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掲載日:2023年12月1日
Q 飯塚俊彦議員(自民)
私の地元である本庄市の公共下水道は昭和51年3月に着手し、昭和61年4月に下水処理が始まりました。本庄市を除く児玉郡の地域では、下水道がほとんど整備されていない状況が長年にわたって続いておりました。そのため地域住民の下水道に対する整備要望が強く、また、本県の重要な水源である利根大堰上流にありながら水質環境基準が未達成だったこともあり、平成17年3月に県が地元下水道を優先する形で利根川右岸流域下水道事業に着手しました。その後、平成21年4月には、本庄市の水質管理センターを県の流域下水道に移管して処理を開始、順次、神川町、上里町、美里町が整備する公共下水道を接続し、現在に至っています。
これまでの埼玉県の積極的な事業展開と地元市町での下水道整備が相まって、流域関連市町の下水道普及率は当初の21.9%から、現在は41.5%に向上しています。私は、県議会議員の一人として、流域下水道の整備により地元の生活環境改善と県南の重要な水資源の確保に対する大きなメリットがあったと考えております。
しかしながら、地域の代表として流域下水道の維持管理負担金のいわゆる南北格差が頭から離れません。維持管理負担金の改定に当たって、多額の累積赤字を抱える地元の利根川右岸や荒川上流については、過年度分の赤字算入の先送り、算定期間の5年から10年への延長、値上げを2段階に行う激変緩和措置など様々な配慮をいただいております。さらに本庄市では、県への移管により水質管理センターの維持管理業務がなくなり、財政負担が大幅に削減されるなど公共下水道の整備及び維持管理に伴う負担が、人的、財政的にも大幅に緩和されました。
その一方で、各流域の維持管理負担金の1立方メートル当たりの単価は、いわゆる北側にある地元の利根川右岸が72円、古利根川が78円、荒川上流が92円、市野川が87円に対し、南側では荒川左岸南部が36円、荒川左岸北部が38円、荒川右岸が32円、中川が40円と格差が顕著であります。その結果、確かに地元市町の行政にとっては、公共下水道の整備及び維持管理に伴う負担が人的、財政的にも大幅に軽減される一方、県北市町の住民の方々には多大な下水道料金の負担をお願いしているところであります。
利根川右岸の事業開始から10年、県北地域の人口減少がいよいよ顕在化する中、県は県土の均衡ある発展といいますが、それは南北格差にほかならないのではないかという県北で話題になる議論を、この下水道料金格差が加速させてはいないかと心配になります。県営水道は県内同一価格であり、また、県北の下水道が県南の水道水質を確保している中、同じ埼玉県にありながら県から受ける下水道という同じ種類のサービスの対価になぜ南北格差があるのか。独立採算の原則という考え方は理解しつつも、この10年間の県北部の人口減少、そして地方創生、地方に人を動かすことが喫緊の政治課題である中、地元の利根川右岸も維持管理負担金の改定が平成31年4月に迫っております。
そこで、次の3点について、下水道事業管理者にお伺いいたします。
この著しい格差の存在についてどのように認識されているのでしょうか。
改定に当たって基本的な考え方と、県北市町の厳しい社会状況を無視して機械的な改定が行われることはないよう、どのように改定を進めていくのでしょうか。
そして、北側の中でも利根川右岸と荒川上流は累積損失を抱え、経営が特に厳しいと聞いています。現在までの格差を解消する対策と今後の新たな取組があるのかを伺います。
A 粟生田邦夫 下水道事業管理者
まず、「著しい格差の存在についての認識」についてです。
流域下水道サービスの対価である維持管理負担金の単価には、議員ご指摘のとおり、いわゆる南北格差が生じており、下水道事業管理者として常に念頭に置くべき大きな課題であると認識しております。
一方で、この単価差は、建設・改良の費用は公費、修繕や下水処理の費用は受益者という費用負担の原則に起因し、議員のお言葉をお借りすれば南北相互の立脚点が異なる極めて困難かつ繊細な課題であると認識しています。
