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掲載日:2020年7月10日
Q 宮崎吾一 議員(自民)
65歳未満で認知症が発症した場合は、若年性認知症とされます。本年3月に出された報告書によると、県内で999名の方が把握されています。一般的な高齢者の重度な認知症のイメージと個人差がある若年性認知症の方の現状はギャップが大きく、社会に十分認識されていません。働き盛りの人が発症する若年性認知症について、65歳未満で発症すること、症状に個人差があることなどの啓発を県民に周知していかなければなりません。
そこで、県としてはどのように周知に取り組んでいくのか、福祉部長にお尋ねします。
県と家族の会をはじめとした当事者、家族と行政の連携を迅速に進め、若年性認知症の問題解決を進めるために取り組むべき点として、就労継続支援と移動支援があります。若年性認知症は働いている人が発症することが多く、受けられる傷病手当金は在職中しか手続ができません。知らずに退職してしまうと、受けられるはずであった社会保障が受けられない不利益をこうむります。若年性認知症の方は作業能力があり、勤労意欲もあることが多いことから、現在の職場にサポートを受けて残れる道を模索しつつ、それが難しい場合は経済的に困窮することを防ぐために、在職中からスムーズに就労移行を進めることが重要です。就労移行支援事業所の利用は、会社に席があっても法制度上は利用できることになっています。しかし、自治体によっては若年性認知症で退職を前提として認めているなどの取扱いをしている場合があります。また、休職中であっても前の会社に席があると、就労継続支援A型・B型事業所の利用を認めない市町村もあります。
そこで、伺います。こうした若年性認知症の方が経済的に困窮することのないよう、スムーズな就労移行ができるよう更なる支援を進めるべきと考えますが、福祉部長の見解をお伺いします。
また、県内にはリンカフェという若年性認知症の方や家族、支援者が自由に集える場があります。この取組を県は応援しております。若年性認知症の方は電車に乗って移動できる人、できない人という個人差があります。このような交流の場に行くために移動支援が考えられますが、市町村によって使えないといった状況があります。
そこで、誰もが気軽に安心して交流の場に行けるような移動支援が必要です。県は現状を把握し、支援すべきと考えますが、福祉部長のお考えをお聞かせください。埼玉県が若年性認知症に対する取組で最先端の自治体となるべく、若年性認知症を抱えていてもフレンドリーな社会を実現するために、前向きな答弁をお願いします。
A 山﨑達也 福祉部長
まず、「県としてどのように周知に取り組んでいくのか」についてでございます。
若年性認知症の発症年齢は平均で51歳とされており、働き盛りであり子育て中の方などもいらっしゃるため、家族への影響も含めて社会生活への影響が大変大きいものとなっています。
このため、早期発見、早期診断、さらにはその後のサポートに迅速につなげていくためにも、若年性認知症の特性などについて県民の方々に広く周知していくことが必要です。
県では、これまで県民向けに「認知症サポーター養成講座」や「若年性認知症支援セミナー」、医療関係者向けに「認知症対応力向上研修」を実施するなど、若年性認知症について理解していただく機会を設けてきました。
また、診断から支援へ円滑につながるよう相談機関などを掲載したパンフレットを医療関係者に配布するとともに、市町村の認知症担当課や認知症疾患医療センターなどを通じて県民にも配布しております。
さらに、発症後に仕事を辞めなければならない方が6割にものぼっており、企業の理解や環境の整備が不可欠であることから、令和元年度、新たに、企業の人事担当者向けにセミナーを県内4カ所で開催するとともに、約50カ所の企業を個別に訪問したところです。
今後は、若年性認知症の当事者の生の声を講演会や県の広報媒体を通じて伝えていくなど、県民の理解をさらに深めるための取組を進めてまいります。
次に、「スムーズな就労移行ができるよう、さらなる支援を進めるべき」についてでございます。
認知症発症後も可能な限り就労を継続することは、経済面のみならず、その人の生きがいという面でも大切です。
県では、平成29年度から若年性認知症支援コーディネーターを配置し、本人の意向や認知症の症状を踏まえたきめ細かい就労支援を行っています。
コーディネーターは、ある程度症状が進むまで職場の理解を得ながら就労が継続できるよう支援します。
その後、一般就労が難しくなってきた場合は、障害福祉サービスを活用した福祉的就労への移行なども一つの選択肢として検討していきます。
就労移行支援等の障害福祉サービスは、休職中であっても障害者が復職等を希望し、企業や主治医が適当と判断するなど一定の条件を満たせば利用可能です。
議員お話しのとおり、休職中に前の会社に籍があることだけで利用を認めないといった市町村があるのであれば、改善の必要があると考えます。
このため県としては、改めて市町村に制度の周知を徹底するとともに、若年性認知症の特性について正しい理解を促し、必要なサービスが適切に提供されるよう働きかけてまいります。
今後とも、若年性認知症の人がそのときの状況に応じた切れ目のない就労支援を受けられるよう取り組んでまいります。
次に、「誰もが気軽に安心して交流の場に行けるような移動支援が必要」についてでございます。
移動支援事業は、障害者の方が役所の手続きや余暇活動などで外出する際にヘルパーによる付き添い支援を行うサービスで、それぞれの市町村が利用の可否を判断する仕組みとなっています。
現状を調査したところ、この事業は全ての市町村で実施していますが、障害者手帳の所持を要件としているのが17市町村ありました。
また、ほとんどの市町村では若年性認知症の実際の対応事例がまだなく、申請があった段階で個別に判断するとの回答でした。
こうしたことから県としては、今後、市町村が対応した個別の事例の把握を行うとともに若年性認知症の本人や御家族の御意見もお伺いしながら、適切にサービスが提供されるよう努めてまいります。
認知症になっても自分らしく暮らしていける社会の構築を目指し、若年性認知症の人に対する支援に積極的に取り組んでまいります。
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