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掲載日:2024年9月12日

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講演「多様性を活かしたコミュニティづくり」 講演資料・動画・テキストページ

講演資料

講演動画

講演内容

  1. 講演
  2. 質疑応答

1.講演

講師 小笠原 舞

私はもともと愛知出身で、埼玉の川口で小学校6年生から大人になるまで育ちました。なので、今日ここに呼んでいただいたのもすごく嬉しくて。今、神戸の長田で子育てをして、5歳の年長さんの息子と、あと2歳になったばかりの娘が、後で写真も出てくるんですが。何か自分の幼少期というか(を思い出して)、大宮もよく遊びに来ていたので、赤羽ぐらいからキョロキョロしながらですね、町並みが変わってやしないかと思いながら来て、大宮に降り立って今ここに来ています。

私の方からは今日、2つのテーマでお話しさせていただきますので、皆さん、この後ワークショップがあると伺っていますが、何か少しでもヒントになることがあればいいなと思ってお話しさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

『多様性を生かしたコミュニティづくり』ということでテーマをいただいています。まず初めに、私のバックグラウンドはもともと福祉ですね。大学の方は福祉の専攻にいたんですが、福祉をやって、その後教育現場、一回会社員を挟んでたんですけど、その後保育士になって、という経緯があります。今、巷では多く聞かれますが「ウェルビーイング」という言葉を私は大学の時からずっと、「どうしたらみんな幸せに、豊かに生きれるのかな?」ということで、ネパールの難民キャンプに行ったり、様々なボランティアを学生時代に、今で言う「フィールドワーク」を自発的に好きでやって飛び回っていたような学生時代でした。そこから今、20年ほどが経っていて、今回はこの機会に呼んでいただいたきっかけが、今、神戸の長田区というところに住んでおりますが、神戸市長田区に行ったことある人いますか?はい、少ないと思いますが、ここの地区がですね、私は今すごく大好きすぎて、「推し活」のようなものをしているんですが、その話も今日の後半の方に出てきますが、この記事をきっかけに、今回ご縁をいただいたという流れになっています。気になる方は記事のURLを貼ってあるので御覧ください。

今日のお品書きは自己紹介が終わりましたので、まず1つ目に『地域・場づくりにこどもの声を取り入れる方法』ということでお届けしたいと思うのと、あと2つ目が『参加者が自主性を持つための仕組みづくりのコツ』ということで、その2点を20分ほどでお話ししたいなと思っています。

ちなみに私、いろいろとプロジェクトを気が付いたらやっているような個性なんですが、その中にも全部ですね、原動力は一貫したものがあるなと思っていて、先にそれをお話ししたいなと思います。

これですね。『こどもがその子らしくのびのび育つ社会を作りたい』ということで、皆さん子育てされていたり、もう終わっていたり、いろんな方がいらっしゃるかなと思うんですが、どの自治体、企業さんでも、きっと子供のことっていうのは、皆さんプライベートでもお仕事でも考えているんじゃないかなと思いますが、もう本当にこれ一つを保育現場を通して私は考え続けてきています。その中で大事だなって思ったことが、『大人こそ自分らしく生きる社会に』ということで、子供たちは大人の背中を見て育ちます。なので、いくら子供たちにいい環境を作っても、大人たちがその背中を見せてくれないと、なかなか個性ってそのまま大きく育つことが難しいんじゃないか、ということを教育現場にいて思いました。それをじゃあどうやって作るのかっていうところで、私は様々なプロジェクトを通して、少しでもこの社会に近づくように取組をしています。その中で、共通項で今回話をする中で、なんでこれ全部やってるんだろうなっていう整理をした時に、『どうしたら大人に余白を作れるのだろうか』っていうことを、私はいつも自分に問いかけて、様々なことをしているなと感じました。

様々なことって言うと、これですね。こんな形でリアルとオンラインを駆使し、社会と自分の暮らしを駆使し、様々なプロジェクトをやって、やり過ぎています。今日これを全部話すと時間が足りないので、こんな感じで分類してみると、いろんな仕組みを作ったりとか、講座をしたりとか、自分たちの家族を開いたりとか、様々なアプローチでみんなが豊かに、子供だけでなく大人もより良く暮らす社会、より良く暮らせる社会を作るということをしていますが、今日はこの2つに焦点を当てて話したいなと思って、さっきの1番、2番を設けました。

まず始めは会社です。私がもう一人の共同代表と一緒にやっている「こどもみらい探求社」という会社の取組の中で、事前にどの切り口で話そうかってことでお打ち合わせさせていただいて、話の中で出たのが、『地域・場づくりにこどもの声を取り入れる方法』というテーマにしました。まあ、子供も市民なので。埼玉県もそうです、県民、市民なので、そういった中に想像で「子供たちってこうだろう」っていうふうに、皆さん普段お仕事されてるのかなと思うんですが、その中に「実際に子供を入れてしまおう」ということで、何個か取組を企業さんとしたので、その事例をちょっと御紹介します。

こんな形でですね、さっき言いましたが、社会を作ってる人は誰だろうということで、会社を設立して、「子供の世界と大人の社会をつないでいけたらいいな」ということで、様々なメイン事業としてコラボレーション事業をしています。子供のこと、親子のこと、家族、保育のこと、様々。最近は地域の話がよく増えてきたので増やさなければいけませんが、そういったものをですね、保育士の知見だったり、自分たちの暮らしとか感じていることを活かしながら、企業の方たちとコラボレーション、自治体の方ともコラボレーションをしてお仕事をしています。

