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掲載日:2022年2月9日
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犯罪被害者やそのご家族、ご遺族は、生命を奪われる、ご家族を失う、障がいを負う、財産を奪われるといった直接的な被害を受けます。そして、直接的な被害に加え、心にも深い傷を受けます。さらに、被害後には心身の不調、生活上の問題、周囲の配慮に欠けた対応、加害者からの更なる被害、捜査上や裁判に伴う様々な負担など多くの困難な状況に直面します。
心も体も深いダメージにより動かなくなり、その場に立ちすくんでしまうような状況になります。
被害直後のショックは落ち着いても、様々な症状や反応が出てくることがあります。
子どもは言葉で自分の状態をうまく表現できないため、理解されづらく勘違いされる場合があり、概して下記のような様々な行動や反応を示す場合があります。
精神的・身体的被害のために、仕事上で小さなミスが増えたり、仕事の能率が落ちたり、職場の同僚との関係がうまくいかなくなることがあります。また、治療のための通院や捜査・裁判手続のためのやむを得ない欠勤などが続くと、周囲に気兼ねをすることになりがちです。
このような状況について職場で理解を得られず、仕事を辞めざるを得ない場合もあります。
犯罪被害のために、転居をしたり、自宅以外に居住場所が必要になることがあります。
(転居の理由となる例)
被害直後のほか、犯罪被害により生計維持者を失う場合や犯罪被害による受傷・精神的ショックのため生計維持者の就労が困難になる場合など、収入が途絶え、経済的に困窮することがあります。生計維持者が死亡した場合、相続関係が確定しないため、銀行口座が凍結されることがあり、そうなると遺族は現金を引き出すことができず、当面のお金の工面に困ることになります。
更に、犯罪被害直後には、警察や病院に急行するためのタクシー代、亡くなった場合の葬祭費などの当面の出費、治療のための医療費などが発生します。さらに、長期療養や介護が必要な場合には、将来にわたって経済的に負担がかかることもあります。
また、裁判に係る費用等の予期しない出費が必要となる場合もあり、たとえ民事裁判(損害賠償請求)で勝訴しても、加害者に支払い能力がない場合には、損害賠償金を受け取ることはできず、何の保証も受けることができないおそれがあります。
犯罪被害を受けた本人だけでなく、家族もショックを受け、お互いを支えあうという精神的な余裕を失いがちです。また、家族各人のストレスの感じ方、被害についての捉え方や考え方はそれぞれで、感情の表し方や対処方法も異なるため、家族の中でいさかいが生じたり、家族関係に危機をもたらしたりします。場合によっては、家族崩壊に至ることすらあります。
また、犯罪被害者が子供で、きょうだいがいる場合には、親がきょうだいに十分な愛情を注ぐ余裕がなくなり、後にきょうだいへの影響がでてくる可能性もあります。
犯罪被害者等は社会的に保護されているといった誤解や、犯罪被害者等支援に関する情報不足などから、周囲の人たちからの支援を受けられず、社会的に孤立してしまい、更に困難な状況に追い込まれてしまうことがあります。
支援を受けられないだけでなく、周囲の人たちから中傷や興味本位の質問をされたり、決して金銭を求めて起こす民事裁判でないのに「お金が欲しいだけ」などという誤った見方をされたりすることもあります。また、「早く元気になって」といった心情に沿わない安易な励ましや慰めで傷つけられることもあります。
多くの犯罪被害者等は、加害者からの報復など危害が加えられるのではないかという不安や恐怖にさいなまれています。
「加害者からの謝罪が全くない」、「加害者に反省の態度がみられない」、「裁判の中で、加害者が責任逃れの主張をする」などの事態に接すると、犯罪被害者等の苦痛は更に大きくなります。被害者が亡くなっている場合には「加害者が事実と異なることを主張する」こともあります。
このように、加害者の不誠実な言動に苦しめられることもあります。
捜査や裁判にあたり、事件について何度も説明せざるを得ないため、その度に事件のことを思い出し、つらい思いをします。
捜査の過程では特に、事件に関する情報が犯罪被害者等に十分に提供されないため、当事者である犯罪被害者等が捜査から置き去りにされているという感覚を強く抱くことがあります。
さらに、警察や検察における捜査、裁判の傍聴、証言、陳述のために、時間的・身体的に負担を強いられるほか、刑事裁判では、慣れない法廷の場に身を置く、加害者の弁護人から、「被害者に問題がある」といった主張がなされるなどの精神的負担を強いられることもあります。
損害賠償請求に係る民事裁判において、訴訟費用、労力、時間が必要とされるほか、とりわけ弁護士に依頼をしない場合には、加害者と法廷において直接向き合う可能性もあり、そのような場合には心身ともに更なる負担となるのみならず、訴訟に関する知識不足、一人では証拠が十分に得られないなど多くの困難に直面することもあります。
SNSによる事実と異なった誹謗中傷や誤報、近所や職場などでの噂、好奇の目などによって日常生活に支障をきたしたり、被害にあったことによる精神的な苦痛から休職や失職に追い込まれたり、被害をめぐる家族間の不和や罪責感が家庭崩壊につながる事例などもあります。
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