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掲載日:2023年11月1日
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近年、産業構造や雇用形態、生活様式の変化等、社会・経済が急速に変化しています。こうした変化の中で、国や地方公共団体が適切に政策を企画、実行していくため、また、企業や個人が的確に意志決定を行っていくためには、社会・経済等の状況を正確に把握することが求められています。
このような背景から、社会・経済の実態を客観的なデータで表す統計結果は不可欠なものとなっています。
統計調査の結果は、たとえば、地方交付税の算定資料、国や地方議会議員の選挙区及び選挙区別定数の決定、都市計画や、防災計画、商工業の振興など様々な行政施策を立案する際の判断基準となるものです。
新聞やニュースでよく耳にする経済成長率、景気動向指数、完全失業率、消費者物価指数といったものもすべて統計調査の結果から明らかになったものです。また、統計は、教育や研究への利用や民間企業の経営方針決定の資料など様々な分野で幅広く利用されており、社会の発展を支える情報基盤として重要性が高まっています。
正確な調査結果を得るためには、正しい回答が必要となります。もし、回答が得られなかったり、不正確・不完全な回答であったりした場合、調査の目的である統計が作成できなかったり、精度の低い統計となったりしてしまい、これらの統計を利用して、私たちの身近な行政施策や将来計画を作ってしまっては、私たちの生活や暮らしが誤った方向に向かってしまうおそれがあります。
そこで統計法第13条では、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。報告を求められた者は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。」と報告義務を規定しています。
また、統計法第61条第1項では、「基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の申告をした者」の罰則について規定しています。
基幹統計調査は、統計法等の法令規定に基づいて行われ、プライバシーは厳重に守られます。
統計法第41条では、調査に携わる者に対して、調査上知り得た事項の秘密を守ることを義務付けています。
また、統計法第40条では、統計法に特別の定めがある場合を除き、当該統計調査を実施するに当たって予定されていた統計を作成する以外には、原則として調査によって得た情報を利用又は提供してはならないとするとともに、第39条では統計調査によって集められた情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないと規定しています。
さらに統計法第17条では、基幹統計調査の統計調査員でない者が、当該調査の実施期間中に統計調査員を装い、記入済みの調査票を取得するといったような「かたり調査」と言われる行為を禁止しています。
そして、統計法第57条から第61条では、かたり調査の禁止違反や調査に携わる者が秘密を漏らした場合等に対する罰則を規定し、秘密の保護を図っています。
国勢調査や労働力調査をはじめとする基幹統計調査については、個人情報保護法とは別に、統計法第13条によって報告が義務付けられています。基幹統計調査の報告義務は、「個人情報保護法」によって免除されるものではありません。
なお、基幹統計調査で得られた情報(個人、法人又はその他の団体の秘密に関する事項)については、統計法により、関係者に守秘義務が課されており、保護されます。
平成17年4月1日から、「個人情報の保護に関する法律」や「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」をはじめとする個人情報保護関連5法が全面施行されました。これは、経済・社会の情報化の進展を背景に「個人情報」を利用した各種サービスが提供されるようになり生活の利便性が向上した反面、「個人情報」が誤った取扱いをされた場合、個人に被害を及ぼすおそれがあり、国民のプライバシーに関する不安が高まったことなどから、国民が高度情報通信社会のメリットを安心して享受できるよう制定されたものです。
「個人情報の保護に関する法律」は、官民を通じた基本理念と民間の事業者に対する個人情報の取扱いのルールについて定められています。
この法律は、個人情報保護法制の中で基本法としての性格を有し、その第3条において「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。」と、基本理念が規定されています。
「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」は、行政機関における個人情報の取扱いに関するルールについて定められています。基幹統計調査によって集められた個人情報については、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」が適用されない(統計法第52条)こととなっています。これは、基幹統計調査によって集められた個人情報は、個人を識別することができない形での統計を作成するためだけに用いられるものであり、また、厳格な秘密の保護に関する規律が「統計法」で措置されているからです。
「統計法」に基づき実施する基幹統計調査の報告義務は、「個人情報保護法」によって免除されるものではありません。
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