トップページ > くらし・環境 > ごみ・リサイクル > 産業廃棄物 > 産業廃棄物を処理する方 > 産業廃棄物処理業から環境産業へのステージアップ > 3S運動トップランナー賞について > 3S運動トップランナー賞受賞者へのインタビュー・取組紹介(令和5年度受賞:株式会社タカヤマ)
ページ番号:257688
掲載日:2024年9月26日
ここから本文です。
令和5年度に3S運動トップランナー賞を受賞した株式会社タカヤマ様の取組をご紹介します。また、代表取締役 齊藤 康祐さん、執行役員 久保 雅史さんに、幅広い取組を始めるきっかけや社員のモチベーションアップの方策、今後の展望についてインタビューを実施しました。
本社所在地 :〒359-0011 埼玉県所沢市南永井37-9
代表者 :代表取締役 齊藤 康祐
設立 :昭和49年1月
従業員数 :136名
事業内容 :排水処理施設の清掃・工事、産業廃棄物及び一般廃棄物の収集・運搬、産業廃棄物(汚泥)の中間処分 など
3S運動表彰実績:平成28年スマイル特別賞、平成29年スタイル最優秀賞、平成30年セイケツ最優秀賞、令和元年スマイル最優秀賞、令和5年トップランナー賞
2022年10月の代表取締役交代に伴い、新たな社是・綱領・品質方針が制定されました。
組織の方向性を統一するために、「ビジョンシート」と「TOG (タカヤマ・オリジナル・ゴール)」という仕組みを導入し、会社方針や部門方針の作り方が定型化されました。また、2023年にはタカヤマアカデミーで全社員が新たな社是・綱領について考える機会が設けられました。
2005年10月から導入された「3イズム」という人材育成制度があります。
・感謝の心
スタッフ同士で感謝の気持ちを伝えるために、サンクス・ホメロンカードというカードを使用します。
・改善の精神
部署や役職に関係なく、誰でも改善提案やアイディアを出せる仕組みです。
・自主自発の精神
部門方針に基づき、一人ひとりが自ら挑戦し、行動する目標を設定します。
全社員にモバイル端末を支給し、社内の電子化を推進しています。2022年2月には、社内コミュニケーションアプリ「めぐるーむ」が導入されました。これにより、従来は紙で提出していた3イズムのカードやチャレンジシートが電子上で完結するだけでなく、情報共有も迅速に行えるようになりました。併せてペーパーレス化も進み、2022年度には約1万枚の用紙使用削減を実現しました!
環境整備活動である5S活動をよりレベルアップさせ持続的なものにするため、2021年9月から「5Sマスター制度」が導入されています。各部門において厳しい点検、指摘、指導ができる人材である「5Sマスター」が5Sを率先して実践し、さらに新たな人材である「実践リーダー」を育成することで、全社員参加型の5S活動を実現しています。2023年には新たに第⼆期5Sマスターが8名誕⽣し、全社で22名の5Sマスターがいます。
採用・広報戦略のレベルアップを図るため、2018年6月に公式キャラクターであるめぐる君が誕生しました。めぐる君は、採用活動をはじめとする社内のさまざまな場面で活躍しています。さらに、2022年にはSDGs版めぐる君のデザインも完成しました!また、会社のコーポレートサイトの採用ページがリニューアルされ、明るく親しみやすいページになっています。
2023年10月から、環境貢献企業の責任としてタカヤマSDGsオリジナル基金が立ち上げられました。会社の各拠点に募金箱が設置され、集まった募金はSDGsの推進、社会貢献、地域貢献に役立てられます。
2023年夏季から、熱中症対策としてリストバンド型ウェアラブルIOTサービスが導入されました。作業スタッフがリストバンド型の端末を装着し、スマートフォンと連動させることで、「熱ストレス」「作業強度」「心拍数」などを測定し、異常が発生した場合にはアラートを発する仕組みとなっています。毎年夏季には5〜6名の熱中症者が発生していましたが、2023年夏季には1名まで減少しました!