特に、都市づくり、ITサービス、店舗とか、皆さん企業や自治体も強みがあるので、自分たちの強みだけではなく、企業さん、しかもその担当者さんとかグループ、チーム、皆さんの個性を活かし合いながら事業をするんですが、今日は一番上のところ、地域づくりっていうところに関わるので、この『こどもがいることが当たり前の・都市空間を考えたい』というところで、どんな風にやったのかちょっと分かりやすいので御紹介します。こんな御依頼が来た時に、私たちは「親子でフィールドリサーチしちゃおう!」ということで、さっきの写真、どこかわかる方がいるかもしれません。これ、渋谷ですね。渋谷のまちで、親子でフィールドリサーチをさせてもらいました。例えば親子で歩くとどうなるのかっていうときに、さっきのニーズがですね、子供たちがいることが当たり前の、というところなんですが、「子供の広場とか子供の居場所ってどういうふうにつくるのか」みたいな話があったんですけど、もう子供に聞いてしまおうということで、子供たちに歩いてもらいました。こういうところに目を向けてくれたりとか、普段あるものの中で遊びを考えていくのが子供のすごいところですね。なので、特別な子供用のものがなくても十分楽しめるところがたくさんあって、そういったところに企業さんは気づいてくださって、リサーチとしてすごく今までにない視点をもらいましたということで、この先、このあと渋谷のまちをこう、関わるっていうことはしてないんですけれども、こういう新しい気づき、発見っていうのをしてもらうことで、皆さんがつくる他の場所にもその視点が役立っていくというようなことが起きました。

同じ建築業界さんで、ちょっと角度が違うんですけど、「オフィスのエントランスをもっと活用して、地域に開いて、パブリックスペースとして使えないかな?」というお話がありました。広いんですよね、エントランス。オフィスビルのエントランスって広いじゃないですか。なので、そこにもう「親子の憩いの場を出現させてみたらどうか?」ということで、起きた効果が、皆さん子供がいるとですね、笑顔や会話が増えます。空気がすごく明るくなったり、あとはこれ、写真が面白いんですけど、3日ぐらいやったんですけど、途中で大人たちもここで仕事をするようになります。そうすると子供がその隣に電車とかを「ブーン」とかいって走らせているんですが、大人と子供って実は分けないといけないって思ってたりするんですが、お互いに慣れてくると共存できるということが分かって、そういった新しい視点をこちらも持って帰っていただいたという事例です。

自分たちだけでもちろん考えることも必要なんですけど、「実際に子供に聞いてみるというのが大事だよね」というところで、話す言葉だけでなく、行動そのものからも子供たちって情報が出ています。お子さん近くに、うちも5歳と2歳いるんですけれど、まだ2歳だとなかなか話せませんが、態度に全部出てたりしますね、子供って。そういうふうに情報って言語がしゃべれるかどうかではなくて、子供たちって身体いっぱい使っていろいろ表現をしているので、そういったことに目を向けてみると、いろんなヒントが実はあるんじゃないかなというところで、事例として御紹介させていただきました。

ちょっとこれはおまけなんですけど、『こども視点になってみる』というオリジナル研修をやっています。何をどうするかというと、こんな感じで、まずしゃがむ。だいたい机の下ぐらいまでになって、このメガネは交通ルールとかの、車業界のところで使っていたり、ウェブで出てくるんですけど、それをちょっと活用させていただいて、子供の視点ってここら辺までしか見えないんですね。下に下がって歩くと本当に見えないんですよ。なので、子供視点を体験してもらう。そうすると、何かそういうゴミ箱って面白いなとか、いろんなことに気づくので、なってみるっていうことですね。

さらにですね、これ、何をしてると思いますか?これはですね、答え言っちゃいますけど、赤ちゃんの目線を体験しています。要は、寝ているだけの赤ちゃんって上しか見れなかったりするので、「ライトってこうやってやるときれいだね」とか言いながら、赤ちゃんの目線を体験してもらったりもしました。

こんな形で、私たちは子供たちの、もちろんいろんな子供といろんな親を見ているので、そういう知見をお届けして、もちろんお仕事をしてるんですけど、皆さん自身もこうやってなってみると新しい発見ができたりするので、そういったことをやらせていただいています。様々な角度から子供視点を用いて、全国各地、自治体さんともお仕事をしていて、これ、小さいので皆さん資料で見てもらえたらと思うんですが、本当に子供・親子に関わらない場所とか地域ってないなと思うので、いろんな角度で私たちが先程の子供たちを呼んでくるとか、親子を呼んでくるとか、あと私たちが見てきたものを伝えるみたいな形で、お仕事をさせていただいているっていうのが1つ目の事例です。

もう一つが、こっちです。私、本当に長田のまちが好きすぎてというか、先ほど言った子供たちがのびのび育つイコール大人たちものびのびするという、社会の縮図を見つけてしまったなというふうに思っています。長田区ってやっぱり社会課題が割と多い地域で、調べていただいたら出てくるんですが、本当にそういう場所なんですけれども、その違いを、震災も来年30年になって、いろいろとまたイベントというか機会があるとは思うんですけれども、そこを乗り越えてきている皆さんが、自分たちの地域をすごく愛して作っているなっていうのをすごく感じて、日々私も暮らし、子育てをしています。ここのまちの暮らし方、皆さんの中にすごく大事なことが残っているなというふうに思っていて。私は「遊び基地」とか「親子保育園」とか、リアル・オンラインを駆使して子育てのコミュニティを作っているんですけれども、私自身も子育てする中で、私が住む地域・子供が育つ地域っていうところで何かできないかなというところで、たまたまの御縁で長田区に出会うことができたので、今はそこで自分たちの家族を開いてっていうのと、あとまちの人たちも移住者が、私もいろいろ友達が遊びに来て、そのまま移住しちゃうってことが起きていまして。「推し活」ですね。「下町ぐらし研究所」っていう任意団体にして、まちの人たちを巻き込んで活動をしているので、後半はその話をしたいと思います。

