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掲載日:2022年10月13日
Q 梅澤佳一 議員(自民)
平成25年に埼玉県がん対策推進条例が制定され、29年に一部改正が行われました。この条例は、国の定めるがん対策基本法に準じ、県が定める基本計画を応援しようとする意図もあり、当時、議員全員の賛成で条例制定されました。最近では熊谷市でも制定されており、広がりも期待されています。この条例の目的を達成するためには多くの関係機関の協力が必要で、連携が大切であります。
条例が制定をされ5年が経過し、施策の変化、各機関の計画実施に向けた対応、経過実績など主なものを保健医療部長からお答えください。
次に、がん対策の推進に向けた具体的な取組について伺います。
本年度新規事業として、がん患者を対象に治療、就労、経済、メンタル面など幅広い悩みにワンストップで対応するため、多職種による相談事業を埼玉県産業保健総合支援センターとの連携で開催、県内主要駅近くの会場で夜間の相談を実施していますが、相談状況、がん診療連携拠点病院の協力はどうですか。すばらしい施策と思いますが広報はどうですか。相談時間、効果や工夫する点等を伺います。
また、がん検診受診率向上のために、事業者が従業員などの健康管理を経営的視点から考え、健康経営に取り組む意識につなげるがん検診受診促進事業は、単なる意識調査的なものに終わってしまわないか心配です。各事業所に対して具体的にどのように進めていくのか伺います。
さらに、県が進めるがん対策では、市町村がん検診の精度向上を支援するとしていますが、具体的にお示しください。精度の向上は県民の大きな願いであり、検診をどのように改革していきたいのか、以上について県の立場より保健医療部長からお答えください。また、県はそのために何を進めていきたいのか、併せてお答えください。
次に、がん医療提供体制の充実、強化ですが、地域がん診療連携拠点病院の質の高い医療体制の充実を図るとしています。今まで県は診療連携拠点病院に対しどのような支援を行い、がん医療の充実に努めてきたのか具体的にお示しください。また、診療連携拠点病院に指定されたメリットはありますか。ベッド数の増床、診療器具への支援など今後、診療連携拠点病院の充実について、保健医療部長に伺います。
次に、がんセンターについて伺います。
県立がんセンターは、平成25年、高度先進がん医療を実践する病院、日本一患者と家族に優しい病院を理念とし、新たに建設をされました。建設前より医師や看護師の確保、医療設備やボランティアの確保など新病院の準備は多岐にわたりました。建設より5年が経過しましたが、現状はいかがですか。がんセンターの使命はたくさんありますが、何といっても重要なことは患者への適切な医療の提供です。新たな病院の建設以来、医療の充実に努めてきたようですが、医師確保をはじめどのような充実が図られてきたのか、病院事業管理者に伺います。
先月、福祉保健医療委員会では京都大学医学部附属病院を訪れ、がんゲノム医療についての視察を行いました。埼玉県では、埼玉医科大学国際医療センターと県立がんセンターががんゲノム医療拠点病院に選定をされました。これにより県立がんセンターは自らの施設で遺伝子検査の医学的解釈を行い、そして治療方針を決定することができるようになります。がんゲノム医療を県内で完結できるということであり、県民にとっては大きな希望となります。
県立がんセンターは、埼玉県のがんゲノム医療の拠点として大きな役割を担うことになりますが、県立病院としての使命や役割はどのように考えますか、併せて病院事業管理者に伺います。
A 関本建二 保健医療部長
まず、がん対策推進条例制定後の施策の変化などについてでございます。
医療の進歩によりがんに罹患しても長期間生存が可能になったため、ライフステージに応じた支援が必要となってきました。
そこで、長期入院を要する高校生への学習支援や若年がん患者の生殖機能を温存する治療に対する助成など、新たな課題に対する支援を展開しております。
経過実績ですが、がん対策推進計画の指標のうち、がん検診受診率は例えば大腸がんで平成25年の37.9%から平成28年の40.6%へと向上しています。
