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掲載日:2024年10月23日
Q 権守幸男 議員(公明)
昨年6月の県議会で、私は、勤務実態調査に加え、教員の勤務環境改善に向けて、勤務時間に表れない実態を把握し、教員とその家族の声を聞くことが重要だと教育長に提案しました。
これを受け、県で独自に令和5年11月から12月にかけて県立学校、令和6年1月には小・中学校の教職員とその家族にアンケートを実施しました。県立学校からは1,843件、小・中学校からは6,424件の回答が寄せられ、非常に大きな反響があったことが分かります。
教職員やその家族からは、現在の勤務状況について、率直で切実な思いが書かれていたと聞いています。これら一つ一つの声が、教職員やその家族だけでなく、未来の教職員を目指す学生や子供たちにも大きな影響を与えると深く感じています。より良い勤務環境の実現にしっかり役立てていただきたいと強く思います。
そこで、県立学校と小・中学校それぞれのアンケート結果をどのように評価し、どのように分析したのか、教育長の見解を伺います。
また、アンケート結果により、時間外在校等時間は減っているものの、持ち帰り業務が増えている可能性があることが浮き彫りになりました。特に中学校の教員やその家族に、大きな負担がかかっていることがはっきりと感じ取れます。この深刻な状況に対し、どのように対応されるのでしょうか。また、より良い勤務環境を築くために具体的にどのような対策が必要だとお考えか、併せて教育長の見解を伺います。
私は、教員の負担軽減の一つの対策として、ICTを活用した業務のデジタル化が不可欠だと考えます。
東京都では、令和4年度から都立高等学校等203校でデジタル採点システムを導入し、AIが採点業務をサポートしています。定期考査1回の採点業務にかかる時間が半減されたと報告されています。採点ミスも減少したという教員の声もあるそうです。デジタル採点システム導入により、教員が生徒と向き合う時間が増え、子供にも大きなメリットになると期待されています。本県でも同様の取組を導入することが非常に有効だと考えますが、教育長の見解を伺います。
A 日吉亨 教育長
まず、県立学校と小・中学校のアンケート結果をどのように評価し、どのように分析したのかについてでございます。
議員御指摘のとおり、アンケートには、教職員やその御家族から率直で切実な御意見が寄せられ、一つ一つが重みのある内容であると評価しております。
分析につきましては、県立学校、小・中学校に共通して、部活動が負担という意見があり、御家族にとっては、健康への不安や、家族で過ごす時間が減少していることへの悩みが多く寄せられました。
それ以外にも、小・中学校では「教員の不足」や「保護者の対応」についての悩み、県立学校では「授業準備の時間が不足していること」や「授業以外の校務についての負担」についての声が多く寄せられ、学校種ごとに課題が異なっていると分析しております。
次に、持ち帰り業務が増えている可能性があり、特に中学校の教員やその御家族に大きな負担がかかっている深刻な状況への対応についてでございます。
議員御指摘のとおり、全体としては教職員の時間外在校等時間は減少しているものの、アンケート結果からは「授業以外の業務が多い」、「勤務時間外まで部活動の指導を行っている」という意見があり、持ち帰り業務につながっている可能性がございます。
そこで、方針の最終年度であるこの時期に、業務削減の取組について引き続き推進するとともに、特に中学校においては、勤務時間内での部活動時間を確保するために、日課表を工夫している具体的事例を示すなどして、市町村に対し、強く働き掛けてまいります。
次に、より良い勤務環境を築くために、具体的にどのような対策が必要かについてでございます。
より良い勤務環境には、時間内に業務が終了するよう、教員が担うべき業務に集中できる職場環境づくりが不可欠であると考えます。
そのためには、教職員の業務の役割分担や更なる適正化について、管理職がマネジメント能力を発揮し推進していくことが重要です。
そこで、小・中学校では、令和6年4月の校長研究協議会において、私自ら校長に対し、校長のマネジメントの重要性について指導するとともに、教育局幹部が目標達成に向けた効果的な事例を具体的に示すなどの講義を行いました。
また、県立学校では、管理職を対象にしたマネジメント研修について、令和6年度からは、年5回から11回に実施回数を増やし、実践的な業務改善の視点を持った学校経営についての内容を新たに加えました。
今後とも、教職員の業務の役割分担や更なる適正化を進め、より良い勤務環境を築いてまいります。
次に、デジタル採点システムの導入についてでございます。
議員お話しのとおり、デジタル採点システムは、採点業務にかかる時間を短縮できるなど、教員の負担軽減策として有効であると考えます。
本県では、令和4年度から令和5年度にかけて、県立高校10校を指定校とし、デジタル採点システムを利用して採点業務を行う実証事業を実施しました。
その結果、システムを活用した6割以上の教員が、採点業務にかかる時間が50パーセント以上短縮されたと回答しております。
県では、こうした成果を踏まえ、県立高校へのデジタル採点システムの導入について、検討を進めてまいります。
また、市町村に対し、実証事業における成果を周知してまいります。
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