With You さいたま > センターの概要 > 広報紙 > With You さいたま Vol.56(平成30年7月) > Women 現代の吟子たちに聞く 井原愛子さん(TAP&SAP代表)
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掲載日:2020年6月25日
第13回「さいたま輝き荻野吟子賞」の受賞者・TAP&SAP代表の井原愛子さんにお話をうかがいました。
秩父で生まれ育った私にとって、身近に山や森がある生活は、当たり前のものでした。就職で秩父を離れ、改めて豊かな自然の魅力、秩父の良さを感じるようになりました。
大学を出て就職したのは外資系家具販売会社。仕事は充実し、チャレンジできる環境がありました。一方で、ずっと同じ会社で働き、ひとつの世界しか知らないということに、どこか「このままでいいのか。もう少し違う世界を見てみたい。」という思いを持つようになりました。ちょうどそんな時、TVで見た秩父メープルを思い出し、NPO法人秩父百年の森主催のカエデの森をめぐるエコツアーに参加してみました。ここで、今まで気づかないでいた秩父の森の素晴らしさと、その森を大切に守る人々の活動や想いを知り、それが現在の私の活動につながっています。
秩父に自生するカエデの木から樹液を採取し、樹液やメープルシロップを使った商品を作る秩父メープルの取組。この画期的な取組は、広く知られておらず、また、若い担い手がいないことに危機感を持ちました。この取組を続けていくには、20~30年後を見据えた長期的な森づくりと、若い世代が活動を引き継ぎ、新しくお金を生み出す仕組みづくりが必要です。そこで、これまで会社で培ったマーケティングの手法を生かして私なりにできることをやってみようと思ったのです。そして、会社を辞めて秩父にUターン。新たなチャレンジを始めました。
森づくりやメープルなどの自然の恵みを生かした商品づくりを通し、多くの人たちとの出会いがありました。会社を辞め、後戻りできない覚悟で飛び込んだ私の想いに本気で応えてくれた人たちがいたからこそ、国内初のシュガーハウス(*)「MAPLE BASE(メープルベース)」の実現など、様々な事業が現実のものになりました。
先のことを考えると不安もあります。でも、私には同じ思いを持って活動する仲間がいます。仲間と一緒に取り組むことが、今の活動を続けるための大きな鍵だと感じています。そして、新しい仲間が一人でも増えると嬉しいし、一緒に関わって良かったと思ってもらえることが、私のモチベーションになっています。
これまで長く培われてきた活動を土台に、若い世代を巻き込み、仲間を増やし、カエデの森をビジネスとしても次世代に引き継ぐ仕組みを作っていけるのか。まだまだ多くの課題があり模索が続きます。そこに、私が少しでも役に立ちたい。
また、まだ知られていない秩父の自然の豊かさや森の恵みを多くの人に知ってもらうため、飲んだり、食べたり、体験したりできる商品やツアーなどのプロデュースにも力を入れたいと思っています。これらの取組は、ひとりの力ではできません。いろいろな人とのつながりや交流を大事に、着実な取組で地域に貢献していきたいです。
)シュガーハウス:メープルシロップを製造する小屋。「MAPLE BASE」では、本場カナダから製造機械を輸入。森の恵みを味わえるカフェやショップを 併設し、五感で体験できる秩父のメープルブランドの発信拠点になっている。
ミツバチに林檎ジュースなどを与えて生まれた
第3のみつ、『秘蜜』。井原さんがプロデュースしている。
埼玉県秩父市出身。起業家。「TAP&SAP(タップアンドサップ)」代表。大学卒業後、一度は秩父を離れて生活をしたが、秩父の木と人に魅了されUターン。国内初のシュガーハウス「MAPLE BASE(メープルベース)」をオープン。メープル事業のほか、「第3のみつ」といった地域資源を活かす商品開発や販売を行う。秩父の森のエコツアーも手がけ、秩父の魅力発信や情報発信に努めている。
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