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掲載日:2024年12月11日

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講演「持続可能な地域づくり」 講演資料・動画・テキストページ

講演資料

講演動画

講演内容

  1. 講演
  2. 質疑応答

1.講演

講師 中村 祥子

はい、ありがとうございます。中村祥子と申します。よろしくお願いいたします。本日「持続可能なまちづくり」ということでお話しさせていただきます。

その前に、簡単に自己紹介をさせていただければと思います。私はですね、日立ソフトウェアエンジニアリングという会社、今だと日立ソリューションズという会社なんですけれど、日系の企業で働いて、そのあと何を思ったか「ちょっと外資系でも働いてみたいわ」と思って、日本マイクロソフトの方に転職いたしました。外資系で働いてみて、「外資系、給与はいいけどちょっとやれること狭いよね」と思って、「もっと色々やりたいわ」と思って、ベンチャーの方に転職いたしまして、ベンチャーでDXをメインとしている会社なんですけど、そこの執行役員等をやっておりました。やっている中ですごく感じたのは、やる前から伊豆市のCIO補佐官をマイクロソフト時代からやらせていただいていて、地域の人たちがデジタルの相談をできる場所っていうのがなかなかないなっていうのをすごく感じて、であれば「私がやろうかな」と思って、今年の4月に個人事業主という形で、今、地方の自治体DXですとか、あと中小企業のデジタル化の伴走支援等をやらせていただいております。

私のモットーはですね、「人生一度きり」と。なのでやれること、やりたいことをやれるだけやってみようとかなということで、縛られることなくチャレンジしてみるっていうのをやっています。2022年からですね、東京と修善寺の2拠点生活ということで、今、東京にマンションで夫と2人で住んでいて、修善寺の方、伊豆市の方ではですね、部屋を借りてほぼ1人暮らしのような状態で住んでいます。CIO補佐官もなりたくてもなれるものではないなと思って、御相談いただいた時に「やります!」って言って、すぐ受けちゃったような感じで、今、やっているっていうような、そういう人間です。とにかくやれるもの、やりたいことを生きている限り、いつまで生きるかわからないので、やれるだけやってみようっていう感じでやっている人間になります。

今回のお話もですね、埼玉版スーパー・シティプロジェクトということで、私の夫は埼玉県の人で、「あら、素敵な御縁」と思って、御相談いただいた時に「じゃあやります」って言って、お引き受けをさせていただきました。先ほどの特産品のところ(注:本講演の前にSlido(リアルタイムで質問事項等を共有できるウェブサービス)の利用方法を説明した際に、参加者が地元の特産品について投稿する機会を設けた)で思ったのが、夫の実家は春日部なんですけど、春日部だと麦わら帽子かなとか思って、ちょっと聞いていました。やはり埼玉県、私の出身は山口県なんですけど、山口県からすると埼玉県のところってすごく恵まれている感じはするんですけれども、ただ夫と話をしていると「昔に比べてだんだん春日部も人が減ってきているんだよね」っていうような話を聞いたりとかしていて、日本の人口、全体としても人口減少が進んでいるけど、都市部以上に地方と言いますか、ちょっと中心から外れたところっていうのは、ますます人が減っていっていて、どうやってそこを伸ばしていくか、生き残っていくかっていうところは喫緊の課題だなっていうふうにすごく感じているところにあります。なので、今回の埼玉版スーパー・シティプロジェクトで素晴らしいなと思ったのが、この『レジリエント』っていう言葉が入っているというところですね。スマートシティっていうと、スーパーシティ、スマートシティっていうと、どうしても『コンパクト』とか『スマート』っていうのはあるけどなかなか『レジリエント』っていう言葉がないので、そういったところではすごいなと思いました。一方で、『レジリエント』ってそんなに聞き馴染みのある言葉でもないっていうのは感覚かなと思っていて、改めて感覚では持っているもののどういう意味なんだろうと調べてみたところ、出てきたのがこういう言葉ですね。『レジリエント』、英語で弾力性がある、柔軟性がある、回復力があるっていう。ビジネス分野では困難な状況に対処するしなやかさ、回復力っていうところ。とにかくこう、「やられてもまた起き上がるぞ」っていうような七転び八起きのような状況が『レジリエント』っていう言葉。これを目指していかなきゃいけないという時に、今、じゃあ何が一番喫緊の課題で、我々一番倒されやすい状況なのかっていうと、本当に国全体で言われている人口減少なんですよね。今まで過去を振り返ってきて、過去の内容、過去の成功事例、失敗事例から日本人って割とやってきたことから学んで改善してやり直す、よくしていくということはすごく得意で、今までどんどんそれをやってきて成長してきました。一方で人口が減っていく状況って、江戸時代から考えてみても初めての状況なんですよ。我々が初めて経験している状況です。なので、過去を振り返って、人口が増加してきてやってきた事例っていうのが、今、使えない状況になっている。それを使おうとすると、実はうまくいかないことっていう方が多いんじゃないかと思うんです。高度成長期の時にやった施策、箱物を作って事業をやりました。それを今やっても「誰が管理するの?」「誰が見守るの?」「そのお金ってどこから出てくるの?」、そのくらい今までの過去の経験が生かせなくなってきているのが現状かなと思っています。それなので『レジリエント』。打ちのめされる状況に我々、すごくなりやすい状況に置かれているってことですね。過去を参照しても使えない状況なので、うまくいかないことの方が多いっていう状況。だからこそ、こう立ち上がる回復力のある力っていうのはすごく重要になってきます。

