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ページ番号:255393

掲載日:2024年7月8日

令和6年6月定例会 意見書

意見書・・・・次の13件です。

電力価格の高騰抑制や安定供給の確保等を求める意見書

国際情勢の変化や急速な円安の進行等に伴う化石エネルギー価格の高騰により、日本経済は深刻な影響を受けており、エネルギーの安定供給をとりまく課題が表面化している。
日常生活や企業活動に欠かすことのできない電気等の価格の上昇は、あらゆる財やサービスの価格上昇につながり、家庭や企業等にとって大きな負担となる。
また、世界各国で大規模な自然災害が発生するなど、気候変動への対策は急務であり、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、エネルギーの脱炭素化に向けた取組を加速させなければならない。
エネルギー価格高騰などの構造的問題に対しては、再生可能エネルギーの最大限の導入等により、供給面のリスクや価格変動の大きい化石燃料への依存から脱却し、エネルギーの安定供給の確保と脱炭素化を両立させることが極めて重要である。さらに、再生可能エネルギーの活用促進にあたっては、系統制約への対応が不可欠である。
よって、国においては、電力価格の高騰抑制と安定的な電力供給の確保、再生可能エネルギーの活用促進のため、下記の措置を講ずるよう強く要望する。

1 電力価格については、国による補助が本年8月分から10月分まで措置されることが発表されたところであるが、今後も燃料価格の推移を踏まえ、社会情勢に応じた柔軟な対応に努めること。
2 省エネルギーや節電について、国民や事業者等に対し、普及啓発や財政支援をはじめ、具体的な支援を強化すること。
3 再生可能エネルギーの主力電源化と電力需給の安定化に向けて、地域間連系線などの基幹系統の増強や系統用蓄電池導入など電力需給調整のための取組を強力に推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣                       様
経済産業大臣
環境大臣
内閣官房長官
経済財政政策担当大臣

国土強靱化実施中期計画の早期策定を求める意見書

近年、自然災害が激甚化・頻発化しており、県民の命や暮らしや経済活動に深刻な影響を及ぼす恐れのある首都直下地震の切迫性も高まっている。
県民の生命・財産・暮らしを守り、社会の機能を維持するために、防災・減災、国土強靱化の取組は一層重要となっており、ハード・ソフト両面からのきめ細かな対策を強力に推進する必要がある。
国においては、令和7年度までを期間とする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を策定し、地方自治体とともに流域治水対策や道路網の強靱化、災害に強い市街地の形成など重点的かつ集中的な対策に取り組んでいる。
昨年6月の「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」の改正において、国土強靱化実施中期計画の策定が法定化され、計画期間や実施すべき施策の内容・目標、特に推進が必要な施策の内容やその事業規模等を定めることとなった。これにより、実施計画が切れ目なく策定され、継続的・安定的に国土強靱化の取り組みを進めることが可能となった。
現在は、策定に向けた施策の実施状況の評価などが行われているが、本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」では、2024年度の早期に策定に取り掛かるとされた。
国の中長期かつ明確な見通しの下で、計画が早期に示されることは、地方自治体においても、強靱化の事業を切れ目なく構築するために重要である。
よって、国においては、更なる国土強靱化の推進に向けて、国土強靱化実施中期計画を早期に策定することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣                       様
国土交通大臣
内閣官房長官
国土強靭化担当大臣
経済財政政策担当大臣

