インタビュー・コラム
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掲載日:2025年3月25日
吉澤 悠斗(よしざわ ゆうと)さん
プロフィール
群馬県在住。30歳。2児の父。製造部門設備課。
2020年にコロナ禍を機に前職の自動車部品メーカーを退職、セキネシール工業に入社。2024年6月から1か月育児休業を取得。
1962年設立。ガスケット材、断熱材、絶縁材の製造・販売を行う。従業員53名(2024年1月時点)
第1回埼玉PX大賞受賞(男性の育児と仕事の両立を積極的に推進する企業の表彰)
(https://www.pref.saitama.lg.jp/workstyle/dannseiikukyuu/award.html)
コロナ禍をきっかけに考えた仕事と家庭の両立
前職の頃は仕事が忙しく、コロナが始まった頃も残業続きで、長男が生まれたタイミングでしたが育児休業は取れない状況でした。
家では初めての育児を妻が一人でやっている状況で、私も当時は仕事が忙しくて手伝える余裕がなく、妻は私に相談できない、私も手伝いたくても睡眠をとらないと仕事に支障が出る、という悪循環で家庭の中の雰囲気が悪くなってしまいました。
ちょうど悩んでいた頃に、会社が早期退職者を募ったので、このタイミングだと思い応募しました。この時に転職先として内定をいただいた一社がセキネシール工業でした。実は他にも内定をいただいた会社はあったのですが、セキネシール工業は残業がそれほど多くなく、社長自ら育児休業を取得するなど積極的に家庭と仕事の両立を推進していて、ここだと思い入社しました。
現在は設備課に所属し、機械の修繕、メンテナンスのほか、設備改善や自動化、省人化の検討・導入を担当しています。
妻が第2子を出産した時にこの会社で育児休業を取ったのですが、周りからはもっと長く取った方がいいんじゃないかと言ってもらいました。ちょうどお盆休みと合わせれば2か月休めそうだったこともあり、育児休業は1か月だけ取りました。
家事の大変さを実感した日々
育児休業を取得して家事を経験するまでは、どこかで“家事なんて”みたいに考えていたと思います。でも実際にやってみると、日々当たり前に思っていた家事の大変さがすごく分かりました。
基本的に妻は赤ちゃんに掛かりきりですから、私がその間の家事全般と長男の世話をしていました。
最初は楽しかったんですけれど、日々の買い物も、献立や食材、値段を考えながらしないといけませんし、みんなの分の食事を作ったり、長男の幼稚園の送迎、買い物、洗い物、掃除、洗濯などをこなして、子どもの寝かしつけをしてという毎日の繰り返しで、大変でした。
中でも食事の献立を考えることと洗濯は大変でした。料理も最初はいろいろ好きなものを作っていたのですが、そうすると男の料理みたいな感じになってしまうので、チャットGPTなどのAIも活用して栄養バランスを考えながら作るようにしました。AIは冷蔵庫にある食材を提示して、これで今週の献立やレシピを考えてくださいと頼めば、あとはその通りに作ればいいので、栄養バランスを自分で考える必要がなくおすすめです。
こうした日々は楽しいといえば楽しいのですが、いつも同じサイクルになってしまいますし、休む暇もないので、その中でどう自分の楽しみを見出していこうか考えていました。
当時は、子どもと出掛ける時間が自分にとってストレス発散にはなっていましたが、同時に今日どこに遊びに行かせようか考えるのも大変でした。
家族と自分の意識の変化
育児休業を取得して特に良かったと感じたことは、日々成長していく子どもたちの様子を間近で見られたことだと思います。長男も日に日にお兄ちゃんとしての意識が芽生えてくるのが、例えばミルクをあげたいとか、抱っこしたいとか、これやってあげるからねと言っている場面から垣間見えて嬉しかったですね。
子どもって面白くて、子どもから見た世界観や見方というのは私に新しい視点をくれるんです。私が携わっている生産技術というものには新しい視点が大事なので、子どもの純粋な好奇心や創造性は仕事の原動力にもなっています。
妻ともコミュニケーションが増えました。以前は不満があってもお互いあまり言っていませんでしたが、ストレスを溜めないで、無理をしないように言いたいことが素直に言い合えるようになりました。
今は基本的に残業をしないように、フレックスを活用しながら決まった時間で仕事を終えて、決まった時間に帰れるように頑張って調整しています。16時に仕事を終えて17時くらいに帰る生活をしていますが、息子としてはもっと早く帰ってきてほしいみたいで、毎日のように今日は早く帰ってきてねって言われます(笑)
自分としてはもうちょっと切りのいいところまで仕事を終わらせてしまいたい時に、妻から早く帰ってきてほしいと連絡があると、そこの調整が難しいです。それでも今は家庭優先なので、仕事の方を切り上げて帰っています。妻は絶対なので(笑)
二度とない子どもの成長を間近で見られる経験
育児休業の1か月はあっという間で、できることなら3か月取りたかったというのが正直なところです。
それでも妻にはすごく助かったと感謝されましたし、私自身もすごく良い経験が出来たと思っています。自分の中の意識も、これまではずっと仕事だけという考え方でしたが、妻の大変さも分かり、家庭優先という意識が芽生えました。
今後は、子どもたちがもう少し大きくなったら旅行とかいろんなところに連れて行って、いろんな経験をさせてあげたいと思います。普段の休みの日もいつも同じような感じで単調になってきているので、もうちょっと子どもと関われることを考えていきたいです。
もしこれからお子さんが生まれる予定の男性がいれば、ぜひ育児休業を取ってもらいたいと思います。
子どもとずっと一緒にいられる時間は二度とありませんし、日々成長する子どもの姿を間近で見ることができるという一生経験出来ない貴重な機会になると思います。私の経験上、1か月では少ないと思いましたので、できれば3か月の取得をおすすめします。