『レジリエント』を実現するためにっていうところで、とにかく私が感じていることを少し書かせていただきました。『レジリエント』、回復とか、やっていく中で気をつけなきゃいけないことですね。他県他市でチャレンジしている施策の導入。他地域でもまだ実施されていない最新の仕掛け・仕組みの導入。これをもってきた時に、うまくいかないことの方が多いんですよ。伊豆市にいて、伊豆市の人口って合併した時4万人だったのが、今3万人を切っている状況になっています。非常につらい状況に置かれています。議会の人がですね、いろんなところを視察しに行って、情報を得て帰ってきます。「あっちの市では書かない窓口入っています、伊豆市は入れないんですか?なんでやらないんですか?」って、すごく詰め寄られます。でも「伊豆市にそれは本当に必要なんですかね?」「窓口に並んでる人っていましたっけ?」「そんなに並んでいないんだったら、システムを入れる必要ありますか?」っていうような話をさせていただいて、入れるのをやめました。それだったら、コンシェルジュの方が聞いて、書かないように手伝ってあげるだけでもいけるんじゃないかとか、ちょっと思ったところがありました。システムを導入するっていうことはそれだけ費用がかかるので、そこの費用をずっと払い続けられるだけの体力をそこで消耗するのか、別で消耗するのかっていうのを、ちょっと考えたっていうところですね。

他地域でまだ実施されていないもの、最新の仕掛け・仕組み。これも失敗する要素をすごく含んでいるものです。「チャレンジしてみました」、うまくいかないことの方が多いです。最近いろんなところでチャレンジされていることって多いと思います。EVもそうですし、オンデマンドの車事業とかもすごくチャレンジされている自治体が多いです。やった結果、「PoC(Proof of Concept:概念実証)」で終わってるものもすごく多かったりするんですね。でもそれで「うまくいかなかったな」で終わられちゃうと、回復してない状態になってしまう。本当は戻ってきて、そのうまくいかなかったことをうまくいくように、じゃあどう持っていくかっていう話をしないといけないんですけど、そこがうまくできてないよっていうのが現状かなと思っています。やっぱりそれができるように戻していく力っていうのを持っていかなきゃいけないのと、持続可能にしていかなきゃいけないっていうのがあると思っています。昔であれば、公による支援っていうか、人もいて、お金も潤沢に割とあった時代だったので、そういう新しいことをやって失敗しました。また補助金をいただいてとか、国からお金をもらってやり続けるっていうことができた時代だった。でも今、国の施策もちょっと見ていただくと分かるんですけれども、予算は年々年々膨れ上がっています。国は借金ができる。国債を発行すれば借金とかして予算は作れるんですけど、でもそれって自分の家計で考えたら、借金してずっとやっていくって本当に持続可能なんですかね。「未来の人たちって、これを払い続けられるんだろうか」っていうのを、ちょっと考えてしまうっていうところなんですね。なので、「今後、人が減っていくっていうことは、公による支援って全部は賄えないっていうのが前提に立たないといけないんじゃないの」っていうのが私の考えです。

そうなると、半分を公、じゃあ不足部分はどうするのっていうところですね。まず公の支援のところ、半分に減ってしまっています。これを借金してまでやるのかっていうところなんですけど、自分たちの都市において本当にその仕組み、仕掛けは適切なのかっていうところは、十分に考える必要があると思っています。お金の面もそうです。あと技術ですね。すごくいいシステム、企業とかもそうなんですけど、大手が入れてすごくいい技術があって、「すごいな、あれを入れたいな」って入れていただくのはいいです。大手に勤めている時は「入れていただいて本当にありがとうございます」っていう感じだったんですが、それをずっと持っておくって結構パワーがいるのと、あと、中にいる人たちのリテラシーがついてきていない。使える技術を持っていないと、結局宝の持ち腐れになってしまうということが往々にしてあったというのが実際なんですね。なので、公による支援って本当に必要なものだけにした方がいいんじゃないですか。予算内に収まるもの、それは費用の面もそうですし、自分たちの持っている技術でずっと使い続けられるものなのか。ちょっと頑張れば、勉強すれば使い続けられるんだったら入れていただいていいと思うんですけど、そうでなければちょっと考えてみてもいいんじゃないかっていうところですね。あとは「5人いないとシステムを運用できません」っていうものを入れた場合ですね。「今後減っていって職員が3人しかいなくなります、その部署は」っていうのが分かってるんだったら、それってリソースとして足りていない、人が足りない状況になるので、「それって本当に適切なんですかね?」、「自分たちで持続可能な仕掛けを入れていますか?」っていうのは考えてもいいんじゃないかなっていうふうに思っています。

じゃあ、不足部分ってどうするの。一つは「やめる」っていう選択肢ですね。先ほど、隣の市はこんなシステムを入れているのにっていう話をしたんですけれども、そこは、うちの市にとって本当に必要かどうか、それよりも優先するものがないのかどうかっていうところを見て、私はやめた方がいいって言ってやめてもらいました。

