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掲載日:2022年3月8日
花と緑の振興センター行っている作業を月別に御紹介します。
掘り上げ準備
サクラソウ栽培には植え替えが必須です。少なくとも1年おきに植え替えましょう。
植え替えは十分に寒さに当てて、年明けから行うのが普通ですが、作業の都合で早く始める場合、12月中旬から可能です。用土、鉢などの準備は早めに始めましょう。
早くに植え替えた場合、鉢の表面に霜柱が立ちやすくなりますので、防寒対策をとります。また、掘り上げた株をすぐに植えられない場合は、冷蔵することができます。0℃近くの凍らない温度が理想です。家庭用の冷蔵庫では、冷蔵室でも大丈夫ですが、「氷温室」、「チルドルーム」等があればその方が適しています。
品種保存のためのサクラソウ
用土の準備
植え付けるのはまだ先のことですが、用土は早めに準備しましょう。
現在、花と緑の振興センターでは、赤玉土を主体にして、腐葉土(容量で20~30%)、乾燥牛糞堆肥(同5~10%)を加えた用土を使っています。埼玉県では約30年前からサクラソウの栽培、品種保存を続けてきましたが、その間に(主に当時の埼玉県花植木センターにおいて)改良を加えてきたもので、サクラソウの栽培にお薦めできます。
大量に鉢替えする場合は機械を使って混ぜます。
掘り上げ
堀り上げは、一般に1月から2月中旬に行います。
(花と緑の振興センターでは300品種各2鉢を栽培していて、作業の都合から12月上旬に根茎の掘り上げを始めています。
鉢土が湿っていると土がほぐれにくいので、掘り上げ作業に入る10日前頃に、日の当たる軒下などに鉢を移動し、わずかに湿り気が残る程度に鉢土を乾かします。根鉢が鉢から抜ける状態になったらそっと抜き、根鉢を丁寧にほぐします。
掘り上げ作業
違う品種が混ざらないように、慎重に作業します
芽分け(株分け)
ほぐした根鉢から株を取りだし、株分け(サクラソウの場合「芽分け」という表現を使います)をします。このとき、土はできるだけ丁寧に落とします。土が付いていると分ける場所がわかりづらくて分けにくいものです。1番先端にある芽を中心に、その芽の根元にいくつかの小芽がついていますので、小さい芽から順に根を切らないように基から丁寧にはずします。水分を多く含んだ根は特に折れやすいので注意が必要です。
分けた芽は大きいものから順に並べましょう。大きな芽ほど花の咲く可能性が高いので、鉢に植え込む時はこの順に利用します。
芽分けが終わったら、乾燥しないうちにできるだけ早急に植え込みます。すぐに植えられない時はポリ袋などに入れて0~5℃の冷蔵庫で保存します。
一株の芽
花芽を一芽植えて5~6芽に殖える
1~9の写真をクリックすると大きな写真が見られます。
1 鉢から根鉢を抜いたところです。 鉢底に品種名を書いたラベルを入れておくと便利です。 |
2 全体をもみほぐすようにして土を少しずつ落とします。 その後、4つの株に分けます。 |
3 5号鉢に4株植えてあります。 全ての株が元気なようです。 |
4 1株です。いくつかの白い芽が見えます。 赤い矢印で示したのは古い根茎です。 |
5 まずはじめに古い根茎をはずします 次に、矢印で示した小さい芽をはずします。 |
6 次ぎに大きい芽をはずします。 |
7 もう一つ芽がありました。 これをはずせば終了です。 |
8 これで1株の芽分けが終わりました。花が咲きそうな芽が2つ、小芽が3つ採れました。 |
9 大量に芽分けするときは2人が向き合って手分けすると効率的です。 |
10 品種毎にポリ袋に入れて冷蔵庫等で保存します。 このときに、鉢に挿してあったラベルを入れます。 |
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植え付け
用土は、赤玉土・腐葉土・完熟した牛糞堆肥等を配合し、水はけがよく、しかも水もちのよいものを早めに準備します(11月を参考にしてください)。