特に、北側の4つの流域のうち利根川右岸と荒川上流については、平成28年度決算において単年度収支及び累積収支ともに損失を計上するなど一段と厳しい状況にあります。
次に「基本的な考え方と改定の進め方」についてです。
8つの流域のうち利根川右岸と荒川左岸北部が平成31年4月に維持管理負担金の改定時期を迎えます。
維持管理負担金の単価は、下水処理等に要する費用を負担金等の収入で賄うことを基本に、過年度の累積収支差額の清算を含めて、改定時期から5年間のスパンで算定するのが基本です。
その上で、累積損失が大きい利根川右岸については、5年間で累積損失の清算が困難な場合は、平成45年度までの解消に努める旨の覚書きを県と流域関連市町の間で前回改定時に結んでいます。
この2流域とは、8月の流域別会議で改定時期や平成28年度末の累積収支の状況等を確認するとともに、特に利根川右岸の関連市町には職員が直接訪問して基本的な考え方や改定の進め方等を個別に説明しています。
今後も流域関連市町の個別事情やご意見、ご要望等を伺いながら丁寧に協議を進めてまいります。
最後に「現在までの対策と今後の新たな取組」についてです。
下水道局では、平成18年4月から北側の荒川上流と市野川で民間の創意工夫を活かした効率的な運営を行うため包括的民間委託を導入し、利根川右岸については来年3月の導入に向けて、現在、手続きを進めています。
さらに、平成28年10月には利根川右岸で太陽光発電による売電を開始し、その収益は同時期に開始した中川分も合わせて、流域下水道全体の利益のためにプールすることで全流域関連市町の合意を得ています。
今後は、この収益について全ての流域の利益になり、少しでも単価差の抑制や是正に繋がる活用方策がないか知恵を絞ってまいります。
また、流域の美里町や深谷市は農業集落排水を、寄居町は県環境整備センターの排水を公共下水道に接続する広域化に、本庄市は公共下水道整備区域の拡張とその後の広域化など処理水量の増加に取り組んでいます。
下水道局としては、広域化などの取組を積極的に支援するとともに、公共下水道の整備済区域において下水道に接続していない家庭等に対する接続促進の取組等を流域関連市町にさらに要請してまいります。
再Q 飯塚俊彦議員(自民)
それから次に、流域下水道の維持管理負担金の件なんですけれども、御答弁、御丁寧にありがとうございました。利根川右岸と荒川上流について一段と厳しい経営状況にあって、包括的民間委託の導入ということが効率化につながってくるというふうな御答弁があったわけでありますが、この2つの流域をはじめ本県の流域下水道事業というのはどのように効率的な管理、運営にしていくんでしょうか、確認のため再度お願いします。
それと太陽光発電等の収益を得る事業が実際行われております。これは将来的には流域下水道、独立採算でやっているわけですけれども、将来的には1つになっていく、その下水道の単価が幾らかの改定を、また今後もあるのかどうか、その2点についてお伺いさせていただきます。
再A 粟生田邦夫 下水道事業管理者
まず、本県の流域下水道事業はどの様に効率的な管理運営になっているのかについてです。
流域下水道の置かれている地理的な条件として地形や人口の集積度などそれぞれ事情は異なりますが、全国的な類似団体との比較をまず申し上げます。
職員1人当たりの1日の下水処理量は、類似団体が約5,100立方メートルのところ、本県の下水道局と県の業務を代行する下水道公社を合わせて約7,800立方メートルと約1.5倍となっています。
また、維持管理負担金の単価で見ますと、利根川右岸では全国の同規模の平均が約84円のところ72円、荒川上流では約131円のところ92円となっています。
今後とも、効率的な運営となるよう努力してまいります。
次に、今後の単価改定はどのように行っていくのかについてです。
下水処理に要する費用を維持管理負担金で賄えるように、5年間のスパンで算定するのが基本です。このような考え方で行ってまいります。
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