また、今年度から協会けんぽをはじめとする健康保険組合と連携して、特に受診率が低い働き盛りの40代をターゲットとして受診勧奨を行うなど、受診率向上の取組を強化したところです。
計画の目標であります受診率50%に向けて施策をしっかりと進めてまいります。
次に、がんワンストップ相談についてです。
七つのがん診療連携拠点病院から看護師や医療ソーシャルワーカーを派遣していただき、この7月から月2回、これまで6回開催いたしました。
働くがん患者の方を支援するため、仕事帰りに利用できるよう相談時間を平日の夜間に設定するなどの工夫をしております。
相談実績はまだ6人ですが、社会保険労務士などの専門家やがん経験者から有意義なアドバイスをもらえたなどの声が寄せられています。
広報については、県内全343病院はもちろんのこと、大宮駅や銀行の窓口などでのポスター掲示のほか、SNSと連動したホームページによる周知にも力を入れてまいります。
次に、がん検診受診促進事業の具体的な進め方です。
事業主から従業員に直接受診を働きかけていただき、受診者の増加に応じた補助金を事業者に交付することで、これまで働きかけの弱かった職場での受診率の向上を図ってまいります。
次に、市町村がん検診の精度向上についてです。
がん検診の精度向上のためには、科学的な裏づけのある国の指針に基づく方法で検診を行う必要があります。
そこで県は全市町村の検診実施状況や受診率、要精検率などのデータを分析し実施状況の評価をしております。
これまで、肺がん検診で喫煙者を対象とした痰の検査を実施していないなど指針に基づく検診が必ずしも行われていない場合もございました。
県は市町村が実施している検診の課題について、がん治療の専門家に対応策を協議していただきこれを踏まえた改善を求めています。
全ての市町村で適正な検診が行われるよう努めてまいります。
次に、がん診療連携拠点病院についてです。
県は拠点病院に対して診療機器への支援は行っておりませんが、直接患者に寄り添う相談業務の充実や緩和ケアなどの費用を補助しております。
昨年度は、11の拠点病院に対して国とあわせて総額約1億1,400万円を補助いたしました。
拠点病院に指定されると補助金に加え、入院患者に対する診療報酬の加算が認められるなどのメリットがございます。
また、拠点病院である埼玉医科大学国際医療センターにおいて令和3年の開設に向けて56床の増床整備を認めるなど、今後もがん診療連携拠点病院の機能強化を支援してまいります。
A 岩中 督 病院事業管理者
県立がんセンターについてでございます。
まず、医師確保をはじめ、どのような充実が図られてきたのかについてです。
新病院では病床数を400床から503床に増床するとともに、医師を73人から105人に増員し、医療の提供体制を強化しました。
多くの外科手術に対応できるよう、手術室を増やすとともに、手術支援ロボット、いわゆるダヴィンチを新たに導入し、身体的負担が少ない精密な高度先進手術も進めてきました。
また、緩和ケア病床を県内で最大規模の36床に倍増し、患者さんと御家族が大切な時間を過ごせるよう、専門的な緩和ケアを行うなど、終末期のがん患者さんにも丁寧に対応しております。
次に、県立病院としての使命や役割はどのように考えるのかについてです。
民間の病院では扱うことが難しい、高度な専門性が必要となる最先端の医療や希少がんに対応することが県立病院の役割として重要です。
がんセンターは最新のがんゲノム医療に積極的に取り組んでおり、令和元年9月19日付けで、高度な医療機能を持つ拠点病院に指定されました。
この指定により、がんゲノム医療を受ける患者さんは、これからはがんセンターにおいて受診から治療までの全過程をワンストップで受けることができます。
また、頭頸部がんや骨肉腫など、発生頻度が低い希少がんについては、専門的な対応が必要なことから、がんゲノム医療も含め全県一区の対応をしていきます。
このような高度専門性を生かした質の高いがん医療を提供し続けることで、地域医療の向上の役割を担う県立病院の使命を果たしてまいります。
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