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掲載日:2023年11月22日
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災害時には避難所に長期にわたって避難しなければならないこともあります。そんな時、やはり温かい食事がほしいものです。ここで力を発揮するのがLPガスです。LPガスは電気がなくても使用できるうえ、ボンベの移動が比較的容易なので、いつでもどこでも利用できるという強みがあります。そのため災害に強いエネルギーと言われています。このLPガスを災害時に安全に使用し、温かい食事を提供できるように「炊き出し訓練」をおこなった事例を紹介します。
なお、「炊き出し訓練」を行う場合は、埼玉県に登録している「いつでも、どこでも炊出訓練応援隊」の支援を受けることができます。
事例1 行田市持田五丁目自治会 「初めて炊き出し訓練を実施しました」
事例2 深谷市下原自主防災会(下原自治会) 「防災訓練と炊き出し訓練を実施しました」
好天に恵まれた、平成29年12月3日の日曜日。人気テレビドラマの舞台にもなった行田市で、ドラマのテーマともいえる駅伝大会が同日開催された中、持田五丁目自治会で炊き出し訓練が行われました。
訓練では、特殊な袋を使って炊いた米飯と豚汁が調理され、私達取材チームも御相伴にあずかりました。
では、訓練の様子をご紹介します。
朝の9時前から、自治会の役員の皆さんが炊き出し訓練の準備を開始。役員の朝は早いですね。
自治会館の前にテントを設置、さらにテーブルと座布団も。
準備は着々と進みます。
炊き出し訓練の肝。LPガスボンベやコンロなどの設備です。
主役の登場で、炊き出し訓練らしくなりました。
今日の訓練は約2時間半のスケジュール。
協力しあって、炊き出しを成功させるのが目標です。
役員が参加者に向けて炊き出し方法を実演を交えて説明します。
参加者の皆さんは自治会内で初めて見る炊き出し訓練に興味津々の様子。
非常用炊飯袋を用いて炊いた米飯と豚汁の試食です。非常用とは思えないほど、とても美味しく出来上がりました。
非常用炊飯袋を用いた炊飯方法については後で紹介します。
持田五丁目 自治会長 山内さん
訓練のきっかけ、応援隊の活用方法についてお聞かせください。
この地域は、行田市のハザードマップによると地震で特に揺れやすいと予想されています。災害は、いつどこで発生するか分かりません。こうした中、10月に行田市の防災に関する出前講座を受けました。その中で、自助・共助が大切という説明を受け、地域での取り組みも大事だということが分かりました。しかし、当自治会では避難訓練さえしていなかったので、何か訓練を実施した方がいいのではと考えました。例年12月に自治会イベントとして餅つき大会を催していたこともあり、その代わりとなる「食」に関する訓練から「炊き出し訓練」に行き着きました。
と言っても、何から始めていいのか分かりませんでした。炊き出しについてインターネットで調べた上で行田市に相談すると、埼玉県に「炊出訓練応援隊」という制度があることを教えていただいたので活用することにしました。
まず、炊飯を考えていたので、JAほくさいさんに応援を依頼し、お米を提供していただきました。続いて、炊き出しアドバイスをもらうため、NPO法人キャンパーさんに事前相談すると、役所への手続から炊き出し方法まで幅広く教えていただき、特に資料として提供していただいた冊子はいろいろな情報が載っており、大変役に立ちました。
準備を進めていく中で、苦労したことはありましたか。
今回、炊飯袋を利用した炊飯を行うことにしました。この炊飯袋でいかにおいしいご飯を作るか試行錯誤しました。水加減や調理時間でかなり食味が変わってしまうことが分かったので、役員で繰り返し作ってみました。20~30分吸水させ、30分鍋でゆで、10分蒸らすのがいいことが分かりました。訓練当日は、LPガスに業務用コンロの組み合わせで火力がとても強かったこともあり、全ての炊飯袋で上手に炊飯することができました。
訓練に多くの人が参加していたようですが、盛況になった要因はズバリ。