結構これよく聞かれるんですけど、「参加者、住民が自主性を持って取り組むことってどういうふうにやるんですか?」っていう話を受けることがあります。そこで重要なポイントが2つあるので、それを御紹介したいなと思うんですが、これも実は1個仕掛けで、うちの、私がやっている「とまり木」というゲストハウス、下町暮らし体験をする、下町コミュニティを体験するっていうテーマのゲストハウス、長屋1軒貸切のゲストハウスをしています、去年から。ちょうど来月で1年になるんですけれども、そこに泊まった人たちをコミュニティにしていくっていうためのチェキですね。チェキのボードです。こういう一つ一つの仕掛けが実はこだわって作っているので、それを紹介したいなと思うんですけれども、まず参加者が自主性を持つために大事なことがあると思っています。よく聞かれる言葉があるかなと思うんですが、私も今までいろんな取組をしてきて、いろんな親御さんやいろんな保育者、いろんな人たちに会う中で、この言葉をすごく聞いてきました。「いや、私にはできないです」とか。私だとよく「いや、小笠原さんだからできるんでしょう」とか「長田区だからできるんでしょう」とかって言われることが多いんですが、「いやいやいや、皆さんできます」っていうことを、一人一人の子供に言うように、一人一人の大人たちにも私たちは本当に「その人ができることって絶対何かあるな」って思っているので、この言葉が結構キーだなと思っています。大事なのは、「自分にもそれだったらできそう!」と思えるかっていう視点をどうやって作っていくか、っていうのがすごく重要だなと思っていて。ハードでいろいろコミュニティとか場所を作ることはできるんですが、やっぱり自分でそこに愛着を持つとか、何か関わりを持つとか、そこが大事になってくるっていう、やっぱりその気持ちが起きたときに、すごく自発性が起きて、面白い効果が起きてくるなと思うので、それにたどり着くには、一人一人がすごい距離があるんじゃなくて「それだったらできそう」と思えるか、という視点だなというふうに活動を通してずっとやってきて、これだなと思っています。

じゃあ、誰もができることって何だろうというところなんですけど、そこで2つのことを紹介します。1つ目が『その人の好きなことを組み合わせちゃう』ということです。私たちこどもみらい探求社でもとにかく大事にして、私たち自身もそれを大事にして生きてるんですが、好きなことって皆さんありますよね。さっき好きな食べ物を聞いたらワーって出てくるように。たぶん皆さんの好きなことって、大人も子供も、どの年齢でも、皆さん好きなことって一つはあるんじゃないかなと思っています。それを引き出して組み合わせていく、という活動が「下町ぐらし研究所」という活動です。これは去年の4月から私たち3人、移住者3人で始めた「推し活」コミュニティというか、下町暮らしってすごくいろんなものが、大事なものが詰まってるよねということで、それを研究しちゃおうということで作ったんですが、「部」があります。今6個なんですが、今後増えていく可能性はありますが、どんなことをしているかっていうと、「畑活部」というのはまちの子供たち、学校に行っている子・行っていない子、小・中・高・未就学児がいますが、まちの防災空地に畑があって、そこの管理を子供たちでしてくれています。これ、うちの娘と息子なんですけど、採った野菜でご飯を、ご飯を作るのが好きな中学生がいるんですけれども、その子がお鍋を作ってくれて、みんなでご飯を食べるということをこの「畑活部」ではやっています。私はご飯を作るっていうことがなかなか好きではないので、こういう風に子供たちが一緒に自分の子供と採ったものでご飯を作ってくれて。場所はうちのゲストハウスだったり、夫が隣でやっているバーなんですけど、そこで出すっていうところで、私は子供を見るのと場所を提供する係ですっていう形で、好きな子たちが好きな人たちとみんな町の人たちも呼んでご飯を食べているのが「畑活部」です。他にもママたち、この地域に住んでいないけどこのコミュニティに関わりたいというママがいました。「私、コーヒー入れられます」、「私、アフリカ布でグッズ作れます」、「私、お古の服いっぱいあります」、「私、看護師です」とか、色々いました皆さん。好きなこととか聞いていったら、できることがあるんですね。じゃあ、それをまとめてチームにしてカフェしましょうということで、うちの夫のバーを月1で借りて、そこでママたちが自分たちの好きなことをやる場、カフェをしています。外は路地なので、子供たちは外で、私は見てるっていう役なんですけれども、そういう形でやっていくことで、この地域外のママたちの友達が来て、また長田区を体験してもらうというような仕組みになっています。

あとは「朝活部」。朝、ゴミ拾いをするんですけど、ゴミ拾いをした後、土鍋でご飯を炊くことが好きなママがいます。そのママが待ち構えていて、ご飯を出してくれて、朝ご飯を食べてから保育園に行ったり、仕事に行ったりという活動をしていたり。あと、まちの本好きが集まって本を紹介する会っていうのがあるんですけど、そこに最近は子供たちも持ち込んできてですね、大人の中で発表してくれていたりします。あとは「放送部」といって、ラジオですね。自分たちでラジオをしています。まちの人たち、いろいろ外に記事になる人じゃない人たちにフォーカスを当てて、まちの人の個性を1個ずつフューチャーしてラジオにしていくっていうことをやっていたりもします。これもこういうラジオパーソナリティーになってみたかった子がやっていたりとかするんですけど、そういうところで地域活動というところで、いろんな人が巻き込まれる仕掛け、というのを作っているのが1つ目です。もう本当に、私はあんまり何も、企画したり外でこうやって喋ったりする係なので、みんなが好きなものを持ち込んでくれたら「じゃあもう、それをやれば?」っていう形でやり方をお伝えしたり、誰かをつないでチームにしたり、ということをする役割で私はいるんですが、本当に好きなものの力ってすごくて、みんな好きなものが何か形になると、それを外に発信してくれるんですね。それでまた新しい人が来て、好きなものが持ち込まれてっていう循環ができてくるので、すごくみんな生き生きして関わってくれているなと眺めてみています。

