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ページ番号:237727
掲載日:2024年2月1日
意見書・・・・次の12件です
決議・・・・次の1件です。
本年6月2日から3日にかけての令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号は、全国各地に被害をもたらした。本県においても、道路の冠水による交通網の寸断や、4,000棟近くの床上浸水及び床下浸水が発生するなど、県民生活に重大な影響が及ぶ事態となり、草加市、越谷市及び松伏町の2市1町において災害救助法の適用を受けた。一方で、県内他市においても床上浸水等は生じているものの、災害救助法は適用されていない。
また、2日夜には、国土交通省が管理する中川の水を江戸川に排水する三郷排水機場のポンプ設備の運転中に不具合が発生し、排水量が6割減少した。同排水機場は整備後40年が経過し、過去にも出水期に10日間、不具合により1台のポンプが運転停止した。こうした排水機場などの河川機械設備は、昭和50年代をピークに昭和期に整備されたものが多く、すでに整備後40年を経過する施設が約50%を占め、老朽化による突然の運転停止等が強く懸念されている。
近年、記録的な豪雨が頻繁に発生するようになっており、今後も、河川等の堤防決壊、越水、溢水、さらには、内水氾濫等による被害が危惧されることから、住民の安心・安全を確保するため、より一層の水害対策に取り組む必要がある。
よって、国においては、水害から国民の生命と財産を守るため、下記の事項を実施するよう強く要望する。
記
1 災害救助法の適用については、住家等に係る同一区分の被害を受けた全ての被災地域が等しく支援を受けられるようにするとともに、被害区分に係る一の世帯数の算定基礎の差を縮小させるなど、制度の見直しを行うこと。
2 排水機場などの河川機械設備は、近年の頻発する豪雨の発生状況を踏まえ、排水能力の向上を検討するなど、機能強化を図ること。また、老朽化に対応するため、早急に効率的な更新を行うとともに、適切な予防保全を行うこと。併せて、排水ポンプの状態について早急に徹底した調査を行うこと。
3 下水道施設や雨水貯留施設の整備などの地方自治体が行う内水氾濫を防ぐ対策について、支援を拡充すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 様
財務大臣
国土交通大臣
環境大臣
内閣官房長官
国土強靭化担当大臣
防災担当大臣
2006年9月のアスベスト全面禁止以前に建てられた民間住宅の解体・改修工事におけるアスベスト暴露による健康被害が問題視されている。
そこで、大気汚染防止法等が改正され、2022年4月から一定規模以上の工事における事前調査結果報告の義務付けなど、建築物等の解体等工事における規制が強化されることとなった。
アスベストの調査・除去費用は、工事価格に転嫁することで建築物所有者が負担することとなるが、アスベストの健康被害、アスベストに係る法規制の強化、アスベストの調査・除去費用の施主負担について、多くの国民に認識されているとはいい難い状況である。
また、この調査・除去費用を完全に工事価格に転嫁できず、解体・改修工事業者の負担が増すことが懸念される。この負担を避けるために、無届けや違法工事が横行するおそれがあり、結果として国民や建設業従事者の健康被害が危惧される。
さらに、1970年から1990年にかけて年間約30万トン、2004年までに約1,000万トンのアスベストが諸外国から輸入され、主に建築物の建材として使用された。今後、それらを使用した建築物が解体・改修時期のピークを迎え、アスベスト廃棄物の増加が見込まれる。
よって、国においては、アスベスト被害を国全体の課題と捉え、アスベスト対策を拡充するよう下記のとおりアスベスト対策を早急に拡充するよう強く要望する。
記
1 解体等事業者や建築物所有者をはじめとした国民に対して、アスベストによる健康被害や、アスベストに係る法規制の趣旨及びその重要性に関して、周知を徹底すること。
2 大気汚染防止法による建築物等の解体等工事における飛散防止対策について、地方公共団体において、検査及び指導体制を強化できるよう財政支援を行うこと。
3 「住宅・建築物安全ストック形成事業(住宅・建築物アスベスト改修事業)」について、レベル1建材のみならず、レベル2・レベル3建材も対象にするなど、建築物の所有者等に対する調査・除去費用の補助制度を拡充すること。
4 石綿含有建材を処分することができる処分場を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 様
厚生労働大臣
国土交通大臣
環境大臣
北朝鮮が日本人の拉致を認め、謝罪した平成14年の日朝首脳会談以降、5人の拉致被害者とその家族の帰国は実現したものの、いまだ拉致問題は全面的な解決には至らないまま20年の歳月が流れている。
本年5月19日から21日まで開催されたG7広島サミットにおいて発出されたG7広島首脳コミュニケでは、北朝鮮に対し、人権を尊重し、国際人道機関によるアクセスを容易にし、拉致問題を即時に解決するよう求めた。
また、同月27日には、全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会において、岸田首相は、自身が主体的に動き、トップ同士の関係を構築していくことが極めて重要であり、条件を付けずにいつでも金正恩委員長と直接向き合う決意を示すとともに、首脳会談を早期に実現すべく、首相直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと述べた。さらに、大局観に基づき、あらゆる障害を乗り越え、地域や国際社会の平和と安定、日朝双方のため自ら決断すると強調した。
拉致被害者等とその家族の高齢化は重い現実であり、もはや一刻の猶予も許される状況になく、国は一日も早く全ての拉致被害者等を取り戻さなければならない。
よって、国においては、政権の最重要課題と位置付けた拉致問題について、G7メンバー国をはじめとする国際社会と緊密に連携しながら、日朝首脳会談の実現を見据え、あらゆる手段を講じて行動し、いわゆる特定失踪者等の拉致の疑いが排除できない方も含む拉致被害者等全員の即時一括帰国を実現させるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
外務大臣
内閣官房長官
拉致問題担当大臣
本県では、犯罪や交通事故の増加に歯止めをかけ、県内治安の回復を着実なものとしていくため、警察官や会計年度任用職員を増員し、パトロールや取締りの強化などに努めてきた。また、全国最多を誇る自主防犯活動団体に対する積極的な支援を行うなど、関係機関及び団体との協働による事件・事故の抑止対策を推進している。
こうしたことにより、令和4年の刑法犯認知件数は過去最多であった平成16年の4分の1以下の41,983件となり、人身交通事故件数も昭和42年以降最少となるなど、県内の治安回復傾向は継続している。
しかしながら、犯罪の種類ごとの認知件数を見ると、殺人、強盗をはじめとする重要犯罪は全国4位、侵入盗をはじめとする重要窃盗犯は全国1位、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺は全国5位であるなど、全国的に見て、本県の治安情勢は依然として厳しい状況にある。
他方、本県警察官の負担状況を見ると、現在、本県警察官1人当たりの人口負担は全国1位の636人である。また、警察官1人当たりの刑法犯認知件数も3.64件と全国1位であり、ストーカー・DV事案や児童虐待事案等の人身安全関連事案、特殊詐欺等への対応強化、サイバー空間の脅威への対応、テロ等緊急事態等への的確な対処、在留外国人のルール違反への対応強化等、様々な課題に対処する警察官が不足している現状にある。
今後も、事件・事故を減少させ、更なる県内治安の改善を図り、県民が安全で安心して暮らせるまちづくりを実現するためには、警察官の増員による人的基盤の強化が必要不可欠である。
よって、国においては、本県の厳しい治安情勢を踏まえ、いまだ警察官の過重負担が深刻な本県に対して、なお一層の警察官増員を措置するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
総務大臣
財務大臣
国家公安委員会委員長
本県では、犯罪や交通事故の増加に歯止めをかけ、県内治安の回復を着実なものとしていくため、人的基盤を強化し、パトロールや取締りの強化などに努めると共に、自主防犯活動団体に対する積極的な支援を行うなど、官民一体の犯罪抑止活動を推進している。
しかしながら、平成17年以降連続で減少してきた刑法犯認知件数は、昨年増加に転じ、本年も自転車盗等の街頭犯罪が多発傾向にある。また、特殊詐欺は、令和3年から2年連続で認知件数、被害額が増加しており、全国的に見て、本県の治安情勢は厳しい状況にある。
現在、本県警察官1人当たりの人口負担は全国1位の636人。刑法犯認知件数も、3.64件と全国1位であり、その他警察活動への対応等、様々な課題に対処する警察官が不足している現状にある。
今後、将来に亘って、事件・事故を減少させ、県内治安の改善を図り、県民が安全で安心して暮らせるまちづくりを実現するためには、人的基盤の強化と共に警察官の初動対応を向上させる警察車両の充実強化が求められる。
警察法第37条及び同施行令第2条では、警察車両の購入に必要な経費は国庫が支弁すると規定されているが、本県の県費警察車両の数は4割を超えている。
また、警察車両購入費は、世界的な物価高の影響、安全装置の義務化、地球温暖化対策に対応した電気自動車や水素自動車等の次世代自動車の導入のため、1台当たりの単価が上昇しており、経費負担は、さらに大きくなることが見込まれている。
よって、国においては、本県の厳しい治安情勢及び負担割合が高い現状を踏まえ、警察車両の充実強化を措置するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 様
財務大臣
国家公安委員会委員長
未婚化・晩婚化の進展とともに新型コロナウイルスの感染拡大などが影響し、令和4年の年間出生数は約77万人となり、初めて80万人を割り込んだ。少子化は、社会経済の根幹を揺るがす危機的状況にあり、その対策の推進にはもはや一刻の猶予も許されない。
このような中、本年6月に策定されたこども未来戦略方針では、今後3年間を少子化傾向反転のための集中取組期間としており、その期間中における具体的政策の一つとして、妊娠期からの切れ目ない支援と産前・産後ケアの拡充が位置付けられている。
中でも、退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を図る産後ケア事業については、令和6年度末までに全国展開を目指すとされているため、その整備は喫緊の課題となっている。しかし、委託先の確保や補助対象外となっている産婦の移動支援等について課題を抱えており、また、実施する市町村によって事業の対象者に差異があるとの指摘もある。
よって、国においては、産前・産後ケアの拡充を通じて、地域で安心して妊娠・出産・子育てができる切れ目のない環境づくりを進めるため、次の措置を講ずるよう強く求める。
記
1 市町村の委託先確保などの支援とともに、市町村ごとに事業サービスに係る利用対象者の差異が生じないようにすること。また、地域ごとの特性を生かした柔軟な制度設計を認め、そのための適切な予算措置を講ずること。
2 市町村・民間事業サービスの手続を簡易化するため、申請・予約など一連の手続がアプリで完結できるようにすること。
3 第1項を実現するために、産前・産後ケアに係る事業の現場が抱える課題とニーズを早急に調査し、実態を把握すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 様
財務大臣
こども政策担当大臣
少子化対策担当大臣
2022年の年間出生数は77万747人となり、統計を開始した1899年以来、最低の数字となった。ピークであった1949年の年間出生数約270万人と比べると、3分の1以下にまで減少した。
近年、少子化のスピードは加速している。出生数が初めて100万人を割り込んだのは2016年であったが、2019年に90万人、2022年には80万人を割り込んだ。このトレンドが続けば、2060年頃には50万人を割り込むという推計もある。
そこで、国は本年6月、こども未来戦略方針を策定し、次元の異なる少子化対策として、構造的賃上げ等とあわせて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすことなどを基本理念とし、抜本的に政策を強化するとした。
この政策の一つである児童手当の拡充では、所得制限を撤廃し、全員を本則給付とするとともに、支給期間を高校生年代まで延長するとした。第1子と第2子は0歳から3歳未満は月額1.5万円、3歳以降は月額1万円とし、第3子以降は全て月3万円としている。
しかし、現在の扶養控除の対象年齢は16歳から18歳であり、このまま児童手当を拡充すれば高校生への支援だけが手厚くなることから、こども未来戦略方針には、中学生までの取扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理すると記載されている。また、児童手当の財源として扶養控除の見直しが検討されているとの報道もある。
高校生の扶養控除が廃止されれば、一定の年収以上の世帯においては税負担増が児童手当を上回る可能性があることも指摘されている。子育て世代間での予算の付け替えとなってしまうのであれば、政策目標の達成は困難と言わざるを得ない。
よって、国においては、児童手当の拡充について、新たに負担増となる世帯が発生しないことを前提に、財源安定確保の道筋を早期に示すとともに、地方負担を増大させないよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
全世代型社会保障改革担当大臣 様
こども政策担当大臣
少子化対策担当大臣
我が国の森林は、国土面積の3分の2を占め、国土の保全のほか、水源の涵養や地球温暖化防止など、国民全体に様々な恩恵をもたらす公益的機能を有している。
また、近年多発する豪雨によって起こる土砂崩れや洪水、浸水といった下流地域にも被害が及ぶ災害から国民を守るために、森林整備を進めていくことが必須となっている。
こうしたことから、森林の公益的機能を十全に果たすとともに、森林整備等に必要となる地方財源を安定的に確保する観点から森林環境譲与税が創設され、令和元年度から地方自治体への譲与が開始されている。
しかし、現在の森林環境譲与税の譲与基準では総額の10分の3が人口按分により算定・配分されていることから、人口の少ない山間部の市町村では十分な事業財源を確保できない一方で、人口の多い都市部では十分に活用されない事例も散見されるなど、その効果的な活用が求められている。
さらに、森林を抱える山間部の市町村では、森林整備や人材育成・担い手確保といった取組を今後本格化させていくために、更なる財源が必要となっている。
よって、国においては、森林を抱える山間部の市町村への配分を抜本的に強化するなど、森林環境譲与税が森林整備等により効果的に活用されるよう譲与基準を見直すことを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 様
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
文部科学省「学校基本調査」によると、特別支援教育を受ける児童生徒は年々増加している。この10年間で、特別支援学校については、学校数が約11%、児童生徒数は約14.3%増加した。特別支援学級については、学級数が約1.6倍に増え、児童生徒数は約2.1倍に増加している。また、通級による指導を受けている児童生徒数は約2.5倍に増えており、教育現場では新たな特別支援教育体制の整備が必要になっている。
このような状況に適切に対処するためには、特別支援学校・学級に関する専門的な知識や経験を持った教員等の増員が必要不可欠である。
また、今日、共生社会の形成に向けて、子供たちの多様性を尊重するインクルーシブ教育システムの構築が求められており、そのためにも我が国の特別支援教育の更なる拡充が必要である。
よって、国においては、医療的ケアを含めた特別支援教育が必要な子供の増加や、様々な障害のある児童生徒に的確に対応した教育を実現するために、特別支援学校・学級等への教員等の適切な配置に向けて、下記の事項について財政措置を含めた特段の措置を講ずることを強く求める。
記
1 障害のある児童生徒に対する食事、排泄、教室移動の補助等といった学校における日常生活動作の介助や、発達障害のある児童生徒に対する学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の適切な配置を支援すること。
2 保護者や関係機関に対する学校の窓口としての役割や学校内の関係者や福祉・医療等の関係機関との連絡調整の役割を果たしながら、子供たちのニーズに合わせた支援をサポートする特別支援教育コーディネーターの適切な配置を支援すること。
3 医療的ケアが必要な子供や、障害のある子供への支援を的確に実施するために、看護師、ST(言語聴覚士)、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)等専門家の必要に応じた適切な配置を支援すること。
4 各学校でインクルーシブ教育を一体的に進めるために、担当の教員だけでなく学校長等に対する指導や研修等を実施し、校内全体での取組を促進していくために必要な特別支援学校のセンター的機能の強化を支援すること。
5 GIGAスクール構想により整備された1人1台の端末を、特別支援学校や特別支援学級において、授業はもとより、個々の特性や教育的ニーズに応じた支援ツールとして有効に活用するために、新たな支援員を創設し、配置すること。
6 特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状の取得率は87.2%となっているため、特別支援学校における教育の質の向上の観点から、教職員の当該免許状取得支援の強化や、大学等における特別支援教育に関する科目の修得促進など、教職員に対する特別支援学校教諭免許状の取得率向上に向けた取組を支援すること。併せて、教員免許状を持っていない社会人等が、特別支援学校における自立教科等を担当できる特別免許状についても強力に推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 様
文部科学大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
無数の生態系の存在が地球上の様々な環境を安定させる基盤となっており、我々の生活は生物多様性・自然資本なしに成り立たない。
一方で、近年、人類史上これまでにない速度で生物多様性が失われているものの、生物多様性の損失についてはイメージがしづらいため、その危機意識が広く共有されているとは言えない。
このような状況を受けて、1993年に生物多様性条約が発効した。昨年12月には、同条約の第15回目の締約国会議であるCOP15が開催され、生物多様性の損失を食い止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」という新たな世界目標が採択された。
我々の経済社会活動の基盤となっている生物多様性を持続可能なものにしていくために、「ネイチャーポジティブ」の実現が不可欠である。
我が国でも、この目標に対応した生物多様性国家戦略を策定し、全省庁が協力して国際社会をリードする「ネイチャーポジティブ」の実現に向けた取組を進めようとしているが、その主体は地域であり地方自治体であると考える。
よって、国においては、「ネイチャーポジティブ」の実現に向け、下記のとおり地方自治体や地域のNPO等に対する支援を実施するよう強く求める。
記
1 気候変動の影響と生物多様性の損失は密接に関連しており、その両方に対して投資を進めていくことが重要であることから、脱炭素関連予算が増額される中、生物多様性関連の予算についても必要な額を確保し、生物多様性に対する社会全体の認識を高めていくこと。
2 2030年までに陸と海の30%を保全する「30by30」の実現に向けて、国立公園・国定公園等の保護地域の拡張や、事業者など民間が保有している生物多様性保全に貢献する区域であるOECMの認定を推進する等、地域との連携の下で、取組を加速化すること。
3 環境教育の推進と国民の行動変容の促進に向けて、全ての子供たちが自然に触れ合う機会を創出するため、環境教育や自然保護を推進する地域の人材育成を支援すること。また、NGO等とも連携し、学校や園庭の敷地内に設けられた生きものの暮らしを支える場所である「学校・園庭ビオトープ」の普及を促進すること。
4 廃棄物や汚染を削減し、製品と資源の循環利用を促すサーキュラーエコノミーは、脱炭素及び生物多様性と並ぶ環境政策の三本柱の一つであり、これらは互いに親和性が高い。このため、地域で行われるサーキュラーエコノミー分野におけるバイオマスの持続可能性や、製品のライフサイクル全般での環境負荷低減等の取組を支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣 様
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣
特定の種類の抗菌薬等が効きにくくなる、又は、効かなくなる薬剤耐性(AMR)を持った細菌が増えると、医療機関において患者への適切な治療や手術時の感染予防などが困難となる。薬剤耐性菌は世界的に発生しており、サイレントパンデミックと称され、喫緊の課題となっている。
この薬剤耐性菌の影響について、英国の薬剤耐性レビュー委員会による「AMRに関する影響評価」では、歯止めをかけるための政策がない場合、全世界における死者数は2050年には年間1,000万人に上ると推計されている。そのため、できる限り早期に、薬剤耐性菌感染症のまん延を防止する体制を整えることが必要である。
しかし、最も重要な新規抗菌薬については、開発の難易度が非常に高く、多額の費用を要するだけでなく、将来的な感染動向の予測もできない上、抗菌薬の特性から投与期間が短いことなど、開発投資の回収が見通せない。そのため、開発から撤退する企業が相次いでいる。
このような背景の下、薬剤耐性に効果がある新規抗菌薬開発を支援する動きが各国で活発になっており、G7首脳会議や同保健財務大臣会合で市場インセンティブが具体的に検討されている。我が国においても、抗菌薬確保支援事業により、市場インセンティブのモデル事業を実施し始めたところであるが、対応を加速する必要がある。
よって、国においては、地域社会の危機管理と安全保障の視点から、薬剤耐性対策を国家戦略として位置付け、その感染予防・管理、研究開発・創薬、国際協力等を着実に推進するなど、薬剤耐性菌感染症のまん延防止の取組について、速やかな体制強化を求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
財務大臣
文部科学大臣 様
厚生労働大臣
農林水産大臣
環境大臣
内閣官房長官
本年10月から、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」という。)が開始される。
この制度においては、適格請求書(以下「インボイス」という。)発行事業者ではない事業者からの仕入れでは税額控除ができない。そのため、主に個人事業者や小規模事業者である免税事業者は、取引先からインボイス発行事業者となってインボイスを発行するなどの対応を求められ、対応できなければ不当な値下げや取引からの排除を求められることが懸念される。
一方で、インボイス発行事業者になると、消費税の申告・納付が義務づけられ、税負担と事務負担の二重の負担を新たに負うことになる。
物価高騰や新型コロナウイルス感染症などの影響で小規模事業者等が経営難に苦しみつつも事業継続、雇用維持に懸命に取り組んでいる中、インボイス制度の導入により、さらなる負担が課されることになれば、廃業を選択せざるを得ない事業者が増加し、コロナ禍等からの経済再生を阻害する要因にもなりかねない。
インボイス制度の導入まで3か月を切ったが、制度に対する理解は十分とは言えず、制度の適用を受けるために必要な事業者の登録率も、個人事業者においては、民間調査会社の調べによると令和5年3月末で43.2%と半数以下であり、制度導入後に支障を来すことのないよう、更なる普及・周知の徹底が急がれる。
よって、国においては、インボイス制度を円滑に導入するため、下記の事項を実施することを強く要望する。
記
1 インボイス制度の導入に伴う小規模事業者等の負担を最小化するため、相談窓口の拡充、制度対応に係る経理DX化などのシステム改修に対する費用助成の強化等、きめ細かな支援策を講ずること。
2 免税事業者がインボイス発行事業者として登録し、課税事業者になった際に税負担と事務負担の軽減を図ることができる2割特例について、制度の恒久化を検討するなど、小規模事業者の事業継続のために更なる負担軽減策を講ずること。
3 免税事業者に対する不当な値下げや取引からの排除などが生じないよう、下請法や独占禁止法違反行為の未然防止に努めるとともに、違反行為に対しては迅速かつ厳正に対処すること。
4 事業者の協力を得つつ、制度を円滑に導入するため、インボイス制度の十分な周知や広報を徹底して実施するとともに、制度上の問題点が生じた場合はその都度見直すこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月7日
埼玉県議会議長 立石 泰広
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
経済産業大臣 様
内閣官房長官
デジタル大臣
公正取引委員会委員長
本年6月15日、北朝鮮から発射された少なくとも2発の弾道ミサイルが、我が国の排他的経済水域である石川県舳倉島北北西の日本海に落下したとみられる。
このたびの発射行動は、我が国の排他的経済水域内に落下したことに鑑みても国民の安全に関わる重大な問題である。北朝鮮は、ミサイル発射を繰り返してその能力を強化していく姿勢を示しており、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、断じて容認できない。
度重なる弾道ミサイル等の発射は、国際連合安全保障理事会決議等への明らかな違反であるとともに、国際社会全体の平和と安全を脅かすものであり、我が国のみならず、国際社会全体に対する挑発をエスカレートさせる明白な暴挙である。
本県議会は、北朝鮮に対し、最も強い言葉で抗議と非難の意を表明するとともに、核兵器及び弾道ミサイル等の開発を即刻放棄し、更なる軍事的挑発行動を行わないよう重ねて強く求めるものである。
また、国は、米国をはじめとする関係国と緊密に協力し、国際連合安全保障理事会決議に基づく制裁措置を完全に履行するとともに、我が国独自の制裁措置をより一層強化し、北朝鮮に対し、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けた具体的行動を促すよう強く求める。
以上、決議する。
令和5年6月19日
埼玉県議会
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