介護職員や介護支援専門員等の更なる処遇改善を求める意見書

超少子高齢社会が到来する中、介護サービスに対するニーズは一層高まっていくことが見込まれている。介護施設や事業所に勤務する介護職員や、要介護者等からの相談やケアプランの作成、サービス事業者との連絡調整等を行う介護支援専門員等の確保は急務であるが、人材不足の状況は深刻である。
介護を担う人材は、他産業に比べて給与が低い。令和5年賃金構造基本統計調査によれば、全労働者の給与額347万円に対し、福祉施設介護員は264万円、ホームヘルパーは284万円、介護支援専門員は297万円と大きな差がある。
国では、介護報酬の改定や地方自治体への交付金等を通じて、これまでもこうした人材の処遇改善に取り組んできた。令和6年度の介護報酬改定においては、介護職員の処遇改善分0.98%を含む1.59%のプラス改定となった。
しかし、民間企業全体で約30年ぶりの高水準となる賃上げが進む状況において、介護人材の不足解消に向けて更なる処遇改善に取り組む必要性は高い。
こうした中、国は、国民に質の高い介護サービスを提供する体制を維持・発展させていくために、介護人材の確保と定着に不可欠な処遇改善等について、一層の推進をしなければならない。
よって、国においては、介護職員や介護支援専門員等の更なる処遇改善を実施するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣                       様
厚生労働大臣
内閣官房長官
経済財政政策担当大臣

介護サービス事業者の安定的な運営確保の推進を求める意見書

介護サービス事業者は、新型コロナウイルス感染症の5類移行後においても、必要な感染対策の実施や物価高騰の影響により大変厳しい経営環境にある。
光熱費・食材料費の物価上昇分はコストを削減するだけでは対応できず、介護サービスは国が定めた介護報酬により運営されているため、利用者へ転嫁することも難しい。また、特に車両による移動が必要な訪問看護事業者においては、ガソリン価格の高騰の影響も大きく受ける。
令和6年度介護報酬改定では、介護現場で働く方々の処遇改善を確実に行いつつ、サービス毎の経営状況の違いも踏まえたメリハリある対応を実施するとされ、全体では1.59%のプラス改定となったものの、光熱費等の高騰への対応は十分とは言えない。
また、訪問介護については、令和5年度介護事業経営実態調査で収支差率が他のサービスに比べて良好であったこと等から基本報酬が減額改定となった。しかし、経営形態は一様ではなく、この調査ではその36.7%が赤字であることが示されている。利用者宅を一軒ずつ訪問するため移動に時間を要する小規模な事業者からは、特に、経営の厳しさを訴える切実な声もあがっている。
このような中、令和6年6月5日、衆議院厚生労働委員会は、「介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する件」を全会一致で決議し、令和6年度の介護報酬改定の影響に係る検証やその結果を受け必要な措置を講ずること等を求めた。
よって、国においては、介護サービス事業者の安定的な運営確保の推進のため、下記の措置を講ずるよう強く要望する。

1 物価高騰などの社会経済情勢を踏まえ、介護サービス事業者の経営の安定化に資する必要な取組を強化すること。
2 令和6年度の介護報酬改定の影響について、訪問介護事業所をはじめ介護サービス事業者等の現場の実態を速やかに調査・検証するとともに、その調査・検証の結果に鑑み対策を早急に検討し、必要な措置を速やかに実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣                          様
厚生労働大臣
内閣官房長官
経済財政政策担当大臣

保護司の安全確保のための環境整備を求める意見書

保護司は、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアであり、保護観察官と協働して保護観察に当たっている。犯罪や非行をした人たちと定期的に面接を行い、更生を図るための指導をするとともに、刑事施設や少年院から社会復帰を果たしたとき、スムーズに社会生活を営めるよう、住居や就業先などの帰往環境の調整や相談を行っている。
昨年1月時点で、全国約4万7千人の保護司が活動を行っているが、その数は減少傾向にあり、担い手の確保が次第に困難となっている。また、職務を行うために要する実際の費用が、法務省令に基づく実費弁償金を超過し、持ち出しが生じているとの声もある。
このような中、法務省では、持続可能な制度を目指すため、昨年5月に「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」を設置し、今年3月の中間報告では、新任の年齢制限の撤廃や公募制度の試行、実費弁償金の充実など保護司の確保に向けた内容が示されたところである。
しかしながら、本年5月、滋賀県大津市で男性保護司が殺害された事件を契機に、当該検討会では、急遽、安全確保への課題についても協議が行われることとなった。
この事件を受けて、全国の保護司やその家族は大変な不安を抱える中、国が、保護司の安全確保徹底を図り不安を解消することは急務である。また、世界に誇るべき我が国の保護司制度を今後も持続的に維持していくためには、保護司の意見に耳を傾け、必要な環境整備を早急に進め、地域社会の安全・安心につなげていくことが重要である。
よって、国においては、保護司の安全確保に向けて下記の措置を講ずるよう強く要望する。