タカヤマ様の業務車両をモデルにしたイラストが、講談社から発行された絵本「くるま! くるま! マニア!」に掲載されました。この絵本では、タカヤマ様の公式キャラクターである「めぐる君」がデザインされた車両が紹介されています。絵本の作者のかたが町で車両を見かけたことから、掲載されることになったそうです。
ーーまず、御社が3S運動を取り組まれるようになったきっかけを教えてください。
齊藤さん:当社では2015年から、3S運動を続けています。3S運動表彰で最優秀賞を受賞することを目指して、総務部が中心となって取り組み始めました。当社には元々環境整備などの文化があり、SDGsも経営に取り入れていました。そのような取組と、埼玉県が2015年から始めた産業廃棄物処理業界のイメージアップ事業がうまくかみ合って、最初の最優秀賞をいただけた印象があります。
ーー社内でもともと業界全体のイメージアップにつながるような取組がされていたんですね。
齊藤さん:それに加えて、経営品質を向上させるプログラムに20年以上前から取り組んでおり、その中での職場環境改善なども行っていた時期でしたので、タイミング的にも良かったと思います。
ーー3S運動の一連の取組を通じて、社内での雰囲気や従業員の方々のモチベーションに変化はありましたか。
齊藤さん:排出事業者さんなどの工場見学を通じて、見られている意識が社内で育ってきたと感じます。それにより、改善やレベルアップが必要だという意識が芽生えました。もちろん、挨拶などは以前から行っていましたが、自社をより良くするという意識が、お客様や他社からの評価によってさらに高まったと思います。やはりそういった外部からの検証は非常に重要だと考えています。
久保さん:お客様から感謝や賞賛をいただくことで従業員のモチベーションが上がります。当社ではお客様の声を共有する会議も行っています。うれしい声を共有することがスタッフ一人一人のモチベーションを上げることにつながりました。
ーー施設見学は、排出事業者さんの他にはどういったかたに開放されているんですか。
久保さん:他の団体や協力組合の方々に見学に来ていただいています。また、経営品質向上に向けた取組の中でともに活動している団体の方々が来られることもあります。
ーーキャラクター(めぐるくん)はお子さんにも人気がありそうですが、小学校の見学などはありますか。
久保さん:地域の子供たちを当社に呼んで、パッカー車を動く様子を見てもらったことがありました。反対に、地域の児童館などに出向いて、環境学習や仕事の紹介を行うことも多いです。
左から、執行役員 久保 雅史さん、代表取締役 齊藤 康祐さん
ーーお客様の声を共有するお話がありましたが、3S運動の取組を通じて、取引先の声や反応に変化はありましたか。
齊藤さん:3S運動で県から賞をいただいていることは、取引の上での信用と信頼につながっています。また、お客様の中には、工場の整理整頓状況などを評価してくださる方も多くいます。毎年社内で行われるタカヤマアカデミーというイベントでは、お客様へのアンケート結果をもとに、業務の改善策を考える話し合いがされます。このような取組もお客様にも少しずつ伝わってきていると思います。3S運動は、その会社の業績や許認可の取得状況だけでは見えない、会社の風土や目指している方向性を示す良いツールになっていると思います。
ーー産業廃棄物処理業界全体のイメージアップについて、3S運動の効果を感じることはありましたか。
齊藤さん:以前は廃棄物処理というとマイナスなイメージもありましたが、最近は資源の大切さとともに、業界の重要性が認識されてきました。3S運動もそれを後押ししていると思います。当社では地域住民とのコミュニケーションやイメージも重要視しており、そういった面でも3S運動の良い効果を感じています。昨年、絵本に当社の車両が掲載されましたが、自分たちの取組が見てくれている人がいることは非常に嬉しいです。また、同業者間で、良い意味で真似をし合って、3S運動が波及していけば非常に良いと思います。
久保さん:最近では他社さんも活発に3S運動に取り組まれているので、当社ももっと頑張らなければいけないと感じています。お互いに切磋琢磨しながら取り組みたいです。
齊藤さん:3S運動の波及によって、良い意味の格差が生まれ、悪い業者が淘汰されるような流れができるのではないかと思います。
ーー3S運動に関して、従業員の方から取組の提案はありますか。
齊藤さん:当社には社員からの提案を様々な形でフィードバックする制度があります。ここ数年は、そうした提案も増えてきた印象があります。特に5S、環境整備の徹底は社員全員が関わる活動として取り組んでいます。部署間の相互点検で刺激を与え合い、社員の意見をマニュアル作成などにも役立てています。また、埼玉県のロードサポートやリバサポへの参加も社員からの要望を受けて行っています。社内で、社員からの提案は流さずに大切にしよう、みんなが必要と思うことには思いやりを持ってしっかりと応えていこうと話しています。そのような気持ち1つで変わってくることがたくさんありますし、モチベーションの維持が離職を防ぐことにも繋がります。