そして2つ目が、これはどこでもできることなんですけど、『日常のあいさつを真ん中にする』ということです。小学校とかでよく「挨拶しましょう」みたいなことが書いてあると思うんですけど、普段、まちなかで自分の地域で挨拶してるかな?って思ってみると、実は意外となかなか難しい社会になっているんじゃないかなというふうに感じています。うちのゲストハウス、こんな感じなんですけどね、いろんなママ会でお泊まり会とかいろんな使い方がされて、面白いなと思っているんですが。ここで、泊まってくださる人へのお願い事があります。2つ。1つ目「家の前では町の人に挨拶を」っていうことをお願いしています。結構これ、「なんで書いてあるんですか?」みたいなことを聞かれることも多いんですけど、家の前が路地なんですね。ここでうちの娘とかは、朝、いつも虫取りをしています。ダンゴムシを探すのがブームなので、それをしているんですけど、挨拶していると、町のその、お隣のおばちゃんがダンゴムシのいっぱいいるゾーンを教えてくれたりとかするわけなんですね。ここの路地では、本当に自由にさせてもらっているんですけど、それって日々の挨拶があるからやれているなと思っていて、うちの宿に泊まったら、そういう人との関わり合いとか関係性っていうのも、なかなか難しい世の中だったりもするので、こういったところで体験して、知らない人でも挨拶していたら、何日も泊まってたら普通に世間話をしてきてくださる方が多かったりするので、そういうところで何かホッコリしたりとか、人の温かさに触れたりとか。実はそれが私はウェルビーイングなんじゃないかなと思っているんですけど、そういうことを体験してもらうゲストハウスを運営して、こういうルールを設けています。なので、挨拶の効果ですね。これ、うちの娘が産まれた時なんですけど、とにかく可愛がられて挨拶されるので、うちの娘がここから、ちょっと路地からその外にね、あっちも商店、奥も商店街なので、人の目があるんですけど、危なかったりするとですね、見守って止めてくれる人たちが町中にたくさんいます。そういうコミュニケーションを日々とって暮らして、挨拶プラス一言喋るようになってくると、こういうのがまちなかにあることで、私自身もやっぱりこの地域が安心安全だなと思っているので、イコール子供たちもこのまち、ここって安心だなっていうふうに思って、きっと過ごしているなっていうのが見受けられるんですが、そうするとやっぱり、のびのび遊べます。こんな感じで遊んでいたりしますが、あとはですね、自ら挨拶できるんですね。うちの子、今、2歳なんですけど、まだ片言ですが、「こんにちは」「おはようございます」「おはよう」とかね、「バイバイ」とか言って歩き回ってるんですけど、本当にそうすることでまちに友達が増えていくということが起きていくので、やっぱりそういう効果っていうのもすごくあるなと思っています。たかが挨拶なんですけど、すごくいろんな効果があって、なかなかいきなり自分の地域で普段してないのにするのってハードル高いんですが、うちの宿に来て、その心地よさにはまって、自分の地域、そのお母さん埼玉だったんですけど、自分の町でやりだしたら御近所さんたちとすごく仲良くなって、今では子供たちを預け合いしてるっていう話も、嬉しい報告を受けましたが、そうやって自分でどこでもできる形にっていうところがすごく地域とかまちを作っていく、コミュニティを作っていく上で大事だなというふうに思っています。

最後、おわりにということで、多様性を活かしたコミュニティをつくるためにはと書いたんですが、これ、うちのまちで日々体験していることなんですけれども、多様な人とか経験っていう出会いがやっぱりすごく大事だなと思っていて。さらに、それが暮らしの中にあるってすごく豊かだなと思っています。その経験がきっとその子の未来だったり、私たち自身のこれからにもつながっていくなというふうに思っているので、これ、家の前の路地をあえて白黒にしたんですけど、これ昔じゃなくて今です。最後に伝えたいのが、半ばでも言いましたけど、何よりも大人がいろんな立場を超えて、こういう暮らしとか日々の体験を楽しんでいる、人との出会い、今日もそうですね。いろんな人との出会いだったり、いろんな体験を子供にさせるだけではなくて、自分が楽しんでやっていることっていうことが大事だなと思っているので、そういったことを体験してほしくてこのゲストハウスをやっているので、もし御興味がある方がいたら、説明を聞いても体験しないと分からないので、遊びに来ていただけたら嬉しいなと思っています。

ということで、ちょっと長くなっちゃいましたが、最後になりますが、さっきの冒頭の記事ですね。実は行政の人たちと一緒に長田区の役所の人たちと取材していただいています。うちのまちは、行政の人とか、町の人とか、企業の人とか、本当に関係なくて、自分たちのまちがどうやったら良くなるかっていうことをご飯を食べながらいつも話をしてるんですけど、こういう立場を超えてつながり合いって、身近なところからできるなと思いますので、是非、できるところから、会社とか自治体の中でもそうですが、日々の暮らしの中で何かできることから体験してもらって、それをまたお仕事に役に立てていっていただけたらいいんじゃないかなというふうに思っています。以上です。御清聴ありがとうございました。

2.質疑応答

モデレーター 渡邊 智裕

小笠原さん、ありがとうございました。このまま、少し皆さんの御質問にお答えしたりしていきたいと思います。

講師 小笠原 舞

ありがとうございます。

モデレーター 渡邊 智裕

いくつか(感想や質問を)いただいてて、皆さんでスライドも見ながらだと思うんですけども、先ほど、一番最後のスライドの写真で、行政とか自治体とか企業の方とかっていうことじゃなくて、人ベースというか、みんなで話をしてまちを作っていますっていうお話だったと思うんですけど、小笠原さんの方でこういうことをやりたいとか、ああいうことやりたいっていった時に、この話だったら行政とか、この話だったら会社みたいなことってありますか?逆にもう、そこは人ベースみたいな形ですか。