1 保護司の安全面に関する点検を早急に行うこと。また、自宅以外の面接場所の確保を進め、必要に応じて保護司複数担当制の活用や保護観察官による直接処遇などの対応、保護司の心理的な負担軽減策を強化すること。併せて、警察等関係機関との連携を強化し、保護司の安全確保を徹底すること。
2 現在、法務省の「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」において、保護司の待遇や活動環境、職務内容の在り方等に関する検討が進められているが、経済的な負担の軽減等はもとより、安全確保について保護司の意見を考慮し、迅速に検討を進め、必要な措置を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣                       様
財務大臣
内閣官房長官
経済財政政策担当大臣

北朝鮮による全ての拉致被害者等の即時一括帰国を求める意見書

北朝鮮が拉致の事実を認めた日朝首脳会談から20年以上が経過したが、帰国を果たした拉致被害者は5人にとどまり、いまだ拉致問題の解決には至っていない。
本年4月10日の日米首脳会談では、岸田首相は、拉致問題の即時解決に向けた米国の引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領から、改めて全面的な支持を得た。
また、拉致被害者家族等は、4月29日から5月3日に訪米して政府高官等と面会し、拉致は究極の人権侵害であり、米国と緊密な連携が必要であることを説明し、理解を得た。
5月11日には、全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会において、岸田首相は、条件を付けずにいつでも金正恩委員長と直接向き合う決意を示すとともに、首脳会談の早期実現に向け、様々な働きかけを一層強めると述べた。そして、岸田首相自身の手で拉致問題を解決するという強い決意の下、全力で拉致問題の解決に取り組むと強調した。
拉致問題の被害者等とその家族の高齢化が進む中で、時間的制約があるこの問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、一刻も早く解決されなければならない。
よって、国においては、政権の最重要課題である拉致問題について、国際社会と緊密に連携を図り、早期の日朝首脳会談の実現を見据え、あらゆる手段を講じて事態の打開を図り、いわゆる特定失踪者等の拉致の疑いが排除できない方も含む拉致被害者等全員の即時一括帰国を実現させるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣           様
外務大臣
内閣官房長官
拉致問題担当大臣

災害発生時における信頼性の高い情報連携体制の構築への支援を求める意見書

情報通信技術の進歩と、それに伴う様々なデジタルサービスの普及により、あらゆる主体が情報の発信者となり、誰もがこれらを容易に入手することが可能となった。
インターネット上では膨大な情報やデータが流通しているが、近年では、フェイクニュースや真偽不明の誤った情報などに接触する機会が増加している。こうした偽・誤情報の流通・拡散は、利用者が多様な情報をもとに物事を正確に理解して適切な判断を下すことを困難にさせ、安心・信頼してデジタルサービスを利用することができなくなるなどの危険がある。
特に、災害発生時における情報は、多くの住民の命に直結することから、信頼性の高い情報が求められる。令和6年能登半島地震では、虚偽の救助要請や寄付募集、報道機関の公式アカウントのなりすまし投稿、異なる災害時の動画等を用いた投稿などが多数確認された。虚偽の情報を見た者の救助要請により警察や消防が出動し、迅速な救命・救助活動を妨げるような事例も発生したとされている。
災害時は、正確かつ迅速な情報を多くの人々の間で共有する必要が極めて大きい。一刻を争う救命・救急活動や円滑な復旧・復興活動を大きく阻害する偽・誤情報への対策は喫緊の課題である。
よって、国においては、災害発生時における信頼性の高い情報連携体制の構築への支援のため、下記の措置を講ずるよう強く要望する。