あと、方法としては「託す」っていう方法があると思っています。本当に無くすのと、人に託す、業務委託ですね。他の人にお願いできないか。公、市がやるんじゃなくて、例えば民の人たちにやっていただけないかっていうところですね。一緒にやれないかなっていうところ。あとは、技術に託す。最近でこそAI、すごくブームになってきて、AIにお願いすればいいんじゃないのって。一方で「(仕事を)奪われるんじゃないか」っていって、やりたがらないところはあるんですが、でも本当に人が少なくなるのであれば、AIにお願いできるんだったらAIにお願いしてしまう、「RPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務の自動化)」にお願いしてしまう。そういうシステムにお願いしてしまって、人がやることを減らすっていうのも一つありかなと思っています。不足分を補う。そうやってやっていかないと、もう持続できないというふうに、私は日本自体、日本全体として思っているっていう。もしかすると、この、人に託す、外国人に託すかもしれないですけどね。そういったところも出てくると思っています。

ちょっと話が前後するんですけど、じゃあ、今の伊豆の状況ってどうなんですかっていうところで、改めて伊豆市の紹介をさせていただきたいと思います。伊豆市、4市町が合併しました。なので、伊豆半島の中で4分の1か3分の1ぐらい占めているっていうような、結構大きな都市になっています。これを3万人の市民で支えるっていうような状態。職員については300人弱ぐらいで支えているような状態になります。結構、大変ですね。4市町なので修善寺エリアとか、土肥エリア、海側のところですね。あと中伊豆っていって、伊東市の隣ぐらいのところのエリアと、あと河津町との接点のところ、天城のエリアというような形で、4つのエリアになってきています。そこをみんなでどうやって支えていくかっていう、結構抱えている課題もみんな違うっていうような状態の都市になっています。人口減少がどんどん進んでいって、というところで、今、2024年8月時点だと2万6000人まで減ってきているっていうような状況です。これは決して、若い人が出ていっているわけではないんですね。(人口の)流入、流出でいくと、昨年は流入が上回ったんですよ。でも、それでも減っていっている理由は、少子高齢化。高齢の方が残念ながらお亡くなりになって人口が減っていってしまっているっていうような状況になっています。日本全体的に、今後はそれが出てくるかなと思っています。

じゃあ伊豆市、どういう取組をやっているのっていうのを、少しだけ御紹介させていただきたいと思います。伊豆市ですね、市が取り組むことっていうのは、市でないとできないことにもう集中しましょうっていうお話をさせていただいています。伊豆市が取り組まないことについては、市民で実現できるように支援をしましょうと。あくまで市はサポーターですというような形で取り組もうとしています。直近のものだけでいきますと、観光防災拠点、箱物なんですけど、それを作っていったりとか。あとは、よろず相談とかですね。市民の方、伊豆市、先ほど見ていただいたとおり、新幹線の駅があるのが三島市っていう上のところなんですね。そこからだいぶ内陸に入っていくのが伊豆市なので、なかなかベンダー等も来てくれなくなってきているっていうのが実情だったりします。IT関連とか。なので、そういうデジタル相談とかもできるような仕掛けとかっていうのを、市側が逆に用意してあげる。よろずで相談できるようなものですとか、勉強会とかそういったものをやったりしています。

具体的に少しお話をすると、先ほど言った「テラッセオレンジトイ」っていうのがどういったものかっていうと、「2018年ジャパン・レジリエンス・アワード」でグランプリを取ったものなんですが、防災拠点だけではなくて、観光の拠点として合わせ持ったものを作りましょうっていうのをやっています。日常でも使えるものを作るっていうところですね。こういった箱って、やはり市じゃないと作れないものだったりします。一般の市の観光以外のところですね。民間で作ってくださいっていうと、なかなか防災拠点を作ってくださいっていうのは難しいので、そこを作るっていうのは市がやるべきかなっていうところで作っています。先々月ですね、オープンできたっていうような状態のものになっています。

2つ目が「ノーコード宣言シティ」っていう、ちょっと聞いたことのない方もいらっしゃるかもしれないんですけど、ノーコード推進協会という協会がありまして、今そういう市役所の方とか、もしかすると「キントーン」とか、テレビCMで「キントーン」とかは聞いたことあるかもしれないんですけど、アプリケーション、皆さんが使うようなものを簡単にコードを書かなくても作れますよっていうようなツールがあります。それを推進している協会がありまして、そこの宣言シティになると、こういう支援が受けられますっていうのがあるんですね。特に、市役所は無料で入れます。なので「入らない手はないよね」って言って入ったというのですね。今、一般職員向けの勉強会の支援ですとか、なかなかITの企業とかは来てもらえないところもあるので、そういったところを支援などもしていただいていたりします。