講師 小笠原 舞

そうですね。ゲストハウスの時はですね、むしろ行政の方に「舞ちゃんたちこれしない?」って言われたんですけど。それでタイミングが合って、うちの隣が、うち3軒長屋で真ん中が家で(両端が)ゲストハウスとバーなんですね。

なので、本当に運命みたいなところもあるんですけど、何かやりたいことがあった時に「あの人に聞こう!」っていうふうになります、やっぱり。なので、普段ご飯食べたり、いろんなところで顔合わせする時に、もちろん区役所に行って打ち合わせをしたり、企業さんに行って打ち合わせもするんですが、本当に何か人と人として関わり合って、そのまちをどう良くしていくかとか、自分たちの暮らしでこういう風にしたいっていうことを、交換し合っています。なので、子供たちも、「畑活部」の子たちも自分たちで助成金、これから取りだして活動するっていうことを聞いていますが、そういったことが自然発生型で起きてくるのは、やっぱり人と人として普段暮らし、だから仕事も暮らしの中じゃないですか、子育ても。その辺りがすごくこう、私たちのまちはごちゃごちゃなんですが、何かそれが逆にいいことなんじゃないかなっていうのは思っています。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほど。逆に言うと、普段から自治体とか企業とかってことじゃなくて、皆さんと顔を合わせる機会が割と頻繁にあってっていう感じ。

講師 小笠原 舞

そうですね。はい。まちなかで、自分たちの地区とかまちが好きだと、あんまり外に出て行かないとか、いろんなこともあるのかもしれないんですけど、結構まちなかで本当に道で人に会って喋って、みたいなことが起きます。なので、私、視察ツアーとかもまちで頼まれた時に、駅集合で、JRの新長田駅に集まって歩くんですけど、「なんでこんなにまちに知り合いがいるの?」って言われるぐらい歩いていたら挨拶をしながら歩くんですね。そういう関係性が普段の中からあるっていうのが、結構重要なんじゃないかなと思っています。

モデレーター 渡邊 智裕

はい、ありがとうございます。私は下町じゃなくて、自分が住んでいるところが本当に郊外型で、もうドア・ツー・ドアみたいなところに住んでるので、逆にその下町のですね、皆さんに挨拶しながら歩いているっていうのを、新鮮だなと思って聞いたんですけど。ありがとうございました。今、皆さんから御質問をいろいろいただいていて、例えば「様々な活動をやられてると思うんですけど、皆さんボランティアですか?」っていうことなんですが。

講師 小笠原 舞

そうですね。基本、会社としてやる時に頼む時は、もちろんお手伝いで交通費が出たりとかいろいろありますけど、下町での研究所はみんな自分でやりたいことをやるっていうところで、そこで人とつながったり、私だったらご飯を誰かが作ってくれて、ちょっとゆっくり仕事できたりとかっていうところがあるので、そのお金じゃないウィンウィンというか、なんだろうな、交換というか、それができているんだろうなというふうに思っています。

モデレーター 渡邊 智裕

皆さん、やっぱり好きで、やりたくて集まってくるっていうところですかね。なるほど、分かりました。あとは、『まちの「推し活」っていうお話もありましたけれども、公務員だからとか、活動だからとかっていうことじゃなくて、これ、すごくいいですね』っていうお話にいくつか「いいね!」をしていただいております。この「推し活」の活動って、さっきのお話でもあって、こういうのって何かきっかけみたいのってあるものですか?自然発生的に、何か好きなものが、みんな3人ぐらいで集まって、これいいよね、みたいな話に?

講師 小笠原 舞

それは私も、「何でこんなにみんなのびのび暮らしているのかな」とか、(長田区に)住み始めて今6年、息子が6歳なので6年目なんですけど、「何でこんなに居心地がいいんだろうな」って思うんです、何か。それでいろいろ私なりに考えた結果、やっぱり先輩たち、人生の先輩たちが本当に自分の個性を丸出しで生きていてくれています。本当に、まちでは「おせっかい」っていう言葉で、それはいい意味で使っていたりするんですけど、本当に挨拶して、工事現場のおじさんにコーヒーを出すおばちゃんがいたりとか、絶対、道行く人に声をかけているおじいちゃんがいたりとか、皆さんですね。あと、本当に好きなものに溢れている感じが、私が住んでる地区に個人商店が多いので、そういう個人のお店って自分の好きが溢れていて、喫茶店していたりとかいろいろするので、そういう環境もあるとは思うんですけど、そうですね。だから子供たちもそうだし、私たちもそうだし、みんなが自然体でいられる、「好き」を出せるっていうような空気が何かあるっていうのが。何か。なので、ぜひ体験したい人はむしろ研究しに来てほしいなと。

モデレーター 渡邊 智裕

是非、長田区に。なるほど。高齢者の方、おじいちゃん、おばあちゃんも結構歩いてるよっていうお話で、今のようなことって結構、まちなかで頻繁に、それこそ挨拶の話もあって、お顔を合わせるとか、そういう機会が割と頻繁にないと、こういう空気にならないかなってちょっと思ったりしてるんですけど。割と大きな通りとかがずっと続いていたりすると、ちょっとおじいちゃん、おばあちゃんがずっと歩くのは、ちょっとしんどかったりとか、声をかけようと思っても、ずっと人がいたりとかってなっちゃうと思うんですけど、長田区のまちだと、そういう子供とかお年寄りの方の歩きやすさ、外にいるっていうのはどんな感じですか?

