インタビュー・コラム

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掲載日:2021年12月8日

吉田 悟(よしだ さとる)さん

プロフィール

埼玉県在住。1児の父。
Sora保育園(さいたま市)の運営を担当。
母体である教育系企業に勤務時、新規事業として保育事業を展開することになり、担当に立候補。2008年の開設以降、園長として保育園の運営に従事する。

新規事業の立ち上げに立候補、保育園を開設

会社ではテキスト販売事業などを担当していたのですが、私はもともと幼児教育に興味がありました。そのため、社内で保育事業を行うことになった時に、いち早く手を挙げ新規事業に参画しました。

前職では知育玩具の販売経験もあり、特に乳幼児を対象とした商品を取り扱っていたため、この年齢層の教育についての知識や経験は豊富でした。しかし、保育園の運営は初めての経験だったため、足りない知識や経験を補うために、開設に向けてずいぶんと勉強をしました。

ただ、私自身は小さな子供の面倒を見ることが多い環境で育ったので、保育者としての基礎は培われていたと思います。というのも両親が4人兄弟のため、いとこが20人もいるのです。私はいとこ達の中では、年齢がちょうど真ん中くらいで、年下のいとこ達の世話をよく任されていました。子供好きの原点はここにあります。

わからないことだらけの開設から、地域に浸透するまで

いざ保育園を開設してみると、想像以上に知らないことが多く、日々勉強しながら経験を積み上げてきました。開設までに十分勉強を重ねてはいましたが、例えば「プールの消毒薬はどれくらい入れるか」など、現場で必要となる実践的な知識一つ一つについても学ぶ必要がありました。

それでも、わからないことが発生した際は、市内で他の保育施設を運営されている先生や経営者の方にも相談して乗り越えてきました。施設の垣根を越えて、経験者に相談できたことは大きかったです。今では、ただお子様をお預かりするだけではなく、子供の未来の可能性を広げるために英語、アート、運動、リズム、食育などのカリキュラムを取り入れています。埼玉県の認可も受け、地域に欠かせない保育園として浸透しました。

その時しかない子供との時間を大切に

子育ては期間限定なので、父親も母親も子供と過ごす時間を大切にして欲しいです。子供の成長を実感できるタイミングは、その時・その瞬間にしかないということが山ほどあります。
子供の成長はとても早く、1年異なるだけでガラッと変わることがあります。例えば、1歳児の夏と2歳児の夏では、遊び方も違ってきます。その夏を子供と一緒に遊ばなかったとしたら、来年はもう同じ過ごし方ができなくなるかもしれません。その時々の子供との楽しみは、その時にしかあり得ないのです。子供はどんどん成長してしまいます。そのため、大切な機会を逃さないよう、なるべく親子で同じ時間を共有して欲しい、と思います。

そうはいっても、共働きのご家庭では外で仕事をして帰った後に育児・家事を行わなくてはならないので大変ですよね。昔のように2世帯で同居している家庭も少ないので、園では各ご家庭を少しでも支援できることがないか、と日々考えています。

一生懸命になりすぎない子育てを

ご家庭を見ていると、お母さんの方が責任感が強いと感じることが多いです。お父さんの責任感が弱いというわけではありませんが、女性の方が一生懸命になり過ぎてしまう印象はあります。

お母さんは、頑張っている方ばかりです。でも「いい母親でいなければ」と意識しすぎることで結果的に余裕がなくなっている真面目な方も多いです。

そのため、当保育園としてはお母さんたちに、「そんなにがんばりすぎなくていいですよ」と声掛けをするようにしています。お父さんも、お母さんも心に余裕があり、いつも笑顔でいられることが、子供にとっても一番いい環境だと思います。 お母さんだけが苦しむ状況にならないように、笑っているお父さんが「普通に」、当たり前に育児している環境が作れるように支援できたらうれしいです。

保育士が保育に注力できる環境を作るために

当保育園に勤める保育士たちは、子供たちの保育はもちろん、それ以外にも多種多様な雑務があります。また、保育に注力していると、保育以外の業務をする時間が減ってしまい、残業が増えてしまうことがあります。しかし保育士の中には小さな子供がいるお母さんもいるので、残業はできるだけ減らしたいと思い、雑務の負担を減らすために試行錯誤しています。最近ではSNSツールを使って情報共有するようになり、紙で報告書を作成するよりも時間短縮ができるようになりました。今後も保育に注力できる環境を作れるよう、工夫をしていきたいです。

家族との過ごし方

私には小学生の息子がおり、休日は子供と過ごす時間を作るようにしています。また仕事がある日でも、できるだけ早く帰ることができるように努力しています。妻も働いていますので、協力して家事をすることが大切だと思っています。

私が子供の頃、私の父は積極的に家事をしていました。それを見て育った私も お皿洗いや掃除、アイロンがけなどを普段から行っています。毎週休みの日は料理も作れるようになりました。

ご家庭に寄り添う保育室を目指して

保育園を運営する上で、子供たちの各家庭の状況を把握しておくことも大事です。例えば情緒が不安定になっている子供がいて、聞いてみたら実はお父さんが長期出張して不在だった、ということがありました。ご家庭と密にコミュニケーションを取ることで子供への理解も深まり、それに合わせた接し方ができます。預かる立場として、ご家庭に寄り添うことを常に心がけています。

子供と接することは純粋に楽しいですし、すぐに仲良くなれます。私は、初めて会ったと子と仲良くなるために「子供が好き」ということを全身で伝えています。子供も「この人は子供が好きなんだな」とわかるようで、気持ちが伝わっている気がします。

地域の子供たちが笑顔で過ごせる場所となるよう、今後もご家庭に寄り添った 保育園運営を行なっていきたいと思います。

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