昨日なんですけれども、「ノーコードツールハッカソン」なるものを市で実際やりました。ノーコード推進協会と共催でっていうような形でやっています。「ハッカソン」って聞いたことがある方はいらっしゃいますか?あまり聞き馴染みない感じですかね。これ、聞いたことある方は、もしかするとやられたことってありますか?どんなものかって言いますと、「ハック」、開発とか、そういうアプリケーション、何かものを作るっていうようなものなんですけれども。「ソン」の意味は「マラソン」ですね。「ハック」と「マラソン」を足し合わせて「ハッカソン」っていう言い方をしていまして、造語なんですけれども、要は「決められた期間内に課題を見つけて、何か使えるアプリケーションを作ってしまおう」、「携帯で使えるもの、パソコン上で使えるもの、そういったものを作りましょう」っていうようなイベントです。主催伊豆市で、あとノーコード推進協会と共催っていう形でやらせていただいて、協賛で近隣の三島市、伊豆の国市、函南町にも入ってやっていただいたっていうものなんですけれども、参加者に地元だけでなく伊豆に関心がある人に参加いただいて、短期間で、3週間でアプリケーションを作ってもらいました。参加者の声としてすごいなと思ったのは、「ノーコードって何?」って思ったんだけど、3週間で実際アプリケーションを作っていただいて、完成まで持っていっていただいたっていうのがあります。実際ですね、これ、優勝したのはわさび農家さんでですね、わさび農家さんが、やはりなかなか人が来てくれない、発送もやりたいんだけどそこまで手が回らない、じゃあどんなふうにできればいいかっていうところを少しサポートしてあげただけで、実際にアプリを3週間で作り上げてですね、実際使えるものとして昨日発表していただいて、最優秀賞をそこが取りました。でもそれぐらいのことで、今できるような技術も出てきているっていう状態です。市民の人たちがこうやって技術をつけてもらって、作っていただけるようになれば持続できるんじゃないかっていうのが私の発想です。つまりですね、ここに書いているんですけど、一番右上のところですね。市民の人材育成支援を市がやっていきますと。なかなか技術、IT業界が来てくれないんだったら、市役所が手伝ってあげればというところですね。そこをやって、デジタル化に対応できる。昨日みたいに、わさび農家さんが「自分たちでアプリケーション作れるわ」ってなってくれれば、そこがうまく企業が元気になってくれるところなんですよ。人手が足りなくても、なんとか自分たちでできる。ITに託すっていうことができる。そうなると、市にとって何が嬉しいか。企業が元気になれば、コスト削減か利益増で、その分売上げ増になれば利益が増えてくるんじゃないか。そうすると市役所としては歳入が増えるんじゃないかっていうのが私の考えですね。歳入が増えれば、市民が増えなくても歳入が増えてくれば、新たな施策っていうのが追加できるんじゃないか。国民が増えるとか市民が増えることってなかなか期待はできないけれども、そうやって何か市民の人たち、住んでいる人たちが儲かるような仕掛けを一緒に考えられれば、持続できるんじゃないかっていうのが私の発想です。それをできることって、やっぱり市じゃないとできないと思っています。それをどうやってやるかっていうのを色々考えているっていうのが現状です。

実際やっていく中でっていうところで、今感じている課題なんですけれども、伊豆市の方ってすごく慎ましいといいますか、あまり課題を感じていないっていうのが現状なんですね。「現状維持でいいです」と。「そんなIT特化したようなことはしなくていいです」、「今のサービスがずっと続けばいいです」、「今の状態があればいいです」って言われるんですが、正直言って今の状態を変えないっていうことが難しい。なぜなら自分が変わらなくても周りがどんどん変化していっているからですね。実際、下りのエスカレーターに乗っているようなものだと思っています。変化にチャレンジして生活レベルを上げていかないと、実際は現状維持が難しいと思っています。皆さんも感じているかもしれません。今、物がどんどん値段上がっていっています。現状維持で収入が一定だとだんだん貧しくなっていく、そういうような状況だと思っています。現状維持って努力して初めて生活レベルが維持できるっていう状態だと思っています。じゃあ今後必要なことってなんなのっていうところで思っているのが、とにかく経験をさせるっていうことかな。現状維持の人たちに、こうやればできるんだよっていうのを座学で教えても難しいと思っています。座学じゃなくって、実践だと思っています。先ほどのワサビ農家さんのできたっていう感覚。わさび農家さんは、それのおかげで、「もうちょっとこんなこともやってみたい」っていう夢を昨日語ってくれていたんですね。それってすごく重要だと思っています。それが本番まで迎えられれば、もっともっと大きなことってできるんじゃないかな。「試した」で終わらせないっていうことも重要かなと。「出来た」の積み上げっていうこと。それを、今度また他の人たちにも伝播させていくっていう意味で、座学へ戻すっていうのを(資料に)書いています。そういうような形で伝播させていく仕掛けっていうのが必要かなと思っています。

あと、点でなく面で実践ですね。伊豆市に限らずですね。伊豆半島の中ってたくさんの市町がありますっていうお話をしました。それは、皆さんそれぞれ生活ができるからでもあり、「他と私たちは違うんです」っていう、独立する意識がすごく高いからだったりします。でも、それで点で作業、色々イベントやられて成功事例作られると、小さい事例で終わりがちなんです。それよりは、伊豆半島全体が盛り上がっている、賑やかしが必要かなと思っていて、いかに面でやれるかで、成功した人同士を繋げてやっている感を出すかっていうのがすごく重要だと思っています。なので、そういう意味で実践経験を増やしていく、面で増やしていくっていうことにこれから着手していきたいと考えています。

最後、持続可能な地域のためにっていうところで書かせていただいているんですけど、流行りや最先端のことを取り入れるよりも、私は続けられることが重要だと思っています。「明日からダイエットしよう、甘いものやめます」って言うと、それはちょっと続けられないです。それよりは、ちょっとずつ甘いものを食べても、みんなが続けられるような仕掛けっていうことを考えていく方が、ずっとずっと生き残っていけるかなというふうに思っています。是非、『レジリエント』っていう話で始まったんですけれども、持続可能なっていうところで続けていただければと思います。以上となります。ありがとうございました。

