インタビュー・コラム
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掲載日:2022年12月8日
陣出 麻衣子(じんで まいこ)さん
プロフィール
岩手県花巻市出身。埼玉県さいたま市に在住。
「陶絵付け教室Salon de Maiko」を起業。
陶絵付け教室講師・アーティスト。
陶磁器の絵付け指導やオンライン動画教材作成、作家活動、絵付け食器の販売などを中心に活動中。
小学1年生、年長、2歳の子を持つ30歳代の母。
会社員の夫と協力し、育児に励みながら仕事と家庭のバランスを大切にしている。
Salon de Maiko:https://salondemaiko.net/
YouTubeチャンネル:「まいこのお部屋」
2018年 |
各展示会などに作家(アーティスト)として出品・出展し始める
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2020年 |
「陶絵付け教室Salon de Maiko」をオープン
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2021年 |
HP開設
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2022年 |
銀座奥野ビルギャラリーラーに出展・販売
「ZEN展」銀座選抜展出展 |
起業することに抵抗はなかった
実家は代々続く『染物店(製造・販売)』で、父が花巻市の『匠』という功労賞を頂き、地元だけにとどまらず全国の祭事・神事に商品を納めておりました。染物は色の出し具合と組み合わせが非常に繊細で、幼い頃から手伝いの傍ら「本物」を見て育つことが出来たのはある意味恵まれた環境だったと思います。また、大学生の長期休暇には、企画~製造~販売の全ての工程を経験しています。
父からの「まずは社会人としての経験も必要」という勧めもあり、大学卒業後は保険会社に一般職として就職しましたが、会社員として働くより、自分のオリジナリティを強みに一生の仕事がしたいと思い、起業することに抵抗はありませんでした。
結局、家業は継ぎませんでしたが、実家の手伝いも会社員であった経験も起業に役立っています。
「陶磁器絵付け・ポーセリンペインティング」との出会い
社会人2年目の時に洋食器が好きな同期から「将来、私の夫が経営するフレンチのお店で、あなたが絵付けしたお皿を使ってみたいわ」という何気ない言葉をかけられたのがきっかけで、「陶絵付け学院原宿陶画舎」というスクールに通いはじめました。仕事帰りにちょっと寄って行くかと軽い気持ちではじめた陶磁器絵付けでしたが、凝り性なこともあって、奥が深くて職人的なところにどんどん惹かれてしまいました。
習い事だった「陶磁器絵付け・ポーセリンペインティング」を「仕事」にすることができて良かったです。
陶絵付け教室をオープン 「ゼロからスタート」
教室をオープンするために一般的な教室運営をしているところを徹底的にリサーチしました。コロナ禍だったこともあり、生徒様として誰かが来てくれる保証があるわけではなく、「まずはやってみよう」とスタートしましたが、不安は少なかったです。
不安が少なかった理由は、経済面と技術面にあると思っています。
経済面では、自宅の1室をサロン用として準備して、賃料などの固定費が事業を圧迫しない計画を立てました。備品類は、これまで習ってきていた道具一式を利用しています。自分の会社員時代に貯金してきたものを含めて主人と相談し、数年前に自宅を建てています。大きな意味でのワークライフ計画を立案しており、起業に向けて大きな諸経費はなく、今のところ融資制度は利用していません。
技術面では、約12年通い日本最大手である原宿陶画舎の最上位資格を2020年2月に取得しました。人に教えるにあたっての技術は十分に身に付けられたと思っています。
この資格取得の過程では子供3人を出産しており、出産・育児との両立という点でも常に悩み悪戦苦闘しながらだったと思います。女性の起業という面で、家庭を犠牲にせず実現するには、家族みんなの協力が必要だと思っています。そして、家族みんなの後押しは申し分ないです。私が、自分自身の強みを理解し、少しずつ積み上げていく姿を見せることで家族も本気度を感じてくれています。展示会や販売会などの搬入・搬出の際には、協力してもらい、応援してもらっています。アート作品が溢れる会場に連れていき、子供たちにも私の作品を見てもらうことは、やりがいにも繋がっています。
自宅サロンをオープンした直後に思わぬトラブルもありました。
原宿陶画舎の浦和分室として教室をはじめましたが、原宿陶画舎の閉店が決定。精神的なショックに加えて、筆や絵の具などの購入場所も失って、途方にくれました。夫と話し合い、新たな購入先や販売ツール・商品企画を練り直しました。振り返ると自立を決意する契機でもありました。
WEBツールも手作り
ホームページやSNSも自分自身で作成・運営しています。
2021年2月にホームページを開設しました。どこかの会社さんが提供しているようなパッケージではなく、自分自身の資産になればと思い、wordPressで自作しています。詳しくないしプロではないので、YouTubeのホームページ開設動画を見たり、書籍を参考にしたりして勉強しています。ホームページについては、創業ベンチャー支援センター埼玉のアドバイザーの先生に、もう少し改善が必要だねって言われました(笑)。
今年、Instagramのショップ開設とYouTubeチャンネル「まいこのお部屋」に動画投稿も開始しました。WEBツールを充実させて作品をアピールし、ファンを増やして集客につなげています。
写真撮影は、作品をより良く見せるために構図を考えて、自分の表現したい世界を作り上げることを心掛けています。昨日より上手く撮れたと日々少しずつ上達しています。
このようなSNSは、「写真の撮り方が素敵」とか「HPのデザインもキレイだし、自作されていてすごい」などの本業(陶絵付け)ではないところで嬉しい反響を頂けていることもモチベーションの継続に繋がっています(笑)。また、写真の撮り方を教わりたいというような話もあるので、少し時間を作れたら検討してみようかなと考えています。
「なりたい理想像」は定期的に見直し
なりたい理想像を先に決めて、それが実現できるように今できることを設定することが大切だと思います。また、なりたい理想像はあくまでも通過点であり、定期的に見直してアップデートしていくべきだと思っています。
焦りすぎるのも良くないと気づき、結果はすぐ出るものではないと自分に言い聞かせることも重要だと考えています。
やはり女性の起業家となると、なりたい理想像と現実のギャップに悩み、相談を出来る相手も少なく孤独感を感じて数年で断念をされている方が多いのかなと感じています。その点、創業ベンチャー支援センター埼玉では、起業家同士のコミュニケーションも取れるので、孤独を感じることも少ないです。埼玉県の起業家支援の仕組みって素晴らしいなと思います。
オリジナリティを大切に
以前、日本画の美術講師の方から「あなたの作風は女性であるあなたにしか表現できない。僕が描こうとしてもこのような繊細で優しい雰囲気の作品は描けないんだよ」とおっしゃっていただいたことが励みになっています。
そして、他ジャンルのアーティストの方々もリスペクトしています。他ジャンルに触れることで、新たなアイデアやチャンス、人脈づくりにつながっています。今後は、自宅の一部をギャラリーとして開放し、色々なジャンルの作家を集め、展示会を催す計画を立てています。
ポーセリンペインティングを多くの方に知っていただく機会になるように活動していきたいと思っています。