ページ番号:3361
掲載日:2024年4月24日
ここから本文です。
埼玉県は麦の主要な生産県となっており生産量25,800トンで全国第10位(令和5年産)です。中でも小麦については、製粉業界等の実需者から安定した品質、産地と工場が近い地理的な条件などにより高い評価を受けています。
県では、実需者の要望にさらに応えられるよう高品質な生産ができる技術の普及やパン用小麦など新たな需要に対応した品種の導入を図るとともに、規模拡大による生産性の向上を推進しています。
県内の主な産地は県北地域で、水田裏作を中心とした米と麦の二毛作が行われています。
昭和30年代頃まで、埼玉の日常食は押麦に白米を混ぜた麦ごはんが一般的でした。
埼玉の食の中心であった麦は、明治から昭和30年代中頃にかけては大麦を中心に生産されていました。明治20年前後には、小麦、六条大麦、二条大麦、はだか麦を合わせた4麦の生産が全国一を占めていた時期もありました。
その後、経済の高度成長の影響や食生活の変化による需要の落ち込みにより麦の作付けが減少しました。特に、畑作地帯を中心に作付けされていた大麦は、収益性の高い園芸や畜産の生産拡大に伴い、急激に減少しました。
現在では播種前契約(種をまく前に実需者と麦種や生産量の契約をすること)に基づき、需要に応じた高品質な小麦・大麦が生産されています。
権田愛三(ごんだあいぞう)は1850年(嘉永3年)に埼玉県北部の東別府村(現在の熊谷市)に生まれ、一生を農業の改良に捧げました。その中でも麦の栽培方法に関して大きな功績を残し、麦の収量を4~5倍も増加させる多収栽培方法を開発しました。
その栽培方法は、麦の根元をしっかりさせ倒伏を防止する「土入れ」、麦の茎の枝分かれと根部の伸長を促す「麦踏み」、堆肥をふんだんに使った「土づくり」を行うというものでした。大正12年には集大成ともいえる「実験麦作栽培改良法」を出版し無償で配布、県内はもとより日本全国への技術普及に尽力しました。
栽培方法の改良が進んだ現在でも、「麦踏み」は安定多収を図る上で重要な技術として今日に活かされています。
これらの研究と栽培方法の普及の功績から、「麦翁(ばくおう)」とたたえられています。
平成26年産から小麦の主力品種を「農林61号」から「さとのそら」に転換しました。「さとのそら」は「農林61号」と比べて「収量が多い」、「草丈が低いため倒れにくい」、「縞萎縮病に強い」などの特徴を持つ〈めん用〉品種です。
また、製粉業者からの要望で、低アミロース品種「あやひかり」も作付されており、めんが滑らかで食感が良い特徴があります。
古くから小麦の栽培が盛んな埼玉県では、食文化としてうどんが根付いており、地域ごとに特徴あるうどんが発展してきました。
埼玉はうどん共和国(埼玉県公式観光サイトちょこたび埼玉)(別ウィンドウで開きます)
※低アミロース
デンプンはアミロペクチンとアミロースという二つの成分により構成されています。アミロースが少ないともちもちした食感になります。
埼玉県ではビール用の二条大麦(ビール麦)と麦茶用の六条大麦が生産されています。
ビール麦はビール会社との契約を基本に作付を推進し、本県で発生の多かったオオムギ縞萎縮病に抵抗性のある品種「彩の星」が作付けられています。
六条大麦は麦茶用として評価が高い「すずかぜ」を中心に作付けられています。
埼玉県本庄市のビール麦畑
大麦と小麦の違いは何でしょう?粒が大きいものが大麦、小さいものが小麦?
大麦と小麦は全く違う植物です。
大麦も小麦も同じイネ科の植物ですが、大麦と小麦は植物を分類するときに使う属名と種名が違います。
大麦はオオムギ属のオオムギ(学名でHordeum vulgare)、小麦はコムギ属のコムギ(学名でTriticum aestivum)となります。
では六条大麦と二条大麦はどう違うのでしょうか。
その違いは子実の付き方にあります。
二条大麦
二条大麦は6列(条)のうち2列(条)に子実がつきます。
六条大麦
六条大麦は6列(条)の全てに子実がつきます。
小麦
3つの子実が交互につきます
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください