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掲載日:2025年1月6日

女性デジタル人材交流会

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2024年10月26日(土曜日)女性デジタル人材交流会

埼玉県では、働きたい女性・働く女性が抱える育児や健康などの課題の解決及び、様々な業種への理解を深めるセミナーや交流会を実施しています。
2024年10月26日(土曜日)にIT業界に関心のある女性を対象に「女性デジタル人材交流会」を開催しました。IT業界で活躍される女性2名に、現在のお仕事の内容や職業訓練機関での経験などについてお話いただきました。

登壇者プロフィール

A.N さん(SCSKオートモーティブH&S株式会社)
川口高等技術専門校  情報処理科  2021年修了
高校卒業後、川口高等技術専門校に入校。現在はSCSKオートモーティブH&S株式会社に入社し、組込み系の開発エンジニアとして勤務。

T.A さん(関越ソフトウェア株式会社)
ポリテクセンター埼玉  組込みIoT技術科(現在はデバイスソフトエンジニア科)2021年修了
アパレル企業を退社後、ポリテクセンター埼玉に入所。修了後は、関越ソフトウェア株式会社に入社し、企業向けサービスのヘルプデスクを担当。現在は人材開発部担当。

 

埼玉県高等技術専門校 の情報:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0811/kgs/index.html

ポリテクセンター埼玉 の情報:https://www3.jeed.go.jp/saitama/poly/

IT業界に入ったきっかけ

(A.Nさん)

高校卒業後の進路を決める時に、テレワークやフレックスタイム制などの、柔軟な働き方をしたいと考えていました。でもそういった働き方はパソコンを使いこなす職業が多く、その時の私にはIT知識やプログラミング経験が全くありませんでした。

そこで、安い学費で専門知識を学べる高等技術専門校に入学しよう、と思ったのがきっかけです。高等技術専門校は訓練内容がとても実践的と聞いていたので、就職後の実務もこなしていきやすいと考えました。

 

(T.Aさん)

元々20年アパレル企業に勤めていました。その頃の疲れた様子を見ていた家族が、「好きなことをやったら?」と言ってくれたので、辞めました(笑)。

その後相談にいったハローワークで、「ロボットとか好きなので、IT企業に行きたいです」と相談しましたが、ITのスキルや知識は何も持っていませんでした。
そこで「本気でやりたいなら」とポリテクセンター埼玉訓練校を勧められました。その1週間後には選考テストを受けて、数か月後には入所。半年の訓練をどうにか修了して、今の会社に入社しました。

高等技術専門校・ポリテクセンター埼玉での経験

(A.Nさん)

高等技術専門校で学んで特に役立ったのは、オブジェクト指向と、エンジニア役とお客様役に分かれてロールプレイをしながら行う課題制作の2点です。

どんなプログラミング言語で開発するにあたっても、オブジェクト指向などの考え方さえ一度身についてしまえば応用が利くので、どんな言語でも学びやすくなります。これを学校の学生時代に学べたのがとても大きかったです。

また、アプリ開発業務はどういった流れで仕事をするのか、なかなかイメージしづらかったのですが、課題制作を通して、就職した後にどういう仕事をするのかイメージできました。

※オブジェクト指向:処理を部品化し、それらを組み合わせることで1つのプログラムを構築していくやり方

 

(T.Aさん)

電子回路、アセンブリ言語、C言語、Java、ラズベリーパイなどの初歩を学びました。
また入所から3か月目にグループワークがありました。

IT業界では、完成からテストまでを1人でやって売り込むようなことは稀です。どこかの大きなチームに入り、プロジェクトとしてみんなとコミュニケーションをとりながら、1つのコードを完成させていきます。その縮図がグループワークだと思います。

ふだんの他愛もない会話とは違い、仕事上のコミュニケーションをとるというのがとても難しいという事を、ポリテクセンター埼玉ですごく学ばせていただきました。

※ラズベリーパイ:イギリスの団体が開発した小型のコンピューター

就職活動の経験・今の職場に入ったきっかけ

(A.Nさん)

特定の分野に特化すれば、需要の高いエンジニアになれると考えたからです。
特定の分野に特化した開発業務を中心に引き受けている会社であれば、ノウハウの共有がしやすいので、エンジニアとして評価されやすいのではないかと考え、車載ソフトウェア業界で働こうと思いました。

今の会社へ入社するまで、自動車内部などの知識は一切ありませんでした。それでも今の会社に入ったのは、リスキリングにとても意欲的な企業だったからです。未経験のかたもとても多く、同じく未経験の自分も一緒に頑張って行けそうだと思いました。

 

(T.Aさん)

