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掲載日:2023年12月19日
埼玉県教育委員会では、埼玉県文化財保護審議会の答申を受け、令和3年7月30日及び令和4年3月18日付で、計5件を県指定文化財に指定しました。新たに指定となった文化財をご紹介します。 なお、見学の際には所有者や地域の方々へのご配慮をお願いいたします。
★基本情報
名称:秩父川瀬祭の川瀬と屋台の行事
(ちちぶかわせまつりのかわせとやたいのぎょうじ)
所在地:秩父市
保存団体:川瀬祭保存会
★こんな特徴があります
秩父川瀬祭の川瀬と屋台の行事は、荒川上流から中流域にかけて、また荒川支流域でも行われている「川瀬祭り」「川瀬行事」等と呼ばれる行事の一つです。
秩父市番場町に鎮座する秩父神社の摂社である日御碕(ひのみさき)神社の例大祭であり、地元では「お祇園(ぎおん)」と呼ばれ、秩父神社の神輿が川入りする神輿洗い行事が行われ、付け祭として屋台・笠鉾(かさほこ)の曳き回しが行われます。
現在は、毎年7月19日頃に町会ごとに若衆が荒川で水を汲み、地域を清めるお水取り行事が行われます。20日午後には神輿の荒川への渡御(とぎょ)が行われ、氏子の17町から選ばれた神輿担ぎに担がれた神輿が川に入って神輿をもみ、水を掛けて清める神輿洗いを行います。19日、20日ともに付け祭として、屋台4基、笠鉾4基が市中を曳き回されます。冬の秩父祭が大人の祭りとされるのに対して、子供の祭りと言われており、特に屋台囃子や曳き子は、子供たちが中心的役割を担っています。
★ここがすごい!
地域の災厄防除・悪疫退散を祈願する祇園系の夏祭りの系譜に連なる祓いの行事の一つであり、民俗的要素を豊富に伝えています。また、屋台囃子や笠鉾・屋台の囃子手と曳き子を子供たちが中心となって担っている点も、祇園系の夏祭りの地域への定着の在り方を示すものとして特色があります。地域の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なものとして価値が高い、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:チチブサワラ骨格化石(ちちぶさわらこっかくかせき)
所在地:秩父郡長瀞町長瀞1417-1(埼玉県立自然の博物館)
所有者:埼玉県
点数:一括
公開状況:公開(資料保存等の観点からレプリカの場合もあります。)
★こんな特徴があります
秩父郡小鹿野町般若の新生代新第三紀中新世(約1550万年前)の古秩父湾堆積層から産出した大型魚類の骨格化石です。
保存状態が良好で、頭蓋骨や鰓蓋(えらぶた)周辺の骨や肋骨、脊椎骨の一部が産出しており、産出部位から推定される全長は約2mです。
1994年に、本標本をホロタイプとして、サバ目サバ亜目サバ科サワラ族サワラ属の新種 Scomberomorus chichibu(和名:チチブサワラ)として記載されました。
※ ホロタイプ:種(しゅ)の同定の基準となる世界で唯一の標本のこと。
★ここがすごい!
県内に所在する唯一の県産硬骨魚類化石のホロタイプ標本であり、埼玉県産出魚類化石の中で代表的存在といえます。
サワラの仲間の化石は産出例が少なく、化石標本のほとんどが断片的なものですが、本標本は頭の骨を中心に比較的多くの骨を残し、当時のサワラ族の姿を知り、起源や進化を解き明かすために重要な標本です。
日本列島形成時の地殻変動と当時の古環境を物語る「古秩父湾堆積層」から産出したもので、古秩父湾の生物相が多様であったこと示しており、当時の古生態や古環境を知る上でも重要な標本であり、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:横瀬の人形芝居舞台(よこぜのにんぎょうしばいぶたい)
所在地:横瀬町
所有者:個人
公開状況:県指定無形民俗文化財「横瀬の人形芝居」公演時に使用。
★こんな特徴があります
県指定無形民俗文化財「横瀬の人形芝居」は、指人形を操る一人遣いの人形芝居であり、各地に出向いて公演を行ってきたため、舞台は組立て・解体ができる構造となっています。
舞台は、本舞台(本手)、本舞台後方に設置する回り舞台、上手に設置する太夫座、下手に設置する下座(囃子町)の四つから構成されます。舞台全体の幅は約7m、本舞台と回り舞台を含めた奥行きは、約3.5mです。両袖の位置や角度を変えることで、会場の広さに応じ設営することが可能です。
回り舞台は、芯柱を軸として、人力で水平方向に回転させる構造です。上から見ると正方形の形状をしており、四面に襖絵や板絵、障子、遠見(とおみ)(背景)を設置して回転させることで、場面転換する仕組みとなっています。
★ここがすごい!