人が集まってくれるか本当に不安で、人が集まらない夢を見たくらいです。当日までビクビクしていましたが、蓋を開けてみると想像を超えビックリ。少なくとも100人を超える規模の参加者数でした。当自治会は310世帯ですので、多くの人に参加してもらったと思います。事前に炊飯方法についても回覧で周知しておいたため、炊飯袋を使った炊き出しが話題を呼んだと思います。「本当にビニール袋で炊けるとは思わなかった」、「炊飯にはびっくりした」、「こんなに美味しくなるとは思わなかった」など参加者からコメントをいただきました。また、訓練の中では、炊飯方法を参加者に説明すると、皆が熱心に聞いてくれました。参加者は食べるだけではなく、炊き出し自体にも興味を持っていただき、とてもいい訓練になりました。
炊き出し訓練の成果や自治会における防災意識の変化はありましたか。
まず炊き出し訓練のやり方が分かったこと。一度やったことがあるかないかでは大きな差があると思います。また、訓練中、「いざという時、皆で何とかしなくてはいけないよね」といった話が参加者から出ていたように記憶しています。皆さんの気持ちの中にあった潜在的な防災意識が表面化した瞬間ではないかと思います。
取材:2017年度
平成30年10月21日の日曜日、好天に恵まれる中、深谷市の下原自治会内に設置されている下原自主防災会が防災訓練と炊き出し訓練を行いました。 訓練は、地元消防署員から直接指導を受ける防災訓練と、里芋を使った鍋料理である芋煮などを調理する炊き出し訓練が行われました。 それでは、訓練の様子をご紹介します。 |
朝の9時半に役員の皆さんが集会所に集合。打合せの後、炊き出し訓練をスタートしました。
10時に参加者が集会所近くのあおぞら公園に集合。自主防災会長さんから本日の訓練の説明が行われました。
参加者は2班に分かれ、消防署員の指導を受けながら消火訓練と三角巾を利用した応急手当の仕方を学びました。
訓練終了後、役員と参加者の皆さんが炊き出し料理を囲み親睦を深めました。
深谷市下原自主防災会長(下原自治会長) 高山さん
訓練を始めたきっかけについてお聞かせください。
5年ぐらい前、下原自治会に自主防災会を結成したことがきっかけとなりました。もし災害が発生した場合、隣り近所に何かあればみんなで助けなくてはならないことから、地域の防災力とコミュニティを強化するため防災訓練を始めました。
また、当自治会では昔から親睦を深めるイベントとして芋煮会を催していました。この芋煮会を炊き出し訓練として防災訓練とセットにしたことで現在の訓練の形ができました。
消防署員も参加した実践的な訓練でしたが、どのように準備されたのですか。
当自治会では訓練に当たって、地元深谷市役所に相談し、協力を得ながら進めています。事前に打ち合わせを行い、今年は、消火訓練と三角巾を利用した応急手当の仕方を学ぶことにしました。これまでにも応急担架の作成訓練やAED取扱い訓練、ビデオ講習など毎年メニューを変えて実施しています。
炊出訓練応援隊を知るきっかけと活用方法についてお聞かせください。
炊出訓練応援隊についても市役所に紹介していただいたことがきっかけで利用するようになりました。
芋煮を炊き出しするためにLPガスボンベとガスコンロが必要なので、炊出訓練応援隊の埼玉県LPガス協会深谷支部に設備の貸出しを依頼すると、快く協力していただきました。訓練数日前、応援隊が集会所に設備を持ち込み、その場で取扱方法の説明をしていただきました。
設備を全て自治会で揃えることは大変ですので、応援隊の存在は非常に有り難いです。また、経費の面でも助かっています。
訓練の成果や自治会内での防災意識の変化はありましたか。
地域の皆さんと顔を合わせる貴重な場面となっています。住民にどういった人がいるのか把握できる機会となり、いざ災害が発生した際は、手助けの一助になると思います。
また、訓練を始めた頃は、一軒一軒に声をかけて参加者を集めていましたが、現在では回覧板の周知で集まるようになりました。これも防災意識が高まった一例かもしれません。
今年は、85名の参加でした。当自治会は約180世帯ですので多くの皆さんにご参加いただけたものと思います。
これから訓練を考えている人に向けて一言お願いします。
訓練は参加してもらうことが重要だと思います。どうしたら皆さんが参加してくれるか、何に興味があるか、大変なことですがそこを押さえ周知することが必要なことではないかと思います。
取材:2018年度
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