をしないときには事業認定は失効してしまいますが(法第29条)、認可を受けた都市計画事業についてはこの規定は適用されず、事業の施行期間中はいつでも裁決を申請することができます(都市計画法第70条、第71条)。
土地調書の写しを添付する。
収用委員会に明渡裁決の申立てをしようとするときには、起業者は、国土交通省令で定める様式に従い、明渡裁決申立書を作成し、必要な書類を添付して、都道府県の収用委員会に提出しなければなりません(法第47条の3、規則第17の6、規則第17条の7、別記様式第10の3)。
物件調書の写しを添付する。
起業者が裁決申請、明渡裁決の申立てをし、収用委員会がそれを受理した後の流れは次のとおりです。
収用委員会は、市町村長に裁決申請書及びその添付書類を送付し、併せて土地所有者及び関係人に裁決の申請があった旨を通知します(法第42条第1項、法第47条の4第1項)。
送付を受けた市町村長は、申請、申立てがあった旨を公告し、その書類を2週間、公衆の縦覧に供します(法第42条第2項、第47条の4第2項)。この縦覧期間中に土地所有者及び関係人は、収用委員会に意見書を提出することができます(法第43条第1項、法第47条の4第2項)。この意見書は、収用委員会の審理のために重要であり、特に損失の補償に関する事項以外については、この意見書で記したこと以外は審理において新たに意見を述べられません(法第63条)。
この縦覧が終了すると、収用委員会は裁決手続開始の決定をし、その旨を公告し、起業者が前提登記を完了した後に、裁決手続の開始の登記を嘱託します。この登記は、収用する土地に関する権利を固定し、権利者が誰であるかを明確にし、収用委員会の審理を円滑にするものです(法第45条の2)。
裁決申請書等の写しの縦覧期間が経過した後、収用委員会は審理を開始することになります。
起業者、土地所有者及び関係人並びに意見書を提出した者には、収用委員会からあらかじめ審理の期日及び場所が通知されます(法第46条)。
審理の手続は、収用委員会会長が指揮します(法第56条、法第64条)。起業者、土地所有者及び関係人は、裁決申請書の縦覧期間中に提出した意見書について意見を述べたり、損失の補償について意見を述べることができ、さらに、資料の提出、参考人の審問、鑑定人の鑑定、実地調査を申立てることができます(法第63条)。
また、収用委員会は、職権によって土地所有者等の審問、意見書・資料の提出命令、鑑定命令、土地・物件の調査を行うことができます(法第65条)。
このようにして、数回の審理を経て十分に審理を尽くし、収用委員会は、却下裁決のほか、収用又は使用の裁決をしなければなりません(法第47条の2第1項)。
収用又は使用の裁決は、権利取得裁決と明渡裁決とに分かれます(法第47条の2第2項)。
裁決は、その正本を当事者に送付することによってその効力が生じます(法第66条)。権利取得裁決及び明渡裁決の効果は次のとおりです。
裁決で定められた時期までに起業者に土地の所有権あるいは使用権を取得させ、補償金を土地所有者、関係人に支払わせることにあります。
なお、権利取得の時期までに補償金の支払がないときには、裁決は失効します(法第100条第1項)。
収用によって起業者の所有となった土地については、起業者が、所有権移転の登記を嘱託します。この場合、登記に必要な書類は、裁決書の正本及び支払を証する書類(補償金の受領書又は供託受理証明書)であり、登記原因は「収用」です。この登記によって、抵当権等の所有権以外の権利の登記は、登記官の職権により抹消されることになります。
裁決で定められた期限までに土地又は物件の占有者に対し、物件を移転し、土地を起業者に引渡す義務を課し、起業者には、補償金を支払わせることにあります。
なお、明渡期限までに補償金の払渡等がなされないときには、権利取得裁決と同様に裁決は失効します(法第100条第2項)。
補償金を受ける者がその受領を拒むときは、起業者は、支払に代えて収用又は使用しようとする土地の所在地の法務局に補償金を供託することができます。供託することによって支払があったのと同様の効果を生じます(法第95条第2項、法第97条第2項)。
土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者がその義務を履行しないとき等は、起業者は都道府県知事に対し、行政代執行法による代執行の請求をすることができます(法第102条の2第2項)。
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