講師 小笠原 舞

長田区も(南北に)長いので。私たち(が住んでいるのは)海側なんですね。震災で火事が多かった地域なので、駅前は普通にマンションとかが建っていて。私たちは燃えなかった地域なので、昔の、先ほどの路地とか長屋が残ってるような地域です。山の方に行くと本当にすごい山なので、高取山という山なんですけど。なので、多分、(地図の)上・真ん中・下で文化が違ったりとか、暮らし方が違うのであれですが、私たちの下の地域は、本当にベンチが多いんです。ベンチが多いってことは、おばあちゃん、おじいちゃんたちも座れる、私たち子連れも座れる、若い子たちも座っているみたいなことで、まちの中でのおしゃべりがおそらくすごく多いかなと思ってます。そこでまた何か、「あ、〇〇さん」みたいなことが本当に面白いぐらい起きていて、交流しているので。そういう声が聞こえてくると、何かおしゃべりとか雑談というか、余白の時間だと思うんですが、そういったのが普通にあるので、やっぱりそれをまた私たちとか子供たちも無意識に引き継いでいくっていうことが多分起きていってるんじゃないかなと思うので、溜まる場所、ベンチがすごい活躍してるかなと思います。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほどですね。それは確かにちょっとこう、路地というか、そういった待合ところじゃないと、なかなか道路沿いにベンチってたくさん並んでいたりはしないと思うので。分かりました。そういう場所、ベンチ、もちろん高校生同士とか、おじいちゃん、おばあちゃんと子供たちとかでお話しされていると思うんですけど、それ以外に長田区で人が集まる場所みたいなところって、どんなところがありますか?

講師 小笠原 舞

個人店が、先ほども言いましたが、喫茶店に、私も行きつけの喫茶店、子連れで行ける喫茶店が、もう普通に宿に泊まる人に「5軒ぐらいあって、どこがいいですか?」みたいなこと聞くんですけど、本当にまちの至るところに喫茶店、あと、銭湯も徒歩圏内に4つあります。あと、居酒屋さんも個人でやっている方が多いので、何かそのおばちゃん、おじちゃんの色が出てくる場所みたいになっていったり、私たちがやっているバーとかゲストハウス、あと、近所に割と有名な介護施設があるんですけど、そこのガレージもオープンになっていて、他にもコミュニティースペースをやっていたり、まちに開放してる人たちが何人も、何家族もいるので、そういうところが点在しているから、本当に「お客さんを取った、取らない」とかそういう次元じゃなくて、何か困ったら「みんなおいで」みたいなことがいっぱい起きているような環境なので、それが結構大きいんじゃないかなと思ってます。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。開放って、ちょっと私、新鮮だなと思って。聞いて。その介護施設って普通、危ないから、よその人が入ってきたりとか、おじいちゃん、おばあちゃんに何かあると危ないからっていって閉めちゃうっていう。学校はちょっと別かもしれないですけど、あと、その個人のお宅なんかも。

講師 小笠原 舞

でも、学校も防災訓練があって、震災があったからっていうところはもちろんあるんですけど、地域の御年配の方たちが、子供会とか自治会みたいなのがすごい残っていて、小学校にその人たちが来て、子供たちの避難誘導とかを手伝うんですね。

私たちは自営業なので、そういう人たちがやっぱり継がないと途絶えてしまったりもするので、今、私たち世代の自営の子たちが、そこをまた継承しに頑張ろうっていうふうにしているところなんですけれども。なので、学校もこんなに入れるんだ町の人が、っていう感じで、うちの地区はなっています。

モデレーター 渡邊 智裕

それはすごいですね。なかなか、私、元公務員の気質がどうしても出ちゃうんですけど、何か、やっぱり閉めたくなっちゃうというか、「何かあると困るから」みたいに思っちゃったりするんですけど、でも逆にやっぱり、こういう風に開いてないとそもそも交流ができないですよね。

講師 小笠原 舞

そうですね。そういう意味で言うと、挨拶もそうですけど、人の目とか交流があることでの安全とか防犯とか、もちろん事件ってどこでも起きるものだとは思うんですけど、その『人のつながりでの安心感』ていうのは、やっぱりすごく、私は転勤族で、いろいろ地域を巡ってっていうので、あんまり土地に愛着みたいのが幼少期もなかったんですけど、子供たち、自分たちの子たちを見ていても、うちの子、5歳、2歳でどれだけの人と会ったんだろうというぐらい、すごいいろんな人と、お店をやっていたりもするので会うので、またその中で、人と人との間の中での何か、温かさを掴み取っていっている感じはすごくするので。私が正しいわけでもないのであれなんですけれど、何かすごくオススメな暮らし方だなと思っているので。こういう場で話すことで、一人でも何かどこかにキーワード、来てもらったら体験しに来てくださいって言えるのが、すごくゲストハウス持ってよかったなと思ったので、もれなく我が家の隣なので、うちの子たちも、犬もいるんでついてくるんですけど、でも、だからこそ関われる大人とまちの人たちがいるので。そういうのは、やっぱり大事ですね。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほど。はい、ありがとうございます。ここちょっと、キーワードかなと思って今、聞いていました。あとは具体的に行政と、もしかしたら自治体の方かもしれないですね。「どういう関わりがありましたか」っていう御質問が来てるんですけど、何か行政の方と一緒にやった、今までのまちづくりの、例えば探求社さんの事業であったりとか、小笠原さん個人の活動で、行政の方と一緒にまちづくりの何か事業をやったっていうケースってありますか?

