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掲載日:2024年10月8日
Q 松坂喜浩 議員(改革)
歩くとは、人間生活の基本動作で、はえば立て、立てば歩めの親心と言われるように、子供の発育、発達に応じて獲得する大切な移動手段であります。文部科学省は2012年に幼児期運動指針を策定し、幼児は様々な遊びを中心に毎日60分以上、楽しく体を動かすことの大切さを述べています。ここでいう幼児は、3歳から小学校入学前の子供たちを対象としております。指針の中で、この時期の運動には、遊びにとどまらない生活の中の動きを含める、そのことや、年齢に伴う動きの発達に応じた運動環境の提供の大切さが挙げられております。
この指針を発表するに至った背景には、1985年をピークに子供世代の体力が低下傾向にあることや、運動する子供としない子の体力差が広がり、二極化が進んでいることがあります。体力は学力や学習意欲とも関係があると報告されており、体力の大切さが再認識されています。
文部科学省は2011年に、幼児の4割以上が外遊びの時間が1日1時間未満であり、家庭における主な遊び場は、保育園や幼稚園と比べて屋外より屋内のほうが多いことを報告しております。また、1985年の幼児に比べて、2007年の幼児は、走る、跳ぶ、投げるといった運動の動作発達が未熟で、2007年の年長児は1985年の年小児と同じような水準の運動しか獲得していないことも報告されております。小学校以降の体力低下の原因が幼児期にあることも明らかになっております。
このような様子は、幼児期の歩行歩数にも現れていまして、幼稚園児は1日当たり男児で1万2,000歩、女児で1万1,000歩ほど歩いていますが、1979年には存在した2万歩以上は1人も見られませんでした。さらに近年の調査で、1万3,000歩以上歩いている幼児の体力偏差値はそれ以下の幼児よりも高いことや、幼稚園からの帰宅後に6,500歩以上歩いている幼児の体力偏差値は、6,500歩未満しか歩いていない幼児よりも高いことが分かっております。
また、歩くことそのものから幼児は多くのことを学ぶことができます。お散歩や遠足は、生活している社会的空間や自然環境の中で、周囲の人とのコミュニケーションや交通のルールといった社会の規則を学ぶことができます。並んで歩くことで、順番を守る、安全に配慮して行動するなどの生活に必要な行動様式を身に付けることもできます。動植物や自然との五感を通じた触れ合いは、脳へ様々な刺激を与えられます。少し長い距離を頑張って歩いて目的地に到着した達成感は、頑張ることの大切さと頑張れる自分を認める自己効力を高めます。このように、歩育は幼児の可能性を開く大切な活動だと思います。
さて、ここで狭山市の狭山台みどり幼稚園の活動を紹介させていただきます。
こちらの年長児は、毎月ハイキングを行うだけでなく、飯能市、東松山市で開催されるツーデーマーチ、スリーデーマーチに参加しております。特にスリーデーマーチでは、20年も継続して20キロコースを完歩されており、日ごろからの歩育が身についているものと思います。
第2期埼玉県教育振興基本計画における幼児教育の推進の中で、主な取組として、埼玉独自の子育ての目安、「3つのめばえ」の活用が掲げられています。その中には、子供たちに身に付けてほしいことで、戸外で体を動かすこと、安全に気を付けて行動すること、園での出来事や考えたことを家族に話すことなどが挙げられており、子供と一緒に歩く歩育が幼児教育に非常に有用であると思います。
ここでちょっと紹介をさせていただきたいと思いますが、東松山市では、歩育の意味、そして歩く遊びに関わること、このようなハンドブックをこの8月に完成をいたし、そして配布をされております。こういった資料を含めた中で、また埼玉県としても取り組んでいただきたいと思っております。
そこで、埼玉県として幼児教育及び小学校教育に歩育を推奨していただきたいと思いますが、教育長の見解をお伺いいたします。
また、健康長寿埼玉プロジェクトでは、誰もが毎日を健康で生き生きと暮らせることを目標に、毎日1万歩運動などの取組が推進されています。高齢者や働き手世代への普及が中心とのことですが、それだけでよいのでしょうか。小さい頃から歩くことに親しむ歩育の取組が広がれば、休日に家族でウォーキングしてみようなどと、高齢者や働き手世代までもが歩き始めるきっかけが作られるのではないでしょうか。また、歩育により歩く習慣が定着した子供は、大きくなってもウォーキングを続けるのではないでしょうか。その姿は健康長寿埼玉プロジェクトが目指すところなのではないでしょうか。健康長寿埼玉プロジェクトに歩育を組み入れることで、県民全体への展開を加速されることにつながると考えますが、保健医療部長の見解をお伺いいたします。
A 小松弥生 教育長
幼児期・小学校期において遊びを中心とする身体活動を十分に行うことは、生涯にわたって健康を維持したり、何事にも積極的に取り組む意欲を育んだりするなど、豊かな人生を送るための基盤づくりとなります。
議員お話の「歩育」は、元気に歩くことで動きを身に付けるだけでなく、自然や社会に触れ、楽しい運動生活を送ることにつながる取組と考えます。
また、人と関わる力を育んだり、体力づくり、健康の保持・増進が図られたりするなど、様々な効果が期待出来るものと捉えております。
県といたしましては、議員お話のハンドブックも参考にさせていただき、「歩育」の有用性やスリーデーマーチなどに参加した「歩育」の実践事例などを幼稚園関係者や市町村担当者の集まる会議等で紹介してまいります。
A 本多麻夫 保健医療部長
健康長寿埼玉プロジェクトは、健康寿命の延伸と医療費の抑制を目的として、東松山市をはじめ多くの市町村に参加していただき、平成24年度から取り組んでおります。
平成29年度からは、忙しくて運動教室に参加できない、あるいは普段健康にあまり関心がない方々にも手軽に健康づくりに取り組んでいただけるよう、埼玉県コバトン健康マイレージを実施しております。
コバトン健康マイレージでは、ウオーキングの歩数や特定健診の受診に応じてポイントがたまり、抽選により賞品が当たるなど、楽しみながら健康づくりに取り組んでいただけるよう工夫しております。
9月現在、40市町村、7保険者、6事業者が利用しており約44,000人の方が参加しております。
議員お話のとおり、将来の県民の健康づくりのためには、子供の頃から歩くことを含め、日頃から様々な運動やスポーツに親しむことも重要であると考えます。
現在、コバトン健康マイレージの実施におきましては、スリーデーマーチをはじめとする県内のウオーキングイベントなどで参加者にポイントを付与するなど、多くの人が集まるイベントと連携を図っております。
家族連れでこのようなイベントに参加した方々に、より高いポイントを付与すれば、家族でコバトン健康マイレージに取り組む方々が増える可能性も考えられます。
なるべく若い時期から健康づくりに取り組んでいただけるよう、歩育の考え方を組み合わせることも含めまして、健康長寿埼玉プロジェクトの展開を検討していきたいと思います。
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