1 情報発信者や情報発信機器の事前登録等により、情報の信頼性を担保し、現場からの正確な情報を収集し活用する情報連携体制を整備すること。
2 IoTセンサーやドローンを活用した、国と地方自治体のリアルタイムでの災害情報共有体制を整備すると同時に、適切な情報分析や迅速な対策を助言する気象防災アドバイザーの地方自治体への配置を支援すること。
3 公的情報サイトや政府認定のアプリケーション等住民が正確な情報を入手できる手段の普及を強力に推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣                      様
国土交通大臣
内閣官房長官
デジタル大臣
防災担当大臣
経済財政政策担当大臣

学校給食の無償化制度の構築を求める意見書

学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資するもので、食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上でも重要な役割を果たすものである。主食、副食、牛乳のそろった完全給食の実施率は年々増加しており、小学校の98.8%、中学校の89.8%で実施されている。
昨年12月22日に閣議決定された「こども大綱」では、全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる「こどもまんなか社会」を目指すとともに、地域間格差をできる限り縮小していくことも念頭におきつつ、地方自治体への必要な支援を行うとしている。また、同日に閣議決定された「こども未来戦略」では、学校給食費の無償化の実現に向けて、まず実態調査を行った上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等も含め課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討するとされた。
実態調査結果では、昨年9月時点で無償化を実施している教育委員会の数は722に上り、うち、547教育委員会が小中学生全員を対象とするなど近年その取り組みが広がっていること、また、無償化を実施している教育委員会において、約7割は自己財源を充てているが、実施における課題として、予算の確保が最大の課題とされていることが分かった。
しかしながら、当該実態調査結果を踏まえた国の対応は、児童生徒間の公平性あるいは国と地方の役割分担、政策効果といった観点や法制面から今後、課題整理を行っていくことにとどまっており、無償化決定までには至っていない。
また、既に給食費無償化を実施している教育委員会の間においても、財源の問題から給食の質に格差が生じるため、安定的な財源の確保の重要性が明らかとなっている。
地方自治体の財政力によって学校給食無償化の実施に差が出ることは、地域間格差そのものであり、「こどもまんなか社会」の実現への妨げともなりかねない。学校給食が果たす役割の重要性に鑑みれば、国の責任において、こうした格差は早急に解消されるべきものである。
よって、国においては、学校給食費無償化の実現に向けた検討を速やかに進め、必要な制度の構築を早急に行うことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣                     様
文部科学大臣
内閣官房長官
こども政策担当大臣
少子化対策担当大臣
経済財政政策担当大臣

警察官の増員を求める意見書

本県では、犯罪や交通事故の増加に歯止めをかけ、県内治安の回復を着実なものとしていくため、警察官や会計年度任用職員を増員し、パトロールや取締りの強化などに努めてきた。また、全国最多を誇る自主防犯活動団体に対する積極的な支援を行うなど、関係機関及び団体との協働による事件・事故の抑止対策を推進している。
こうしたことにより、令和5年の刑法犯認知件数は過去最多であった平成16年と比較して約4分の1の49,653件となり、人身交通事故件数も長期的には減少傾向を示しているなど、県内の治安回復傾向は継続している。
しかしながら、犯罪の種類ごとの認知件数を見ると、殺人、強盗をはじめとする重要犯罪は全国3位、侵入窃盗をはじめとする重要窃盗犯は全国1位、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺は全国4位であるなど、全国的に見て、本県の治安情勢は依然として厳しい状況にある。
他方、本県警察官の負担状況を見ると、現在、本県警察官1人当たりの人口負担は全国1位の636人である。また、警察官1人当たりの刑法犯認知件数も4.31件と全国1位であり、サイバー空間の脅威への的確な対処、ストーカー・DV・行方不明・児童虐待事案等の人身安全関連事案への的確な対処、特殊詐欺をはじめとした組織犯罪の撲滅、交通事故防止対策の推進、要人に対する警護等の強化、テロ・災害等緊急事態への的確な対処等、様々な課題に対処する警察官が不足している現状にある。
今後も、事件・事故を減少させ、更なる県内治安の改善を図り、県民が安全で安心して暮らせるまちづくりを実現するためには、警察官の増員による人的基盤の強化が必要不可欠である。
よって、国においては、本県の厳しい治安情勢を踏まえ、いまだ警察官の過重負担が深刻な本県に対して、なお一層の警察官増員を措置するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣              様
総務大臣
財務大臣
国家公安委員会委員長

警察車両の充実強化を求める意見書

本県では、犯罪や交通事故の増加に歯止めをかけ、県内治安の回復を着実なものとしていくため、人的基盤を強化し、パトロールや取締りの強化などに努めると共に、自主防犯活動団体に対する積極的な支援を行うなど、官民一体の犯罪抑止活動を推進している。
しかしながら、平成17年以降連続で減少してきた刑法犯認知件数は、令和4年から増加に転じ、本年も自転車盗等の街頭犯罪が多発傾向にある。
また、特殊詐欺は、令和3年から3年連続で被害額が増加しており、全国的に見て、本県の治安情勢は厳しい状況にある。
現在、本県警察官1人当たりの人口負担は636人、同じく刑法犯認知件数も4.31件といずれも全国1位であり、多様化する警察事象に対応する警察官が不足している現状にある。
今後、将来に亘って、事件・事故を減少させ、県内治安の改善を図り、県民が安全で安心して暮らせるまちづくりを実現するためには、人的基盤の強化と共に事件事故への早期対応に欠かせない警察車両の充実強化が求められる。
警察法第37条及び同施行令第2条では、警察車両の購入に必要な経費は国庫が支弁すると規定されているが、本県の県費警察車両の数は約4割を占めている。
また、警察車両購入費は、世界的な物価高の影響、安全装置の義務化、地球温暖化対策に対応したハイブリッド車等の低公害車の導入のため、1台当たりの単価が上昇しており、県費支出は、さらに大きくなることが見込まれる。
よって、国においては、本県の厳しい治安情勢及び県費支出が高い現状を踏まえ、警察車両の充実強化を措置するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣              様
総務大臣
財務大臣
国家公安委員会委員長

地方税源の偏在是正を求める意見書

地方税は、地方自治体が地域の実情に応じたきめ細やかな行政サービスを提供する上で、最も重要な基盤である。
また、税源は地域的に偏在することなく普遍的に存在し、景気変動に左右されず安定して税収が確保されることが重要である。
令和4年度地方財政状況調査によると、財政構造の弾力性を判断する指標である経常収支比率は、都道府県の平均92.6%に対して、東京都は79.5%と突出して低く、自由に使える財源が潤沢な状況にある。また、普通交付税の算定における令和5年度の東京都の財源超過額は1.6兆円に上り、令和2年度と比べて0.4兆円増加している。
平成20年度以降、累次の是正措置が講じられてきたが、人口・経済の一極集中に加え、近年の電子商取引の普及・拡大で、本社が多く所在する東京都に税収が一層集中する構造が生じていると考えられている。
このような中、財政力の豊かな東京都は、18歳年度末までのこどもに対する月5千円の給付や高校授業料実質無償化における所得制限撤廃等様々な分野において独自の施策を行っている。
結果として、地方自治体間の住民サービスは格差が拡大し、持続的な経済成長や地域社会の自律的発展の妨げにもなっている。
地方自治体間の財源の均衡化を図り、地域間格差をできる限り縮小していくことは、国の責務である。
よって、国においては、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けた取組を早急に行うことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣                       様
財務大臣
内閣官房長官
経済財政政策担当大臣