講師 小笠原 舞

そうですね、多いのはやっぱり、子供、親子を呼ぶようなイベントをしつつ、そこからコミュニティを作っていくっていうような事業が、自治体とか、コロナ前の方が多かったですけど。移住者を増やすっていう文脈だったり、子育てコミュニティを作るだったり、そのお手伝いとして行って講演会したり、こういう話をしたり、遊び場を作ってそこで人をつないだりとかっていうことが多かったりしました。あとは、若者たちが「子供を産みたい」というような思いを持ってほしいなっていうところで、まちの親子を呼んできて大学に。そこで赤ちゃんとかに触れ合ってもらったり、あとは親御さんに「実際に働くと子育てってどういう感じですか?」って聞いたりとか、そういうイベントもありました。

モデレーター 渡邊 智裕

それは、こどもみらい探求社さんの活動ってことですよね。

講師 小笠原 舞

そうですね。こどもみらい探求社の方に、知り合いの人から紹介が来たり、問い合わせが来たりっていう形で。私たちは、会社ではあんまりない事業体でやってるので、「子供・子育て・親子・保育とかに関わる何かをしたいんだけれど、一緒に何ができますか?」っていう感じで相談が来て。そこから皆さんのニーズだったり、そのまちとか、企業さんの強みだったり、今の課題だったりを聞いて、じゃあ何をできる、何をしたらそこのニーズを達成できるか、それには、子供と親子をこういうふうに呼んで、こういう経験をしてもらって、例えば、まちのそういう誰か、キーマンを、保護者を見つけるとかね。いろいろあるんです、やり方が。それって本当に、まちも個性なので、まちごとに違うんですが、そういう依頼が結構多いです。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほど、分かりました。その行政の文脈というかですね、「子育てがまちの活性化につながっていますか?子供が増えたとか、子育て世帯が増えたとかありますか?」っていう質問も来ています。

講師 小笠原 舞

はい。それは増えて、そんなにいっぱいは増えないですけど、一人でやっていても。そうなんですけど、私のお友達が3人ぐらい既に移住し、子供を連れてきたり。あとは、そうですね、一緒に仲良くしている子たちが若い子、20代の子たちも、ちょっとアーティストの子たちも多かったりする地域だったりもするので、そういう20代の子たちがうちの子供たちや他のいろんな子育ての形を見てると、「子供産んでも何とかなりそうかも」って思ってくれて、実際に結婚、出産している子がいたりとかっていうのがあるので、増えています。

あとは、意外と、やっぱりそういうつながりがあると「じゃあもう一人産もうかな」とかっていう声も聞こえてきたりはするので。もちろん、それは御家族それぞれの事情だとは思うんですけど。本当に子育てしやすいってこういう風に、私たち大人も子供も、自分がやりたいことができる、やりたいお店に行ける、とかっていう、何か我慢しなくてもいいっていうか、やりたいことができる、子供がいても行けるとか、そういうのをすごく私自身も第1子の時は「喫茶店に行っていいですか?」とかって言って入ったんですけど、見事に「なんでそんなこと言うんだ!」って怒られて、「当たり前じゃないか!」って言って、おばちゃんたちが赤ちゃん抱っこしてくれて、ゆっくりコーヒー飲めたんですけど、やっぱりそういうことが子育て支援だろうなっていうか、行政の、もちろん広場とかも大事なんですが、もうちょっとその暮らしの中で、自分のニーズが叶えられることっていうのもすごく重要だなっていうふうに実体験を通して思っています。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。その、「暮らしの中のニーズを叶える」っていうところは、すごく大事なところかなと思います。今日、コンパクトっていう話もある中なんですけど、長田区はそのとおり、まちの作りとか集まっている人柄とかでそういうことができるまちっていうことで、今、小笠原さんもすごい好きだっていうお話だと思うんですけど、これ、ちょっとごめんなさい、難しいことを聞くかもしれませんが、あえて長田区以外のところに自分が移住する、しなきゃいけないってなった時に、何があれば「私、長田区をこんなに好きだったけど、こっちに行ってもいいかな」って思える、何か思いつくものってありますか?

講師 小笠原 舞

そうですね、多分私のこの個性だと、どこへ行ってもこういうことしちゃうと思うので、何かそのまちでいろんな人とつながれる場とか、つながれる機会があったら行く。今もずっと長田にいるかも人生分からないんで、何があるかも分からないんですけど、やっぱり結局移住する時とかって「その人がいる」とか、やっぱりそういう「人」ってすごく重要だと思うので、そこでまず一人好きな人を見つけたら、私はそれでそこからまた何かじわじわやりだすんだろうなって、思います。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほど。そのキーマンをですね、地域活性化に向けて重要だと思いますってことで、見つけ方、育て方について何か経験があればっていう質問が入っています。人とつながるきっかけみたいなところとか、何か一緒に活動していく上で、小笠原さんが気にしてるというか、何かありますか?

講師 小笠原 舞

そうですね。地域のキーマン、ちょっと子育て以外のところがあんまり分からないのであれなんですが、まあ、でも総じて言えるのかな。割とフラットに物事を考えられる人がやっぱり真ん中にいた方が、いろんな人を巻き込めるなと思うので。そうですね、私が色々プロジェクトをやる時も、別に他の人がいい、悪いではなくて、「何かこの人が真ん中にいた方が人が集まるな」って人がいるんですよ。その人を見ると、やっぱりコミュニケーション、人が好きだったりとか、あとは、あんまり「これはダメ」とかっていうふうな思考じゃなかったりとか、そういう人たち、そういう人を発掘する。ただ、やっぱりその人もさっき出てきたみたいに、「私、何もできません」みたいなパターンもあるので、そういう時は「じゃあ一緒にやろう」みたいなとか、あと、もう一人誰かを見つけるとか。一人でやるのってすごい大変なので、チームにしちゃうっていうところは結構重要かなと思います。私も、会社とかさっきのプロジェクトも全部一人でやってないので、違いを活かしあったり、チームでやるっていうのはすごく持続可能かなと思います。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほど、ありがとうございます。確かに、フラットな話を聞いてくれるっていう、やりたいことを「うんうん」っていって話を聞いてくれる人がいるかどうかっていうのは、私もそこはすごくそういう人に出会えるとありがたいなって思っていたところなので、皆さんもちょっとお近くに何かイメージできるかできないか、ちょっと今、すぐに出てこないですけど、「埼玉に小笠原さんみたいな人っているのかな?」みたいな質問もSlido(リアルタイムで質問を募集できるウェブサービス)に入っていてですね。