2.質疑応答

モデレーター 渡邊 智裕

はい、中村さん、ありがとうございました。では、このままちょっと残っていただいて、質疑ですね、Slidoの方をちょっと見ていきたいと思いますので、私も入らせていただきます。『レジリエント』ってすごく幅の広い文脈の言葉かなというふうに思っていまして、そのとおり、埼玉版スーパー・シティプロジェクトでは防災の文脈で再エネですとか関係の話もあったりで、今、中村さんのお話の方では、そういった文脈ももちろんなんですけれども、地域づくり、本当に人口が減っていくっていう中での地域の回復力みたいなところでの話をいただいたかなっていうふうに思っております。

早速なんですけれども、「現状維持から実践経験に踏み出す一歩につながるアイデアはありますか」っていう質問が来ていたんですけれども、なかなか最後の方のお話で、現状維持、バイアスというか、そういうものが強くてそこから次の一歩、新しい取組に踏み出すのが大変だっていうところは、なんか私もやっぱり自治体さんからもよく聞くお話かなと思ってますけれども、ここが「何かやってみよう」っていう動きにつながるアイデアっていうお話ですけれども、例えばそれに必要なリソースっていう言葉がいいかどうか分からないですけど、何かそういったものがあればっていう御質問かと思いますが。

講師 中村 祥子

そうですね。質問ありがとうございます。こういう現状維持の状態から、何か次のことへっていう時に、ステップを上がってもらうっていう時に、1番効果があるって言われてるのは「ホラーストーリーの共有」っていうふうに言われています。人の行動学の話になるんですけれども、やはり、このまま現状維持だとこんな怖いことがありますよ、要は、現状維持って、先ほど下りのエスカレーターとかっていう話をさせていただいたんですけれども、今のまま続けていると、実は現状維持できないんですよ。なぜなら、どんどん世の中は動いていって、どんどん外資が入ってくれば、なおさらコストが上がっていくとか、外国からストップされちゃうと日本に物が入ってこなくなるとか、そういうことが起きるから、じゃあ、今現状のままっていうわけにはいかないですよね。そのために何をするかっていう話にするっていう意味では、人が1番動きやすいのは「ホラーストーリーの共有」。このまま続けられないですっていう話をしていただくのが1番というふうに言いますので、私はそれを企業のDX研修などでもそういう話をさせていただいたりしています。

モデレーター 渡邊 智裕

自治体のお仕事をされている時も、市民の方とか市職員の方とかにもそういったホラーストーリーベースのお話をされることってありますか?

講師 中村 祥子

はい、あります。市役所職員の方には、私が1番最初にCIO補佐官になった時に、「伊豆市でなぜ今やらなければいけないか」っていう話をさせていただきました。今後、市役所職員が採りたくても採れない時代が来るので。あと、大量に辞められる時代が来るっていうところですね。年齢が40、50ぐらいの方が多いっていうことは、同じ時期ぐらいにパッていなくなる時期が来ると。若い人たちも今の勤続年数を考えると、長く勤めていただけるかどうかって分からない。昔のようにずっと同じ場所で働き続けようっていう感覚自体が変わってきています。では、中途採用が採れますかっていうと、採りたくても採れない時代が来ますよねって考えると、今のうちに、今までのやり方ではなくて減らせるところ、ちょっと雑談をすると「なくせないか?」、生産性向上の考え方なんですけども、「ものをなくせないですか?」、「今のやり方をなくせないですか?」っていう話と一緒にできないかっていう話。あと「順番を変えると、もっと楽にできる方法はないですか?」、「単純にできないですか?」そういう考え方で業務全体を減らしましょうっていう話をさせていただいているっていう感じです。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほど、ありがとうございます。

私も今、官民連携事業研究所、民間の会社の社員ですけれども、元々自治体の職員で公務員をしていましたので、ちょっとどういったお話をしてるのかなっていうのが気になってのお話だったんですが、そこに絡んで、例えばそのホラーストーリーが共有されて、何かやっぱり動き出さないとダメだぞっていうふうになったと。ちょっと幅広な言葉ですけど、まちづくりの文脈でじゃあ何かやろうって思うと、やっぱり自治体が1番最初動き出すというか、アイデア出しをしようとすることが多いと思うんですけど、そこがなかなか今、自治体だけだとうまくいかなくなっている文脈なのかなと思っていて、企業の皆さんにそこに協力をいただく、その初めの一歩に協力いただくところのきっかけづくりとか、何かこういう視点で協力をいただけるんじゃないかとか、その関われるポイントっていうのはどういうところにありそうですか?

講師 中村 祥子

そうですね。まず、伊豆市だと観光が1番メインの事業になってきます。そうなると、観光の中で元気な企業さんに参画いただいて、一緒にそこを、じゃあ盛り立てるためにどうしていくかっていうのを考えてもらうというところがあるかなというふうに思います。あとはやりたいと思ってくださっているところですね。力が強くても、あまり一緒にやるのが前向きじゃない人に入っていただくと、結局それって抵抗勢力にもなりかねないので、すごく市を盛り立てたいんだっていう思いの強い人に一緒に入っていただくっていうような形でやっています。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。やっぱり元気な事業者というか、そういうところが大事だっていうお話かなと思っていて、確かにあとはやる気というか、一緒にやろうと思ってくれるかどうかって、なんか自治体だとどうしてもそういう、「気持ちじゃなくて、制度で動いてるんでしょ?」みたいな感じで見られたりすることもあるんですけど、意外とそこってそういう気持ちでお話をいただけると、自治体の職員も嬉しかったりとかする文脈があるので、なんかそういった気持ちの持ちようのところも、大事なのかなっていうふうに今、ちょっと思ってお話伺いました。はい、ありがとうございます。多分その関係というか、「やっぱり民間からすると、自治体に課題と解決策を提示しても意見交換で終わることが多いですね」っていう感想に6件ぐらい「いいね」がついているのは偽らざる、多分、企業の皆さんの本音かなっていうふうに思いますけれども、やはりこういうお話、伊豆市でお仕事されていて、やはり民間の事業者さんからこういう風にちょっとお話伺ったりすることってありますか?どうしても意見交換で終わっちゃうんだよねっていう。

