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掲載日:2019年10月17日

平成28年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(吉良英敏議員)

将来の埼玉農業の担い手について

Q 吉良英敏議員(自民

前回も申し上げましたが、私たちの社会で一番決定的に欠けているもの、これは私は農であると思います。農業就業人口は1990年、そのときには480万人いたのに今年はとうとう200万人を割りました。25年で何と6割減、特に40歳未満の占める割合は全体のたったの6パーセントでしかありません。20年後はどうなっているでしょうか。
私は、その原因として農の文化あるいは教育、これを軽んじてきたこと、これがまず挙げられると思いますが、稲作兼業農家がほとんどの地元農家を回りますと、農業はもう駄目だ、手遅れだ、そういった声がほとんどであります。
では、どうしたらいいのか。県は強い農業、また美しく活力ある農村、これらのために法人化、ブランド化、6次産業化、様々取り組んでいます。農業経営法人化推進事業、明日の農業担い手育成塾推進事業、あるいは埼玉農業フロンティア育成事業、これらです。また、企業が参入して取り組むやり方も進めています。
2009年、戦後初の農地法改正により、農家のための農業から今度はもうかるための農業へかじが切られ、そして新たに参入した企業は1,600社、この5年で5倍のペースになっています。しかし、今回私はこれらとは違う農業を再生させる画期的な新しい仕組みを提案をさせていただきます。
先月、危機管理・大規模災害対策特別委員会で私は宮城県を視察してきました。その防災対策を学ぶと同時に、津波の記憶がよみがえりました。私の妻の実家が東北岩手ということもありまして、当時、被災地支援に何度も通い、がれきの撤去や農林水産業、その方々のお手伝いをさせていただきました。そのとき痛感いたしましたのは、まず一つ、マンパワーであります。そして、もう一つ感じましたのは、被災者と支援者、この関係が生産者と消費者である、こういった関係でありました。ふだん顔を合わすことがないこの関係のつながり、これに当時とても可能性と魅力を感じました。
皆さんは御存じでしょうか。平成27年に実は埼玉県が都市農村共生・対流ネットワーク事業というのをやっています。農業体験であったり、グリーンツーリズムを通じて消費者、都市住民と生産者、農村の接点がつくられ、自然と触れ合う都会のニーズが観光であったり、あるいは教育、そして健康づくりに広がっていく、こういったすばらしい事業です。正に、硬直化した都市と地方をかき混ぜるという意味で、とても魅力的な取組に思えましたが、実はたった1年で終わってしまいました。
また、県は今年7月から東京有楽町に埼玉アグリライフサポートセンターを創設しました。農業ビジネス支援課が取組む農山村への移住促進ワンストップ体制整備事業です。これは都民などの移住相談窓口で、相談員1人を配置しています。設置して2か月で問い合わせは54件、そして成果はまだゼロ人です。農山村に関心があっても、移住となるとなかなかハードルが高い。ましてや高齢者となると、なおさらだと思います。しかし、埼玉県には耕作放棄地がたくさんある一方で、東京では市民農園の人気がとても高く、私の知人のいる区では毎年の抽選で6畳程度の区画を抽選で順番待ちをしています。今年も外れたと残念がっていました。
ここで、具体的に提案に入ります。
こちらをご覧ください。現在の農業の最大の問題は担い手の問題であります。この担い手不足を解決するために登録制の人材バンクをつくります。このAの農業サポーターは、県内外の自治体であったり、あるいは企業、学校はもちろん、例えば町内会あるいは福祉関連施設、あるいはマンションの管理組合、そういった様々な人材を確保いたします。
そして、このBの農業スタッフはサポーターの指導と、そして農地の運営管理に必要な専門スタッフを指します。既存の農家あるいは農業高校、あるいは農業大学校、そして新規就農者に担っていただくというものです。
以前、私は農業大学校を視察しました。入学者の6割は非農家、そして4人に1人は女性、正にウーマノミクスにぴったりの光景だったんですけれども、こういった若い、そして農業技術を育んでいる農業従事者の新たな職域にもつながると思います。これらA、Bの人材バンク機能と農地の運営管理を拠点とする、名付けてアグリセンター、これをアグリセンターと仮に呼びます。多様な人材からなる農業サポーターと専門的な農業スタッフが連携しながら計画的な農地の運営を図るシステムです。これらにより担い手の確保だけでなく、例えば都市、企業、若者と農村がつながり、あるいは人が移動し、交流することで新たな地域コミュニティであったり、地方創生を促す。さらには、シニアの健康づくりであったり、あるいは若い人でも鬱病、そういった防止にもつながると思います。そして、自然と食育や環境教育などにも広がっていくと思われます。このアグリセンターを通じて農地に人が集い、人が集まれば、転作、二期作、6次産業化、そういったものにどんどんと広がっていくと思います。
ちなみに、私は今子育て真っ最中でありますけれども、育休も数十年かけて私たちの社会に広がっていきました。将来的には、育休ならぬ農休を根付かせて、例えば週末、月末あるいはバカンス休暇、こういった多様な農との関わりをつくり、農業を立て直していく、そういうプランであります。
このアグリセンターは、今まで農に関わりのなかった消費者も加わって、そしてみんなで支える仕組みであります。いわば、農業の地域包括システムと言ってもいいかと思います。この農業人材バンク機能と農地運営管理機能を兼ね備えたアグリセンターを創設し、埼玉らしい新しい農業システムも構築をしてもいいのではないかと思いますが、これに対する御所見と併せて20年後の担い手の将来像について、農林部長に伺います。

A 河村 仁 農林部長

まず、「新しい農業システムの構築について」でございます。
県では、平成22年度から農家子弟以外の就農希望者を支援する「明日の農業担い手育成塾」の設置を市町村や農協などと連携して取り組んでおります。
担い手育成塾では、地域指導農家が就農希望者をマンツーマンで指導し、経営開始に必要な技術習得や農地の確保などをサポートしております。
現在、県内に20塾が設置され、今までに153人が入塾し、うち95人が就農しています。
また、さいたま市の担い手育成塾では、農地中間管理機構が借りた農地を塾が借り受けて、研修用の農地として使用し、将来、塾生が就農する際には、その農地で営農する予定となっております。
議員御提案の「アグリセンター」については、農業サポーターの技能と現場での作業内容のマッチングや農地についても既存の大規模経営等とのすみ分けなどの課題がございます。
このため、農業スタッフとなり得る農家などの声を聞きながら、どのような取組ができるか検討してまいります。
次に、県の20年後の担い手の将来像についてでございます。
全国的に農業者の高齢化が進む中、20年後も埼玉農業が力強くあり続けるためには、優秀な担い手を計画的に確保・育成し、埼玉農業を牽引していただく必要がございます。
このため、農林振興センターなど県下11か所に就農相談窓口を開設するほか、農業高校との連携により、就農意欲の高い優秀な人材の掘り起こしに努めてまいります。
これらの人材を農業大学校における技術習得や担い手育成塾などにより、新規就農に繋げてまいります。
また、就農後は青年就農給付金の活用や研修会の開催などにより経営の安定を支援するほか、農地中間管理機構により農地集積などによる経営の拡大に繋げてまいります。
さらに、法人化による一層の経営発展も支援してまいります。
こうした就農時から担い手となるまで切れ目無い支援を通じて、埼玉県を担う人材を確保・育成し、20年後も県民へ安心安全な食料を安定的に供給できる埼玉農業を構築してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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