鉢はサクラソウ専用のものがあり、栽培にも観賞にも使いやすいのですが、入手しにくいため、プラ鉢や素焼きの鉢での栽培が一般的です。気に入った鉢に好きな品種を植えることもよいものです。
植え付けは鉢の深さの1月3日程度まで用土を入れ、芽分けで選んでおいた芽を5号鉢に4芽植えます。植える方法は、芽が出てほしい位置に芽の先端を合わせ、根は鉢の側面につかないように配置し、1~1.5cm程度覆土します。あとで増土(花が咲き終わった後、土をたす作業)するため、土から鉢の上まで3cm程度あけておきます。
丈夫で殖えやすい品種は毎年花芽を確保することができますが、殖えにくい品種では花の咲いた翌年によい芽が揃わないこともありますので、予備鉢で養成しておきます。
植え付けは遅くとも3月上旬までに終えるようにします。
植え付け作業
3号(約9cm)ポリポット鉢への植え付け作業。2芽植え付けています。
植え付け後の管理
植え付け後は十分にかん水し、良く日の当たるところに置いて管理します。植え付け直後は土がやわらかく、根も張っていないので、霜柱によって芽が鉢土の表面に浮き出し、気付かないうちに乾いてしまうことがあります。このため、霜柱が心配される時期は、コモや古毛布等の保温資材をかけて保温します。
ラベルの印字作業
品種を管理する上でラベルは重要です。
1 展示用に使用している専用鉢(5号・直径約15cm)です。 |
2 鉢底に品種名を書いたラベルを入れます。 |
3 続いて、ビニール網をおき、鉢底の穴をふさぎます。 |
4 鉢の深さの1月3日ぐらいまで用土を入れます。 |
5 植え付け前の土の量です。 |
6 芽には表と裏があります。根がたくさん出ている方が裏になります。 |
7 芽の裏を下にして置きます。芽の表と裏を間違えないように注意します。 |
8 5号鉢で4芽、芽の先端が正方形になるように配置し、芽がずれないように1~1.5cm程度覆土します。 |
9 品種名を書いたラベルを忘れずに立てます。 その後、鉢の底から水が出るほどたっぷりとかん水します。 |
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1月の作業でも紹介しましたが、2月はサクラソウの植え付け時期です。今月末には掘り上げと植え付け作業が終了するようにしましょう。3月になると芽が動き出すため、作業中に芽が折れやすくなります。
植え付ける芽は、充実した花芽から順に選んで使うようにします。
さくらそうは品種によって芽に特徴があり、大きさ、形、色も異なります。花芽・葉芽を判断するには経験が必要です。一般的には、大きい芽から利用していきますが、目安を参考までに下記に紹介します。
3月の声を聞くと暖かくなり、芽が出る時期に入ります。この頃から水分を多く必要としますので、かん水が大切な作業になります。3月で、かん水などの管理方法を紹介します。
花芽と葉芽に分ける作業 栽培鉢数が多いので、掘り上げた芽を全て冷蔵しておき、植え付けの際に、改めて分けています。
花芽と葉芽をわける目安です。写真をクリックすると大きな写真が見られます。
(GIF:126KB)1 1番先端の大きな芽(第1芽)は確実に花が咲きます。やや小さい芽(第2芽以降)でも芽が充実し、根が多いものは花が咲く可能性が高い芽です。
品種により芽の大きさが異なりますので、芽の大きさだけで判断せず、品種の特徴をつかむことが大切です。
(GIF:122KB)2 葉芽です。小さな芽でも、手入れしだいで翌春には1人前の芽となって役立ちます。さらに小さいものでも1~2年で花芽となります。
写真の芽は、阿蘇の自生種です。
植え付け後の管理
花と緑の振興センターの植え付け作業も2月末にようやく終了しました。
3月の声を聞くとサクラソウの芽が出る時期となります。品種や芽を植え付けた深さなどで差はありますが、2月下旬に植え付けたものは、例年ですと3月10日頃から芽が出始めます。