人形芝居舞台に回り舞台が備わる例は全国的にも希少です。
芯柱に、秩父祭屋台を手掛けた宮大工・荒木和泉(あらきいずみ)の彫書や墨書があります。歌舞伎屋台としても展開する秩父祭屋台とは彫刻等の装飾や組立て・解体可能な構造、回り舞台を備えるなど、多くの共通点があります。秩父祭屋台からの強い影響がうかがえ、秩父の芸能文化を支える工匠の技が体現されています。
民俗芸能に用いられるもので、地域的特色があり、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称:北爪文書(きたづめもんじょ)
所在地:大里郡寄居町2496-2(鉢形城歴史館)
所有者:寄居町
点数:5点
★こんな特徴があります
かつて上野(こうずけ)の在地領主で、はじめ足利長尾(ながお)氏に、天正期に北条氏に属し、江戸時代に新堀新田(にいぼりしんでん、現熊谷市)に移住した北爪家に伝来した5点の古文書で、平成20年に寄居町に寄贈され、現在は鉢形城歴史館に所蔵されています。
(1) 長尾景長判物(永禄6年(1563)、宛先:北爪助八)
(2) 長尾顕長判物(作成年不詳、宛先:北爪主計助)
… 助八及び主計助(かずえのすけ)が所領を与えられたり加増されたりしたという内容。
(3) 北条氏邦感状(天正16年(1588)、宛先:北爪新八郎)
… 新八郎が沼田での合戦で敵1人を討ち取る戦功によって与えられたもの。
(4) 北条家朱印状(天正17年(1589)、宛先:北爪新八郎)
… 新八郎に女淵五郷(おなぶちごごう)の給田を付与することを約束されたもの。
(5) 北条家朱印状(天正17年(1589)、宛先:北爪新八郎)
… 新八郎に、検地の上、20貫文の所領を与えられたというもの。
★ここがすごい!
北条氏の上野進出を巡り、上野を治めていた長尾氏や関東の在地領主の動向が分かり、県の歴史上ことに価値が高い、県にとって重要な文化財です。
★基本情報
名称・点数:三ツ和遺跡出土木簡(みつわいせきしゅつどもっかん) 4点
附(つけたり) 井戸枠(いどわく) 10点
須恵器坏(すえきつき) 1点
須恵器及び土師器残欠(すえきおよびはじきざんけつ) 10点
木簡を除く井戸枠補強材(もっかんをのぞくいどわくほきょうざい) 31点
所在地:川口市本町1-17-1(川口市立文化財センター)
所有者:川口市
★こんな特徴があります
三ツ和遺跡は、荒川低地の自然堤防上に立地する、古墳時代、平安時代、中世などの集落が営まれた遺跡で、平成24年の第27次発掘調査において4点の木簡が、補強材として井戸枠に縦方向に差し込まれていた状態で発見されました。
4点の木簡は、いずれもその用途は記録簿であり、具体的な年号である「仁寿(にんじゅ)元年(851年)」や地名「小渕村(おぶちむら)」が記され、さらに「出挙(すいこ)」と呼ばれる古代の利息付き貸借制度における各人への貸付額の記録や、また何かを造営する際の労働に対する稲の支給の実態などが記されています。
最大の特徴は、木簡が大型の曲物(まげもの)の底板材から転用されていることです。さらに火鑚板(ひきりいた)に再利用され、そして最終的に補強材として井戸枠に差し込まれていました。
関連資料52点は、木簡とともに井戸を構成する井戸枠と補強材、また井戸の埋め土中から出土した須恵器及び土師器です。補強材には、木簡のほかに鋤(すき)か鍬(くわ)の柄と板材などが用いられていました。須恵器、土師器は井戸の埋め土から出土し、いずれも使用された時期は9世紀から10世紀と考えられます。
★ここがすごい!
本県における古代の村落形成、行政、租税、産業、生活文化などを多岐にわたり知ることができる極めて貴重な木簡資料で、古代の木簡の使用から廃棄までの過程や、木製品の再利用の実態を示す類いまれな遺物であり、学術上価値が高く、県にとって重要な文化財です。
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