講師 中村 祥子

そこは否めないと思っています。やはり市の中で、市役所に入ってやってみてすごく感じたことっていうのが、国からもやらなければいけないと勝手に制度化されて降りてきているものもあって、それと並行して順番をつけてやっていこうってやった時に、すごく少ない人数でやらなければいけないことが多すぎるっていうのが現状だったりします。作業もあるし、考えて動かなければいけないこともあるし、企画もしなければいけない。

一般の企業だったら4、5人でやっているようなことを、1人が賄っていたり、1人が休んだら何とか回せなくなっちゃうから、2、3人で共有しながらやっていたりすると、共有する時間も取られていたりするんですね。そういう感じで実際、手が回っていないから、それはやりたいんだけど、そこの企画を書くまで手が回らないよっていうので終わってしまうっていうのが実態だったりします。ほんとに市役所の方としては、すごくいい話で、「これやりたい」っていう思いもあったりするんですけど、優先度をつけた時に、どうしても上げられなかったりっていうことも多いっていうのが実情ですね。伊豆市について言うとっていう感じなんで、ちょっと埼玉県の他の自治体さんだとちょっと違うかなとは思いつつ、そういうところがあります。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。先ほど、冒頭で私の方から官民連携の壁の話をさせていただいて、なんかそのあたりにもつながってきてしまう話かなと思うんですけど、この後、ちょっと交流のパートもあるので、もしかしてその時に自治体の方と、企業の方とお話しいただければなっていうところでもありますけども、なんかもう少し自治体の担当者としても、手元の課題感というか、書き物にされてオフィシャルにされていることだけではなくて、本当に今困っているのはこういうことなんだよねみたいなお話が、逆に出ていくといいのかなっていう風に思ったりもしていたところにはなりますかね。なかなかそういう話がしづらいというか、どうしても組織の中で動いているっていう文脈になるとそういうことがあるかなと思いますが、この辺がちょっと進んでいかないと、先ほどのお話であった『レジリエント』、自治体の回復力って、要は公共がどうしてもその領域が減っていく部分を人に任せたりですとか、あるいは新しい技術を入れたりっていうことになると、どうしてもこの辺りの、この意見交換からもっと進んでいかないといけないっていう文脈なのかなと思いますので、この辺りがもう少し積極的に進んでいくといいのかなっていうふうには思いますね。

あとは、「市民の方に実践してもらうっていうことがすごく大事だと思ったんだけれども、一方でその踏み出してもらう難しさもあるっていうふうに感じているんですが、ここ、どうすれば、何かポイントみたいなものはありますか」という、先ほどの例えばハッカソンの取組とかもそうなんですけど、何かそういうものを、第一歩を動かしていく、参加してもらうってところのきっかけみたいなところはいかがですか?

講師 中村 祥子

私はもともと企業でカスタマーサクセスっていう領域をやっていまして、どうやって新しく始めたことを横に伝播させていくかっていうのをやっていたことがあるんですね。その時に重要なのって、組織の中って大体16パーセントぐらいのやる気のある人と、真ん中の辺りに34パーセントぐらい「それがうまくいくんだったら、私も乗ってみたいわ」って思っている人たちと、後半の34パーセントぐらいは「取り残されるのは嫌だな」と思っている人たちなので、半分がうまくいくと乗ってくるっていうような人たち。そして最後の16パーセントが、抵抗勢力になりやすい人たち。「何がなんでも嫌だ」と思っている人たちなんですね。企業で新しいシステムとかを入れる時って、いかに全員にやってもらうようにしていくかっていうのがすごく重要なんですけれども、その時にやり方としてやっているのが、最初の16パーセントの人たちにいかに使ってもらうかっていうところを、新しいもの好きの人たちですね、「とにかくやってみたい」とか思いのある人たちを乗せて、小さな成功事例を作るっていうのを第一にやっています。

これって私、自治体とか他の組織であっても同じだと思っていまして、自治体の中にもすごく「新しいことをやってみたい」とか、今のやり方に疑問を持っていて「変えたい」と思っている人たちっているんですよ。それは市町の中でも同じです。「今の自治体の制度が変わらないと、私たちは危ないんじゃないか」っていう危機感を持っていて、市がやりたいと思っていることに対して、新しく取り組みたいっていうことに対して、自分たちもそうだと思うって思ってくださる方って16パーセントぐらいはいるんですね、探せば。その人たちを見つけて一緒にやって、市民でやってます感を出すっていうのが一番最初に重要なことだと思っています。あと、それだけだと、市役所職員の担当レベルでそれをやっていると、あんまりそれだけじゃ盛り上がりに欠けてしまうので、企業でもそうなんですけどスポンサーと呼ばれている、ある程度役職のある方、権威のある方にも支援をしていただいて、「一緒にやってる感」を出していただく。あと、スポンサーっていうことで、バックアップしていただく。「これっていいよね、市のためになるよね」っていう雰囲気を作ってもらうっていうのをやっていたりします。そういうのって組織でもそうですし、自治体でもどんな大きな状態になっても一緒だと思うので、そういう形で作っていくのがいいかと思っています。

モデレーター 渡邊 智裕

はい、ありがとうございます。盛り上がっているように見せていく、実際盛り上がっていくっていうことですよね。そこが大事っていうことだと思います。ちなみに、中村さんはそういう思いのある人、先ほどの16パーセントの思いのある人って、多分中村さんの周りにもたくさんいらっしゃる。それで、こういった取組、先ほどのようなお話になってきているのかなと思うんですけど、どうやって見つけてきますか?敢えて探しに行くっていう文脈でもないかなと思っているんですけど。

講師 中村 祥子

いろんな交流会に私は参加していたり、いろんなところに出没してるっていう感じですね。伊豆市ではなくて三島市の活動だったりとか、伊豆半島全体だったりとか、静岡県全体の活動とか、東京都の方の活動とか、いろんなところの活動に参加すると、なぜかつながっていたりするんですよ、そういう人って。なので、そこで見つけてピックアップしていくっていうような感じでやっています。

モデレーター 渡邊 智裕

なるほど。交流会に出ていって、やっぱり人のつながりっていうところですかね。声をかけてっていうところ。はい、ありがとうございます。あとは「ちなみにハッカソンって高校生でもできるものですか?」

講師 中村 祥子

はい、できます。これですね、もうちょっと早く私が企画していれば、学生にも参加してほしかったぐらいのものなんですよ。今回ちょっとお見せすると、市民ってどのくらいのものができるの?っていう。これは優秀賞をもらった企業ではあるので、ちょっと出来栄えはいい部類ではあるんですが、むしろ学生の方が私は才能があるんじゃないかと思っていたりします。今の子供たちってITを当たり前にやっていますし、教えられなくてもできるネイティブの人たちだったりするので。

これ、最優秀賞を取った企業さんが書いた資料なんですけど、わさび農家さんの「キントーン」と「クローバ」っていうアプリを使って、パワーアップっていって資料を作ってもらった内容になります。こういうふうに課題をまとめたりとか、なぜなぜとかって、今の中学生とか高校生とかってこういうことも授業でやっていたりするので、むしろITの企業や我々世代より早いんじゃないかなっていうふうに思っていたりします。でも、これって全部3週間ぐらいでわさび農家さんが作ってくれたものなので、市民の方もやればもっとできるんだっていうのは分かったっていうような事例になります。

モデレーター 渡邊 智裕

もしかしたら、高校生のハッカソンを企画したいっていう人がいての質問かもしれないなと思うと、来年あたりですね、こちらでは、なんかイベントできてたりするといいかなっていう気もしますね。

講師 中村 祥子

私はITの業界にいたので、そうすると、その課題に対して真っ正面から課題解決の策って考えがちなんですけれども、市民の方たちっていろんな視点を持っていたりとか、私とはまた違う視点を持っているので、観光業、防災の観点のアプリを作ってくださった方とかも、「観光と合わせて防災の情報を集めたらどうできるの?」とか、ちょっと違う視点も入ってきたりして、すごく面白かったんですね。なので、やっぱり多様性っていうところで、高校生だとまた全然違う視点が出てくると思います、私たち世代とは違う観点を持っているから。なんかそういった意味でやっていくと、もっと面白い企画や施策が出てくるかなというところがあります。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。今、お話伺っていて『レジリエント』って回復力っていうふうにお話を講演でいただいたんですけど、その回復力って「誰がその回復力をつける?」というか、「力を発揮するのは誰なんだろうな、なんだろうな」っていうのを思っていて、お聞きしようかなと思ってたんですけど、もしかして、その多様性っていうところ、気付かなかった発想が出てくるみたいなところが、もしかするとその回復力、『レジリエント』、回復力の元みたいな感じなのかなっていうような印象を聞いていて思ったんですけど。

講師 中村 祥子

そこは本当に重要ですね。同じメンバーで同じように打たれ弱い人たちが集団になると、多分みんなでパタって終わっちゃうと思うんですけれども、生き残れる人が1人でもいれば、その人の知恵を使ってみんなで生き残るっていうことはできると思うので、本当にいろんな人たちがいる、いろんな形で関わり合いが持てるっていうところはすごく重要になってくると思います。

モデレーター 渡邊 智裕

はい、ありがとうございます。あともう1つ、皆さんの御質問の中で伺いたいなと思ったのが、「身の丈に合った好循環って大事ですね」っていうコメントで、一方で「どの程度が身の丈に合っているのかっていうところを、どうやって確認していったらいいですか?」っていう御質問なんですね。これ、私も今回のお話を聞いていて、『レジリエント』、持続可能だけで言うとすごく幅広い文脈でいろんな取組のお話があるんだけど、それって身の丈に合っていることが大事で、とにかく今のものをがむしゃらに続けるっていうことではなくて、身の丈に合っているっていうことが大事なんだなっていうふうに話を聞いていて感じたところがあって。でもその身の丈って、市民の方が感じるものと、自治体の職員が見ているものと、企業さんが見ているものとで結構違いが、もしかしてあるかなと思ったりすると、この辺りを、これも「すり合わせ」っていう言葉がいいかどうか分からないですが、認識を共有していくところでの何かポイント、きっかけみたいなものがあればな、と思いますが。