久保さん:現場からは、新しい道具の使用や、清潔を保つための細かい改善点なども提案されます。また、安全面に関しても、夜間作業の明るさなどさまざまな提案がありますので、都度それを取り入れながら進めていくという感覚がありますね。
ーー5Sマスターになる方は社内応募によって決められるんですか。
齊藤さん:もともとは管理職が5Sマスターの一期を務め、学んだことを現場に落とし込む流れでした。その後、二期目では課長職や係長職などのメンバーを中心に5Sマスターを担ってもらいました。三期目では、やる気や自主性のある社員を役職にかかわらず指名することも考えています。5Sに関しては役職にこだわらず、元気のある社員がマスターを務めてくれることを期待しています。そのために、制度をしっかりと構築していく必要があると思います。
ーー5Sマスターの将来像や活躍する部門について、何かイメージはありますか。
齊藤さん:当社の人事制度では、専門職と総合職の大きく2つの役職に分かれますが、それに関わらず意識の高い社員には社内改善活動に取り組んでもらい、リーダーシップを発揮して活躍してほしいと思っています。5Sマスターが、管理職などの役職によらない、リーダーシップなどの指標になれば良いと考えています。
ーー社員がリーダーシップを発揮できるように、会社としての制度作りを研究されているんですね。
齊藤さん:自分たちが計画したことを行動に落とし込み、結果を出すことは大変ですが、数年前に比べて社内のそういった流れはレベルアップしているし、スピードも上がってきていると思います。必要な方針や行動計画をしっかりと示せれば、社員は積極的に取り組んでくれるし、計画の実現も早まります。まずは、全社の共通意識として危機感や課題感をしっかりと共有することが重要だと思います。トップダウンだけでやっても上手くいきませんから、ボトムアップとトップダウンの両方を組み合わせて、成果を求めていくことが非常に大事です。そのためには、上司は日頃から社員に目を向け、社員はしっかりとお客様に目を向けることが基本になると思います。苦労もありますが、どうやって社員全員で課題解決に取り組めるかというチャレンジですね。
ーーこれから3S運動を始めたいと思っている事業者のかたに、取組を始めるためのアドバイスやポイントがありましたら教えてください。
齊藤さん:まず、3S運動は自治体と事業者が一体となって行える素晴らしい取組だと思います。会社の認知度を高め、外部からの信頼を得ることができる大きなツールですので、ぜひ毎年事業者を増やしながら取組を広げていただきたいです。ただ、取組を始めるためには、それぞれの事業者が目標を持ち、与えたい社会へのインパクトや地域貢献についてを考えることが重要です。自社の存在意義や理念を明確にし、全員が目標に向かって共通の意識を持って取り組んでください。最初は社長の指示から始まるかもしれませんが、なぜその取組を行うのかを共有しながら進めていくことで、継続とレベルアップにつながると思います。個々の取組は、会社を良くするためのツールです。しかし、それを行うためには心構えや意識、社員の自発性を引き出す仕掛けが必要です。地域に必要とされる事業者になるために、皆さんとお互いに切磋琢磨して頑張っていきたいと思っています。
ーー最後に、御社の3S運動について、今後の展望を教えてください。
齊藤さん:5Sマスターや環境整備などの既存の事業の強化は当然に行っていきます。さらに、10年後までに新しい工場を建設する計画もありますし、2年後には本社の移転も予定しています。新しい社屋の意味付けやブランディングも考えながら、より働きやすい環境をつくることを目指しています。また、社員のマインドの成長や働きがい、生きがいを高めることも非常に重要だと考えています。業界全体としては脱炭素やサーキュラーエコノミーへの取組が求められていますので、それに向けた投資も考えています。ただ、資源の有効活用に関しては現在非常に難しい課題であり、焼却も難しくなってきている状況です。産業廃棄物処理業としての役割もありますが、新たなチャレンジと社員のスキルアップをしっかりと進めながら、存在意義を高めていきたいです。そのためには、清掃やお客様への挨拶など、基本的なことを忘れずに行うことが重要です。これらの要素を組み合わせて、会社をレベルアップしていくことを目指していきます。
久保さん:取組がレベルアップすることで、賞を受賞したり今回のように紹介されたりすることは重要だと感じます。県の方々が来訪したり、ホームページに掲載されるすることで、社内のモチベーションも高まります。今後は、自分たちでも積極的に外部に情報を発信できる力を持ちたいと思っています。発信のタイミングなどを試行錯誤していますが、より一層広報活動を強化していきたいです。これによって3S運動もより発展すると考えています。
株式会社タカヤマの皆さま、どうもありがとうございました!
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください