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掲載日:2022年3月30日
Q 高橋政雄 議員(自民)
今回のコロナ禍で、不要不急の外出は自粛と言われてきました。心に豊かな潤いをもたらす文化・芸術が不要不急なのかと問いたいが我慢します。
先日、北浦和にある県のワクチン接種センターの帰りに県立近代美術館へ立ち寄りました。200円を払ってコレクション展を拝見しました。県所蔵の鳥肌立つ感動のシャガールやモネなどの絵画、そして県議会承認で2億9,000万円で購入したポール・シニャック、パリセーヌ川沿いの風景を点描画で描いた「アニエールの河岸」。これは、私たち埼玉県民が誇れる文化・芸術財産であります。
残念なことにこの日、我が国最高の洋画家藤田嗣治の「横たわる裸婦と猫」の油絵作品が飾られていませんでした。私は、県立近代美術館を訪ねるたびに、この作品を見るのをとても楽しみにしているんです。
でも、2年前、単身で福岡県の県庁や建築や文化・芸術などの調査研究に訪問した折、福岡市美術館において私たち埼玉県所有のその藤田の裸婦画が展示されていました。福岡市へ貸し出されていたのです。かの遠い地で、すばらしい女性と再会することになりました。誇らしく、愛らしく、しばらく見とれておりました。
本題に入ります。
その日、近代美術館ではコレクション展で中野四郎の特集展示がされていました。彼は埼玉県の郷土の彫刻家で、県の芸術発展に大いに寄与したと伺いました。私は、初めて彼のブロンズや木彫などの彫像作品を目にすることになったのです。あまりの完成度の高さ、美しさに驚きました。
埼玉県ではたくさんの芸術家がこの地で活動しております。また、プロの芸術家でなくても、絵画や彫刻などを楽しんでいる、親しんでいる県民もたくさんおられます。埼玉県民の美術を通した文化・芸術度は、大変高いと感じております。
私は、欧米の美術館、博物館、劇場などへたびたび足を運んでいます。若いときに夜間で学んだ建築学と外国語が今多いに役立っております。いっぱい勉強しておいてよかったな。日本の文化・芸術もすばらしいのですが、ヨーロッパでは日本とは種類の違う奥深い文化資産があります。それら資産の背景には連綿と続く文化人、芸術家たちを大切に育ててきた歴史にあると思います。欧米の文化では、シェイクスピアを語れなければ英語も通じない、美術・建築を語れなければ文化人としては認められない。
先ほどから文化・芸術を語っておりますが、どの角度から考えても最重要、私たちがいち早く取り組まなければならないことは、まず郷土芸術家を育てるということと思います。その郷土芸術家の育成、まず言えることは、民間ではできない公立の美術館、博物館の果たす役割がとても大きいということだ。日本各地の公立の美術館等にて、その土地の芸術家たちの作品や紹介展示を見ています。そのたびに埼玉県の美術館や博物館の展示の仕方、その他を比べて見ているんです。県立唯一の美術館として北浦和にある近代美術館は、なかなかすばらしい絵画を所蔵している。年間を通しての企画展にも力を入れて開催しているのを知っています。
公立美術館の使命として美しい絵画、彫刻などを充足提供すると同時に、郷土の芸術家の育成につながる企画、そしてもう一つ、子供たちへの教育普及、更に積極的に行うべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
A 高田直芳 教育長
本県では、「鎌倉文士に浦和画家」と称される浦和をはじめ県内各地で著名な画家や彫刻家を輩出し、現在も多くの芸術家が創作活動に勤しんでいます。
議員御指摘のとおり、文化芸術は人々の心に潤いと安らぎをもたらすものであり、そうした文化芸術を生み出す郷土芸術家を育成することは大変意義あるものと考えております。
そのため近代美術館では、本県ゆかりのアーティストをシリーズで紹介する展覧会「NEW VISION SAITAMA」や、新進気鋭の芸術家に活動の場を提供する「アーティスト・プロジェクト」を実施するなど、若手・中堅芸術家を支援する企画に意欲的に取り組んでいます。
また、中野四郎や斎藤与里など本県が誇る芸術家の展示にも努めており、芸術を志す人たちにとって、本物と触れ合い、大きな刺激を得る掛け替えのない機会となっています。
併せて、将来の芸術家を育てるという観点からは、子供たちが芸術の楽しさを学び、豊かな感性を育んでいくことが大切だと考えております。
そこで、芸術家を講師として創作活動に触れる子供向けのワークショップや、学校の美術の授業に芸術家を派遣する「ミュージアム・キャラバン」などを実施して、子供たちの文化芸術への関心を高めてまいります。
今後とも、本県ゆかりの芸術家の作品はもとより、国内外の素晴らしい美術作品の収集・展示に努めるとともに、郷土芸術家の育成につながる取組を積極的に進めてまいります。
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