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掲載日:2023年7月31日
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収用裁決申請等の手引き・第1編第7章 災害発生時など緊急に土地の使用を必要が生じた場合の特別手続
土地収用法に基づく緊急時の使用許可等の概略についての説明です
緊急に施行する必要がある事業のための事業施行者による土地の使用(以下「緊急使用」と略記します)には「非常災害時の際の土地の使用」と「緊急施行を必要とする際の土地の使用」があります。この場合、「土地の使用」に限られ「収用」はその範囲外です。その理由は、この制度が非常災害時での一時的な使用に限っての例外措置として設けられた制度であるからです。
前者(法122条)は非常災害の際の土地の使用で公共の安全を保持するために事業を特に緊急に施行する必要がある場合に認められるものです。
使用の許可の権限は、市町村長・国の支分局の機関の長・都道府県知事がそれぞれの起業者の区分に応じて行使します。
後者(法123条)は、既に裁決申請が行われている土地について、事業を緊急に施行する必要がある場合に、明渡裁決を待っていたのでは公共の利益に著しく支障をおよぼすおそれがあるときに認められるもので、収用委員会が使用許可の権限を行使します。
また、いずれの場合もその使用に係る損失補償の金額について協議が整わない時は、収用委員会が裁決します。(法124条第1・2項、94条第2項)
なお、これら2つの使用に係る処分については、行政不服審査法に基づく不服申立て(国土交通大臣への審査請求、収用委員会への異議申立てなど)をすることができないとされています(法第132条第1項第2号)。
参考Memo
例えば、災害救助法第23条の2による強制措置や消防法第29条に基づく緊急処分、水防法第28条の公用負担、大規模地震対策特別措置法第27条の応急公用負担の場合には、それぞれの法で定める者に対して、その損失の補償を求めることができます。この場合に協議が調わないときは、行政事件訴訟法第4条の当事者訴訟として取り扱うこととなります。
1 「使用」できる場合の要件
起業者は、非常災害に際し、公共の安全を保持するために法第3条各号に規定する事業を特に緊急に施行する必要がある場合に、事業の種類、使用しようとする土地の区域並びに使用の方法及び期間について市町村長の許可を受けて、他人の土地を使用することができます。
ただし、当該使用の許可を得て行う事業とは、土地収用法第3条各号に掲げるものに限定されますから、災害救助法などの法令を根拠として行う行政機関の活動等とは異なることに注意が必要です。
なお、使用の許可の例外として、(1) 起業者が国であるときは、当該事業の施行について権限を有する行政機関又はその地方支分部局の長が、(2) 起業者が都道府県知事であるときは、都道府県知事が、市町村長に通知することで足ります。
市町村長は、自ら許可をしたとき又は国の行政機関等の長や都道府県知事から通知を受けたときには、直ちに起業者の名称、事業の種類、使用しようとする土地の区域並びに使用の方法及び期間を土地の所有者及び占有者に通知します。(法第122条第1項及び第3項)
2 使用の期間
使用の期間は、許可があった日又は市町村長に通知をした日から6か月以内です。
使用期間の更新は、認められるものと解されています。(法第122条第4項)
3 権限の制限
使用の対象となる区域、使用の方法、期間は「公共の安全を保持するために必要且つやむを得ない」範囲に限られます。(法第122条第2項)
通常の民事訴訟手続での「仮処分」的な性格の使用許可です。
1 「使用」できる場合の要件
2 使用の期間
使用の期間は、許可のあった日から6月です。更新は認められません。(法第123条第2項)
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