講師 小笠原 舞

(スクリーンに投影したSlidoの質問を指して)あれ、1個答えていいですか。「コンパクトなまちって挨拶、一言ができることが魅力なんだろうな」っていう、その面倒くささっていうのもあります。私は、本当にうちのまちが全員合うかとか分からないんですけど、「自分の快・不快」に気づくな、と思うんですね。人との距離感って人それぞれ好き嫌い、好みがあるので、近ければいいってものでもなかったりするんです。私たちの距離感って「近いんだけど断れる」みたいな、それもすごい重要だなと思ってるんですけど、本当に面倒くさいと思う人ほど来てみて、「ああ面倒くさい」だったら面倒くさいで全然OKなんですけど、本当に面倒くささのその向こう側に何かまだ見えてない世界っていうのがあるんですよ。そこに、やっぱり私はウェルビーイングとか豊かさとかっていうところが実は転がっている気がしているので、ただそれって一人一人本当に幸せの形も全然、人生も違うので、それはそれでいいんですけど。本当に面倒くさい人ほど発見が大きい可能性もあるので、来てみてほしいなって思います。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。そうですね、やっぱり最初の一歩ってちょっと大変で、先ほどの「チームでやった方がいいよ」とかっていう話も含めて、大変で。ただ、そこをやっぱり乗り越えていくと新しいものが見えていくっていうところなのかなと思います。まだまだ、たくさん質問をいただいているんですけれども、ちょっと時間の方が、すみません、もうちょっとですので、あと一つぐらい何かお答えできればなと。いっぱい来てますね。最後、このちょっと大元になるかもしれませんけど、「まちに関心を持ってもらうって、すごく難しいことなんだと思います」っていうことで、なかなか普段生活していると、まちに関心を向けるって自分の暮らしには関心が向くんでしょうけど、まちに関心を向けるってなかなかないかなと思うんですけど、これって何か、やり方というか、きっかけというか。

講師 小笠原 舞

私はやっぱり、別に他の地区がどうとかじゃないんですけど、神戸でも隣の区に住んでいた時は、そんなにまちに関心がなかったんですね。それまでも別に全然、ただ帰る家みたいな感じでいたんですよ。ですけど、やっぱり日常ってこんなに楽しいんだっていうことを、私の場合は長田区なんですけど、そこに出会って人とおしゃべりするとか、何か会社行ってするとか、何かどっか行ってするっていうのも楽しいんですけど、何かやっぱり結局、あと保育士とか子育てとかしていると、どうしたって地域の人と関わる、保育園のママ友とかもそうですけど、子供たちもその辺の人に関わっていく中で、教育環境ってやっぱり何か、どこかいいところに連れていくとか、そういうことじゃなくて、本当に日々、しかも大変じゃないですか。仕事もして、自分のやりたいこともあって、子育てするってすごく大変だし、体力いるしっていうところなんですけど、やっぱりその中、身近なところで学びってたくさんあったり、楽しさってたくさんあるなっていうふうに、やっぱり自分も子育てしてみた時に、私いろいろ動けちゃいますけど、それでもしんどい時期があったので、やっぱりこの中で楽しいことを見つけた方が楽しいなみたいなことを気づいて。うちのまちは本当にそうやっておしゃべりをしているとか、何か、ちょっと分かりやすいんですよ、その日常の楽しさが。それを見た時に、その面白さを発見、発信したら、皆さんのまちがあって、暮らしがあってっていうところで、ある意味再現性が絶対あるなと思うので、その見つけ方みたいなのをお伝えしていったら、きっと自分のまちがもっと楽しめる人が多かったりするのかなっていうふうに思っているのと、あともう一つは、「選択肢をもう1個を持つ」っていうのが大事だなと思っていて。私、今の夫と結婚する前に、埼玉と神戸を行ったり来たりしていたんですね。その時に2つ選択肢があって、こっちの暮らし方とこっちの暮らし方、どっちが私は心地いいかなっていうことに気づきました。そういう意味でも、例えば長田に体験、旅行じゃなくて暮らしを体験しに行くっていう選択肢を持つと、逆に自分のまちの良さとか距離感に気づいたりする人もいるので、何かそういうことを地道にやって、一人が気づけば発信する人が出てきて、で、またその周りの人が巻き込まれていくってことになるんじゃないかなと思ってるので、めちゃくちゃ地道ですけど、私はその係をやろうかなと思って今、住んで暮らしを開いています。

モデレーター 渡邊 智裕

係活動ですね。分かりました。ありがとうございます。すごくやっぱり地道、特効薬というか、「これやればみんなが関心を持てます」っていうものはなかなかないかと思うんですけれども、やっぱり活動が続いていることっていうのは一つ大事なことなのかなっていうふうに思って伺いました。それでは、すごくいっぱい質問もいただいていて、全部お答えしたいところですし、感想も共有したいところなんですが、このあと皆さんの交流で、(これまで)ずっと黙ってお話聞いた感じだったので、いっぱい皆さんにもお話しいただきたいと思いますので、この辺りで小笠原さんのパートは締めさせていただきたいと思いますが、今日交流会が終わるまでは会場の方にいらしていただけるということですので、休憩時間ですとか、あとメインの交流会終わった後とかにですね、もし直接お話しされたいっていう時は会場にいらっしゃいますので、声をかけていただいて大丈夫っていうことでございます。それでは一旦、小笠原さんの講演のパートは締めさせていただきたいと思います。今日、神戸市からはるばるお越しいただきました。どうもありがとうございました。

講師 小笠原 舞

ありがとうございました。

 

 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第三庁舎3階

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