会社説明会で実際に募集している企業のかたに会って私を見てもらえるというのは、とても重要でした。というのも、IT業界は若い人が多く、その頃既に48歳だった私では、どれだけエントリーで履歴書を送っても、その時点で弾かれていました。会社説明会では、説明会に出た人は一次選考を免除します、という企業も結構ありましたので、これしかないと思って説明会に毎回行き、企業のかたに声を掛けようというのを決めて参加していました。そのうちの1社が今の会社です。

現在の仕事内容

(A.Nさん)

現在は車載ソフトウェアの開発業務を中心に行っている会社で働いています。

車載ソフトウェアは、自動車に搭載されるシステムに組み込まれているソフトウェアの総称になります。ハンドルやブレーキを電子制御している自動車で、そういった制御を行っているのは、全部車載ソフトウェアになります。カーナビや、音楽を流したりするのも全部車載ソフトウェアが行っています。

今の会社は、親会社に車載ソフトウェアの開発業務に関してノウハウを持っている方がたくさんいて、ノウハウを共有をしてもらえるので、研修や教育に関してはとても充実しています。

 

(T.Aさん)

VPN等のネットワークの導入やフレッツ回線、いわゆる光回線の手配をしていました。回線を敷設(ふせつ)したい企業向けのサービスです。
開設や敷設のための日程交渉や、お客様についている担当営業との必要事項の説明、日程の調整等をしていました。

皆さんITというと主にA.Nさんのように、コードを書いて、バリバリにプログラミングしています!というのを想像するかと思いますが、実はITで開発に携わっているかたは少ないんです。開発と運用の2種類の仕事があり、私は運用、ヘルプデスクのほうをやっていました。

そのほかに、進捗を確認してくれるサポートスタッフがいて、相談窓口もちゃんとあって教えてもらえるので、安心して働けました。

IT業界で働いてみて

(A.Nさん)

開発業務は、慣れるまでが一番大変ですね。

ITの専門知識とお客様の業界用語を同時に覚えなくてはならないので、最初はお客様と会話をスムーズにするのもとても難しいです。

先輩に質問しようとしても、意図を伝えるのが難しかったり、そもそも前提が間違っていたり、ということも多いので、最初は萎縮してしまいがちです。ただ、先輩方もそういった経験を必ずされているので、あまり考えずとにかく貪欲に教えてくださいというスタイルを見せていくのが大事だと思っています。

あとは業界にもよりますが、やはり女性が少ないです。女性特有の体調不良についての相談もしづらいですし、スキルや相性を考慮されずに、女性同士だからという理由で作業を割り振られたりするのも大変困りました。現在働いてる組込み系も、圧倒的に女性が少ないですね。

メリットとしては、働き方の選択肢が多い点や、テレワークがメインなので、通勤や支度の時間が掛からず、その時間を家事や勉強に充てられるのも大きいと思います。
デメリットは、コミュニケーションが取りづらいことですね。チャットがメインになりがちなので、自分から困っていることをアピールしていかないとなかなか助けてもらえません。あとは外に出る機会が減るので、運動習慣をつけないと運動不足に陥りやすいです。

 

(T.Aさん)

共通の話題で盛り上がれる友達ができましたし、新鮮な気持ちで前向きに仕事ができるので、この転職で良かったなと思います。
元々共通の話題で盛り上がれる友達が極端に少なかったんです。でもITを選んだことによって、同じようなものに興味を持っている人がたくさんいるので、友達を増やすことには苦労しないで済んでいます。これが本当に嬉しいです。

仕事も、教えてもらうこと全てが新しくて、自分が前向きに仕事をできているのをとても実感しています。

でも、自分が職場でもっと仕事を任せてもらいたいと思ったら、自己研鑽も必要です。IT業界はどんどん変化していくので、入社した後も勉強は日々必要になります。自分から情報を取りに行くのか与えられるのかは会社によると思いますが、ITの技術を蓄積しておくのはとても必要です。

周りに他業種を経験後、ある程度年齢を重ねてからエンジニアになった方はいますか。

(A.Nさん)

同期に30代からエンジニアになった女性がいます。
他の業界で培ってきたコミュニケーションスキルが高いので、助けられています。T.Aさんも仕事上のコミュニケーションは難しいと話されていましたが、そこに大きなアドバンテージがあると感じています。ITについて詳しくなくても、コミュニケーションスキルの部分をちゃんと培ってきたのであれば全く問題ないと思います。

 

(T.Aさん)

私のような40代後半での転職は、かなりレアケースだと思います。

やはり狭き門ですが、根性ややる気でカバーできなくもありません。ただ自分で勉強することはすごく必要で、業務外の所でどれだけ知識を得られるかが重要になってきますので、その覚悟は必要です。

最初からエンジニアで入ろうと思ったら、本当に門なんて開いてるか開いてないかぐらいだと思います。なので、最初に運用職で入るのも手だと思います。運用の経験を積みながら、勉強をする。そして自分がIT業界未経験者ではなくなってからエンジニアに挑戦する、というのも道としてありだと思います。

                交流会の様子

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