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掲載日:2022年10月19日
Q 杉田茂実 議員(自民)
私にとって3回目の質問となります。このテーマは、県北部熊谷市選出である私のアイデンティティともいうべき活動の中心にしております最重要課題であります。
令和元年12月の質問では、主として首都直下地震への備えの視点から、そして、昨年9月の質問では、行政のデジタル化を背景に場所にとらわれない新しい時代に合った今後の行政機関の在り方について、見解をお伺いいたしました。私なりに行政の分散の合理性を主に機能の面から提示してきたつもりです。
しかしながら、知事の御答弁から、執行部としての切実感を感じ取ることはできませんでした。知事就任以来、3年間が経過されました。災害時の現地視察等、いち早く何度となく県北部入りをしていただきました。その都度、北部地域への思いを深めていただいていることと意を強くしております。
さて、私が行政の分散、とりわけ県北部への機能移転を訴える背景には、県北部地域が元気を失っていくことに対する強い危機感があります。言うまでもなく私の地元熊谷市は、県北部地区最大の人口を誇る北部経済の一大拠点です。この熊谷市ですら平成19年における人口約20万4,000人をピークに、平成28年で20万人を割り込み、令和2年では約19万6,000人と人口減少に歯止めがかかりません。この間、さいたま市、川口市はじめ県南部の自治体が人口を増やし続けていることとの格差は歴然です。
これを市場原理といって手をこまねいて見ているのは簡単です。簡単ですが、本当にそれでよいのでしょうか。県は北部地域の様々な施策を打ち出しておりますが、根幹を揺るぎないものにしない限り民間の頑張りは継続できません。行政にできる、むしろ行政にしかできないことがあるのではないでしょうか。
ここさいたま市にある県庁舎で働く職員のうち、例えば、3分の1がその所掌事務とともに県北部に向かって移ってきたところをイメージしてください。庁舎に向かう人の流れ、それに伴う官民の情報の集積は、この地域の存在感や資産価値を高め、周辺の商業地・住宅地に大きな波及効果を生むでしょう。さらには、新しい公共交通の創出もあるでしょう。高崎線、国道17号など朝の通勤時間帯に南に集中していた人や物の流れから、一部が北へ向けた流れに変わります。適度なゆとりを保ったこの新しい潮流は、北部地域の人々の笑顔と活力を運ぶものです。最初は細くとも、いずれ成長することは必至です。
何よりも県庁の一部が移ってくるということは、それ自体が県北部を大切に思う大野知事からの何にもまさる大きなメッセージになります。地域社会経済の多極化は、多くの識者の論を待つまでもなく、本県の持続可能性を高め、SDGsの精神にもかなうものです。
防災、そして新たな行政機関の在り方の観点からも、改めてお伺いいたします。
大野知事の就任直後、令和元年の台風第19号によりもたらされた甚大な被害は、まだ記憶に新しいことです。去る7月12日の豪雨では、このときとほぼ同じ地域で驚くほど短時間に警戒レベル5の緊急安全確保が発令されました。今度は台風の影響ではありません。もはや自然災害の猛威はこれまでの常識を超え、県内でもいつ、どこが深刻な被害に遭うか、予測自体が不可能なのです。にもかかわらず、災害対応、その後の復旧作業を指揮する県庁の機能に十分なバックアップがあるとは、私には到底考えられません。
新型コロナウイルス感染症への対応についてはどうだったでしょうか。感染症対策の最前線は、言うまでもなく保健所です。さいたま市、川口市など保健所設置市との役割分担を考えると、全県の司令塔である県の本部機能はどこにあるのが最も効率的だったのか、今後検証する必要があるのではないでしょうか。
行政機関が本来期待される役割を最大限発揮するために、県内の配置は既存概念を捨てて見直されるべき時期に来ています。例えば、最重要案件であります食料の安全保障を意味する農業分野の現場の中心はどこなのか、道路整備ではどうか、各分野においてもゼロベースでの検討がなされるべきです。
もちろんコロナ禍を契機としたデジタルツールの急速な浸透がその背景にあります。いまや県庁の会議もオンラインが中心と聞いております。県庁の幹部の皆さんが常に現庁舎に集まっていることにリスクこそあれ、メリットは少ないのではないでしょうか。
私たち県議会は、去る6月23日に、県庁舎の県北部地域への整備を求める埼玉県議会議員連盟を立ち上げ、一足早く問題意識を示しました。新たな県庁舎の立地については、県庁舎再整備検討委員会において活発な議論がなされ、一から検討されることを期待します。
新庁舎の竣工までには時間もかかるでしょう。行政の分散はもっと短い時間軸で検討されるべき喫緊の課題です。県北地域の地域機関や官民の遊休施設を活用すれば新たな県庁舎整備の議論に先行し、機能分散は比較的容易に実現可能だと考えます。要はやる気の問題です。
私が最初にこのテーマを一般質問で取り上げたのは3年近く前、振り返ればコロナ禍が始まる直前でした。何やら隔世の感があります。それから世の中は大きく変わりました。コロナはいずれ終息するでしょう。ですが、時計の針が戻ることはありません。この間の変化をポジティブに受け止め、新しい行政の形を検討していただきたいと思います。
そこで、知事にお伺いいたします。
まず、1点目として、南北格差の解消、県土の均衡ある発展の視点も含め、これまで行政機関の分散についての検討は、どのように進めていただいておりますでしょうか。
2点目として、知事就任以来、様々な外部環境の変化を重ねられた今、行政の分散についての現在のお考えをお聞かせください。
A 大野元裕 知事
まず、これまでの検討状況についてでございます。
議員お話しのとおり、県の役割を最大限発揮するため、行政機関の配置をゼロベースで検討すべきとのお考えにつきましては、私も同感であります。
行政のデジタル化の進展により、県民や事業者が行う行政手続の3分の2以上がオンラインで対応が可能となっており、また、庁内においても約6割の会議・研修がオンラインを活用しております。
私も知事就任以来、オンライン化につきましては、先頭に立ってこれを積極的に進めてまいりました。
これまで行政機関の窓口で処理していた行政手続や職場というスペースで従事していた様々な業務が、「場所」の制約を受けることなく、オンライン上で完結することができるようになっています。
今後更なるDXを推し進めることにより、県民や事業者にとっての「行政機関」、職員にとっての「職場」は、大きく変化していくことが見込まれます。
一方、議員御指摘の北部地域の振興や県土の均衡ある発展は大変重要な視点であり、行政として何が最適解であるかを常に考える必要があると思います。
現在、庁内では、場所という概念の変化を捉えつつ、地域機関で行っている業務が本庁でもできないか、反対に、本庁の業務や職員を地域機関に移せないかなど、大胆な着想から、ゼロベースで検討をしているところであります。
こうした中で、県土の均衡ある発展も含め、あらゆる視点からしっかりと検討を進めたいと考えます。
次に、様々な外部環境の変化を踏まえた現在の考えについてであります。
議員お話しのとおり、私が知事に就任した3年前と、世の中は大きく変化しています。
知事就任2週間後の豚熱に始まり、令和元年東日本台風、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、直近では、降ひょうや集中豪雨による被害などが立て続けに発生し、その対応に追われました。
また、DXの推進につきましては、先ほど申し上げたとおり、私自ら先頭に立ち、全庁を挙げて取り組んでおり、特に、DXの第一歩として、県庁のペーパーレス化をはじめとしたデジタル化などに力を入れてまいりました。
近年災害が多発していることを踏まえますと、議員御指摘の、災害時における県庁舎のバックアップ機能をどのように確保すべきかという視点からの検討も大変重要と認識しています。
また、DXの更なる進展により、これまで地域機関において職員が直接行っていた相談や窓口業務などについては、近い将来、オンライン上で職員がどこからでも対応することが可能になると思います。
進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものではなく、最も頭のいいものでもなく、変化に対応できる生き物だ」との考えを示したとされています。
行政の分散についても同様であります。
もはや県庁所在地に職員が現実に通うという姿や、地方機関との関係の在り方などからゼロベースで検討する必要があると考えます。
関係者間の議論を通じ、様々な外部環境への変化に対応できる行政機関をつくることにより、734万埼玉県民の期待に応えることが、私の責務であります。
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