サクラソウは水分を好み、乾燥を嫌いますので、水分管理が重要です。春の発芽後から梅雨まで、梅雨明けから残暑がやわらぐ9月ころまでは鉢土の水分を切らさないようにします。
芽が出て葉を展開していくこの時期から、水分が多く必要になりますので、1日1回を目安に様子を見ながら水を与えるようにします。この時期に水分が不足すると葉が充分に伸びきれず、後々の生育にも影響します。
かん水の作業は、1日も忘れられない大変な作業ですが、良い花を咲かせるため、きめ細やかな管理を心がけて下さい。
肥料は、牛ふん堆肥等を入れている用土(11月に紹介)では、特に施さなくても充分に育ちますので必要ありません。
展示鉢への植え付け
12月からの堀上げ作業開始から植え付けまでの一連の作業が、2月末でようやく終了することができました。
植え付け後、ほ場に出す前の展示鉢
開花までの管理
サクラソウは明るいところを好みますので、良く日の当たる所で栽培します。光が不足すると、葉が軟弱になり、花の色も薄く、本来の美しさが表現できなくなりますので、できるだけ日に当てるように努めます。
4月の始めには、株の中心に小さな緑色の蕾が見え始め、日に日に花茎が伸びてきます。花茎がのびて開花期に入りますと、驚くほど水分を必要とします。この期間は、1日2回を目安に、今まで以上に多くかん水します。この時期、水分が少ないと、花が萎縮することもあります。
4月下旬には、待ちこがれた花が咲く時期となります。花は、風や雨で傷みやすいので、明るい軒下などにとり込んで咲かせます。観賞するときには、花の型や色などの組み合わせや並べ方を考えるのも楽しみです。室内で楽しむ場合は株の傷みを少なくするために2~3日で交換するようにします。開花中のかん水は、直接花にかけないようにして行い、水を切らさないように管理することが大切です。
植え付けた展示鉢を栽培棚に置く作業
芽が出てきました
2月下旬に花芽を植え付けた鉢。3月下旬の状況です。
本文が入ります
花と緑の振興センターでは、例年、4月末から5月初旬頃に可憐な花が見頃を迎えます。
ゴールデンウィークが終わる頃から、咲き終わる鉢が増えてきます。この頃から来年の花を咲かせるための新しい根茎が葉のつけ根に育ち始めます。
翌春のサクラソウのできは、開花後の手入れいかんによって決まります。
花茎摘み
最初に咲いた花がしおれ始めたら、まだまだ見られると思っても、来年のために涙をのんで花茎を株元から切り取ります。
花瓶に生けても1週間ほどは楽しめるようです。
いつまでも花を付けておくと、種子ができるために養分が使われるので、根茎の生育に影響します。
本文が入ります
増し土
花茎を摘んでから数日後に、株もとを見るとピンク色の肉塊のような物がでてきます。これが新しい根茎です。新しい根茎が伸びて地表面に出てきますので、植え付けに使用した用土を1~1.5cmの厚さに足します。この作業がサクラソウ作りで最もたいせつな「増し土」という作業です。
新しい芽は地表に出やすく、増し土をしないと根茎が表土上に飛び出して乾燥し、生育不良となり花が咲かなくなります。
本文が入ります
追肥
土の中では新しい芽が生育していますので、増し土後に1回、その1週間後の計2回、普通の鉢花に与える濃度の2倍程度に薄めて液肥を与えます。
夏季の管理
7月に入ると葉が枯れ始めてきますが、鉢の中の芽は生きています。サクラソウは水分を好み、乾燥を嫌いますので、残暑がやわらぐ9月頃までは鉢土の水分を切らさないように管理します。夏の暑さもきらいますので、木陰に置くか、日を和らげる遮光資材をかけるなどして直射日光から守る必要があります
秋から冬の管理
9月中旬には日除けをとりはずし、鉢に日光を当てるようにします。9月から10月にかけては根茎の先にできた芽が生育する時期です。この時期は、肥料など与えず乾いたら水を与えるようにします。
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