多様な人材の確保や柔軟な働き方への対応に向けた地方公務員法等の改正を求める意見書

少子高齢化の進展・生産年齢人口の減少をはじめ、個人のライフプラン・価値観の多様化、大規模災害・感染症などの新たなリスクの顕在化、デジタル社会の進展など、地方自治体を取り巻く状況は大きく変化している。
複雑化・高度化する行政課題の解決に向けた人材を確保するためには、採用試験を通じた新規学卒者等の確保・育成だけでなく、民間企業等で多様な経験や高度な専門性を有する人材をより一層公務に誘致し、確保することが不可欠である。併せて、柔軟な働き方への対応も必要である。
近年、少子高齢化による生産年齢人口の減少の影響等から、官民を問わず人材確保が困難になっており、人材獲得競争は更に激化すると見込まれている。総務省の調査によれば、令和4年度の地方自治体の採用における競争試験の競争率は5.2倍と過去30年で最低となった。また、一般行政職の普通退職者は1万2千人を超え、10年間で倍増している。
民間では、雇用制度が大きく変化しており、新卒一括採用中心で人に仕事をつけるメンバーシップ型雇用から、企業が職務内容を明確化した上で、一人ひとりが自らのキャリアを選択するジョブ型人事の導入が進んでいる。
このような状況下において、複雑化・高度化する行政課題に対応すべく、優れた人材を確保していくためには、地域の実情に合わせ、給与や勤務時間等を柔軟かつ迅速に設定することができるよう地方自治体において裁量権のある制度の確立が必要であるが、地方公務員法等により一定の制約がある。
例えば、ジョブ型の給与制度や地方自治体独自の手当、業務時間や業務遂行手段を労働者の裁量に委ねる裁量労働制を採用することはできない。
よって、国においては、多様な人材の確保や柔軟な働き方への対応に向けた地方公務員法等の改正を行うことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣       様
総務大臣

義務教育段階における通信制課程の導入等を求める意見書

高等学校の通信制課程は、勤労青年に高等学校教育の機会を提供するものとして戦後に制度化された。近年では、勤労青年だけでなく、不登校や自由な学びへの志向など様々な事情をもつ生徒に教育機会を提供しており、生徒数も大幅に増加している。通信制では、多様なメディアを通じて、学習時間や時期、方法を選択して、自分のペースで学ぶことができる。
一方で、義務教育段階においては、一人一人の特性や状況等をきめ細やかに理解し指導を行い、対話的、協働的学びを重視しており、通信制課程については、義務教育の質の確保に影響があることから、戦後の学制移行期で中学校に通えなかった人を対象とした一部の例外を除き認められていない。
令和4年度の文部科学省の調査によると、小中学校における不登校児童生徒数は過去最多の約29万9千人に上り、在籍児童生徒の3.2%を占めている。
不登校児童生徒にとって、自らのペースで学びを続けることができることは重要であり、通信制課程の導入は、こうした教育機会の確保をするうえで、重要である。
また、新型コロナウイルス感染症への対応を契機に、義務教育段階でもオンライン教育が大きく進展した。さらに、最先端のデジタル技術を活用することで新たな個別の学びが可能となり、また、これらの学びと教室の授業を組み合わせることも可能となっている。
通信制課程が一部を除き認められていない義務教育段階において、通学と通信のそれらの良さを融合させた学習の仕組みを制度化し、導入していくことも必要である。
よって、国においては、義務教育段階における通信制課程の導入等のために必要な対応を行うとともに、必要な経費を支援することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年7月5日

埼玉県議会議長 齊藤 邦明

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣                       様
文部科学大臣
内閣官房長官
デジタル大臣
規制改革担当大臣
経済財政政策担当大臣

 

  • 注意:議員の氏名の一部にJIS規格第1・2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 政策・法制担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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