講師 中村 祥子

そうですね、「身の丈に合った」っていった時に、仮説をちょっと立てていただくっていう感じですね。1年後、2年後、3年後、人はどうなっているのか、減っているのか、増えているのか。職員数、社内、庁内で入れるシステムとかだと、何人ぐらいでこれをお守りしてる予定なのかとか、そういうような形で想定をしてみる、仮説を立ててみる。それで本当にできそうなのか。ちょっと頑張ればできる、だったら問題はないんです。だけど、相当頑張らないとダメだよねとか、(負担が)2倍とか3倍とかになっていた時には、「本当に合ってるのかしら?」っていうのは、「自分たちの身の丈に合っているか」っていうところは疑問に疑うべきところかなと思います。

モデレーター 渡邊 智裕

事業なので、自分たちで回せるかっていうところですね。

講師 中村 祥子

そうですね、やはりボランティアではないんですよね、やっぱり。企業と同じように市役所とかも考えなきゃいけなくて、収入があって支出があるっていう状態、それができるかどうかっていう。そうしていかないと、やはり持続はできない状態、破綻をさせてはいけないっていうのが実際だと思います。だとしたら「じゃあどうしていく?」っていうところなんだと思います。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。そこは、確かに私どもも官民連携を進めていく上で実証事業から、スモールスタートからっていう話はするものの、やっぱりもちろん企業さんが無償で協力するってことはもちろんなくて、ちゃんとビジネスとして収支が成り立つように事業を組み立てていかなきゃいけないっていうところなので。そこが、じゃあそれを企業だけで考えるのかとか自治体だけで考えるのかっていうことじゃなくて、一緒に考えていけるようになるといいのかなって、なんとなくイメージとしては思いつつも、それで初めて事業が長いこと回っていくというか、地域に事業ができていくのかなと思いつつ、なかなかでもそれって難しいよなって思ってですね。

講師 中村 祥子

簡単ではないですね。やはり企業の経営と同じ感覚なので、そんなに簡単ではないっていうのが実情だとは思います。だから、ちょっと話の論点がずれているかもしれないんですけれども、今後、市役所の方に求められる知識として、経営的視点とかプロジェクトマネジメントとか、そういったところも今後求められていくかなっていうのはすごく感じているところです。今まで、市民のために寄り添って声を聞くっていうのがメインだったとしても、そこだけではなくなってくるっていうところ。より俯瞰的に見られる状態に持っていかないと、少ない人数で大きなものを回すので、そういったところの知識や慣れ、能力っていうところが必要になってくると思っています。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。あと最後に、「自治体の業務で、民間がやった方がいいんじゃないかって思う業務ってどんなものがありますか?」っていう御質問、似たようなものが下の方にも出ていたかなと思うんですけど。今、中村さんの自治体のお仕事、民間のお仕事、両方見られていて、「これだったら民間でも」とか、「自治体だけじゃなくても」っていうようなところで、何か気になっているというか、これからこの分野じゃないかなみたいなところがもしあればお伺いしたいなと思いますが。

講師 中村 祥子

はい。私がすごくやった方がいいんじゃないかなと思うところについては、1つは窓口的なところですね。オペレーションというか事務的なところは民間に、そこのプロフェッショナルな人たちとか、市民の仕事を作るっていう意味でも、そういったところをお願いしてもいいんじゃないかなというふうに思っていたりします。

市役所の正職員の方にやっていただきたいことっていうのは、やはり企画して次を作っていくっていうところですね。街全体を設計していくとか、そういうようなところは市がやっていただきたいところ。で、それを動かす人たちは、極力、市役所ではなくて民間の人に入ってきていただいた方がいいかなと思っています。あともう1つ、ちょっと別の切り口で民間がやった方がいいかなと思っているのは、すごくプロフェッショナルな領域ですね。道路工事とかそういう技術的なところもそうですし、セキュリティとかITのところの領域もそうなんですけれども、すごく長年やって、新しいものをどんどん追い続けていかなければいけないところっていうのは、民間の知恵をもっと借りてもいいかなというふうに思います。

モデレーター 渡邊 智裕

ありがとうございます。確かにここ、どの領域で、まちづくりのどの領域を行政がやって、どの領域を民間がやってみたいな話ってずっとある話で、なかなか結論のない話というか、街も動いていくので。はい、ありがとうございました。埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、まちづくりの主体は「市町村・市民・民間企業」っていうふうに書かれておりまして、「この人たちが一緒にまちづくりを進めていくっていうのが埼玉版スーパー・シティプロジェクトです」っていうふうに前段に書かれているんですけれども、今のようなお話で、じゃあそれぞれがどういうことをこれからやっていくかとか、それが『レジリエント』、いわゆる持続可能な事業の設計ですとか、まちづくりのところにつながっていくっていうような文脈なのかなというふうに私の方では思いながら、いくつか質問をさせていただきました。それでは、たくさん(御質問を)いただいたんですけれども、時間も来ておりましたので、ここで第1部の話については終わりにさせていただきたいと思います。中村さんにもう1度大きな拍手をお願いします。どうもありがとうございました。

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第三庁舎3階

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