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発表日:2022年3月10日13時

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県政ニュース

埼玉県指定文化財の指定について

部局名:教育局市町村支援部
課所名:文化資源課
担当名:指定文化財担当

内線電話番号:6981
直通電話番号:048-830-6981
Email:a6910-04@pref.saitama.lg.jp

埼玉県教育委員会は、埼玉県文化財保護審議会(会長:根岸茂夫)からの答申を受け、3月10日(木曜日)開催の教育委員会において、次のとおり埼玉県指定文化財の新規指定3件(有形文化財2件、民俗文化財1件)を審議のうえ、決定しました。3月18日(金曜日)の県報告示により、正式に指定となります。

これにより、県指定文化財のうち、有形文化財は339件、民俗文化財は77件となり、選択無形民俗文化財を含む県指定等文化財の件数は合計727件になる予定です。

 

1新規指定を行う物件

種別 種類 名称 員数 所在地 所有者(管理者)

民俗文化財

有形民俗文化財 横瀬の人形芝居舞台 1式 横瀬町 個人
有形文化財 古文書 北爪文書 5点

寄居町大字鉢形2496-2

寄居町(鉢形城歴史館)

有形文化財 考古資料 三ツ和遺跡出土木簡

附井戸枠10点

須恵器坏1点

須恵器及び土師器残欠10点

木簡を除く井戸枠補強材31点

4点

 

 

 

 

川口市本町1-17-1

川口市(川口市立文化財センター)

 

2新規指定文化財の概要

有形民俗文化財横瀬の人形芝居舞台 (横瀬町)

県指定無形民俗文化財「横瀬の人形芝居」に用いられる人形舞台です。

横瀬の人形芝居は、指人形を操る、一人遣いの人形芝居で、各地に出向き、公演を行ってきたため、舞台は組立て・解体ができる構造となっています。舞台は、本舞台、本舞台後方に設置する回り舞台、上手に設置する太夫座、下手に設置する下座の四つから構成され、舞台全体の幅は約7m、本舞台と回り舞台を含めた奥行きは、約3.5m。両袖の位置や角度を変えることで、会場の広さに応じ設営することが可能です。

回り舞台は、芯柱を軸として、人力で水平方向に回転させる構造で、上から見ると正方形の形状をしており、四面に襖絵や板絵、障子、遠見を設置して回転させることで、場面転換する仕組みです。

人形芝居舞台に回り舞台が備わる例は全国的にも希少です。

回り舞台の芯柱には、秩父祭屋台を手掛けた宮大工・荒木和泉の名前があり、歌舞伎屋台としても展開する秩父祭屋台とは彫刻等の装飾や組立て・解体可能な構造、回り舞台を備えるなど、多くの共通点があります。秩父祭屋台からの強い影響がうかがえ、秩父の芸能文化を支える工匠の技が体現されています。

民俗芸能に用いられるもので、地域的特色があり、県にとって重要なものです。

横瀬の人形芝居舞台回り舞台

横瀬の人形芝居舞台と回り舞台


 有形文化財・古文書北爪文書 (寄居町)

かつて上野 の在地領主で、はじめ足利長尾氏に、天正期に北条氏に属し、江戸時代に新堀新田(現熊谷市)に移住した北爪家に伝来した下記5点の古文書で、平成20年に寄居町に寄贈され、現在は鉢形城歴史館が所蔵しています。

(1)長尾景長判物(永禄6年(1563)、あて先:北爪助八)

(2)長尾顕長判物(作成年不詳、あて先:北爪主計助)

(3)北条氏邦感状(天正16年(1588)、あて先:北爪新八郎)

(4)北条家朱印状(天正17年(1589)、あて先:北爪新八郎)

(5)北条家朱印状(天正17年(1589)、あて先:北爪新八郎)

(1)は助八が、(2)は主計助が所領を与えられたり加増されたりしたという内容。

(3)は新八郎が沼田での合戦で敵1人を討ち取る戦功によって与えられたもの。

(4)は新八郎に女淵五郷の給田を付与することを約束されたもの。

(5)は新八郎に、検地の上、20貫文の所領を与えられたというもの。

北条氏の上野進出を巡り、上野を治めていた長尾氏や関東の在地領主の動向が分かり、県の歴史上ことに価値が高いものです。

北爪文書

北条家朱印状

 

有形文化財・考古資料三ツ和遺跡出土木簡4点
附井戸枠10点須恵器坏1点須恵器及土師器残欠10点 木簡除く井戸枠補強材 31点(川口市)

川口市の三ツ和遺跡において出土した木簡4点と、その関連資料52点です。

三ツ和遺跡は、荒川低地の自然堤防上に立地する、古墳時代、平安時代、中世などの集落が営まれた遺跡で、平成24年の第27次発掘調査において、4点の木簡が、補強材として井戸枠に縦方向に差し込まれていた状態で発見されました。

4点の木簡は、いずれもその用途は記録簿であり、具体的な年号である「仁寿元年(851年)」や地名「小渕村」が記され、さらに「出挙」と呼ばれる古代の利息付き貸借制度における各人への貸付額の記録や、また何かを造営する際の労働に対する稲の支給の実態などが記されています。

最大の特徴は、木簡が大型の曲物の底板材から転用されていること。さらに火鑚板に再利用され、そして最終的に補強材として井戸枠に差し込まれていたことがわかっています。

関連資料52点は、木簡とともに井戸を構成する井戸枠と補強材、また井戸の埋め土中から出土した須恵器及び土師器で、補強材には、木簡のほかに鋤か鍬の柄と板材などが用いられていました。

須恵器、土師器は井戸の埋め土から出土し、いずれも使用された時期は9世紀から10世紀と考えられる。

これらの資料は、本県における古代の村落形成、行政、租税、産業、生活文化などを多岐にわたり知ることができる極めて貴重な木簡資料で、古代の木簡の使用から廃棄までの過程や、木製品の再利用の実態を示す類いまれな遺物であり、学術上価値が高いものです。

井戸三ツ和遺跡出土木簡1三ツ和遺跡出土木簡2

出土状況と木簡

報道発表資料(ダウンロードファイル)

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