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掲載日:2023年1月12日
環境科学国際センター研究課題(大気環境担当/H23~H26)
微小有機成分粒子の一次排出および二次生成の寄与割合推定に関する基礎的研究
(大気環境担当:長谷川、米持、梅沢、松本、佐坂/H23~H26)
平成21年9月に、微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準が告示されましたが、それに伴う課題として、PM2.5やその原因物質の排出状況の把握、大気中の挙動や二次生成機構の解明が挙げられています。特に有機成分の起源は多種多様で、化石燃料やバイオマスの燃焼による一次排出、及び大気中での反応による二次生成があります。本研究では、バイオマス燃焼起源の指標であるレボグルコサンや二次生成の指標である水溶性有機炭素(WSOC)を測定し、微小有機成分粒子の一次排出及び二次生成の寄与割合を適切に推定するための手法検討や寄与割合推定の試行などの基礎的な研究を行います。
平成27年度第2回研究審査会コメント
研究課題
微小有機成分粒子の一次排出および二次生成の寄与割合推定に関する基礎的研究
研究審査会コメント
- このような基礎研究は、地道に進めていくことで有用な知見が蓄積されていくものである。長期的な視点から、ぜひ継続して研究を行うとともに、県民へのモラル向上にも寄与してほしい。
- 単なる観測試料の取得と分析にとどまらず、発生源推定、生成メカニズムの推定を目指し他機関との連携も行い多面的に課題に取り組んだ成果が的確に示されていること、また、課題の抽出もできていることからさらなる研究成果が期待されると考える。
- 施策立案や具体的な対策に繋がるように今後の発展を期待したい。
- 本研究課題は、大気汚染問題で対応が急がれる課題の一つであるPM2.5に関連するテーマであり、本県大気保全対策において必要性が認められる。特に、政策への寄与として、具体的なPM2.5抑制対策手法の開発に向けた知見の収集・分析など、対策面への展開が期待される。
- PM2.5について、環境基準の短期基準の超過が多いこと、一般市民が意識する春季もさることながら、秋・冬に濃度が高くなること、県内でも場所によって環境が異なること、夏季には光化学スモッグによる寄与があることなど、PM2.5といえば越境大気汚染だと考えている一般市民の意識を変える成果の公表が望まれる。
- PM2.5などの大気汚染の原因究明や対策は環境対策上必要である。バイオマス燃焼に着目したり、二次生成物に着目した点は、今後の現象解明につながる有用な成果が得られている。こうした成果を科学論文としてとりまとめ投稿してほしい。