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掲載日:2023年1月12日
環境科学国際センター研究課題(土壌・地下水・地盤担当/H24~H26)
土壌中における有害重金属の存在形態と植物への移行状況の解析
(土壌・地下水・地盤担当:石山、八戸、濱元;研究推進室:細野、白石/H24~H26)
土壌汚染の顕在化とともに、土壌汚染対策技術に関する様々な研究が進められています。中でも、植物を用いて土壌中の有害重金属類を除去するファイトレメディエーションは、環境負荷の少ない原位置浄化技術として、早期の実用化が望まれています。有害重金属類の植物への移行は、土壌中の存在形態と密接に関係するため、ファイトレメディエーションを検討するための基礎的知見としては土壌中の存在形態の把握が不可欠です。本研究では、農用地土壌を対象に様々な化学抽出試験を行い、土壌中の有害重金属類の存在形態を調査して、土壌から植物への移行に影響する化学的因子を明らかにします。
平成27年度第2回研究審査会コメント
研究課題
土壌中における有害重金属の存在形態と植物への移行状況の解析
研究審査会コメント
- 地盤や土壌は生活の場としての基軸であり、汚染されると地下水を通じて農作物等にも汚染が生じ得ることは一般の人にも容易に予測できる。しかし、それが漠然とした脅威にのみなっている可能性が高く、風評被害の元となっていることが多い。グローバルな食料事情を考える上でも、研究を進める意義は高い。
- 多元素分析により存在形態別の分析、部位別の元素吸収量を検討しているが、植物側の多元素過剰ストレスに対する反応が解明されていない。
- 研究目標を土壌修復技術の開発、あるいは必須微量元素を穀類に蓄積する方法の開発などとすると、より実際的で貢献度も大きくなる可能性がある。
- 国内でも、自然由来のヒ素等の汚染土壌が存在する地域がある。県内土壌の特質等に照らし、金属の植物への移行特性等に関する知見を分析・収集し、県施策への活用が期待される。
- 日中協力による研究の成果であり、一定の貢献は認められるが、示されたデータはかなりばらついており、一般化が可能であるか不安はある。また、我が国、埼玉県への適応性についても考慮しておく必要がある。
- 土壌中の重金属等の植物(穀物)への移行、蓄積に関する研究知見や情報は、今後土壌汚染の対策を検討するうえで重要な知見となる。